2005年09月30日

【フランクフルト】長距離線の空港駅にSバーン

空港連絡の話題が続きますが,こちらは工事の関係で日頃見られない光景が
繰り広げられるだろうという,鉄道ファン向けの話題です.

ドイツへ個人旅行などで鉄道を利用する際に,一番最初にお世話になるのが
恐らくフランクフルトの空港駅でしょう.この空港には2つの鉄道駅があり,
一つは1972年開業でSバーン中心の近距離線駅(Regionalbahnhof),もう一つ
は近年開設のICE等の高速列車が発着する長距離線駅(Fernbahnhof)です.
フランクフルト市内や,マインツなどへ行く際には地下の近距離線駅を,
ケルンやシュツットガルト,ミュンヘンなどへ向かう際には長距離線駅を,
というように使い分けされているのです.

Sバーン(S-Bahn)とは,ドイツ語のSchnellbahnまたはStadtschnellbahnの
略称で,いずれも速い鉄道という意味を含んでいますが,都市圏内の輸送に
徹した短距離の近郊電車と考えていただければいいでしょう.ドイツでは
大きな都市にはたいていSバーンが走っています.場所によっては都心部で
地下を走るところもありますが,地下鉄(U-Bahn)とは別物です.

前置きが長くなりましたが,普段Sバーンが乗入れている近距離線駅のほうが
工事のため,週末を中心に一時閉鎖されます.その間だけSバーンの一部が
長距離線駅のほうへ迂回することになりました.期間は9/30の夜から10/04の
早朝までと,10/07の夜から10/10の早朝までの2回に亘ります.

工事は分岐器の交換のためのようです.
空港駅を通るSバーンは,フランクフルトとヴィースバーデン(Wiesbaden)を
結ぶ2つの系統がありますが,このうちマインツ経由のS8系統だけ長距離線駅
経由になります.空港の前後では従来の旧線ではなく新線を走るため,経由
しない駅や,目の前を走ってもホームのないSportfeld駅は通過扱いです.
ただしサッカー観戦客輸送のため中央駅とSportfeld駅の間には臨時列車が
運転されるようです.

もう一方のS9系統は,空港駅の前後の区間を部分運休します.

期間中は空港の長距離線駅に,普段ならお目にかかれない420形式の電車が
やってきます.フランクフルトにも新しい423形式の電車が増えていますが,
S8系統にはまだ投入されていないようです.
この他フランクルフトとザールブリュッケン(Saarbrücken)を結ぶ快速列車が
近距離線駅に普段乗入れしています.こちらも612形式のディーゼルカーが
長距離線駅で見られるのかと期待されましたが,残念ながら空港に立寄らず
旧線を走るだけのようで,長距離線駅のある新線には入らないようです.
(612形式のディーゼルカーは振り子式です)

詳細はドイツ語になりますが,リンク先をご参照ください.
Gleisbauarbeiten im Flughafentunnel
(Nahverkehr Frankfurt am Mainのサイトへのリンク)
Fahrplanänderungen am Flughafenbahnhof Frankfutrt(Main)
(ドイツ鉄道のPDFファイルへのリンク)
PDFファイルには期間中の時刻表や運転系統図も掲載されています

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2005年09月29日

【BART】オークランド空港への連絡輸送

BARTのColiseum/Oakland Airport駅から,オークランド国際空港(OAK)への
連絡には,現在AirBARTと名付けられたシャトルバスが運転されています.
BARTの運賃とは別に$2が必要で,所要時間は最短なら十数分ですが,道路が
混雑していると30分掛かることもあるようです.

近年オークランド空港は,格安運賃で有名なサウスウェスト航空が路線網を
充実させていることなどから,利用者数の伸び率は全米でも上位に位置付け
られます.サウスウェスト航空は二つあるターミナルのうち一つを独占的に
使用しているほか,乗務員のベースもここに置いています.


BARTは最寄り駅からこの空港へのアクセス向上を目指してきました.
空港利用者数の伸びに加えて周辺の開発が進むに伴い,道路の混雑が今後は
もっと激しくなることが予想されます.バスのままでは利用者が敬遠すると
考えていました.それはBARTの利用者減にもつながりかねません.
そこで2003年には高架の専用軌道を無人で自動運転されるAGTの建設を目指し
て入札まで行いますが,候補が揃ったところで空港を管理するオークランド
港(Port of Oakland)が空港の拡張計画の内容を変更したため,AGT案は
事実上棚上げ状態になってしまいました.
AGT : Automated Guideway Transit
Oakland Airport Connector Project 周辺図などもあります
(BARTのサイトへのリンク)

すでに税金を投じることが投票により3回も支持されている連絡輸送計画を
みすみす消滅させるわけにはいきません.BARTは今年オークランド港に
モノレールでの連絡輸送実現可能性の調査費用を申請します.今月になって
それが承認され,再び光がさしてきました.しかし時間の経過と共に必要な
経費がどんどん膨れ上がってしまい,自力では資金を調達できなったため,
民間資本を活用しようと試みます.

しかし民間に設計と建設,運営と経営を任せたとして,BARTが考えるモノ
レール,または高架の専用道路を有するライトレール(LRT)やバスなどで運行
するとなると,運賃を最低でも$5になることが明らかになります.それでも
民間会社には十分に利益をもたらしません.また現在の倍以上の金額で,
果たして利用する人がいるだろうかという疑問も残ります.
BARTがサンフランシスコ国際空港(SFO)へ路線を延長した際,利用者が予測を
大きく下回ったという過去がありました.

全てが目論みどおりに働いて,最短で着工が2007年,開業はその数年後に
なる見通しです.

Airport-BART monorail plan faltering
(Oakland Tribuneの8/30付け記事,San Bruno BARTのサイトへのリンク)
Getting to airport on BART may cost riders an extra $5
(Oakland Tribuneのニュースへのリンク)
BART seeks private investors
(Contra Costa Timesのニュースへのリンク)

空港への連絡交通機関の整備に民間資本を活用するケースでは,オレゴン州
のポートランド空港にMAX(ライトレール)を建設した例が近くにあります.
そこでは空港周辺の土地開発の権利を投資した企業に与える条件付でした.


その話題とは全く別ですが,BARTも同じサンフランシスコのMuniとともに,
TSAが進める爆発物を嗅ぎ分ける犬の訓練プログラムに参加することになり
ました.BARTは独自で爆発物を嗅ぎ分ける犬をすでに任務につかせています
が,今後は数が増えることになるのでしょう.
TSA : Transportation Security Administration (運輸保安局)

TSAが進めるプログラムに参加する米国の交通事業者は,次の10ヶ所です.
ニューヨークの地下鉄や,ニュージャージー州のNJ Transit,シカゴのMetra
などは,参加を見合わせています.

Muni : San Francisco Municipal Railway
MBTA : Massachusetts Bay Transportation Authority
SEPTA : Southeastern Pennsylvania Transportation Authority
WMATA : Washington Metropolitan Area Transit Authority
PATH : Port Authority Trans-Hudson Corporation
CTA : Chicago Transit Authority
Metro : Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority
MTA : Maryland Transit Administration
SDTI : San Diego Trolley, Inc.

TSA Expanding National Explosives Detection Canine Teams to Mass
Transit and Commuter Rail Systems

(TSAのニュースリリースへのリンク)
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2005年09月28日

【ニューヨーク】地下鉄L線に車掌復帰

平日深夜と土日にニューヨークの地下鉄当局(MTA)が行っていた車掌なしの
一人乗務(OPTO)が,組合より労使協定違反にあたると異議が出ていた件は,
仲裁者がこれを認め,先月MTAに直ちに車掌の復帰を命じていました
MTAは先週までこの裁定に従わず,OPTOを続けていましたが,どうやら今週の
月曜日(9/26)から車掌を復帰させた模様です.
MTA : New York City Transit
OPTO : One Person Train Operation

しかしMTAは仲裁裁定への法的な異議申し立てをあきらめたわけではなく,
またL系統の平日深夜と土日のOPTO中止もあくまで暫定的なもので,引き続き
12月にも今度はG系統でOPTOを実施すると発表したとのことです.

CBTCによる自動運転が実施されるまで,運転士は通常の地下鉄運転業務に
加えて,車掌が行っているドア開閉や安全確認なども,全て一人で行わなけ
ればなりません.計画ではL系統のOPTO化で年間420万ドルの経費節減が可能
とみられていました.
CBTC : Communications-based Train Control (無線による列車制御)

これまでニューヨークではシャトル系統のような短距離の路線では,車掌が
乗務しない列車も運転されてきましたが,利用者の中には有事の際ばかり
ではなく,ちょっとした時でも車掌の存在が大きいと感じており,駅の案内
係とともにそれが無くなることに不安を覚える人もいます.

Conductors Back on the 'L' Subway Line
(7Online.comのニュースへのリンク)
Conductors temporarily restored to L line
(Newsdayのニュースへのリンク)


地下鉄駅構内の腐敗臭

地下鉄の駅に良い香りを期待している人はいないでしょうが,それでも想像
するのはせいぜいカビ臭さとか,悪くてもドブ川のような悪臭でしょう.
しかしニューヨーク地下鉄のいくつかの駅では,きれいに清掃を行っていて
も,ひどい腐敗臭,汚物臭に長年悩まされていました.

その悪臭の犯人は,エレベータの油圧系統に使われている潤滑油でした.
当局では5年以上前から,中毒防止や環境への配慮などから,石油系の潤滑油
から生物分解可能なキャノーラ油などを主成分とする植物性潤滑油へ変えて
ましたが,どうやらその植物油の酸化が悪臭の元だったようです.今は合成
のものに切り替えましたが,エレベーターの管理責任者は,以前の残りが
悪臭を放っているのだろうと話しています.

詳細や悪臭のひどい具体的な駅名などは,原文をご参照ください.
Mystery of Subway Stench Is Solved
(New York Sunのニュースへのリンク)
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2005年09月27日

【サンノゼ】VTAのLRT新線10/01開業

当初8/12を予定していたVTAの新しいライトレール(Vasona線)の開業は,連邦
当局の指導により開業を延期させられていましたが,懸案となっていた安全
対策が施されて,10/01に開業する運びとなりました.Mountain View(マウン
テンビュー)からの電車が,終日直通することになっています.
VTA : Santa Clara Valley Transportation Authority
Vasona Light Rail Extension Overview (リンク先に路線図あり)

シリコンバレーを走るVTAのLRTを,Campbell(キャンベル)市まで延長する
Vasona(バソナ) ライトレール延長は,大部分がUP(Union Pacific)鉄道と
並走する形で専用軌道になっています.最大の問題点はUPと軌道が交差する
場所でしたが,そこに信号検知システム(LRVの在線検知?)を導入することで
解決しました.

