2005年10月31日

【サウスジャージー】運賃$1.25で最大73分乗車

ニュージャージー州の南部,デラウェアバレー(Delaware Valley)を走る
NJ Transitのライトレール,River LINEが好調です.開業から1年半たって
いますが,利用者数が伸び続け,前年比29%増を記録し,また一日の平均
旅客数は6000人を超えています.

好調の原因は,ガソリン代が高くなっていることもさることながら,片道
どこまで乗っても1ドル25セントという運賃の安さにもあります.今年の6月
までは1ドル10セントでした.NJ Transit北東回廊線でトレントン(Trenton)
から北への1ヶ月パス又は1週間パス所有者に至っては,リバーラインを無料
で利用できるほか,11歳以下の子供は平日は60セント必要ですが,土日には
大人同伴で無料です.同じNJ Transitのハドソン=ベルゲン ライトレールと
同じく信用乗車制(proof-of-payment system)を採用しています.
Light rail's success defies the doubters
(Philadelphia Inquirerのニュースへのリンク)

運転コストのうち運賃収入が占める割合は5%足らずという記事もあります.
低運賃が実現できるのは,そのおかげかもしれません.
River Line (Courier-Postの2004年3月当時のニュースへのリンク)
このページの下のほうに,これまでの記事の見出しが一覧になって出ている
のですが,2001年以降でもかなりの量です.それだけ色々な経緯があった
のでしょう.

路線はトレントンから,フィラデルフィアのデラウェア川を挟んだ対岸に
あたるカムデン(Camden)までを結び,トレントンではNJ Transitの通勤電車
と,カムデンではフィラデルフィアのダウンタウンと連絡できるPATCO
Speedline(Port Authority Transit Corporation)とも連絡しています.
34マイル(約55キロ)のルートがデラウェア川に沿っていることからリバー
ライン(River LINE)になりましたが,当初はサウスジャージー ライトレール
ライン(South Jersey light rail line)と呼ばれていました.

カムデンのダウンタウンで併用軌道になっている以外は,全てConrail
(Consolidated Rail Corporation)が所有する線路上を走ります.
このため早朝から夜間まで(午前6時から0時まで)は,リバーラインが優先
して走れるものの,深夜時間帯は貨物列車が同じ軌道を走っています.
午後10時には線路を空け渡さなければならないため,カムデンのダウン
タウン部分を除き,午後9時が終電になっています.

平日の朝と夕方のピーク時間帯は15分間隔,同日中,夜間と土日は終日
30分間隔で,起終点間の所要時間は70-73分です.午後10時以降は貨物線を
走らないカムデンの路面区間だけの運転が零時ごろまであります.

このLRTの特長は,(電気式)ディーゼルカーを使用していることでしょう.
米国では初ですし北米でもカナダのオタワに次いで二番目です.
非電化なのはコスト削減のためと沿線住民の反対のためでした.
NJT River Line 豊富な画像と配線図あり
(www.nycsubway.orgのサイトへのリンク)


下記サイトではディーゼルカーであるゆえにLRTではないとまで書かれて
います.確かにライトレールというよりは,コミューターレールに分類した
ほうが,実態に近いかもしれません.
電車のLRVと比べた欠点としては,このタイプのディーゼルカー特有のもの
ですがエンジンが床上搭載のため,収容人員が減ること,床が高いため後に
LRVに切り替えたとしても,ホームなどの改修が必要となること,加速度が
低く速度が遅いこと,運転コストや保守コストなどが高いことなどです.
River Line Light Railway Gains Riders, Spurs Economic Development
(Light Rail Progressのサイトへのリンク)

この路線は当初2002年開通で,建設費も4億5千万ドルでした.
しかし計画は遅れ,連邦政府からの補助金を得られなかったこともあって,
金利がかさんで34マイルの建設に10億ドル以上が投じられます.既存の貨物
線を非電化のまま利用するだけにもかかわらずです.その鉄道に全線乗って
も片道わずか1.25ドルで済むというのも面白い話です.このまま好調を維持
できるといいのですが.
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2005年10月30日

【ラスベガス】モノレールの強敵現る?

先週の10/27より,ラスベガスのストリップで二階建てバスの運行が始まり
ました.名づけて"DEUCE"(ジュース//デュース).この言葉にはポーカーの
ワンペアの意味もあります.ロンドンや香港では珍しくないダブルデッカー
も,米国では観光用に運転されているもの以外にほとんど見掛けません.

ちなみにカルフォルニア州の二ヶ所,ロサンゼルス近郊のLancasterで
Antelope Valley Transit Authorityが,それとサクラメント近郊のDavis
Unitransが,観光用以外で二階建てバスを使っているそうです.


ラスベガスももちろん観光地ですし,乗客も観光客主体となるのでしょう.
現にストリップを走るバスは85%が観光客でした.しかしストリップの南端
から北端まで,つまりサウスストリップ トランスファーターミナル(South
Strip Transfer Terminal)からDTC,ダウンタウン トランスポーテーション
センター(Downtown Transportation Center)までの17.25マイル(約27.6
キロ)を,途中カジノやホテルなど73ヶ所のバス停を通りながら走ります.
しかも不夜城のラスベガスですから,当然24時間運転です.

公式サイト Welcome to thedeucelasvegas.com
(RTCのサイトへのリンク)
RTC doubles down on the Strip
(Las Vegas Business Pressへのリンク)
Las Vegas RTC Goes Vertical with 'DEUCE' Double-Deckers
(American Public Transportation Associationのニュースへのリンク)
RTC : Regional Transportation Commission of Southern Nevada

バスはAlexander Dennis製で97人乗り.なるほど米国と思わせるのは,
車椅子が2台乗れることと,前面に自転車用のラックを付けていることです.
一台の価格が$583,963.50で,これが50台投入されます.

運賃は一回$2で,CTAのほかのバスより75セント高く,24時間券は$5です.
これはモノレールの一回$3,一日券$10より安いばかりでなく,DEUCEの
24時間券はCATやMAXのバスにも乗れることから,割安感があります.
って言っても観光客はストリップ以外でバスに乗らないか.
CAT : Citizens Area Transit
(ラスベガスや隣接するクラーク郡でバスを運行している交通事業者)
MAX : Southern Nevada's Metropolitan Area Express
(RTCが運行するBRT=Bus rapid transit)

12月までには全てのバス停に券売機(TVMs)が用意され,そこで切符を購入
します.これで乗降時に運賃収受をなくす狙いのようですが,乗車時に支払う
こともできるようです.それが券売機が全停留所に設置される12月までの
暫定的な措置かどうかはわかりません.一部の券種は12月からオンライン
でも買えるようになるとか.

セレモニーの様子を伝えるプレスリリース
Las Vegas is Going Vertical and DEUCES are Wild!
The DEUCE, a New Premium Double Decker Transportation Service,
Makes Its Debut Today on the Famous Las Vegas Strip
(Business Wire (press release)へのリンク)

DEUCEのことを報じる地元テレビ局のサイト
Safety aboard the new double-dekcer bus
Double-Decker Bus Coming To The Strip
(KVBCのニュースへのリンク)
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2005年10月29日

【ロサンゼルス】平面交差のバス専用道

MTAが2年以上の工期をかけ完成させた,BRT(Bus rapid transit)のオレンジ
ラインの開業セレモニーがこの金曜日に行なわれました.このあと現地時間
10/29(土)より一般客の利用が可能となり,この土日は無料で開放されること
になっています.
MTA : Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority(Metro)
オレンジラインの概要などは開業秒読みの段階でも紹介しています.

しかし安全性の問題が懸念されています.
オレンジラインは廃線跡を利用したバス専用道路を走ります.トンネルなど
の専用道を利用するBRTは北米の他の都市でも見られますが,LAでは地平走行
のため,他の道路とは全て平面交差になっています.しかし信号機だけで
遮断機は設けられないため,ドライバーが迷い込んできたり,交差点で
突っ込んでくる可能性があることを指摘されていました.

北米にあるBRTの形態をまとめたものが,Wikipediaにあります.
BRT systems in North America - table
(英語版 Wikipediaへのリンク)

それが早くも現実のものとなってしまいました.
開業セレモニーに先立つ木曜日,無免許運転の車が赤信号を突破して,
テスト走行中だったバスと衝突する事故が起きたのです.幸いけが人などは
出なかったようですし,バスの損傷もわずかだったようです.

開業セレモニーの行なわれた金曜日には,遮断機がなくドライバーの混乱を
招きやすい構造の交差点がオレンジラインを危険に陥れるというプラカード
を持った抗議者も現れました.

沿線には36ヶ所も交差点があります.MTAとロサンゼルス市は信号機の追加
や警告標識を増設していますが,果たして思惑通りに機能してくれるで
しょうか.他の地域から比べて多いのかどうかわかりませんが,オレンジ
ラインの沿線では,この半年で500枚の交通違反切符が切られています.

どのような交差点なのか,公式サイトの"SAFETY"で見れます.
Orange Line (MTA公式サイトへのリンク)

衝突事故を報じるニュース
Car Hits Bus on Transitway Test Run, Raising Concerns for Safety
(LA Timesのニュースへのリンク)
Metro Orange Line Dedicated Amidst Protest
(KABC-TV Los Angelesのニュースへのリンク)

一方LAタイムズでは,接続するバス路線との連絡がスムースにいくかどうか
が成功の鍵とも報じています.バス専用道を走るのは一系統だけで,それに
20系統以上のバス路線が接続する形をとっています.
Connections Key to Busway's Success
(LA Timesのニュースへのリンク)
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2005年10月28日

【ニューヨーク】束の間の週末運賃値下げ

ニューヨークの地下鉄やバス,通勤鉄道などを運営するMTAの理事会は,
サンクスギビングデー(11/24)からニューイヤーズデー振替休日(1/02)までの
間の土日と,12月の最終週の運賃値下げを,賛成多数で承認しました.
MTA : Metropolitan Transportation Authority

割引はMetroCardを利用すれば,プリペイドカードタイプでも,期間限定の
乗り放題タイプでも両方で摘要されます.プリペイドカードの場合には,
地下鉄とバス(一部を除く),スタテン島の鉄道が土日は$1で乗車できる
ほか,MetroCardの乗り放題パス(30日,7日)では,有効期限が少しだけ
延長されるというものです.また期間中(11/23-1/01)有効の特別ホリデー
乗り放題パスが,通常の30日乗り放題パスと同じ$76で販売されます.

ロングアイランド鉄道(LIRR)や,メトロノース鉄道(MNR)では,1ヶ月パスや
1週間パスを12月に購入した際に,それぞれ10回分と1回分のピーク時以外に
2月末まで使える無料往復乗車券が付いてきます.ただしこれは通勤客には
使えない代物なので,地下鉄やバスに比べ不公平との声も上がっています.

今の段階ではMTAのサイトに案内やプレスリリースはまだ出ていません.

ちょっとしたクリスマスプレゼントですが,MTAでは2007年と2009年に運賃
を値上げする計画があります.どうして今こんな値下げをするのでしょう.
昨今はガソリン価格の高騰で公共交通機関の利用が好調とは言え,ガス代の
値上げはバス運行経費を直撃しています.決して業績が改善されたわけでは
ありません.実は今年は予算の剰余金があるのです.その金額は年末までに
7億ドルを超えるとみられています.これは予期せぬ高額の固定資産税と,
低金利が生み出したものらしいです.

週末だけの運賃値下げは,利用者への還元ということになりますが,その
決定はすんなり決まったわけでありませんでした.
また7億ドルの剰余金は,もちろん運賃値下げ分だけで消化するわけでは
なく,その分は今年の分だけで5000万ドル,さらに来年も行なう予定で,
あわせて1億ドルです.
この他には膨れ上がっている年金支払へ4.5億ドルが充当されるほか,最近
注目を集める保安対策への経費追加として1億ドル,サービス改善に0.5億
ドルが使われます.

運賃値下げは利用者に歓迎される反面,MTAには金が余っているという誤った
印象を与えてしまう恐れがあります.実際には2年後の運賃値上げを避けられ
そうにないほど台所は火の車なのにです.
またこのタイミングで値下げを行なうのは,MTAが熱望する29億ドルの交通
機関向け公債を,11/08の選挙の際に住民投票で支持してもらおうという下心
も見え隠れしています.

ニューヨーク州知事は,剰余金のうち2.5億ドルをマンハッタン南部(Lower
Manhattan)からJFK(ジョン F ケネディ)空港方面へ向かう交通機関の計画に
投じたらどうかという提案を行なっていましたが,MTA理事会はそれに対する
結論は,次回の理事会開催時に先送りしました.

参考記事
M.T.A. Board Approves Holiday Fares, but Only After Disagreement and Debate
(New York Timesのニュースへのリンク)
MTA Surplus: Holiday Discounts
(Tri-State Transportation Campaignの10/19付けニュースへのリンク)
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2005年10月27日

【フェニックス】LRVモックアップ公開へ

再び近畿車輛USAの話題になりますが,フェニックス( Phoenix)で2008年開業
予定のLRT車両のモックアップが一般に公開されることになりました.11/10
からフェニックスではPark Central Mallで展示されるほか,Valley Metro
Railが走る計3ヶ所で,来年1月にかけて展示されることになります.

元々は一般公開のためのモックアップではなく,関係者による最終的な設計
の詰めのために近畿車輛より送られたものでした.フランスなどで開業前に
モックアップを一般に公開しているケースを聞きますが,米国ではモック
アップを作ったり,公開することはあまり例がないことかもしれません.
Residents to get preview of light-rail car
(AZ Central.comのニュースへのリンク)
フェニックス低床LRVのモックアップ (画像あり)
(近畿車輛株式会社のニュースリリースへのリンク)


第一期区間がフェニックスのダウンタウンから,テンペ(Tempe)を通り,メサ
(Mesa)に至るValley Metro Railは,METROと命名され,現在この地域で
バスを運行する公営企業のValley Metroが運行することになっています.
Light Rail Project Alignment (路線図)
(Valley Metroのサイトへのリンク)

その最初の20マイル(32km)には13億ドルが投じられます.今年1月にはその
約半分が連邦政府から出ることに決まり,3月に着工されました.また2004年
の住民投票で最終的に30マイル(48km)まで延長されることが,すでに承認
されています.米国では珍しく廃線跡を利用せず,大半の区間が併用区間と
なるようで,LRT優先信号が導入されるようです.

建設が決まった2003年には,近畿車輛(と三井)がLRVを受注しました.
36本が納入される予定ですが,通常は2本併結の形で運転されるそうです.
バイアメリカ規制により,部品の60%以上が米国製の必要がありますが,
基本的に車体の製造は大阪で行なわれ,最終的な組立作業はアリゾナ州で
行なわれる予定です.

Valley Metro Project to Bring Light Rail Line to the Deserts of
Arizona
(Construction Equipment Guideのニュースへのリンク)
Valley Metro Rail Gives Nod to Vehicle Manufacturer

(Kinkisharyo International, LLCの2003年11月付けニュースリリース
へのリンク)


このニュースサイトにも画像があるのですが,なかなか繋がりません.
VALLEY METRO RAIL
(East Valley Tribuneの10/04付けニュースへのリンク)
車両の諸元などテキスト分のみGoogleのキャッシュで見ることができます.
Light-rail preview

flickr にあったフェニックスでの展示の案内?
metroexpo (Crunchy Pickle氏のフォトへのリンク)
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2005年10月26日

【ウィーホーケン】LRT土日だけの先行開業

ウィーホーケン(Weehawken)は,マンハッタンの対岸に位置するニュージャー
ジー州にあります.そこを走るLRTは,ハドソン=ベルゲン ライトレール
(Hudson-Bergen Light Rail,HBLR)です.

HBLRは2000年に,ジャージーシティ(Jersey City)とベイヨン(Bayonne)で
まず開業しました.その後2002年にはホボケン(Hoboken)まで延長されて,
昨年9月にはさらに北上してウィーホーケンに一駅だけ達していました.
現在ウィーホーケン唯一の駅のLincoln Harborから先が,この10/29に延長
されることが発表されましたが,どうも土休日だけの運転のようです.
HUDSON-BERGEN LIGHT RAIL ARRIVING AT WEEHAWKEN’S PORT
IMPERIAL STATION
(NJ Transitのニュースリリースへのリンク)
HBLR 路線図 (NJ Transitのサイトへのリンク,GIFファイル)

HBLRは平日の一日平均2万4千人の輸送人員があります.今回の延長は,
ホボケンとノースベルゲン(North Bergen)を結ぶ,ニュージャージー州と
連邦政府などが12億ドルを拠出した,MOS-2プロジェクトの6.5マイル(10.5
キロ弱)の一部です.

ひと駅だけ延長される先のPort Imperialでは,対岸のマンハッタンへの
フェリー(NY Waterway ferry)への乗換えも可能ですが,連絡通路は来春まで
待たなければなりません.また平日の運転開始は来年1月になるようですが,
なぜ土休日だけ先に開業するのかはよく判りません.
Light rail is gaining steam
(The Jersey Journalのニュースへのリンク)
Port Imperial 駅 衛星写真 (Google Localへのリンク)

Google Earthで見る限り,Port Imperial 駅はハドソン川の河岸段丘の川側
にあるため,丘の上にある住宅地へのアクセスはできそうになく,フェリー
への乗換えだけが目的の駅になるのかもしれません.
ホボケンから北は,河岸段丘の崖のすぐ下をなぞるように走っています.
川側は工業地,丘側が住宅地になっていて,住宅地へのアクセス用に駅から
丘へエレベーターが設けられている駅もあります.

ホボケンからPort Imperialまで北上してきたHBLRは,そこから西に針路を
転じ,Port Imperialから先はすぐトンネルになり,河岸段丘の丘の下を進み
ます.MOS-2プロジェクトの終点には来年1月中旬開業を目指しています.
平日の運転を含めた全面開業は,その時に同時に行なうのかもしれません.