Transit agency's new rail service gets safety OK
(San Jose Mercury Newsの9/17付けニュースへのリンク)

VTAのLRT路線は,延長区間に限らず既存の鉄道と軌道敷を共有して並走する
場所が少なからずあることから,別の問題がありました.
この8月よりFRAによる新しい警笛規則が摘要されて,米国では踏切を通過する
たびに列車は手前で警笛を鳴らすことを義務付けられます.VTAに数ある既存
の鉄道との並走区間で道路と交差する踏切では,ライトレールと言えども
普通の鉄道なみに手前で警笛を鳴らす必要が生じたのです.
FRA : Federal Railroad Administration
Final Rule on the Use of Locomotive Horns at Highway-Rail Grade Crossings

週に何本かだけの貨物列車だけであれば我慢できても,ピーク時には片方向
だけで15分間隔,両方向で7分半に1回の割合で警笛を鳴らされたのでは,
踏切近くの沿線住民は堪りません.

VTAのサイトによれば,San Jose(サンノゼ)市で10ヶ所,Campbell(キャン
ベル)市で4ヶ所,Mountain View(マウンテンビュー)市で6ヶ所,合計20ヶ所
もの踏切がこれに該当します.ライトレールだけの専用軌道ではない区間が
多いせいでしょう.

沿線住民への配慮から,VTAはクワイエットゾーン(quiet zone)への指定を
FRAに働きかけています.指定を受けるには代わりの安全対策を設け,過去の
事故回数が基準を満たすことが要求されますが,指定されれば警笛を鳴ら
さずに済みます.今回のキャンベル延長に関しては,サンノゼ,キャンベル
両市にも働きかけた結果,10月末に両市の踏切が全てクワイエットゾーンに
指定されるはずとVTAではみています.
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2005年09月26日

【マンハイム】ガイドウェイバス区間が消滅

マンハイム(Mannheim)には,車線を増す余地がないため,道路の混雑緩和を
目的にバスを路面電車の軌道上に走らせるガイドウェイバスが導入されて
いました.わずかな区間でしかも片方向だけです.
レールのすぐ外側に敷かれた枕木の上を脱輪せずに走れるようにと,バスの
車体幅にあわせてガイドレールが設置されている区間があり,1992年から
その場所(Am Aubuckel)を走るバスは,ガイドローラーを装備しています.
ここまでは「鉄道ジャーナル」8月号でも紹介されていました.

しかしバスが走るためにレールと平行に敷かれた枕木とガイドレールが今月
撤去されたようです.撤去前後の画像が下記掲示板に投稿されていました.
Spurbus Mannheim R.I.P.
(phorum - Strassenbahn-Forumへのリンク)

ドイツ語ではSpurbusとも呼ばれているようですが,WikipediaのBusbahn
項目によれば,ガイドローラーを備えたバスが老朽化したためのようです.
新しいバスにはガイドローラーが付けられていないようで,設備の撤去は
そのためなのでしょう.道路の混雑が解消されたのか,なぜ新しいバスには
ガイドローラーを付けないのかなど,詳細については不明です.

いずれにしてもマンハイムで見物を予定されていたかたは,要注意です.
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2005年09月25日

【シアトル】どうなるモノレールの将来(3)

シアトル市長が長年の支持をやめ建設許可取消の通達をした際に,シアトル
モノレールプロジェクト(SMP=Seattle Monorail Project)に11/08総選挙の
時に,モノレールの路線短縮か増税かというような,市民が投票の時に選ぶ
選択肢を自分が決めるように求め,もしもSMPが決めないのであれば,市議会
にさせるとしていました.これはその続編です.

市長が定めた期限までにSMPは投票の選択肢を決めませんでした.この時点で
市議会には選択肢が二つありました.一つはSMPに時間を与えて12月までに
計画を練り直した上で投票の選択肢を決めさせ,来年2月に市民投票を行なう
か,あるいは市長に同調してプロジェクトへの協力を止めるかです.決定は
市議会での投票に委ねられました.

これに対してSMPは,2002年の投票(3度目)において僅差で市民に承認され,
さらに昨年のモノレール計画撤回を問う投票(4度目)もやり過ごした,当初の
14マイルの路線にあくまでこだわり続けました.
11月にはモノレール計画の是非を問う投票を行なわず,新しい財務計画策定
のための時間を希望していたのです.路線短縮は車庫の位置を変える必要が
生じてコストの削減にはならないとも主張したようです.

市議会での投票は,この態度をみた結果,満場一致でプロジェクトへの協力
中止とでました.市長と市議会の支援を得られなくなったモノレール計画は
絶体絶命のピンチを迎えます.この時点で全米のメディアは市議会がモノ
レール計画を拒絶したと一斉に報じたのでした.

市議会の拒否から数時間ののち,SMPはやむなく路線を短縮した案を11/08の
選挙時に市民に審判してもらうことに決めます.11/08の選挙で投票対象に
加えることができる締切りが元々その日の午後だったため,まさに駆込みで
書類を提出してきました.これによりモノレール計画の是非を問う5度目の
市民投票の実施が確定されたのでした.

このように最後には市長や市議会の意向に沿う形にはなりましたが,SMPは
財務計画が楽観的すぎることや,今回の件で両者からの信頼を失いました.
投票は11月08日です.短縮された路線での計画が市民から承認されないと,
それはシアトルには新しいモノレールが建設されないことを意味します.

短縮されるのはオリジナルの計画の南北両端の数マイルです.具体的な区間
などは,下記サイトで詳細が確認できます.

Shorter monorail route on November ballot
(Seattle Timesのニュースへのリンク)
Monorail will go to voters for 5th time
(Seattle Post Intelligencerのニュースへのリンク)

Seattle Post Intelligencerがこれまでの経緯を簡潔にまとめ,加えて幻と
なるかもしれないグリーンライン以外のモノレール路線計画までをも記した
PDFファイルをアップロードしています.
the major events in the life of the monorail project
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2005年09月24日

【ウィーン】低床車ULFが2007年には全線に

ウィーン市電(路面電車)では現在150両の超低床車両のULFが活躍中ですが,
当局は昨年シーメンスに発注した150両が2006年から納入されるのに伴い,
2007年中には全路線にULFを投入したいとしています.
これまでULFは10路線に集中して投入されてきましたが,今後は全ての路線で
全車両とまではいかないまでも,ULFが運転されることになりそうです.
ULF : Ultra Low Floor

地下鉄U2が運休している関係で,リンクの1系統と2系統が増発されています
が,その分に既にULFが充当されているほか,10月からはD系統と49系統への
新たな投入が発表されました.1-2系統はU2運転再開後もULFがそのまま残る
ようです.どの路線がどこを走るかがよく判るサイトとしては,Wiener
Linienplaene Online
がお勧めです.
今回の追加を含めるとULF投入系統は,2005年秋の段階で次の通りです.
D, J, 1, 2, 6, 26, 31, 43, 44, 46, 49, 65, 67, 71

昨年発注分の150両はこれまでのULFから若干の変更があるようで,旅客サー
ビス面では空調の導入があります.来年から納入が始まり,2014年に完了の
予定です.そのためULFが市内全線に行き渡るのは2014年とされていました.

これまでの方針では,選ばれた路線に限られた両数のULFを集中して投入して
きました.投入路線によっては全車がULFに切り替わったところもあります.
しかし利用者の要望もあってこの方針を変え,ULFの恩恵が市内に早く広く
行き渡るようにしたのです.ウィーンには日常運転されている系統は全部で
33あります.最終的にULFは300本になりますから,これを押しなべれば一つ
の系統にULFが約9本ずつということになります.

ULFは床の高さが19cmと世界で一番低く,まるで別の星からやって来たくらい
に従来の路面電車とシステムが異なりますので,その保守や検修を行う車庫
にもそれなりの設備と人材が必要です.その車庫の対応も2007年末までには
市内全ての車庫で完了予定です.それにあわせて乗務員の訓練から架線の
強化なども行っていくようです.

Wiener Linien starten ULF-Offensive
(wien.atのニュースリリースへのリンク)
ULF-Offensive der Wiener Linien
(Der Standardのニュースへのリンク)
ULFs ab 2007 auf allen Linien
(oesterreich.ORF.atのニュースへのリンク)

フォトライブラリー
Wien2(ULF)
ULFなら安全地帯のない場所でも,まるで地下鉄を乗り降りするように,ワン
ステップで直接路上からの乗降が可能になります.乗降りの際に運賃収受を
行ないませんので,電停に到着するとご覧のようにどっと人が溢れます.
(地下鉄U1の終点 Reumannplatz近くのトランジットモール)

Wien3(ULF)
床を低くしたので,機器類は全て屋根に載せています.
(U6と43系統が交差するAlser Strasseで,U6のホームから撮影)
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2005年09月23日

【ナンシー】ゴムタイヤトラム問題が決着

フランスのナンシーは,2001年冬に世界初のゴムタイヤ式路面電車の営業を
開始しましたが,その後は故障や事故が相次ぎ,改修のため1年間も運休を
余儀なくされるなど,トラブルの代名詞となっていました.

車両メーカーのボンバルディア(Bombardier)と,ナンシー側(Communauté
urbaine du Grand Nancy=CUGN)は,補償問題を巡って争っていましたが,
ナンシーの行政裁判所の下で4年に渡る調停の末,CUGNの求める850万ユーロ
に対し,ボンバルディアが760万ユーロを支払うことで決着した模様です.
これはナンシーに納入された25編成の総額の16%に相当します.名目は車両
納期遅れに対する罰金ということになり,金額は運休中にCUGが被った損害
や,余計に掛かった保守費用などに基づいて算出されました.

実際には最初の事故の時点でナンシー側は,ボンバルディアへの車両代金の
支払を停止しており,1030万ユーロの支払が残っていましたので,差し引き
260万ユーロ(10万ユーロはコンサルタント代で減額)が,ナンシー側からボン
バルディアに今後4年間のうちに支払われることになるようです.

ボンバルディアは,TVR(Transport sur voie reservée=同社のゴムタイヤ式
路面電車)を世に送り出すのが時期尚早だったとコメントしています.

ナンシーのゴムタイヤ式路面電車は,今では日に3万7千人の乗客を輸送して
います.ゴムタイヤ式路面電車の詳細は下記リンクをご参照ください.
検証 ゴムタイヤトラム (Le Tramのサイトへのリンク)

TVRはナンシーで営業開始早々に2件の事故を起こしましたが,2件ともレール
走行(レールにガイドされている状態のトラムモード)から,普通のトロリー
バスへ移行する際に起きました.連接されている2つの車体のうち後部車体が
大きく振られ架線柱に接触してしまったのです.これがきっかけでこのシス
テムの安全性に疑問が持たれ,運転手がストを行うなどもあって,結局1年間
運休することになってしまいました.
中央のガイドレールに乗って車体を操舵する車輪代わりのローラーが,不具
合でガイドレールから脱線したのが事故の原因だったようです.

同じく現在フランスでTVRを走らせているカーンのサイトに,フランス語に
なりますが,車両の解説と問題のローラーの実物写真などがあります.
Accueil / Tout sur la ligne 1 / Véhicule /
(Syndicat Mixte des Transports en Commun de l'Agglomération Caennaise
〜カーン都市圏 公共交通機関 商業組合のサイトへのリンク)

Guidage (車体を操舵するローラーの画像)

参考記事
Tramway de Nancy, l’épilogue ?
(AgoraVoxのニュースへのリンク)
Tram de Nancy: Bombardier accorde des pénalités de 7,6 M EUR
(France3.frのニュースへのリンク)
Tram de Nancy : les comptes sont faits
(L'Est Républicainのニュースへのリンク)

ナンシーと同じTVRを導入したカーンの車両.ゴムタイヤなのでこれくらいの
急勾配でも問題ありません.この場所はトラム専用になっています.
Caen1

バスモードからレールによるガイドモードへの切替え場所(入口)の一つ.
中央レールの両側にはタイヤのわだち(轍)がみえます.轍がかなり掘られて
いる場所もありましたし,補修されている所もありました.
Caen2

カーンではトロリーバスとしての運転はなく,全線がトラムのまま運転され
ています.集電装置もナンシーのようなトロリーではなくパンタグラフで,
車庫からの回送や非常時には,エンジンで一般道路を走行します.
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2005年09月22日

【ラスベガス】モノレール納税免除の疑惑

7つのカジノやリゾートを結び,1回の乗車が$3のラスベガスモノレールが,
チャリティーステイタスという慈善事業の扱いを受け,納税を免除されて
いた件の続報が入りました.ネバタ州税金委員会が開催されたのです.
モノレールは慈善事業だった?の続編になります.

納税免除の対象となるには,一定の条件を満たす必要があります.
行政が求める事業や慈善事業で,非営利目的が条件です.モノレール側では
これは行政が求める大量輸送機関で,非営利団体によって運営されていると
主張していました.

たしかにモノレールは非営利のLas Vegas Monorail Co.という組織が資産を
所有しています.しかし従業員への給与などは営利のTransit Systems
Managementという会社から支払われていたなど,実態は営利企業による運営
に近いようです.慈善事業と呼ばれるようなことも何一つ行っていませんし
大量輸送機関が求められても,カジノ間を結ぶものではないでしょう.

モノレール側弁護士の抵抗で,その場で非課税資格の剥奪にまでは至りませ
んでしたが,委員会は州の課税省?(Department of Taxation)に11月までに
調査することを要求して今回は閉会となりました.
非営利のLas Vegas Monorail Co.と,営利のTransit Systems Managementの
関係と,同省が非課税とする資格を与えたことが焦点になります.

参考記事,ブログ
Next stop: Suckerville, How the 'public' Las Vegas Monorail is taking
taxpayers for a very expensive ride

(Las Vegas CityLifeのニュースへのリンク)
Las Vegas Monorail's Tax-Exempt Status Questioned
(KLAS-TVのニュースへのリンク)
Monorail to retain tax status
(Las Vegas Review-Journalのニュースへのリンク)
This just in!
(valleyblogs.comへのリンク)
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2005年09月21日

【アトランタ】ベルトライン構想ほか

ジョージア州アトランタは,市としては人口42万5千人ですが,周辺地域を
含めた都市圏全域ではその十倍の471万人近くの人口を擁し,全米でも9位に
位置づけられている大都市です.
地下鉄が十字型に整備されており,1979年には東西を結ぶ路線が先に開業,
2年後は南北を結ぶ路線も開業しました.現在の路線長は79.2kmです.
MARTA (公式サイトの地図へのリンク)
MARTA : Metropolitan Atlanta Rapid Transit Authority
この地下鉄は第三軌条方式で路線は地下か高架を走り,一部に日立製車両が
導入されています.また開業当初からの車両は,現在ALSTOMが2007年までに
順次修繕を行なっています.
アトランタは人口が急増していますが,この地下鉄は残念ながら利用者数が
伸び悩んでおり,1985年をピークにオリンピックが開催された年を除き微減
傾向にあります.地下鉄駅周辺の開発が一段落してしまい,他の地域に人口
が流入しているのでしょうか.道路の渋滞は激しい都市です.

前置きが長くなりましたが,この停滞気味の地下鉄とは別に,都心から2〜4
マイル(3.2〜6.4km)離れたところを,ぐるりと囲む全周35kmの貨物線や線路
用地がアトランタにはあります.そしてそれを将来LRTか鉄道に転用しようと
いう計画が,ベルトライン(Beltline Transit)と呼ばれる構想です.
アトランタの周辺45の町を結ぶこのベルトラインの半マイル(800m)の範囲内
には,すでに10万人が住んでいるとされ,今後25年間に15万人が新たな住民
として加わるとみられています.ベルトラインは交通手段だけではなく,
緑地やトレイルを設けたり,地域の開発や改善の場を提供することになって
います.BeltLine concept Map (公式サイトの地図へのリンク)

このベルトラインのうちの一部,Norfolk Southern Railway Company(NS)の
線路を買い取ったWayne Mason氏が,このたび交通の専門家を雇い入れ,自分
が所有する区間に導入する交通機関の候補を絞り込む調査を開始しました.
Transit experts will explore Beltline options
(Atlanta Journal-Constitutionのニュースへのリンク)
Mason氏が所有するNS部分は,ベルトラインの北東部分,高速I-85号線から
MARTAの東西線までになります.途中には公園やショッピングモールの他,
元大統領ゆかりのカーターセンター(Carter Center)があります.

ベルトライン開発はアトランタ都心部を改造する市の計画の一部でもあり,
市議会はTAD(Tax Allocation District)指定も視野に入れています.その
ためには交通機関の導入が欠かせないようですが,Mason氏はこれを急がせる
ために,シャーロットやタンパ,ポートランドなどでストリートカー(路面
電車)やライトレール(LRT)に携わっている専門家を招きました.

Mason氏はこの春ポートランドを訪れており,その際ストリートカー(市電)に
強烈な印象を受けたようです.それは建設が他の候補より安く時間もかから
ないばかりではなく,ポートランドの市電がほとんど連邦予算なしで,地元
と民間から資金を調達したことにより,役所手続きによる待ち時間を回避
したこともあります.

この区間だけ先行しても,将来他の区間が別のモードを選択する可能性も
ありますが,Mason氏は意に介していないようです.全体がループを形成して
いても,そこを通しで環状運転する必要がないからでしょう.


〜〜ストリートカー(路面電車)計画〜〜

アトランタにはベルトラインとは別に,資金調達の目処は立っていないよう
ですが,路面電車の構想もあります.
非営利団体のAtlanta Streetcar, Inc..が手がけているもので,アトランタの
目抜き通りピーチツリー通り(Peachtree St.)を併用軌道で8マイル(12.9km)
走るほか,ダウンタウンのループ線3.5マイル(5.6km)も計画されています.
アトランタ ストリートカー 計画ルート (公式サイトへのリンク)

ピーチツリー通り上を走る路線は,MARTAの地下鉄南北線とほぼ同じ場所を
通ることになりますが,地下鉄は駅間隔が長いため,目抜き通り沿いの目的
地へ行くのに不便なケースが多いこと,地下鉄は駅が地下や高架で地表の
様子が伺えず,訪問者には不安があることから,こまめに電停を設ければ
一定の需要があるとみています.そればかりでなく相乗効果で地下鉄の利用
者増も狙っています.歴史をひもとくと,第二次世界大戦前後まではピーチ
ツリー通りにも路面電車が走っていました.
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2005年09月20日

【ウィーン】相次ぐトラムの衝突事故ほか

世界最大級の路面電車網を誇るウィーンですから,それだけ事故も多いので
しょうし,他で多発していても新聞沙汰になっていないとか,ウェブサイト
で検索できないだけかもしれませんが,トラムと自動車,トラックとの衝突
事故が少し多すぎるような気がします.それを懸念する記事は今のところは
ないようですので,杞憂なのかもしれませんが....

この1ヶ月間に少なくとも7件です.
9/15 Zwei Verletzte bei Straßenbahnunfällen (60と37)
9/07 Wieder Unfälle mit Straßenbahnen (31と43)
9/05 Zehn Verletzte - Lkw fuhr in Straßenbahn (43)
8/30 Straßenbahn krachte in Auto (O)
8/22 Straßenbahn krachte in Lkw (33)
(oesterreich.ORF.atのニュースへのリンク)

それぞれ日付,記事タイトル,衝突のあった系統番号の順に並べています.
43系統の2件はトラムの車両が超低床式電車のULFで,9/05は側面にトラック
が突っ込んできて,負傷者も多数出たほかULFの損傷も大きいようです.
(ニュースサイトに画像も掲載されています)

8/22の事故は,40年起きたことのない少々珍しく,そして深刻な事故です.
原因がトラム側にあり,それも不具合が生じた際にバッテリーも効かなくな
ってしまったため,制御不能に陥っていたのです.2つある回路が両方とも
同時にダウンしてブレーキが全く効かないままトラックとぶつかりました.

事故の原因にまでつっこんだ記事は上段の1件しか見当たらず,あとは下段の
ファンサイトでした.再発がないように根本的な対策が施されたのかどうか
まではわかりません.
"Bim-Crash" wegen defekter Stromkreise
(Vienna Onlineのニュースへのリンク)
Kurioser Unfall
(Straßenbahnjournalのサイトへのリンク)

おまけ
その他にウィーンのトラムの話題では,今年4月に発足したハイダー氏率いる
政党 BZÖ(Bündnis Zukunft Österreich)が,選挙戦の前哨戦としてトラムを
使ったというものがありました.車両は新型の低床車両ULFではなく旧来の
古いタイプが使われた模様です.この政党はイメージカラーがオレンジです
が,ウィーン市電が塗装変更を禁止していることもあり,オレンジ色には
できなかったようなことも記されていると思います.オーストリアの政治は
ドイツ語以上によくわかりませんが,旧型車両を使ったのは政党側の意図が
あってのことでしょうか,それとも単に運用の都合だったのでしょうか.
Mit Straßenbahnfahrt in den Wahlkampf
(oesterreich.ORF.atのニュースへのリンク)

古い町並みをバックにする旧型車両と,新しい建物をバックにする新型車両
(新しい建物は図書館で,Uマークは地下鉄駅を示すものです)
Wien1
(Urban-Loritz-Platzにて)
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2005年09月19日

【Sounder】シアトル-タコマ間の通勤列車5周年

ワシントン州シアトルとタコマ間の移動手段は,間違いなく自動車が主流で
しょう.ハイウェイ経由で同区間は約33マイル(53km弱),約46分です.
From Seallte To Tacoma directions by Google Maps
公共交通機関では高速バスがあり,両都市間の所要時間は概ね1時間です.
(Sound Transit Express Bus #590)

軌道系交通機関では,今から103年前の1902年9月に,両都市間を結ぶ電車が
運転を開始したものの.26年後の1928年12月に営業を終了しています.高速
道路の完成が引き金でした.その後シアトル-タコマ間は太いレールで結ばれ
ているものの,ほんの僅かなAmtrak列車を除き,貨物専用になっています.
通勤鉄道の出る幕は全くありませんでした.

スプロール現象(地価の安い郊外に住宅が増える現象)や,道路混雑の悪化に
伴い,何度か旅客鉄道復活が試みられますが,1970年まで4回も住民投票で
否決の憂き目にあいます.復活の兆しは1988年までありませんでした.
1995年になると,カナダのトロントから車両を借りてきて,"Try Rail"と
称したデモンストレーション走行を行うまでになります.3ヶ月間の試験的な
ものでしたが,当時シアトルのキーアリーナが改装中でNBAの試合が代わりに
タコマで行われたこともあり,ファンの輸送にも一役買ったそうです.