今年3月に現在の終点Lincoln Harborまで乗った時,電車は乗客を降ろすと
そのまま北行の線路を先へ進んでいきました.線路の先は見通すことができ
ないためどこまで行ったのかわかりませんが,やがて南行の線路を走って
同じ車両が戻ってきました.下記サイトによればすでにPort Imperialまで
行って折り返しているようです.駅の設備や周辺整備が間に合わなかった
ので,昨秋同時に開業できなかったのかもしれません.

Hoboken terminal to Lincoln Harbor
(stationreporter.netのサイトへのリンク)

一番最初にExchange Placeから開業した際も,Exchange Placeには折返し
設備がなく,電車は一つ先の当時未完成の駅まで行って折り返していたよう
ですし,Pavonia/Newportまで延長した当初は,やはり折返し設備ができる
まで,線路自体は複線で完成していたものの,亘り線のある場所から先は
単線で運転していました.Pavonia/Newportにはモールがあり,PATHへの
乗換えも可能な重要拠点ですが,当時は2本に1本の割合しか終点まで行って
いませんでした.

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2005年10月25日

【ニュルンベルク】借り物のヴァリオバーンで試運転

市交通局VAGが2007年秋から6編成が導入する予定の,旧型車置換え用の
路面電車(Straßenbahn)の試運転が,先週から始まりました.予定では
来月まで行われます.導入される新車はヴァリオバーン(Variobahnen)又は
ヴァリオトラム(Variotram)と呼ばれるタイプです.
VAG : Verkehrsaktiengesellschaft Nürnberg

ヴァリオバーンは1996年に当時のAdtranz社(元ABB Henschel)により製造
されたのが始まりで,プロトタイプがデュイスブルク(Duisburg)に1両だけ
配属されたのち,各地で低床車ブームとともに採用されていきました.
現在ではドイツのケムニッツ(Chemnitz),フィンランドのヘルシンキ,豪州
のシドニーで同じタイプの車両が活躍しているほか,ドイツのボーフム
(Bochum)でも2007年より導入されることが決まっています.またミュンヘン
(München)でも3本+オプション19本を発注し2008年から導入と,今月発表が
ありました.ここまでは100%低床タイプですが,70%の部分低床タイプが
マンハイムとハイデルベルクなどでも走っています.

Adtranz社が2001年にBombardier社に買収される際に,Adtranz社の低床車
技術はBombardier社に吸収されましたが,ヴァリオバーンだけは商法か何か
の理由により,Bombardier社ではなくスイスの鉄道車両製造メーカー,
Stadler RailとAdtranzがジョイントベンチャーで Stadler Pankow GmbHと
いう会社をつくり,そこに移管されました.
ヴァリオバーンの概要(英語版) Variobahn vehicle concept
(Stadler Rail AGのサイトへのリンク)

今回ニュルンベルクで試運転に供されるのは1996年に製造されたプロト
タイプで,普段はデュイスブルク(Duisburg)にいるのですが,今回のように
Stadler Pankow社がテスト走行などで必要とする際には,あちこち出かけて
いくようです.車体幅が2.3mで,ニュルンベルクで導入される車両と同じ
ということも関係あるかもしれません.なお移動は残念ながらドイツ鉄道線
経由でななく,フラットベットトレーラーだったとのことです.
デュイスブルクのヴァリオバーン,Stadtbahn Duisburg (DVG), Germany
(Stadler Rail AGのサイトへのリンク)

プロトタイプは製造からすでに10年近く経っているため,ニュルンベルクに
導入される車両とは多少変更点もあるようですが,低床化を実現するハブ
モーター(Radnabenmotoren)の技術は変わりありません.これは車輪の中に
モーターを組み込んでしまうことにより,左右の車輪をつなぐ車軸を省く
ことができるのはもちろんのこと,ギアも不要にしてしまうものです.
乗り心地向上のため,空気ばね(Luftfederung)も採用されます.

試運転の模様はすでにファンのサイトにアップされていますが,残念ながら
旅客営業はされないようです.

Neue Straßenbahnen für Nürnberg - Duisburger Variobahn zu
Testzwecken eingetroffen

(VAGのニュースリリースへのリンク)
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2005年10月24日

【シアトル】Central Link向けLRV建造中

シアトルのダウンタウン,ウェストレイクセンター(Westlake Center)と,
シアトル=タコマ空港を36分で結ぶ予定のLRT,セントラルリンク(Central
Link)で使用される車両が,大阪の近畿車輌で現在建造中です.LRTを運営
するSound Transitのサイトで画像が公開されていました.
Light rail car under construction
(Sound Transit のサイトへのリンク)

近畿車輌USAのサイトには,完成予想図にあたる画像もあります.
ST Sound Transit
(Kinkisharyo International, LLCのサイトへのリンク)

近畿車輌USAが受注したことを告げる2003年のニュースリリース
Sound Transit picks Japanese firm to build train cars for light-rail
line
(同社の2003年11月付けニュースリリースへのリンク)

近畿車輌USAのほかに,シーメンス(Siemens)やイタリアのアンサルドブレダ
(Ansaldobreda),スペインのCAF,そしてBombardier が入札していました.
その中から近畿車輌USAが選ばれたのは,予算以内だったものの決して価格が
安かったからではなく,納期を守る能力など信頼度が高かったことが決め手
だったようです.同社製LRVは,すでに北米だけでもサンノゼ,ダラス,
ボストン,ニュージャージー(ハドソン=ベルゲン)で活躍していますし,
これにフェニックスも加わることになっています.

なおシアトル向け車両は,Kinkisharyo International LLCとMitsui &
Co. (USA) Inc.のジョイントベンチャーによる製造となる関係からなのか,
それともまだ完成前だからなのか,日本語の近畿車輌のウェブサイトでは
見当たりません.


大阪の工場で車体フレームとシェルが建造されたあと,最終的には米国で
組み立てられ,Sound Transitが受取るのは2006年末になるようです.

LRTが空港乗入れへ一歩前進したこともあり,Sound Transitの財政委員会は
現在契約のLRV31本から35本への追加を先日満場一致で支持し,同理事会へ
提言しました.この増備により,空港まで開通後もピーク時には定員200名の
LRVを2本併結し,6分間隔で運転することが可能となるようです.
Four new light rail cars proposed for Sound Transit’s Airport Link
extension
(Sound Transit のニュースリリースへのリンク)

空港の手前までが2009年なかばに,そこから先の空港までは,2009年12月の
開業になります.空港延長は2010年にバンクーバーで冬季オリンピックが
開催されることもあり,遅れることが許されないそうです.
Link Light Rail Projects (Sound Transit のサイトへのリンク)
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2005年10月23日

【ベルン】究極の架線なしトラム

架線レスのトラムというと,ボルドーのような第三軌条方式や,ニースで
実用化が予定されているバッテリー方式,日本の鉄道総研が開発した燃料
電池式などが思い起こされますが,スイスで一風変わった架線なしのトラム
が復元されます.そう,復元というからには以前使われていたのです.

ベルンで最初のトラムが走ったのは1890年だそうです.この時は蒸気機関を
利用したもので,電車が導入されるのは,それから十年以上も先のことに
なります.

その蒸気機関を利用したトラムが,1994年から復元に着手されて2002年に
復活しました.現在でも夏の土日に限り運転されているようです.
Luft für das Berner Tram
(Berner Dampftramのサイトへのリンク)

2002年に復元されたのは,路面軌道で客車を牽引する蒸気機関車です.
今回話題にしているのは,当時機関車とは別に?蒸気機関利用の駆動装置を
内蔵した車両が走っていて,レプリカながらそれが2008年に復元されると
いう話です.日本語で蒸気トラムと呼んでいいのかどうか判りませんが,
ドイツ語ではLufttramとなるようです.機関車に牽引されるのではなく,
自走できるものです.
Zwei traditionsreiche Unternehmen lassen Luft ab!
(Berner Dampftramのサイトへのリンク)
Im Lufttram durch Bern
(Bieler Tagblattのニュースへのリンク)
Berner Lufttram soll 2008 ein Comeback feiern
(eBundのニュースへのリンク)

忠実に再現されるレプリカは,全長7m,座席定員16名,立席定員12名という
小柄な車両になりますが,床下にボイラーがあるようです.当時のルフト
トラム(Lufttram)がどのような姿だったかは,下記サイトで見られます.
Berner Lufttram: Das Comeback eines Klassikers!
(Dampfaktuellのサイトへのリンク)

想像するだけで楽しそうなトラムですが,ボイラーの上が客室になるなら,
夏に乗るよりは冬に乗ってみたいですね.下記リンクは掲示板ですので,
どこまで信用できるかわかりませんが,時速10キロから22キロ程度を出せた
そうです.自転車並みですが都心の路面走行ならそれで十分でしょう.
Bern: Das Drucklufttram soll wieder fahren
(Strassenbahn-Forumへのリンク)

この掲示板のスレッドにあったので調べてみましたら,フランスのナント
やパリなどでは圧縮空気を利用したトラムが,馬車鉄道の時代に存在した
ようです.リンク先で表示されるサムネイルのうち,左の一番上がナントの
tramways à air comprimé(圧縮空気トラム)です.別サイトによれば1879年に
登場して時速15キロが出せたとか.しかしその後電気鉄道に取って代わられ
消えてゆきました.
Nantes (Les tramways français dans les années 50のサイトへのリンク)
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2005年10月22日

【パリ】地下鉄1号線スト無用の自動運転に

2010年末までに,パリのメトロの中でも一番混雑する1号線を自動運転にする
と発表がありました.1号線は一日に45万人もの輸送量があり,RATPの全輸送
量の12%を占める大動脈です.これを最新のメトロ14号線(Météor)と同じ
ように無人化してしまうことで,たとえストライキがあってもメトロ1号線を
走らせることができるようになるそうです.
同時に運転間隔を現在の105秒から90秒に詰め,さらに現行35分掛かっている
La Défense~Chateau-de-Vincennes間を,29分に短縮してしまいます.
RATP : Régie autonome des transports parisiens

運転台を出る運転手は,半数近くが案内係として1号線に留まり,残りは
13号線など運転手を必要とされる他線区へ異動になりますが,すでに昨春
交渉しているそうです.