その年の住民投票では,総額67億ドルの交通計画が否決されますが,1996年
11月に,39億ドルに縮小した計画が承認され,現在のSound Transit(ST)が
ようやく日の目をみるようになります.
Interurban Rail Transit in King County and the Puget Sound Region
(HistoryLinkへのリンク)

シアトルとタコマの間には,BNSF(Burlington Northern Santa Fe Railway)
と,UP(Union Pacific Railroad)の2ルートがありましたが,STはBNSFルート
を選び,総額8億ドルを投じて車両の購入,軌道の新設や配線変更,信号施設
の更新,旅客駅の新設,駅周辺の駐車場などの整備を行います.
全線にわたり用地確保から始める必要はなかったにせよ,同区間では旅客
輸送は皆無でも貨物輸送はかなりのボリュームがあるため,側線などへの
投資は必要だったのでした.

こうして2000年9月18日朝,一番列車がタコマからシアトルに向けて発車しま
した.昨日がその5周年だったわけです.

通勤鉄道とは言え,日本のように数分間隔で運転されるわけではなく,日に
3往復だけです.しかも朝タコマからシアトルに向けて3本運転されたあと,
夕方シアトルからタコマに3本運転されるというものです.完全にシアトル
への通勤利用に特化され,逆の利用は全く想定されていません.

利用者は年々増え続け,初年には一日平均1400人だった利用者数が,今年は
4200人にまで増えていて,運転開始当初の2往復が3往復に,さらに9/26から
1往復増発されることになっています.
また全米でみられる傾向ですが,ガソリン価格の高騰で自動車通勤から流れ
てきた人たちを吸収し,5月以降は予測を超えた伸びを示しています.

しかしこの人数を鉄道で輸送するにはコストが掛かりすぎるという批判も
当然ながらあります.年間の運営コストは1600万ドルになり,運賃収入は
220万ドルですので,残りは全て納税者の肩にかかってきています.

なお2003年からシアトルからエヴァレット(Everett)へも運転が開始されて
いるほか,タコマから先への延長も実現に向かっています.

Riding the rails is old hat for many
(King County Journalのニュースへのリンク)

実際にこの通勤列車Sounderに平日の夕方シアトルからタコマまで乗ってみる
と,確かに盛況でシアトルで見回す限り座席はほとんど埋まった状態で発車
しました.後半には大半が下車して,最後にはガラガラになるのですが,
下車客たちは隣接の立体駐車場に向かったり,列を成して並んでいる迎えの
(キス&ライドの)車に拾われていきました.彼らが車でシアトルまで来ない
のは,シアトルの駐車場事情に原因がありそうです.収容台数が少ない上に
料金が高いのです.

また興味深いのは,終点タコマに到着した時にはガラガラだったことです.
路線図を見ても確かに遠回りです.またSounderが走るBNSFの路線は1938年
まで走っていたインターアーバンとほぼ同じところを走っているようです.
まさかインターアーバンを利用した人が現役でSounderを利用するとは思え
ませんが,途中駅の地域にはシアトルへ直行する主要ハイウェイが通って
いないということもあるのでしょう.

Sounder Commuter Rail Map of Service (路線図)

いずれもタコマ ドーム(Tacoma Dome)駅にて2005年5月撮影
Sounder1 Sounder2
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2005年09月18日

【シアトル】バストンネル2年間の一時閉鎖

一時閉鎖の話題はニューヨークの地下鉄駅とウィーンの地下鉄一路線を紹介
していてこれで3度目ですが,今回は閉鎖されている期間が2年間と長く,
影響が及ぶ人数もこれまでとは桁違いになります.

シアトルのダウンタウン三番街(3rd Ave.)の真下にはトンネルがあり,毎日
(平日)1千台以上のバスが行き交っています.これらは郊外とシアトルを結ぶ
路線バスで,市内だけを行き来する路線バスはトンネルではなく地上を走っ
ています.トンネルは通勤バス専用なのです.

シアトルのダウンタウンは南北に長く,東西には狭い上に急坂です.ここに
どうやって公共交通機関を通すか,特に郊外から通勤客を運んでくるバスを
どこに走らせるか,これが長年の懸案でした.バスで道路は飽和状態になっ
ていたのです.1980年代には地下にトンネルを掘り,南北のターミナル間を
結ぶ交通機関の導入が検討されましたが,南北ターミナルでの乗換えを避け
たいため,妥協策として今日のバストンネルが考え出されました.

デュアルモードバスを使って郊外では普通にディーゼルエンジンで走り,
トンネル内ではトロリーで集電してモーターで走ります.昨年まではこの
ハイブリッドトロリーバスがトンネル経由の路線に投入されていましたが,
昨年からハイブリットバスに置き換えられました.トロリーバスは地上路線
に移っています.地上もトロリーバスが縦横に走れるようになっています.
(「あの儀式はなくなっていた」でも紹介しました)

トンネルは1987年3月に建設を開始しますが,その際には将来ライトレールに
転用できるようにと,レールも敷設することになったのです.これは当時の
市議会議員で,今はウォーターフロント・ストリートカー(路面電車)に名を
残すGeorge Benson氏の勧めだったそうです.すでにこの時点で米国ではLRT
ブームが到来しており,西海岸だけでも1981年のサンディエゴ以降,ポート
ランド,サクラメントやサンノゼなどが,ちょうど着工の時期に次々とLRTを
開業させていました.シアトルでも将来に備えたわけです.

トンネルは4億4400万ドル掛けて完成され,トンネルを走るバスは1990年9月
より運転を開始します.1996年にはSound TransitによるLRT計画も発表に
なり,トンネル区間が活用されることになっていました.
しかし1998年キング郡の監査報告により,敷設されているレールが絶縁され
ていないことが判明し,そのままでは漏電して迷走電流で水道管などを腐食
させる危険性があるため使えない事態となりました.投資が無駄になって
しまったのです.

レールを敷き直さなければならない関係で,トンネルの閉鎖期間は順調でも
2年に及び,トンネル改修とわずかな延長に2600万ドルが投じられます.
また低床車両(バスとLRV)とプラットフォームの高さをあわせるため,道床を
6インチ(15cm強)を掘り下げることも予定されています.これはトンネル建設
時には低床車両がまだ普及しておらず,配慮されていないからでした.なぜ
ホームのかさ上げではなく,道床のほうを下げるのかはわかりません.

その他にも諸施設を現在の国土安全保障上の基準に摘要できるようグレード
アップしたり,LRT運転時の折返し場所と将来のLRT北進に備えた準備として
新たにトンネルを掘削しています.

予定では2007年9月にはトンネルが再開されて,これまで通りハイブリッド
バスが通るようになり,2009年7月には待望のLRTも開通予定です.LRT開通後
トンネルはバスとLRVの両方が共用しますが,信号保安関係をどうするのか
興味を惹かれます.1.3マイル(2km強)に及ぶ見通しの効かない地下区間での
バスとLRTの共用,それも直径18フィート(5.5m弱)のチューブ型トンネルで,
すれ違いこそないものの,頻繁に両者が続行することを要求されるシステム
においては,北米では初めてのはずで,世界的にも過去ドイツのエッセンで
実施されていたこともありますが,すぐに止めてしまいました.
ペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)では,マウント ワシントン
トランジット トンネル(Mt Washington Transit Tunnelで,1977年から路面
電車(のちにLRT)とバスが,長さ3500フィート(1km強)の2車線の幅をもつ山岳
トンネルを共用している例があり,そこでは道路信号機が使われています.


工事期間中,平日は21路線1100台のトンネル経由のバスが,36000人を乗せて
全て地上を走ることになります.
ラッシュの時間帯,午前6時から9時までと午後は3時から7時までトンネル上
の三番街(3rd Ave.)はバス専用になります.9/26月曜日からの実施ですが,
相当な混乱と混雑が生じるでしょう.2年間です.

なおトンネルは日曜日には元々閉鎖されており,平日より短い時間帯だけ
使われていた土曜日も,一足早く5月から閉鎖しています.

Traffic rerouting to begin next week
(Seattle Timesの 9/09付けニュースへのリンク)
Third Avenue Shuffle
(Seattle Weeklyのニュースへのリンク)


ハイウェイを夜間通行止にしてこの土日に行なわれているLRTのための調査

LRTは湖に浮かぶ橋を渡れるか? で紹介した,浮き橋の挙動をモニターする
ためライトレール車両に見立てたトラック群が,昼間シアトル側で待機して
いるところを,州運輸省のハイウェイ トラフィックカメラで今朝見ることが
できました.橋の真ん中にもカメラがありますので,隊列を組んで走って
いる場面も見たいものですが,走行はどうやら夜間だけのようで,真っ暗で
何も見えません.試験が続けられればシアトルは日本より8時間進んでいます
ので,日本時間9/19の未明から朝にかけても見られるでしょう.
Seattle Traffic Camera (City of Seattleのサイトへのリンク)
I-90 at 18th Avenue South (シアトル側)
I-90 Midspan (橋の真ん中)
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2005年09月17日

【シアトル】どうなるモノレールの将来(2)

8/19付けの「どうなるモノレールの将来」 の続編です.

シアトル市長がSMPに課した期限を迎えました.
資金が足りないため,11月に行われる選挙の時に増資のための増税を投票の
対象とするか,あるいは今のままで計画を縮小して路線を短縮するか,SMPは
新計画をまとめて市長に報告しなければなりません.できなければ市は建設
許可を取消すことになっています.それは計画の中止を意味しています.

SMP=Seattle Monorail Project (Seattle Popular Monorail Authority)
SMPは,シアトル市内の足として期待されているモノレール(グリーンライン)
の建設から運営まで行う独立した組織で,その運営を左右する理事会のメン
バーは,直接選挙で選ばれたり,市長や市議会から任命されています.

The Green Line 路線図 (Seattle Timesのサイトへのリンク)

21億ドルのプロジェクトに対して利子を含めて114億ドル支払わなければなら
なかった6月の計画を破棄し,徹底的にコストを削減し,負債をまとめるなど
して,そこから40億ドルを減らした(70億ドル余の)計画をSMPは市長の机の上
に置きました.増税も路線短縮もなしでこれまで通りの計画を,財務面だけ
変えて実行しようとしたのです.雇い入れた高給取りのコンサルタントが,
その威力を発揮したのでしょう.

しかしそれに対する Greg Nickels シアトル市長の反応は...NOでした.
計画にはリスクがありすぎるとして,モノレール(=グリーンライン)計画の
敷設権を取り消すと発表したのです.
市長の懸念は,SMPが一旦モノレールを建設し始めたら,最後まで(完成まで)
やり遂げられるかどうか,減額されても70億ドルの経費が受け入れられるもの
かどうかなどの四点でした.SMP自身が十分な資金を持っているわけではない
からです.それに対する答えが提出されたものにはありませんでした.また
2020年以降は運賃収入以外に財源がなくなるようになっていましたが,米国
で運賃収入だけで経営していける公共交通機関は皆無に等しい状況です.

この一件は来週にもまた動きがあるでしょう.市長は水曜日までにSMP自身が
11月の選挙の際に同時に行われる投票で,路線短縮か増税か,あるいは他の
方法か,その選択肢を決めるように求めています.
モノレール建設計画が市民投票にかけられるのは今度で5度目です.過去4度
YESを得ていますが,8月の調査はその時点で投票があったらNOという結果が
出ていました.

Decision Day For Seattle Monorail
(KOMOのニュースへのリンク)
Nickels rejects latest monorail plan
(Seattle Timesのニュースへのリンク)
Mayor cancels city right of way for Seattle monorail
(Seattle Post Intelligencerのニュースへのリンク)

これまでSMPにはコスト削減の助言が各方面からあったようです.
こぼれ話になりますが,その中には既に都市型モノレールを運行させている
マレーシアのクアラルンプールからや,愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)で
実用化されている磁気浮上式鉄道を提言するものもあったそうです.
Monorail revote plan unlikely; cutting costs instead may be on tap
(Seattle Timesの8/30付けニュースへのリンク)
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2005年09月16日

【リヨン】トラム(路面電車)T1 延長開業ほか

当初の予定より早く,着工より2年を経て昨日9/15にリヨンのトラムT1系統が
延長されています.総工費は3800万ユーロでした.
Le sud de la Presqu’île rejoint la cité
(20 minutesのニュースへのリンク)
SNCF(国鉄)とメトロ(地下鉄)の乗換え駅で,T2系統と共に起点となっている
Perrache(ペラーシュ)から Montrochetまでの僅か1.2kmですが,最終的には
ローヌ川とソーヌ川にはさまれた中洲の南端まで伸びる予定です.
L'extension de la ligne T1 de Perrache au Confluent
(SYTRALのサイトへのリンク)

flickr でみるリヨンのトラム à la station Bonnel/Servient
by indeepdark

日本語による詳細もありました.トラックバックをご参照ください.


そのリヨンではありませんが,
トラム建設に絡む汚職事件が取り沙汰されています.

フランス防衛産業の大手Thales社が,数々の公共事業受注に際し贈賄行為が
あったのではないかとして,当局より捜査を受けています.
Thales Probed on Suspected Corruption
(Forbesのニュースへのリンク)

ことの発端は,2002年にこの会社がニースのトラム(路面電車)事業を受注の
際に,汚職があったのではないかとの捜査でした.4月には逮捕者も出ていま
したが,ニースだけではなくボルドーのトラム建設事業や,レユニオン島で
検討されているトラム-トレインの予備調査なども含まれている模様です.
(その他にも海外県を含むフランス各地やアテネ五輪関係もあるようです)

Thalesグループは,航空や防衛,情報産業向けの電子機器メーカーで,世界
30か国以上に6万5千人の従業員を抱えています.現在の名前は2000年からで
それまではThomson-CSFでした.

ニースでは現在トラム(路面電車)を建設中で,3路線が計画されているうち,
最初の路線(8.7km)は2006年末の開業予定になっています.
Bienvenue sur le site du tramway de Nice

奇しくも同じく疑惑を持たれたボルドーと同様に架線レスの区間を設けます
が,架線から中心街(の景観)を守るボルドーと同じ目的でも,ニースでは
2ヶ所900mだけに留め,方法もバッテリー駆動と異なります.

レユニオン島はマダガスカル島の東にあるフランスの海外県です.
インド洋に浮かぶこの島でもトラム-トレインを走らせる動きがあります.
人口は70万人を超えており,高速道路の混雑緩和が目的で,主に島の北側に
9つの街をつなぐ70kmの新線を敷くというものです.この島には現在鉄道は
存在しませんし,途中は地形も険しく長さ10kmのトンネルも計画されている
ほどです.
La Réunion plans inter-urban link
(Railway Gazette International May 2004: City Newsへのリンク)
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2005年09月14日

【ワシントン】地下鉄ドア故障の原因は...

ワシントンDCの地下鉄で走行中に突然ドアが開くトラブルがあり,それが
元でその形式での自動運転を中止したと書きましたが,相前後して同じ路線
(オレンジライン)で走行中の電車のドアが開くトラブルもあったものの,
自動運転を中止させる原因となったのは,ドアが開いた状態のまま電車が
走り出すというものでした.幸いどちらにも人的被害はありません.

前置きが長くなりましたが,その原因が先週明らかになっています.停車中
にドアを開けた状態で,本来なら走ることができないはずの電車が突然動き
出したのは,運転台でこぼされたコーヒーが機器に不具合を生じさせたから
だったのです.運転手が気付いて非常ブレーキで停車させるとドアは閉まり
ますが,開けるとまた走り出そうとする始末でした.
原因が判明するまでCAF製5000形での自動運転モードが全線で一斉に禁止され
ており,先週までマニュアルで運転されていました.

ちなみにMetro(WMATA)では乗客に車内での飲食を禁じています.
WMATA : Washington Metropolitan Area Transit Authority

走行中にドアが開いたほうは,ドアのバネが破損していたからです.30日毎
に検査されているもので,破損は極めて稀との説明があります.この車両は
ブレダ(Breda)製の4000形でした.

Metro Door Malfunction Caused By Spilled Coffee, Probe Finds
(Washington Postのニュースへのリンク)
Broken spring caused train door to open
(WMATAのニュースリリースへのリンク)




【ニューヨーク】地下鉄L線 車掌復帰させず
(【ニューヨーク】車掌乗務の自動運転地下鉄の続編)

自動運転への第一歩として,平日深夜と土日にニューヨークの地下鉄当局
(MTA New York City Transit)が行っていた車掌なしの一人乗務(OPTO)が労使
協定違反として裁定されたことに対して,New York Times紙では控訴は困難
だろうと見られていましたが,地下鉄当局側では9/02現在でもOPTOを続けて
いるそうで,裁定には従わない模様です.
OPTO : One Person Train Operation,ワンマン運転
日本でも最近はワンマンとは言いづらいようですが...


'L'-Line Controversy Continues
(7Online.comのニュースへのリンク)

そうした中で9/07には,以前よりOPTOを行っていた短距離の地下鉄シャトル
系統で脱線事故があり,当局は事故はOPTOとは無関係といち早く否定して
います.この事故の原因はまだ発表されていません.

なお一部のメディアでは,OPTOが取り沙汰されているL系統が,すでにOPTOの
際には自動運転されているかのように扱われていますが,実際には自動化の
後ろ盾となるCBTCがまだニューヨークの地下鉄では実現していない段階です
ので,現在はマニュアル運転のはずです.

CBTC : Communications-based Train Control
無線による列車制御で,誘導ループ線を使う方式と,無線周波数を割り当て
て交信する方法があります.前者のほうがリスクが小さいと思われて採用の
ケースが多く,ニューヨークでもJFK空港のターミナル間や最寄の地下鉄駅を
結ぶAirTrainでは誘導ループ方式が取り入れられています.
Communications Based Train Control Projects
(Transportation Systems Design, Inc.へのリンク)
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2005年09月13日

【マルセイユ】トラム運営にConnex参入?

マルセイユでは地下鉄がすでに2路線あり,トラム(路面電車)が1路線ありま
したが,トラムは近代化と延長のため2004年1月より運休となりました.
現在トラムを運休中の1路線を含む3路線にする工事と,地下鉄の延長工事が
行われています.トラムの開業は2007年を予定しており,工事中の路線が
全て完成すると,トラムの路線網は16kmとなる見込みです.
Le Métro / Tramway de Marseille (公式サイトへのリンク)

現在マルセイユの地下鉄や,バス,トラムなどは公営のRTMが運営していて,
独立公共交通機関事業者連合(A.G.I.R.)に属しています.
RTM : Régie des Transports de Marseille
A.G.I.R. : Association pour la gestion indépendante des réseaux de
transport public

日本語によるフランスにおける公共交通運営システムの解説
(Le Tramのサイトへのリンク)
これによればマルセイユはフランスでも数少ない公営企業になっています.

しかしRTMはトラムの運営に際して,公営ではなく半官半民にすると先週発表
しました.フランス各地のみならず世界中で公共交通機関運営のノウハウが
あるConnex(コネックス)が候補です.他に候補が現れなければConnexへの
最終決定は来年3月です.今回の民間参入がトラムだけに留まるのかどうかは
不明ですが,トラムの財政的リスクを分散する意図もあるようです.

Connexは昨秋,岐阜の路面電車運営を検討中という報道で日本でも有名に
なりましたが,フランスではトラムが走っている都市だけでも,ボルドー,
ナンシー,ルーアン,サンティティエンヌの都市交通全般の経営に参入して
いるほか,欧州で展開していない国を探す方が難しく,イタリア,オースト
リア,ポルトガルなどが展開していない国々でしょう.欧州以外では中東,
南北アメリカ大陸,オセアニアまでカバーしています.

路線の改良,新設とともに,車両も一新されます.Bombardier FLEXITY
Outlookが採用されましたが,デザインはMBD Designによる独自のものが発表
されています.

参考記事
Tramway La régie des transports marseillais s'allie au privé pour
tenter de rafler l'appel d'offres

(20 minutesのニュースへのリンク)

(英語も怪しいのに今回は原文がフランス語の上,情報源が一ヶ所だけでした
ので,違う表現に接することができず誤訳している可能性もあります)

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2005年09月12日

【イサクワ】路面電車導入への手助け

ワシントン州イサクワで,小規模ながら路面電車を走らせて観光客を呼び,
街の発展を促進させるだけでなく,多少なりとも道路の混雑を緩和しようと
いう地道な歩みがあります.(【イサクワ】小さな町の路面電車への取組み)

この8月に発効された運輸関連の大型予算法案*は,決して大都市ではない
このような街の路面電車導入にも手を差し延べることになりました.

* SAFETEA-LU : 正式名称は,Safe, Accountable, Flexible, Efficient
Transportation Equity Act: A Legacy for Users

SAFETEA-LUとは,道路や鉄道など陸上輸送関係へ提供する長期予算法案で,
その総額は以前の TEA-21を上回っています.
TEA-21(Transportation Equity Act for the 21st Century〜米国の21世紀に
向けた国民輸送と交通の公平法)(1998年成立で最終的に2004年まで延長)
(Wikipedia にSAFETEA-LUの簡単な説明があります)

そのSAFETEA-LUが制定した新しい運輸機関への連邦補助金プログラムの一つ
に,Small Starts Programがあります.これは7,500万ドル以下の小規模な
新規プロジェクトに対する補助金で,対象は路面電車,トロリー,BRT(bus
rapid transit),通勤電車などに摘要されます.
(BRTはここでは専用レーンかガイドウェイシステムを伴うものに限られます)

Small Startsプログラムは,米国全体で年間2億ドルを条件にあう路面電車,
トロリー,BRTの事業に対して配分することにより,桁違いの道路予算の中に
このような小規模なプロジェクトが埋まらないようにするのだと思います.

この連邦政府の補助金制度は,5千以上ある優先度の高いプロジェクトの一つ
にイサクワ ヴァレー トロリー(Issaquah Valley Trolley)を選び,補助金を
20万ドル提供することになりました.これで古くなったレールを更新し,
かつてリスボンで走っていた1両を復元して,いずれ近い将来には営業運転を
できるようになるでしょう.