RATPは,アルストム(ALSTOM)から49編成を購入することも契約しました.
メトロ14号線に使われている無人メトロ用車両のMP89 CAを発展させたMP89NG
(MF 2000のゴムタイヤ版で自動運転に対応させた形式名はMP05)です.MP05は
2008年6月中旬から3年間で納入される予定で,現在1号線で使われている車両
(MP89 CC)は,同じゴムタイヤ式車両を使うメトロ4号線のリニューアル用
として転属されることになります.(1,4,6,11,14号線がゴムタイヤ仕様)

RATP : la ligne 1 sans conducteur en 2010
(Le Figaroのニュースへのリンク)
La RATP signe un contrat avec Alstom
(Web Trainsのニュースへのリンク)
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2005年10月21日

【マルセイユ】長引くストライキの原因はConnex

マルセイユ(Marseille)のストライキがまだ続いているようです.
フランス全土でストがあったのが10/05で,その日から延々と続けられて,
とうとう2週間を突破しました.この10年間では最長だそうです.
ナンシー(Nancy)でも同様にストが続行されていましたが,一足先に収束した
模様です.

マルセイユでは地下鉄が普段の半分程度の本数しか運転されず,バスは路線
によって平常運行だったり,1台しか投入されていなかったりという状況
です.このサイトで現地時間の早朝から運転状況が掲載されます.
Perturbations (Lepiloteのサイトへのリンク)

記録的な長さになったストライキは,公営のRTMが2007年に運転を再開する
新Tramway(路面電車)の運営を,一部民営化してコネックス(Connex)を参入
させることに組合側が反対しているためのようです.またConnexと組合との
労使交渉は常に難航するとのことで,ナンシーでストが長引いたのもその
せいです.(ナンシーではConnexが公共交通機関の運営に参加しています)
Connex collectionne les grèves
(Le Figaroの10/19付けニュースへのリンク)
RTM : des bus de substition pour lundi
(20 minutesのニュースへのリンク)
RTM : Régie des transports de Marseille (マルセイユ交通局)

マルセイユの市長は,月曜日から代行バス?を投入すると発表しました.
RTMの従業員3200名のうち約半数がストに参加し,一日40万ユーロ(のちに
35万ユーロ)がストで失われています.
Grève à Marseille: un service de substitution mis en place
(L'Expressの10/20付けニュースへのリンク)

加えてマルセイユでは,SNCM(Societe nationale Corse-Mediterranee)の
ストライキも加勢しています.SNCMはコルシカ島への国営フェリー会社です
が,こちらも民営化で大変なことになっているようです.
「民営化反対」でシージャック!?(T)
(マオ猫日記のブログへのリンク)
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2005年10月20日

【ロサンゼルス】オレンジライン開業秒読み

14マイルに3億3千万ドル(3億5千万ドルとの報道もあり)を投じた,地表の
バス専用道路が10/29に開通します.
地下鉄のレッドラインの終点 North Hollywood駅から,Warner Centerを結ぶ
サンフェルナンドバレー(San Fernando Valley)の大動脈となり,周辺道路の
混雑緩和を期待され,Metroはバス路線をオレンジラインと命名しました.
Metro : Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority(MTA)
Orange Line (MTA公式サイトへのリンク)

サンフェルナンドバレー(San Fernando Valley) (Wikipediaへのリンク)
リンク先に地図がありますが,LA盆地の山一つ北側にあたります.


BRT(Bus rapid transit)で鉄道と同じカラーネームを持つのは,ボストンの
シルバーラインの前例もあります.なおオレンジラインは公式には901系統に
なるそうです.LACMTA Orange Line (Wikipediaへのリンク)

使用されるバスは,NABI(North American Bus Industries)製の60フィート
(約16m)の連接バスで,定員は57名,CNG(Compressed Natural Gas)バス
です.今回は30台が納入され,一台あたり64万ドルとのこと.
GENERAL SPECIFICATIONS 60-BRT
(NABI, Inc.のサイトへのリンク)

すでに他の都市でも見られるように,LAのBRTでもバス停に券売機を置き,
乗降の際には運賃収受を行わず,片側に3ヶ所あるドアからの乗降りで乗降
時間の短縮を図っています.

バス専用道路はかつてSouthern Pacific鉄道の貨物線だった廃線跡です.
かれこれ20年近く前から旅客鉄道線としての再活用が検討されていました
が,周辺住民の反対などで計画はなかなか進みませんでした.1991年に
MTAがSPから当時4480万ドルで購入しますが,結局コストが削減できるという
理由から,鉄道ではなくBRTに決まったのは1998年ごろのようです.
当時のMTAの幹部らは,参考になるバスシステムを採用しているブラジルの
Curitibaまで視察に行ってきました.
Facts About the Metro Orange Line Project
(Kym Richards氏のサイトへのリンク)

日本でいうなら名古屋のガイドウェイバス(ゆとりーとライン)が,高架では
なく地平を走っているのをイメージすればいいのでしょう.
専用道は一般道路との交差点にはもちろん信号機があり,鉄道ではない
ためか遮断機などはないようです.バスに対して優先信号があるのかどうか
は,あるとする資料とないとする資料があり,どちらとも判りません.
鉄道並みの速度が出ないことを指摘し,道路の混雑には役立たないだろうと
批判する人たちもいます.

Metro(MTA)では初年に一日に5千人から7千人の利用を見込んでいるようです
が,15年間に2万人以上にまでなることを期待しています.また将来的には
専用道のライトレール(LRT)化も視野に入れています.ただそうなると改造
工事である程度の期間閉鎖しなければならず,その間2万人以上の利用者を
どうさばくのか,明らかにはされていません.

参考記事
Is a Busway the Valley Way?
(Los Angeles Timesの10/18付けニュースへのリンク)
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2005年10月19日

【デュッセルドルフ】空港連絡のSkyTrain

ノルトライン=ヴェストファーレン州のデュッセルドルフ(Düsseldorf)空港
と,隣接するドイツ鉄道の本線(長距離線)空港駅を結ぶSkyTrainは,2002年
に開業したばかりですが,故障が度重なり,とうとう営業を一時止めて改良
されることになったようです.運休期間は二度にわけられ,最初は今月末
から12月上旬まで,二度目は来年の3月から9月までになります.SkyTrainの
全長は2.5km,途中に5%(50パーミル)の勾配があるようです.

このSkyTrainは,ドイツ語ではHängebahnと記される懸垂式モノレールの一種
で,デュッセルドルフのものは新交通システムのような自動運転です.同じ
システムが近くのドルトムント(Dortmund)でも採用されている他,やはり
同じルール地方のヴッパータール(Wuppertaler)では,Schwebebahnとして
世界最古の懸垂式モノレールが1900年からの歴史を誇っています.

公式サイト H-Bahn-Gesellschaft Dortmund mbH
モノレールソサエティのサイトでも英語で解説されて画像もあります.
Düsseldorf SkyTrain (The Monorail Society)
ドイツ語Wikipediaの H-Bahn

運休して改修することを伝える報道
Hängepartie mit der Hängebahn
(Spiegel Onlineのニュースへのリンク)
Siemens legt „Skytrain“ wochenlang still
(Express.deのニュースへのリンク)
Siemens saniert Düsseldorfer Flughafenbahn wegen Mängeln
(Finanztreffのニュースへのリンク)

このシステムはシーメンス(Siemens)製で,Spiegelによれば,本来なら最高
速度50km/hなのに,不具合で40km/hまでしか出せず,予定の一時間あたり
2千人を輸送することができなくなったとのことです.
Spiegelではコンピーノ(Combino)改修の件なども取り上げていて,また欠陥
かというような印象を与えているようです.
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2005年10月18日

【サクラメント】LRTゴールドライン10/15延長(2)

今年6月から運転系統が建替えられたサクラメント(Sacramento)の2本のLRTの
うち,ゴールドラインが10/15にFolsom(フォルソムまたはフォルソン)まで
7.4マイル(約11.9km)延長されました.延長区間はやはり単線で,そのため
運転間隔は30分になっています.