こうした路面電車を走らせようとする動きが,ガソリン価格高騰も手伝って
街の大小を問わず全米中に広がってきています.

それを支援するSAFETEA-LUの中に出てくる計画だけでも,次のような都市が
あります.既に開業しているものを延長するのではなく,新規に開業または
復活させる路面電車(トロリー)計画だけで,ライトレール(LRT)は除きます.
マイアミ(Miami)(フロリダ州)
グレンデール(Glendale)(カルフォルニア州)
シカゴ(Chicago)(イリノイ州)
デイトン(Dayton)(オハイオ州)
マディソン(Madison)(ウィスコンシン州)
サクラメント(Sacramento)(カルフォルニア州)
セーラム(Salem)(オレゴン州)
コーパスクリスティ(Corpus Christi)(テキサス州)
セントルイス(St. Louis)(ミズーリ州)

参考記事
Issaquah climbs aboard growing streetcar line
(Seattle Timesのニュースへのリンク)
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2005年09月11日

【イサクワ】小さな町の路面電車への取組み

街の真ん中を縦断する鉄道が,その使命を終えた後も線路などの設備を残し
ています.街の歴史協会は鉄道を街の歴史の一部として保存する方法を案じ
ると,街は線路を僅かな距離ですが買い取り所有します.やがて線路を活用
してストリートカー(路面電車)を走らせようという構想が持ち上がり,ボラ
ンティア組織が結成されて予備調査を実施し,資金を調達していきます.

ワシントン州イサクワ(Issaquah)は,シアトルから東に17マイル=約27.2kmに
位置します.シアトルへの通勤圏内ですしボーイング社やマイクロソフト社
などの従業員も多く住んでいるそうです.会員制ホールセールクラブのコス
トコ(Costco)も,ここに本社を近年移してきました.
イサクワは日本語でイサクゥアやイッサクワと記されることもあります

人口は1万1千人少々ですが,シアトル近郊ということもあり,最近は街中が
車で混雑することも出てきたため,僅かな距離ですが路面電車を走らせよう
という動きがあります.街の歴史を埋もれさせないようにしながら,観光客
を集めようというのも目的の一つです.

イサクワ歴史協会 (Issaquah Historical Society)
イサクワ ヴァレー トロリー (Issaquah Valley Trolley)

イサクワには街を縦断するように貨物線が走っていて,これを利用すること
になります.貨物線は1888年に完成して客貨両方の営業が開始されており,
その翌年には街中に停車場(depot)も造られましたが,はるか昔に旅客営業は
廃止となり,停車場も1958年に閉鎖されて現在は資料館になっています.
路面電車は,同じく線路近くにある,やや街はずれのGilman Villageという
米国北西部の歴史的な建物が保存されている文化センター兼ショッピング
センターとダウンタウン(資料館)を結ぶことになりました.
GilmanはIssaquahの元の名前です
Issaquah Depot (MSN Virtual Earthへのリンク)

同じワシントン州のヤキマ(Yakima Valley Trolleys)から,当時運転を休止
していたトロリー(路面電車)を借り,週末に1年半の間デモンストレーション
走行を行いました.2001年〜2002年のことです.
やがてヤキマで運転が再開されることになって,電車を返却しなければなら
なくなりましたが,今度はコロラド州アスペンが所有していた車両を2両譲り
受けることになります.アスペンでは路面電車の運転を計画して電車を6両
所有していましたが,計画が進まないばかりか手放すことになってしまった
のです.Next stop, Issaquah (2002年11月 Aspen Timesへのリンク)

ヤキマから借りた電車やアスペンの電車は,いずれもポルトガルのリスボン
で走っていたものです.日本でも高知の土佐電鉄が走らせている電車と同じ
でしょう.そのほかイサクワではサンフランシスコからイタリアはミラノで
走っていた電車も購入しました.

多くの作業はボランティアによって行われてスローペースのため,リスボン
で走っていた電車を復元して走らせるのがいつになるかもはっきりしていな
いのが現状ですが,復活した路面電車が渋滞を緩和し,観光客を呼び寄せ,
街を発展させることが期待されています.

そのような中でこの夏,吉報がもたらされます. (つづきは後日)
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2005年09月10日

【パリ】68年振りのトラムウェイ(路面電車)

パリの3本目のトラムに使われる車両が先ごろアルストム(ALSTOM)社より納入
されました.3本目と書きましたが,これまでの2路線(T1とT2)は,厳密には
パリ市の外側を走っていますので,今度のT3がパリに復活する最初のトラム
ということになります.それを意識して Le Figaroはニュースのタイトルを
"Paris reçoit sa première rame de tramway"としています.

T3に導入されるのは,2002-3年からT2を走っている電車と同じCITADISです.
T2で使われているのが5つのモジュール(車体)で構成されているのに対して,
T3で使われる予定の車両はモジュールが7つあります.1編成の全長は43mで
T2の同32.2mをしのぎますし,幅も2.40mから2.65mへと広くなりました.
これにより定員は立ち席を入れて300名を超えます.
(T2でもこれまでの車両が2倍に増備され,今月から投入されています)

T3の概要 (別名,Tramway des Maréchaux Sud,TMS)
パリの南半分にあたる13区から15区にかけての左岸を,環状通り(boulevard
périphérique)よりやや内側を通る道路上を走り,現在そこを通る路線バス
PC1系統の置換えになります.PC1系統のバスと比べると定員が約3倍になり,
速度もバスの15km/h弱から20km/hにアップです.

区間は15区 Pont du Garigliano(RER C線)から,13区 Porte d'Ivry(メトロ
7号線)まで.途中でメトロ4,7,8,12,13号線と,RER B線とC線との乗換え
が可能となるほか,将来T2が延長されると乗換えができるようになります.

距離 7.9kmに電停数 17,所要時間 24分,開業は2006年12月予定です.
T3などのトラム公式サイトun tram pour tous

今回の納車はALSTOMの工場がある La Rochelleから,T3の車庫が設けられる?
Porte de Sèvresまでトレーラーで運ばれてきました.今後は来年の夏までに
月2編成のペースで,計21編成が運び込まれます.

参考記事
Le tramway des maréchaux en route vers Paris
(Ville de Parisのニュースへのリンク)
公式サイトではトレーラーに載ったトラムの画像もあります.
La première rame du tram débarque à paris !
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2005年09月09日

【ウィーン】地下鉄U2が3週間運休に

9/10〜10/02の3週間,ウィーンの地下鉄U2号線が工事で運休になります.
これはSchottentor(ショッテントーア)駅〜Schottenring(ショッテンリンク)
駅の間の改造工事が行われるためで,U2が現在の終点Schottenring駅から
ドナウ川運河の下をくぐって延長されるのに伴う改造です.
現在Schottenringでは,ドナウ川運河に向かって地下を走ってくるU2は,
運河と平行するU4号線との平面乗換えを可能にするため,駅手前でカーブを
きりますが,延長に際してはこれを解消し,将来はU4や運河と立体交差する
ように変わります.それにあわせて新Schottenring駅は,ウィーンで初めて
となるドナウ川運河の真下に造られる予定で,新しいU2はそのまま運河の下
をウィーン1区から2区へと進みます.
非公式ですが延長区間を含むウィーンの地下鉄路線図が,The Vienna Metro
サイトにあります.(参考:Stadtentwicklung Wien: Zukunft Donaukanal)
Schottenring周辺の地図 リンクできない際はご容赦ください
(この地図上ではパープルがU2,グリーンがU4になります)


運休となる地下鉄の代わりに,1ブロック離れてほぼ並走するリンクのトラム
(路面電車)1系統(内回り)と2系統(外回り)が,通常の6分間隔から3分間隔に
増発されることになっています.途中までJ系統とD系統も利用できます.

U2はウィーンの地下鉄の中で一番短く,現在わずか3.5kmしかありません.
その間に2年前までは7駅もありました.1駅閉鎖されて現在は6駅ですが,
それでも駅間距離はトラムなみの短さです.これはU2の前身がプリメトロ
(Premetro)というトラムを都心部だけ地下化したものだったからです.

王宮や旧市街地を囲むリンク(Ring)と呼ばれる環状道路が建設された際に,
同時にそのすぐ外側に物資輸送用の道路が建設され,のちにトラムも走って
いました.第二次大戦後,急増する自動車に対応するためトンネル建設案が
出ますが,結局地下に通すのはトラムになりました.1966年にプリメトロが
完成します.その後ウィーンでも地下鉄を建設することになり,その第一期
としてプリメトロを延長したU2号線が1980年に開業しました.

U2は2003年より延長工事を行っており,観覧車で有名なプラーター遊園地
(Prater)の最寄りの北駅(Nord)を通ることにもなっています.完成は遅れて
いますが,2008年から翌年にかけて段階的に開通する予定です.

それとは別に9/14には,Volkstheater(フォルクスシアター)駅で火災訓練が
行われ,地下鉄新型車両(V形式)の耐火性能も試されるようです.

参考記事
U2 ab Samstag für drei Wochen gesperrt
(Der Standardのニュースへのリンク)
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2005年09月08日

【チューリヒ】横断歩道でもトラム優先キャンペーン

ヨーロッパでは自動車が乗入れできないトランジットモールでも,路面電車
(トラム)は乗入れしていることが多く,トラムは鐘を鳴らしながら歩行者に
注意させ,安全に共存しているものとばかり思っていましたが,実は事故も
多数起きていました.スイスのチューリヒでは歩行者に対して,あまり知ら
れていないトラムの優先権など,トラムへの注意を喚起するキャンペーンを
開始することになりました.
Trams sind träge und gefährlich
(Tages-Anzeiger Onlineのニュースへのリンク)
Das Tram hat am Fussgängerstreifen Vortritt
(Neue Zürcher Zeitungのニュースへのリンク)
ほか多数あり

チューリヒ警察と交通局のVBZ(Verkehrsbetriebe der Stadt Zürich)などが
行うキャンペーンの目的は,もちろん歩行者とトラムの事故を減らすこと.
昨年チューリヒでは歩行者とトラムの事故が26件あり,うち3人が犠牲になっ
ており,2003年もやはり3人が犠牲になっていました.この数字も実は氷山の
一角にすぎず,何事もなく無事にすんだ接触事故は多数あるようです.
また危険回避のためトラムが非常ブレーキを掛けた際に,乗客が転倒などで
負傷を負うこともあります.

スイスでは横断歩道(Fussgängerstreifen)でもトラムに優先権があります.
歩行者は自動車やバスに対して優先権があっても,相手がトラムの場合には
歩行者優先ではないのです.(ドイツでも同じようです)
Verkehrsbetriebe Zürich - Vortritt (VBZへのリンク)
これはブレーキを掛けても停止するまで自動車の3倍の距離を必要とするから
ですが,これを知らない歩行者が多いのです.またトラムは重量が70トンも
あるので,衝突すると速度が遅くても衝撃が大きいことをキャンペーンでは
啓蒙していきます.

キャンペーンは3段階にわかれており,10/15から街頭にポスターを貼ったり
ポストカードを配布したりします.第二段階は2006年5月にテレビでCMを流す
ことになっており,最終段階は来年後半で,トラムの優先権(Tramvortritt)
のことを話し合うようです.

同じくスイスのバーゼルでも,Basler Verkehrsbetriebe(BVB)が,3年前から
キャンペーンを行っており,昨年は23件の事故で1人が死亡していました.
これに対し首都ベルンではキャンペーンを行っていなくても事故は少なく,
昨年の死亡事故はゼロだったそうです.

(英語でも怪しいのに,今回は原文が全てドイツ語ですので,何ヶ所か誤訳,
誤解の可能性もあります.ご了承ください.)

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2005年09月07日

【フィラデルフィア】PCCカー復活の経緯

既報の通り,9/04よりPCCカーをバスに代えて復活させたSEPTAですが,実は
SEPTA自身はあまり乗り気ではなかったようです.
Not all on board trolley's return
(philly.comのニュースへのリンク)

SEPTA : Southeastern Pennsylvania Transportation Authority
フィラデルフィアとその周辺の高架鉄道,地下鉄,LRT,バスなどを運行する
準公共の交通局.このうちLRTに相当するのはSubway-Surface Trolley Lines
と呼ばれ,ダウンタウンは地下を,郊外では地表を走り,トロリーとなって
いますが,バスではなくLRV(路面電車)で川崎重工製車両が使われています.


1992年にPCCカーの老朽化を理由に,3つの系統がバス代行となりました.
時の市長はこれを認める代わりに,いずれLRT化して復活させることをSEPTA
に約束させます.この時の計画では新たにLRVを購入し,それを川重車両が
走っている他の路線に投入し,余剰となった川重車を15系統他に投入すると
いうものでした.

しかしSEPTAは1997年になってもPCCカーの売却だけに留まっていました.
それを見た市長は,市議会を通じてSEPTA側に予算を通したければ約束を守る
ことと,半ば脅かしをかけます.しぶしぶSEPTAは15系統の地上設備更新の
ための予算を組込み,それで軌道や架線などが徐々に整備され始めます.
路面電車の優先信号も設置されました.その後は市長交代などで復活計画が
再び頓挫しそうになりましたが,何とか復活路線は継承されていきました.

2000年には予算の都合から計画が変更されて,道路内での専用軌道化などが
この段階で消滅しましたが,PCCカーを復元させるというアイディアも出てき
ました.LRVが予算不足で買えないというところからの発想の転換です.
路面電車の運転手からたたき上げたSEPTAのジェネラルマネージャーの思い
付きだったそうで,この段階でもSEPTAは50両もの無用となったPCCカーを
まだ保有していたのですが,これを活かさない手はありません.
幸い同じペンシルベニア州に改造できる業者(Brookville Equipment )があり
LRV新車購入の約半値となる1両130万ドルで契約成立です.
同社は2002年から改造にとりかかりますが,1年余のうちに18両のPCCカーII
を完成させます.外郭以外はほとんどが新車同然でした.
【フィラデルフィア】9/04からPCCカー復活 に簡単に記載しています.

実はこの18両については,車両数が少なすぎるという意見があります.
運行には15両が必要で,3両が予備です.SEPTAでは予備車両は15%以上必要と
定めた内部規則に従ったまでとしていますが,SEPTAで保守関係の仕事をして
いた人によれば,今回のPCCカーIIのような特殊で小所帯の場合には.15両に
対して予備車は6両最低必要だということです.万一の際はバスで代行される
ことになります.

15系統はフィラデルフィアのダウンタウンより北側を,東西に横断する路線
で,ダウンタウンに北から出入する他の路線とほとんど接続しています.
この路線が1992年にPCCカーからバス代行になった3路線のうち,最初に復活
の対象となったのは,走る道路の幅が広い区間が多かったからのようです.
(wikipediaにわかりやすいSEPTA 路線図があります)

なお沿線でも歓迎の温度差があるようです.車両も線路などの施設も整った
昨年に復活できなかったのは,philly.comの記事によれば車庫への引込み線
沿線の住民が,これまでのように路上駐車できなくなるからと反対していた
からのようです.結局6月に市長が乗り出して解決したようですが,その後の
準備には3ヶ月を要しました.PCCカーIIの点検整備や登録の問題,運転士の
再教育などが必要だったからです.

これに対して15系統の路線が走るジラードアベニュー(Girard Ave.)のうち
Art Museum/Fairmount地区,Northern Liberties地区などでは,路面電車の
復活を契機にジラードアベニュー沿いの再活性化を図ります.位置としては
スクーキル(Schuylkill)川から東端の終点近くまでの間に相当します.

具体的には2001年に通りの商店街組合的な存在と思いますが,ジラードアベ
ニュー連合(Girard Avenue Coalition)が結成され,地域の改善と企業誘致を
進めていきます.住民も関心を持つようになり,路面電車復活は単なる交通
機関の問題だけに留まらず,地域再活性化問題の一つとして扱われるように
なりました.路面電車が開発計画と連動すると,経済効果をもたらす触媒の
ような働きがあることが認識されはじめたのです.
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2005年09月06日

【カッセル】トラム-トレインの中央駅を着工

少々古い話になりますが,8/12にカッセル中央駅(Kassel Hbf)でドイツ鉄道
から市内軌道への乗入れのための改造工事が着工されました.
完成すると同じドイツのカールスルーエに習い,郊外電車の市内線乗入れが
実現することになります.トラム トレインの誕生です.

すでにザールブリュッケンのLRVを借り受けて,一部郊外線をLRT車両で運転
していましたが,市内の軌道線への乗入れはまだ行われていません.


ドイツ鉄道からの路線は中央駅の部分で地下に導かれて,その後少し地下を
走った後,地上に出て市内軌道線に合流する予定です.
カッセル中央駅前には市内線の地下駅も別にありましたが,乗入れを想定
したものではなく工事の関係で今春閉鎖されました.

カッセルの場合には,非電化の郊外線からも乗入れできるよう,市内の路面
電車用600vの架線下と,電化されていない線区の両方を走れるハイブリット
トラムを10本用意します.非電化区間では搭載された発電機によりモーター
で運転ですが,実は同じ仕組みの路面電車がカッセルからドイツ鉄道で2時間
少々のノルトハウゼン(Nordhausen)でも2004年5月から導入されています.
カッセルがAlstom LHB(RegioCitadis)に対して,ノルトハウゼンはSiemens
(Combino Duo)とメーカーは異なりますが,原理は一緒です.

レギオ シタディス(RegioCitadis)は28本用意されます.非電化区間への
乗入れはWolfhagenへの1線区だけですので,ハイブリッド-トラムは10本だけ
で,残りの18本は電化区間のみ走行可能ですが,交流電化のドイツ鉄道線と
直流電化の市内路面電車線との両方を走れるようになっています.
(ハイブリッド トラムはドイツ鉄道線は走れないと思われます)

参考記事
Tramtrain fährt auch ohne Fahrdraht
(Die Zeitのニュースへのリンク)
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2005年09月05日

【ニューオリンズ】路面電車の車庫も浸水か?

ニューオリンズはまだ公共交通機関が必要とされるような状況ではありませ
んが,どの程度被害が及んでいるのか気になるところです.Google Mapsでも
路面電車の車庫がある地区は載っていませんでしたが,NOAAのサイトで掲載
している航空写真に車庫が写っているものがありました.

8/31撮影の画像を見る限り,車庫の近くの道路まで浸水しているようです.
残念ながら車庫も浸水しているのではないでしょうか.

Hurricane Katrina Base Map
(National Oceanic and Atmospheric Administration(NOAA)内へのリンク)
航空写真インデックス New Orleans市街地

Carrollton Station (車庫) 周辺 (いずれも8/31撮影の画像へ直接リンク)
St. Charles AvenuesとCarrollton Avenuesにかけて
車庫は左端真ん中あたりの白い建物.周辺の道路は黒く写っていて,浸水し
ていることを物語っています.セントチャールズ線(St. Charles Line)は,
ちょうど雲をはさむV字形のように走っていました.下端はミシシッピ川.
Carrollton AvenuesとCarrollton/Claiborne(終点)にかけて
上の画像とは天地が逆になっています.真ん中よりやや上の左端の白い建物
が車庫で,1ブロック下から斜め右下に向かってCarrollton Avenuesが通って
いました.真ん中の下端近くに,家屋がない公園があったと思われる場所が
ありますが,その横が終点でした.そのあたりは完全に水没しています.

Google MapsによるCarrollton Station(車庫)

停電の影響もあるのか,それどころではないのか,RTA(Regional Transit
Authority)のサイトはハリケーン カトリーナ(Katrina)が通過した日から
ダウンしたままです.最後に見た時は接近の前日,現地時間日曜日でしたが
路面電車はその日の朝からすでに運休しており,バスも昼からは帰庫すると
いう内容が記されていた記憶があります.

キャナルストリートの電車を製造したBrookville Equipment Corporation
RTAが被災した路面電車の修復を話し合っているというニュースもあります.

New Orleans knocked out
(Light Rail Transit Association のニュースへのリンク)

=== 追加 ===

Carrollton Stationは,セントチャールズ線(St. Charles line)とリバー
フロント線(Riverfront Line)の車両が使っています.キャナルストリート線
(Canal St. Line)は,Canal St. Station(別名 A.Philip Randolph Station)
が使われています.Canal St. Stationの場所がわからなかったのですが,
ようやく見つけ出しました.

Canal St. Station(A. Philip Randolph Operations Facility)周辺の状況
(NOAAサイト内にある8/31撮影の画像へのリンク)
Canal Street : Galvez Streetから Gayoso Streetまで
画面の上が東,キャナルストリート(Canal Street)は右上(南東)から左下
(北西)に向かって斜めに走っていますが,このあたりは完全に水面下です.
画像の中央一番下にバスと路面電車のキャナルストリート線の車庫が見えて
います.小さな白い長方形がたくさん見えるのがバスでしょう.路面電車は
バスの群れの画面では左側に見える建物だと思われます.
Canal Street : Gayoso Streetから Carrollton Avenueまで
上の画像の北西側にあたります.車庫は中央の上の方にあり,その下(南西)
側をキャナルストリートが画面左下(北西)に向かって走っています.こちら
ではNorth Carrollton支線の分岐する交差点までが写っています.

Google Mapsの被災前の画像をリンクしていますが, まだ路面電車の車庫が
完成する前のもののようです.Randolph Station
Katrinaボタンをクリックすると,8/31の画像に切り替わります.
2003年11月の空撮画像 An aerial view of Canal Station
(H. George Friedman, Jr.氏のサイトへのリンク)
このリンク先の画像は画面の上が南西で,車庫敷地内の北(画面で右下)側に
路面電車の施設があるようです.

Update on Hurricane Katrina disaster and public transport
(Light Rail Now Projectのニュースへのリンク)

この記事によれば,セントチャールズ線とリバーフロント線の車両が使う
Carrollton Stationへの水害は,それほど深刻ではないかもしれません.
これに対してCanal St. Stationは浸水がひどそうです.