本来ならサクラメントの都心側でも,トランジットモールからI Street
(アイ ストリート) train depot(Sacramento Valley Station)までの路線も
同時に延長されるはずでしたが,地下に埋蔵物などが発見されたりして遅れ
ていて,RTでは来年9月の開通を予定しています.今回の延長分と未開通の
両方で,2億5500万ドルのプロジェクトでした.I Street train depotには,
バスのほかAmtrakの列車も発着しています.
RT : Sacramento Regional Transit District

すでに今月初めより試運転が開始されていて,いくつかのトラブルも洗い
出されたようです.たとえばHistoric Downtown Folsom駅でLRVを4本併結
した列車が発車しようとした時に,信号システムがこれを2本の列車と解釈
してしまい,青信号を表示できなくなってしまうなどの問題があったと
Sacramento Bee紙が報じていました.

RTは先月運賃値上げを行ったにもかかわらず,空前の利用者数増加を記録
しています.バスとLRTあわせて初めて一ヶ月間に300万人を輸送しました.
今は米国のいたるところで公共交通機関の利用者数増加現象が見られます
が,ここも例外ではありません.

RTでは今回の延長で年末までに新たに一日4000人がLRTを利用するように
なることを期待しています.しかしSacramento Bee紙は,誰が切符を買って
新しい延長区間に乗るのか,というような辛口の記事も載せています.
いくら昨今はガソリン代が高くなり,道路混雑で自動車通勤の時間が長く
なっているにしても,ステータスシンボルでもあり,自由に動ける自動車で
これまでサクラメントまで通勤していた裕福な人たちが,車をLRT駅の駐車場
(パーク&ライド)に置いていけるのかどうか,疑問視しているのです.

Folsomからサクラメントの都心へ行くのに,50分LRTに乗る必要があります.
いずれ急行運転も検討されるようですが,少なくとも2年間はありません.
混雑が激しい州道50号線の混雑緩和が期待され,Folsomからばかりでなく,
もっと東からも利用できるように,途中駅(Hazel)には443台分の駐車場
(パークアンドライド)も用意されています.

しかし目的地まで直行できる便利な自動車から,公共交通機関のライト
レールに乗換えるはずもなく,宅地開発を止める方が先というような書込み
のブログもあったりします.

お祭り騒ぎだった開業直後の土日を過ぎ,初の平日を迎えた10/17には,
それでも通勤客でごったがえしたとの報道がありました.

(各ニュースへのリンクを開業の数日前から時系列的に並べています)
RT works out kinks in new Gold Line to Folsom
(The Sacramento Bee,10/11付けニュースへのリンク)
RT Hits Record Ridership
(KTXL,10/13付けニュースへのリンク)
With Folsom light rail, who'll take ticket to ride?
(The Sacramento Bee,10/14付けニュースへのリンク)
'All aboard' as Folsom says hello to light rail
(The Sacramento Bee,10/16付けのニュースへのリンク)
Commuters flock to new Folsom light-rail line
(The Sacramento Bee,10/17付けのニュースへのリンク)

今米国ではガソリン代が高いので,自家用車の利用を控える動きが広がって
います.これまでマイカーで通っていた人たちが,公共交通機関に移行して
きているのですが,自動車を寝かせていればガソリン代は節約できても,
維持費を考えると車を売り払って完全にバスや鉄道に切り替えない限り,
節約にならないケースもあると,Washington Post紙は報じています.
Even With Gas at $3 a Gallon, Metro Isn't Much of a Bargain
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2005年10月17日

【ホボケン】ターミナル改良計画

マンハッタンの対岸に位置するニュージャージー州ホボケン(Hoboken)の
ターミナル駅は,コミューターレール(通勤鉄道)のNew Jersey Transitや,
マンハッタンのミドルタウンとローワーマンハッタンへ行く地下鉄のPATH
(Port Authority Trans-Hudson),それに目の前を流れるハドソン川を渡り
マンハッタンへ行き交うフェリーが発着する一大交通拠点です.一日の
利用者数は5万人だそうです.3年前の2002年秋からは,ハドソン ベルゲン
ライトレール(Hudson-Bergen Light Rail)も加わりました.

ターミナルビルは1907年建造ということですので,100年近い歴史です.
周辺が再開発されてきても,その建物だけが一世紀前に取り残されている
雰囲気でしたが,やっと改装してお店も増やす話が出てきました.

目指すはお隣りニューヨークのグランドセントラルターミナル(Grand
Central Terminal),ワシントンDCのユニオンステーション(Union Station)
です.前者は1990年代に大改装され,後者は1988年に今の姿で再開して
います.どちらも通勤客だけではなく観光客で絶えずごった返すほどの盛況
ぶりです.今では逆にそれがテロの対象となりやすいのが頭痛の種です.

商店やレストランなどは,1967年までフェリーが発着していた跡地が主な
予定地になるようです.ハドソン川を渡るフェリーは一度1967年に運航を
休止していましたが,1986年に復活して,その際には別の場所を発着地と
しました.

NJ Transitの通勤列車が発着する構内の上にも,住宅と商用のスペースが
確保可能かどうかの調査もされるようです.

Hoboken, NJ, Terminal Looks to Modernize
(Commercial Property Newsの10/12付けニュースへのリンク)
NJ Transit envisions upscale revival for Hoboken Terminal
(Newark Star Ledgerの10/12付けニュースへのリンク)

NJ TRANSIT NAMES‘ MASTER PLANNER AND DEVELOPER’
FOR 65-ACRE HOBOKEN TERMINAL PROPERTY

(NJ TRANSITのニュースリリースへのリンク)
これによればNJ Transitの目的は,乗換えが容易にできるように改善する
ことに加えて,かつてのフェリーターミナルを復活させること,現在使われ
ていない場所を利用できるようにして開発を促進し,そこから収入をあげる
ことなどをあげています.

Hoboken Terminal (Google Localへのリンク)
中央がNJ Transitが発着する屋根付き行き止まり式ホーム,左下からやって
くるのがLRT,右下にはNY Waterwayのフェリーターミナルが見えます.

今年3月初めてホボケンターミナルを訪れました.お目当てはLRTのハドソン
ベルゲンライトレールです.新参者だからというわけではないのでしょう
けど,LRTの発着ホームは,ターミナルの南端に寄り添うようにあります.
メインのコンコースからは少し歩かなければならず,屋根のある通路ですが
風雪があると全く意味を成さない代物です.もちろん周囲に店があるわけ
でもなく殺風景で,第一印象はあまりいいものではありませんでした.

しかしメインコンコースまで行ってみて,その印象は一転します.
待合室は近年改修されたようですが,高い天井で古きよき時代の重厚な
雰囲気はそのままに,こぎれいな感じになっていましたし,同じ時間帯でも
LRTは閑散としていましたが,NJ Transitのほうは平日の夕方だったことも
あり,通勤客で活気にあふれていました.また何よりコンコースや待合室
から行き止まり式のホームに発着する列車が垣間見えるのがいいです.
コンコースとは言っても吹き抜けで寒い思いをしなければなりませんが,
ここは気に入ってしまいました.


ニューヨークのグランドセントラルターミナルも,ワシントンDCのユニオン
駅も,その他LAのユニオン駅などもそうですが,列車の発着はメインコン
コースや待合室と別の階になっていたり,見通せない構造になっている駅が
多いのです.


待合室天井のステンドグラスが美しいです.ティファニーの設計だとか.
flickr で見る Hoboken Terminal

待合室の中をぐるりと見渡せるサイトもありました.
360 Virtual Views of Elysian Park and Hoboken Train Station
(A Walk Through Hobokenのサイトへのリンク)

このページの下のほうに駅構内の簡単な見取り図があります.
waiting room restoration project
(Michael Steinberg氏のサイトへのリンク)
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2005年10月16日

【タンパ】3周年を迎えた路面電車の懸念

この週末は開業3周年記念ということで,路面電車が5セントで乗り放題
だったようです.
RIDE THE STREETCAR FOR JUST 5¢ October 15th
(Tampa's Downtownのサイトへのリンク)

HARTlineの理事会は,ストリートカー(TECO Line Streetcar System)向けの
2006年分の予算,250万ドルを僅差で先週承認しました.
HARTline : Hillsborough Area Regional Transit Authority
(タンパを含むヒルズボロー郡のバスなどの公共交通機関を運営する当局)

しかし路面電車(ストリートカー)の財政的な頭痛の種はまだ残っています.
その財政事情の問題とは,予算の半分が連邦政府や市の基金からの払戻しに
依存していることで,今は520万ドルある基金も,長期の利子所得を生む
ための寄付と意図されており,その見返りも当初は8%と計画されていました
が,現在は2%以下になっていることです.

さらに心配事は他にもあります.現在得ているタンパ港湾局(Tampa Port
Authority)からの15万ドルの寄付金を2007年以降も得られるかどうかや,
計画時に見積もられた不動産税からの収入と利用者の増加が,果たして
思惑通りに今後いくかどうかなどです.タンパ市は路面電車が予算不足でも
救済はできず,HARTlineに任せるしかないという話もありました.

TECO Line Streetcarの路面電車は,HARTlineから独立している Tampa
Historic Streetcar Inc.という非営利組織が運営しています.実際の電車の
運行はHARTlineが行っていますが,運行だけではなく経営もHARTlineか,
タンパ市当局にすることも検討されているようです.

HARTlineでは,今日明日の問題ではないものの,財政危機は確実にやって
くると認識しています.

HARTline OKs Streetcar Budget, But Concerns Persist
(Tampa Tribuneのニュースへのリンク)

今後の状況次第では,沿線の商業向け土地の所有者だけでなく,住宅地と
して土地を所有している人や,沿線住民にも路面電車税を課税しなければ
ならないのかもしれません.

2003年10月から2004年9月までのFY2004データ
* 乗車人数は42万6千人弱で,うち土曜日が約33%,一日平均1184人.
* 収入 187万ドル弱,支出 259万ドル弱,差し引き72万ドル弱の赤字
* 収入では運賃収入は45万ドル弱と,予算の40万ドルを上回ったものの,
16万6千ドル見込んでいたFund Balanceがゼロ.
* 支出は予算では30万ドルだったCSX Crossingが87万ドル強に.

これは途中にあるCSX(貨物鉄道)との交差部分があり,ここでの障害が路面
電車の運休や遅れの原因にもなっています.CSX線も路面電車も通行量が
多いこともあり,安全確保も大変ですが,CSXへの保険の支払が支出増の
どうも一因になったようです.
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2005年10月15日

【パリ】路面電車69年目の復活に向けて発進

1937年に最後の路線(Porte St Cloud 〜 Vincennes)が廃止されて69年目に
あたる来年12月に,パリ市内に路面電車が帰ってきます.車両メーカーから
第一号の車両が納入された先月,68年振りのトラムウェイ(路面電車)
して紹介しました.

RATPの路線名としてはT3になります.これはすでに路面電車が2系統存在する
からなのですが,いずれも厳密にはパリ市のすぐ外側を走っているため,
今度が正真正銘のパリ市電復活となるわけです.
RATP : Régie autonome des transports parisiens (パリ交通営団)

そのT3で初めての試運転が,Pont du GariglianoとBalardの間で10/12に
行われました.RATPの責任者はもちろんのこと,パリの市長をはじめ,RATP
がカバーするのはパリ市だけではありませんので,イルドフランスの代表者
らも試乗したもようです.
ただし朝のラッシュ時に交差点を通過した際に,建設工事による渋滞で頭に
きている運転手たちが,市長らが乗った路面電車に対してクラクションを
鳴らすという冷ややかな洗礼もあったようです.

今回数あるの中で比較表があり参考になる報道サイト(画像はT2)
Paris: le tramway des Maréchaux roule
(Techno-science.netのニュースへのリンク)

なおパリの話だけあって,英語での報道もありました.最後にロンドンとの
比較項目も載っています.
Le tramway lines up greener future
(Times Onlineのニュースへのリンク)

記事のタイトルの中にグリーンが出てきます.実際に芝生が2エーカーに
わたって軌道に植えられているほか,通り沿いには千本の並木も植樹される
ようですし,開通後は一日10万人の利用者が見込まれ,ヨーロッパで最も
混雑する路面電車になりそうな未来が待っています.
試運転と芝生軌道の様子 Les premiers essais du tramway
(公式サイト,un tram pour tousへのリンク)

建設費その他の負担分担は次の通りだそうです.(下記リンクより)
(金額は2000年から2006年の7年分と思われます)
* パリ市 9370万ユーロ (都市再開発?分を含む)
* パリ交通営団(RATP) 8573万ユーロ (21編成の車両代金を含む)
* イルドフランス レジオン(地域圏) (Région Ile-de-France) 8132万ユーロ
* 国?(État) 5076万ユーロ
Le financement (公式サイト,un tram pour tousへのリンク)

フランスでは先日10/04に全土で一斉ストライキがありました.
パリは一日で終わりましたが,ここで紹介したこともあるナンシー(Nancy)と
マルセイユ(Marseille)では,それから11日間も続いているようです.
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2005年10月14日

【BART】今度の週末は終夜運転

BARTは意外にも24時間運転を行っていません.零時過ぎから午前4時頃まで
メンテナンスのため電車の運転を普段は休止しています.しかしこの週末,
ミレニアム(2000年)前夜から元日にかけて実施されて以来となる,24時間
運転が実現されます.これはベイブリッジ(San Francisco-Oakland Bay
Bridge)が耐震強化工事のため,土日の深夜時間帯に下段の東行きが閉鎖と
なるためにとられる救済措置です.

ベイブリッジはサンフランシスコとオークランドを結ぶ上下二段の橋です.
現在上段はサンフランシスコに向かう西行き,下段はオークランドに向かう
東行きに使われ,一日に28万台余の交通量があるとされる大動脈になって
います.しかし1936年開通ということもあり,大手術が必要な状態でした.
This weekend a good one to avoid Bay Bridge
(San Francisco Examinerのニュースへのリンク)
BART to run 24 hour service this weekend
(San Mateo County Timesのニュースへのリンク)
ほか多数あり

BARTはミレニアム以前も,1989年10月の地震でベイブリッジ上段の橋げたが
落下した際にも,修復までの1ヶ月間終夜運転を行っているそうです.

今回終夜運転されるのは,次の4路線になっています.
Pittsburg/Bay Point 〜 San Francisco International Airport
Dublin/Pleasanton 〜 Millbrae
Fremont 〜 Richmond
Bay Fair 〜 Dublin/Pleasanton
いずれも1時間1本の運転で,上の2つがサンフランシスコとオークランドを
結んでおり,下の2つはオークランド市内だけです.全ての路線をカバーしま
すが,停車するのは21駅だけに限られ,それ以外の駅は通過するようです.
海の下をくぐる区間には2路線走りますので,1時間に双方向2本ずつの運転に
なりますが,BARTのサイトからダウンロードできる時刻表によれば,30分
間隔にはならずに,東行きは5-6分間隔,西行きは17-18分間隔の続行運転に
なるようです.
BART runs around the clock during the October 15th weekend
(BART公式サイトのニュースリリースへのリンク)

ベイブリッジは今でこそ2段とも自動車がひしめき合っている状態ですが,
橋ができてから二十年あまりの間,下段の一部に鉄道が走る共用橋でした.
下段は道路と鉄道が半分ずつ分け合っていて,Key System Railway(Key
System Interurban)などが走っていたそうです.この鉄道はベイブリッジが
完成する前は,フェリーを介してオークランドとサンフランシスコを結んで
いました.オークランドで現在BARTが走っている区間は,ほとんどこのキー
システムが1958年まで走っていたところです.またサンフランシスコ側の
ターミナルは,現在でもトランスベイターミナル(Transbay Terminal)として
バスが使っています.
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2005年10月13日

【シアトル】LRT空港乗入れ一歩前進ほか

LRTの空港乗入れに赤信号? (3) の続編です.

サウスウェスト航空(SWA)が,シアトル タコマ空港からキング郡国際空港
(King County International Airport, KCIA)へ拠点を移転したいとしていた
件で,KCIAの所有者でもあるキング郡のシムス(Ron Sims)郡長は,不許可と
することを発表しました.これにより,シータック空港から航空会社が撤退
して空港の拡張計画が見直される可能性は少なくなり,Sound Transitが
建設中の,シアトル都心部とタクウィラ(Tukwila)を結ぶLRT(Central Link)
が,空港への延長されるのを妨げる障害の一つが消えました.

King郡のニュースリリース,Southwest, Alaska proposals rejected

サウスウェスト航空の移転拒否を伝える報道
Plan won't fly: Sims kills Southwest's Boeing Field hopes
(Seattle Post Intelligencerのニュースへのリンク)
その他多数あり

SWAだけなら移転が許可される可能性がありましたが,SWAのライバルでシア
トルを本拠地とするアラスカ航空までが,最近になって同様の移転申し出を
キング郡にしてきました.そうなると2社分の旅客をさばく空港への道路の
整備と騒音対策などが必要になりますが,そのために大金を投じることは
できないというのが不許可の理由のようです.KCIA周辺住民の反対も根強い
ものがありました.

残る障害は,LRTの空港乗入れに赤信号? (2)でも紹介しているガソリン税の
増税を撤回するイニシアティブ(Initiative)912が,11/08の総選挙と同時に
行われる住民投票の際に,否決(=増税承認)されるかどうかでしょう.
その結果は11月まで待たなくてはなりません.何もかもうまくいくと開通は
2009年12月になる予定です.