逆に軌道に関しては,キャナルストリート線が主にコンクリート道床なのに
対して.セントチャールズ線は芝生軌道で土のため心配されるところです.
NOAAの画像で見る限り,ちょうどセントチャールズ通りあたりまで浸水が
達している場所があります.
St. Charles Ave. : Polymnia St.から6th St.まで
St. Charles Ave. : 6th St.からNapoleon Ave.まで


ニューオリンズには2回ほど行っていますが,最後に訪れてから十年以上経っ
ています.その2回とも路面電車でガーデンディストリクトの街並みを楽しん
だものです.実は今年3月に訪問の計画を立ててホテルの予約まで入れていた
のですが,事情により場所を変更してしまいました.
今はとても大変な状況のようですが,必ず復興すると信じています.

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2005年09月04日

【ウィーン】路上の配給電車走り出す

ウィーン市内を網羅している路面電車上を走る貨物列車が,8/31から運転を
開始したようです.車両自体は5月にお披露目されていて,すでに鉄道雑誌
などでも紹介されていたと思います.

ドイツのドレスデン,スイスのチューリッヒに次ぐ,3都市目の路面貨物列車
になるのでしょうか.ドレスデンではフォルクスワーゲンの工場に出入する
本格的な貨物輸送で,チューリッヒはゴミ収集と聞いていますが,ウィーン
での目的は,市内にちらばった車庫を結んで部品交換や供給などを行うため
のようです.路面電車の車庫だけでもウィーンでは市内に十か所以上はあり
ますから,その間でのやりとりも頻繁にあるのでしょう.さしずめ配給電車
のような感じです.
これまでトラックで行っていたものを路面電車に移行するわけですが,あれ
ほど路面電車が発達しているウィーンで,今までトラックが配給していた
ほうが,むしろ不思議なくらいです.

GüterBimと呼ばれる貨物路面電車は,小型電気機関車と貨車の組合わせ
からなり,13トンの貨物まで搭載できるようです.貨車の方は19mの車長が
ありますので,最新型ULFの短い方の全長24.2mにも迫る長さです.それだけ
長いと曲線通過などが気になるところですが,いくつかの制限があるものの
Uバーン(地下鉄)の路線を含め市内全線に乗入れ可能なようなことが性能表に
記されています.(原文がドイツ語なので間違っているかもしれません)
公式サイトにあるPDFファイル Technische Details

運転日は月水金だけで時間は9時から14時までに限られています.5月の段階
では夜間に運転されるように紹介されていましたが,変更されたようです.
日中ですので旅客輸送の妨げにならないよう配慮されるとのこと.

wikipedia ドイツ語版での説明 GüterBim
(URLにウムラウトが含まれています)
これによれば市内での貨物鉄道輸送は50年振りのようです.

画像は公式サイト(gueterbim.at)のほか,Das Straßenbahnjournal
あります.特に後者はファンのサイトですので,興味深い画像のほか,順に
クリックしていくと5月にウィーン市内をデモンストレーション走行した際の
ルートも載っています.

参考記事
Wiener Linien starten GüterBim
(oesterreich.ORFのニュースへのリンク)
Die GüterBim ist auf Schiene
(Viena Onlineのニュースへのリンク)
Straßenbahn will Lkw ersetzen
(Die Presse.comのニュースへのリンク)
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | オーストリア このエントリーを含むはてなブックマーク

2005年09月03日

【ハルバーシュタット】ライプチヒのLeoliner購入

ライプチヒ(Leipzig)交通局 Leipziger Verkehrsbetriebe(LVB)の子会社が
製造する低価格の低床ライトレール車両 Leolinerは,お膝元のライプチヒで
2編成のプロトタイプが導入ののち,30編成の納入が既に決まっていますが,
ハルバーシュタット(Halberstadt)交通局 Halberstädter Verkehrs-GmbH
(HVG)でも 5編成を購入することになりました.決め手は価格の安さでしょう
か,ライプチヒの地元ラジオ局 mephisto 97.6では,5編成で670万ユーロ
(1編成あたり134万ユーロ,約1億8千万円)と報じています.
最初の納車は2006年9月で,その年末までには5本納入完了予定だそうです.
Leoliner rollt bald durch Halberstadt
(Leipziger Volkszeitungのニュースへのリンク)
Leipziger "Leoliner" wird exportiert
(Mitteldeutscher Rundfunkのニュースへのリンク)

ザクセンアンハルト州のハルバーシュタット(Halberstadt)はベルリンから
西南西に約160km,ライプチヒからは北西に約110kmに位置する,人口4万人の
小さな町ながら 11km弱の路面電車網があり,3系統が運転されています.
現在はGT4が主力ですが,シュトゥットガルトやフライブルクから来たお古で
車齢40年以上です.Halberstädter Verkehrs-GmbH (HVG) の車両リスト
Wagenparkliste (www.tram-info.deのサイトへのリンク)

LRVを含む鉄道車両の製造が,日本以外ではほぼ三大メーカーに集約されつつ
あるなかで,ライプチヒが地元の雇用創出という役目を果たしながら独自に
LRVを開発製造していたのは興味深いところです.
100%低床化にとらわれず60%の部分低床にしたことや,最先端ではなく既存の
技術に頼ったこと,バス向け部品を用いたことなどにより,大手メーカー製
よりも低価格を実現しています.市場は主に小規模な交通事業者です.

ちなみに価格は International Railway Journalの2004年11月の記事には
22m車が約100万ユーロとあります.実際にはもう少しするようですが,輸送
費さえ何とかなれば,路面電車導入を検討している都市の多い米国や,軌間
1,067mmにも対応できるようで日本でも検討可能かも...と考えたのですが,
どうやら空調装置がないようです.

画像はなかなか良いものが見つかりませんでした.とりあえずこちらを.
M A R I A C R O N - W E B Leoliner
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2005年09月02日

【ニューヨーク】車掌乗務の自動運転地下鉄

米国でも地下鉄の自動運転化は珍しくありませんが,昨年100周年を迎えた
ニューヨークの地下鉄でも導入が図られようとしています.
ニューヨーク市交通局ではこれに連動し経費削減の意図もあり,これまでは
シャトルなど少数の例外を除いて実施されなかった,車掌なしの列車を運転
することになり,6月下旬より土日と平日の深夜に限り開始されました.路線
はマンハッタンの8番街からユニオンスクエアを通り,ブルックリンまで行く
L系統(Canarsie Line)です.(公式サイトの路線図)

L系統は2001年から自動運転に対応する最新車両(R143)が集中的に投入されて
いて,この路線が選ばれたのは,他線から独立していて万一初期故障があっ
ても他線への影響を最小に抑えられるからというものでした.

ここまでの経緯は,日本語による記事もあります.
ニューヨークの地下鉄に車掌不在の路線が登場
(AP通信が報じた内容をWIRED NEWSが紹介したサイトへのリンク)

予定では今春開始でしたが,自動運転が技術的問題のため遅れていて,車掌
なしの部分だけ先行することになり,自動化は今年末になるようです.

ところが今度は車掌なしの一人乗務が問題になります.組合側の申し立てに
より労使協定の観点から,短距離のS系統など7区間だけで現在実施中の一人
乗務が,本線でも可能かどうか審査していた裁定官は,L系統では協定違反に
あたるとみなし,すぐに車掌を戻すよう市交通局に命令を下したのでした.
市交通局では2007年以降にも,車掌なし列車をJ系統,N系統,7系統まで拡大
する計画を発表していたばかりです.

裁定に対する州最高裁への控訴は困難で,12月に予定される労使交渉の席で
車掌の一件が賃上げ交渉などとともに話し合いが行われる見込みです.なお
自動運転化のプロセスは影響を受けず,そのまま進めていくそうですから,
どうやら車掌が乗務したまま自動運転が行われることになりそうです.

参考記事
L Subway Line Will Regain Conductors
(New York Times のニュースへのリンク)



【ワシントン】地下鉄CAF製車両,自動運転見合わせ
自動運転にまつわる話題をもう一つ.
既に自動運転を行なっているワシントンDCの地下鉄で,走行中に突然ドアが
開く事故が昨日あったため,同じ型の車両では自動運転を中止しマニュアル
運転に切り替えたそうです.幸い転落などはありませんでした.

ドアの事故と自動運転がどう関連しているのかはわかりません.ドア開閉は
自動化されているわけではないようです.


日本でも最近似たようなことがありましたが,ワシントンの地下鉄で問題が
あったのはスペインのCAF(Construcciones y Auxiliar de Ferrocarriles)製
の現在一番新しい5000形式車両で,実はトラブルはこれが初めてではありま
せんでした.従来の車両より信頼性に欠けるようです.同形式は2001年より
昨年にかけて192両が導入されていますが,ワシントンではCAF製車両はこの
5000形が初めてでした.なお年内にAlstom製の増備車(6次車)182両の第一陣
が到着する予定です.
Metro Orders Manual Operation of Newest Cars
(Washington Postのニュースへのリンク)
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2005年09月01日

【サンディエゴ】トロリー利用者急増中

カルフォルニア州サンディエゴのLRTが利用者数を伸ばして好調です.
赤一色の車体はトロリーと呼ばれて既に多くの市民に親しまれていますが,
7月初めには工事中だった区間が開通したことや,ガソリン価格高騰による
自家用車からライトレールへのシフトに加え,ビッグイベントが沿線で開催
されたことも重なり,7月の利用者数としては過去最高を記録したそうです.
Trolley has record 3 million riders in July
(San Diego Union Tribuneのニュースへのリンク)

新しく開業した区間はブルーラインとオレンジラインを La Mesa地区で結ぶ
ことにより,運転そのものには関係ありませんが,ダウンタウンとあわせて
二つ目のループが誕生です.
またサンディエゴ州立大学のキャンパスの下に地下駅が設けられ,悪名高い
駐車場問題を避けるべく,学生にはトロリー利用を奨励しており,夏休みが
終わった今月からは,学生であふれかえることを当局は期待しています.

運行系統も一部手直しされて,ダウンタウンを通らない系統も生まれます.
新しい系統はグリーンラインと呼ばれ,印象的な真っ赤なボディには紛らわ
しいことこの上ないのですが,これでサンディエゴにも三色(青緑橙)が揃い
ました.同時にデビューしたシーメンス製の新しい部分低床車(SD 70)は,
ホームの改修を終えているグリーンライン線内のみ営業運転されています.
同じタイプの車両は,テキサス州ヒューストンでも使われています.
路線図 (公式サイトへのリンク)

Flickrでみる新設の Green Line Trolley Created by Tostie14.

サンディエゴのトロリー,特にブルーラインのメキシコ国境行は,大変混雑
する印象があります.乗ったのは平日の昼下がりに2回だけですが,どちらも
ダウンタウンを発車する頃には座席はすべて埋まっているばかりか,立って
いる人で途中駅での乗降りに人をかきわけなければならない状態でした.
日中は15分間隔で,ブルーラインでは主にSD-100が3本連結されて運転されて
います.停車位置目標と思われる標識には4という数字もみえ,時間帯によっ
ては4本連結があるのかもしれません.
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | 米国南西部 このエントリーを含むはてなブックマーク
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