一方シアトルのダウンタウンではバストンネルが2年間閉鎖され,トンネルを
LRTに対応できるように工事が行なわれていますが,トンネル建設時に敷設
されたレールが,経費節約のため一部の設計が変えられたことにより,今回
取り替えが必要になったことをSeattle Timesが報じています.
それによれば,当初計画になかったレール敷設は,当時のトンネル建設工事
の終了を遅らせないために,6週間で決断されたとのことです.しかもそれは
政治的な決定だったとの証言があります.
Bus-tunnel error years ago is costly in shutdown today
(Seattle Timesのニュースへのリンク)
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2005年10月12日

【カッセル】トランジットモールから路面電車を追放?

ヘッセン州カッセルで,都心部にあるトランジットモール,Königsstraße
(ケーニッヒ シュトラッセ)を通る路面電車を,ドイツ語の情報しかなく誤訳
かもしれませんが,
どうするかの論議が沸き起こっているようです.

Streit um Straßenbahn in der Fußgängerzone.
(kobinet-nachrichtenのニュースへのリンク)
Wieder Diskussion um Straßenbahn in Königsstraße
(Dr. Heribert Menzel氏のInformationen über Straßenbahn und Omnibus in
Kasselへのリンク)

Königsstraße Stadtplan
(Informationssystem Kassel - Stadt und Regionの地図へのリンク)


今回連邦政府で大連合を組む,キリスト教民主党(CDU)と社会民主党(SPD)に
加えて,自由民主党(FDP)までが,どうもトランジットモールから路面電車を
排除しようとしている勢力で,90年連合・緑の党(Grünen)だけが残そうと
しているようです.

排除と言っても軌道をはがすのではなく,土日の午後トランジットモール内
の電車運行を止めるように要求しているように読めます.
来月にはWeihnachtsmarkts(クリスマス市?)がたつので,その関係なのかも
しれませんが,興味深いのは電車を排除したがっているのが,電車が連れて
くる利用者で利益を得るはずの通りの商店ということです.
Märchenweihnachtsmarkt (カッセルのクリスマス市 紹介)
(kassel tourist GmbHのサイトへのリンク)

2001年にもKoenigsstrasseの商店主らが主張して論争になりました.
この時は郊外からドイツ鉄道線を走り,カッセル中央駅から市内線に乗入れ
するトラム トレインのRegioTramの路線が決まることもあって,選挙の争点
にもなったようです.計画当初トランジットモールを走るようになっていた
RegioTramは,最終的には避けるようになりました.

カッセルの路面電車は,中心街にKoenigsstrasseを走らなくても迂回できる
路線がありますので,運休になるという深刻な事態にはならないものの,
少々不思議な話です.
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2005年10月11日

【ユージン】バス ラピッド トランジットが来秋開業

オレゴン州ユージン(Eugene)と隣接するスプリングフィールド(Springfield)
は,両方の人口があわせて20万人を超える規模ですが,将来を見越してBRT
(bus rapid transit)を2006年秋か同年末までに導入する予定です.この規模
の都市圏では恐らく米国でも初めてのことになるでしょう.
(人名で使われるユージーンを,この都市に使うこともあるようです)
EugeneとSpringfieldの位置関係 (Google Localへのリンク)

ユージンとスプリングフィールドでは,LTD(Lane Transit District)という
公共企業が1970年より路線バスを運行しています.レーン(Lane)というのは
両都市が属する郡の名前で,ユージンにはオレゴン大学(University of
Oregon)があり,学生が多く利用していますが,オレゴン大学(UO)の学生は
IDを見せるとバス運賃が無料になります.(UO Students Ride Free)

BRTは"Emx"と命名され,これでエム エックスと読むそうです.両都市が位置
するウィルメット ヴァレー(Willamette Valley)は,エメラルド ヴァレー
(Emerald Valley)とも呼ばれることがあり,そこを走るEmerald Expressと
いうことから名付けられたそうです.
導入されるのは,両都市を結ぶFranklin Corridorで,距離はわずか4マイル
(6.4キロ).現在の路線バスでも日中20分,早朝などは15分で結ばれる区間
ですが,これを日中16分に短縮しようというものです.
ユージンの起点はEugene Stationとなっていますが,Amtrakのタルゴ列車
Cascadesが発着する駅でありません.アムトラックの駅はバスステーション
から数ブロック離れています.


BRT(bus rapid transit)化のポイントは,ここの場合では次の通りです.
* バス専用レーンの設置(全行路の約60%)
* 交差点でのバス優先信号の導入
* 低床バス導入による乗降時間短縮
* 運賃を(券売機やバスなどで)事前に支払うため複数のドアで乗降可
* 停留所の設備改善(リアルタイム情報の提供やシェルターなどの設置)
* 急行運転(4マイルに途中8ヶ所のみで現在の路線バスから半減)
* 停留所をライトレールのように道路中央に設置(路肩に寄らずに済む)
* 流行のLRTのようなスタイルの連接バス車両(左右両側にドアあり)

その他の詳細や路線図などは,EmX is coming to Eugene and Springfield
in 2006!
に掲載されています.(Lane Transit Districtのサイトへのリンク)

使用するバスは当初オランダのPhileas製になる予定でした.これは当時左右
両側に乗降ドアがある連接バスを入札してきたのがPhileasだけだったから
で,Buy America規制の例外措置も取られていたようですが,その後2004年
には米国New Flyer製に変わっています.
Phileasは磁気式のガイドウェイを提案し,従来の光学式ガイドウェイ方式が
雪などに弱いとされる弱点を克服できるとして,それも当初決め手の一つと
なっていましたが,実績がなかったのが変更の理由かもしれません.


現在一日平均3500人の利用が,BRT化で同5000人に増加すると見込まれて
います.経費は一台100万ドル弱の連接バス5台購入を含めて2300万ドルで,
公的資料が見つかりませんでしたが,このうちの80%が連邦予算から,残りは
地元からのようです.

これだけ見ると,4マイルのバス路線で時間的にもわずかな短縮に2300万ドル
の投資では,懐疑的になる人もいるようです.詳細は不明ですがLTDでは過去
ハイブリットバスの導入で手痛い失敗を犯しているようです.その二の舞に
ならないか心配もするでしょう.

しかし年々人口が増え続け,交通渋滞が激しさを増していくこと,燃料価格
が高騰していくことなどを考えると,EmXの果たす役割は最初は小さくても
徐々に大きくなるでしょう.スプリングフィールド市内では急成長している
北方向に伸びるループ上のBRTも計画されています.
LRTなどの軌道系交通機関を導入するほどではない規模の都市にとって,
少ない投資でライトレール並の効果が得られるBRTの導入が,先見の明が
あったと将来は言われるかもしれません.

Guest Viewpoint: Bus rapid transit is a bold step into the future
(The Register-Guardのopinionへのリンク)
Lane Transit District builds new Bus Rapid Transit line
(Oregon Daily Emeraldの9/19付けニュースへのリンク)
New EmX Station Takes Shape
(KVAL-TVの9/02付けニュースへのリンク)

導入時のプロモーションとして,開業後2年間は運賃が無料だそうです.
その他に公式サイトでは確認していませんが,単線の専用レーンがあるよう
です.道幅の制限があるのか双方向で一つのレーンをシェアするようで,
前後には進入の可否を示す信号機が設けられるそうです.
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2005年10月10日

【ロサンゼルス】都心から海岸を目指して

4月末にMTAが承認していたLAで4番目のライトレール(LRT)が,環境影響報告
を終えました.これで2006年の早い機会に着工が見込めます.4番目のLRTは
ダウンタウンから太平洋岸のサンタモニカ(Santa Monica)を目指すもので,
まず第一期分として,ダウンタウンからカルバーシティ(Culver City)までの
9.6マイル(15.4キロ)が建設され,開業予定は2010年としています.
MTA : Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority

このLRTは通称エキスポ線(Expo Line)と呼ばれますが,Mid-City/Exposition
Light Railというのが正式な名前のようです.ExpoというのはExposition
Boulevard(大通り)沿いに走ることに由来していて,博覧会があるわけでは
ありません.また実際には一部で昔Southern Pacific(の貨物)鉄道だった
所を走るようです.なお理由はわかりませんが,4月には6億4000万ドルの
予算が承認されていましたが,5億9000万ドルに予算が減額されました.
Metro Rail Mid-City/Exposition Light Rail Transit Project 路線図
(MTAのサイトへのリンク)
MTA's Plan for Westside Transit Line Detours South
(Los Angeles Timesのニュースへのリンク)

この記事にもありますが,沿線には反対者がまだいるものの,年々激しさを
増す交通渋滞と,最近のガソリン価格高騰があいまって,反対の声はトーン
ダウンしているもようです.
しかしLAとパサデナを結ぶゴールドライン(Gold Line)のように,MTAの需要
予測に反して利用者数が低迷したり,ロサンゼルス空港のように,空港内
までグリーンライン乗入れが計画されていたのに,予算不足で手前で留まっ
てしまうような中途半端になることを心配しているようです.またMTAは減ら
された5000万ドルをどこからか調達してこなければなりません.

反対者と言えば,LAでは地下鉄レッドライン(Red Line)の延長が葬り去ら
れた過去があります.当初レッドラインはLAの都心部と太平洋岸のサンタ
モニカを結ぶ計画でした.しかし1998年に市民投票で売上税を地下鉄建設に
使用することを禁止され,計画は停滞したままです.
今回のエキスポ線は,これを肩代わりするような形になりますが,当初の
ルートより数マイルも南を走るため,記事の見出しがDetours Southとなって
いるわけです.

本来であれば,LAで大量輸送機関が一番必要とされている,レッドラインの
ウィルシャー大通り(Wilshire Boulevard)を地下鉄で通すことが理想です.
地下鉄では莫大な建設資金が必要になりますが,エキスポ線はライトレール
ですし,途中までは線路跡を利用できることから,相当安上がりになる予定
です.MTAではウィルシャー通りを通らなくても,人が乗ってくることを期待
していますが,果たして結果はどうなるでしょう.

Wikipediaによれば,東側でも同様の現象が起こっており,レッドラインは
East Los Angelesまで行く予定でしたが,ユニオン駅(Union Station)で
止まっています.しかしほぼ同じ区間をゴールドラインの延長分として,
現在建設が進められています.パサデナへのゴールドラインは地上や高架
を走りますが,皮肉にもイーストロサンゼルスへ向かう区間は地下鉄です.
LACMTA Red Line (Wikipediaへのリンク)


LAのビヤライゴサ(Villaraigosa)市長は,太平洋岸までの地下鉄建設計画を
復活させるという公約を掲げていました.Pacific Electricの全盛期には
複数の路線があったようです.Pacific Electric Lines System Map
(Electric Railway Historical Associationのサイトへのリンク)
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2005年10月09日

【シアトル】車庫没収で路面電車運休に

ウォーターフロントストリートカーの運休日が決まりました.
11/19から路面電車はバス代行になります.バスはキング郡のMetro Transit
が運行し,シアトルの無料区間内を走ることから運賃は不要です.またバス
には特別なデザインが施されるようです.
Waterfront streetcar gets new home that saves money and opens views
from new sculpture park

(King Countyのニュースリリースへのリンク)
Covering the Waterfront Streetcar Suspension
(City of Seattle, City Councilのニュースリリースへのリンク)

この運休は,車庫が移転のため閉鎖するからで,新しい車庫ができるまでの
間は運休が続きます.現在の車庫はシアトル美術館のオリンピック彫刻公園
(Olympic Sculpture Park)の一部になるため,立ち退きを余儀なくされた
というわけです.新しい車庫は一時期は今の路線を北側に延長して,その先
に移転する案もありましたが,経費が高くなるためPioneer Square地区に
なりました.今の路線の南側の終点近いOccidental Parkの隣です.
Occidental Park と車庫予定地 (MSN Virtual Earthへのリンク)

シアトル港湾局が提案していた路線を延長した場合,車庫の移転を含めて
2000万ドルかかるのに対して,路線延長のないPioneer Square地区への車庫
移転なら900万ドルで済むというのです.900万ドルはシアトル市と港湾局が
各100万ドルずつを,残り700万ドルはキング郡が負担します.

City Councilのニュースリリースのほうには,代替バス路線図のPDFファイル
へのリンクもあります.それによれば利用者の便宜を図るため,キングスト
リート駅前を通るなど,現在の路面電車の軌道より1本南の通りを走るような
感じがします.観光客だけではなく通勤客も使っているからでしょう.便利
になるからバスのままで十分ということにならなければいいのですが.

新しい車庫は移転先が正式に決まったのが遅くなったため,設計がこれから
始まるようです.その完成後に路面電車の運転が再開されますが,今から
1年半から2年後の,2007年旅行シーズンに間に合わせたいとしています.

ただ予定通り再開できたとしても,ウォーターフロントの高架道路(Alaskan
Way Viaduct)の工事が始まると,また長期運休が待っています.
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2005年10月08日

【ハノーファー】Tw2000電車を全系統に?

ニーダーザクセン州ハノーファー(ハノーバー)では,現在シュタットバーン
(Stadtbahn)が交通の主役です.以前は路面電車タイプでしたが,都心部に
狭い路地が多かったこともあり,1970年代後半には都心部を地下化し,都心
の地上区間はドイツ鉄道の中央駅前に僅かに残るだけになりました.
同時に車両も大型化して郊外まで路線を延ばしていきます.地上区間でも
8割以上が専用軌道で,今夏現在の営業キロは123kmに及びます.先月には
最初の地下区間開通30周年記念の電車も走りました.

使われる車両は大別して2種類あり,シュタットバーン化と同時に投入された
緑色のTw 6000形式260両と,エキスポ開催にあわせて1997年から製造された
銀色のTw 2000形式144両です.
後者はSilberpfeile(シルバーアロー)と呼ばれているようです.新しいだけ
あってTw 2000形式にはTw 6000形式より優れた点がいくつもありますが,
乗客へのメリットとしては,車両の長さが短くなったものの床上の車体幅が
広くなり車内に余裕ができた(車椅子用のスペースがある?)ことや,路上の
低いホームからの乗降りも回転式のステップを採用したことにより,段差が
Tw 6000の三段から四段に増えて,より乗降しやすくなったこと,乗り心地が
良いなどがあげられます.

英語のサイトで一番よくハノーファーのシュタットバーンのことがまとめ
られているサイトは,Visit in Hannover
(Andras Bati氏のサイトへのリンク)

路線図と系統ごとの区間,現在の使用車種などは,ドイツ語のWikipediaに
あります.その他にも膨大な情報が集まっています.Stadtbahn Hannover
(ドイツ語 Wikipediaへのリンク)

Tw 2000形式は機能的には全線に対応しているとのことですが,実際には軌道
の間隔が狭いところがあるようで,これまで3,5,7,9,10,17系統には,幅広の
Tw 2000形式が投入されていませんでした.
しかし最近のüstraのプレスリリースに,2006年5月に3系統が延長されるのに
伴って,使用車両の見直しを図るようなことが記されています.ドイツ語の
ため誤訳かもしれませんが,
これまでの方針を変えて,どの路線にもTw 2000
を投入するということかもしれません.
Tw 2000は全体の三分の一の車両数しかありませんし,増備の話もないよう
ですので,これまで優先的に投入されていた路線では乗車機会が落ちてしま
いますが,市民に平等にという意識が働いたのでしょうか.
Kompromiss für den Einsatz der Silberpfeile gefunden
(üstraのニュースリリースへのリンク)
üstra Hannoversche Verkehrsbetriebe AG

最近オーストリアのウィーンでも,低床車両を路線限定から全線へ広げる
方針変換を発表しています.
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2005年10月07日

【ニュルンベルク】地下鉄:自動とマニュアルの混在

バイエルン州ニュルンベルクには市交通局VAGが運営する地下鉄(U-Bahn)と
路面電車(Straßenbahn)の両方があり,共に軌道系市内交通を担っています.
両者の車両は共用されることなく独立した運用ですが,地下鉄はミュンヘン
と共通仕様で車両のやりとりもあるようです.
VAG : Verkehrsaktiengesellschaft Nürnberg

2006年には3番目の地下鉄U3が,既に運転されているU2と一部区間を共用して
開通する予定です.そのU3はドイツ初の自動運転の地下鉄になる見込みで,
U2との共用区間では自動運転と手動運転が混在することなり,訓練などの
一時的なものを除けば,これは世界で初めての試みでしょう.
もっともU2でも自動化が予定されていますので,人間が運転する地下鉄と,
コンピュータにより運転が自動化された運転手不在の地下鉄の両者が,同じ
軌道上を相前後して走るのは,一時的なものになるようです.
U2とU3の路線が重なるのは,6駅になります.
Schienen-Verkehrsnetz
(VAG公式サイトの路線図へのリンク)
Streckenverlauf
(RUBINのサイトにある地下鉄の路線図へのリンク)

VAGのニュースリリースによれば,新しいU3向けの車両と,駅のお披露目が
10/16にあります.自動運転の非常時の対応などのデモンストレーションや,
質疑応答などもあわせて行われるようです.
Tag der offenen Tür: Die automatische U-Bahn stellt sich vor
Alles dreht sich um RUBIN: Die automatische U-Bahn stellt sich vor
(VAG公式サイトへのリンク)

U3に使われる新型車両のDT3には,パリのメトロ14号線の車両のように運転台
がありません. Wagenpark DT 3
(Die Seite zur U-Bahn und S-Bahn in Nürnbergのサイトへのリンク)

駅にはプラットフォームドア(ホームドア又はスクリーンドア)がありません.
これを設けると,停車位置の精度を高めなければならず,マニュアル運転が
困難になります.U2が自動化されるまでの間,U2のマニュアル運転車両が
走る中では設置できないため見送られました.ただ実際にはU2自動化時に
全駅に設ける予算がないからかもしれません.
安全対策としては,ドアが開く時に車両側からステップ?が出て,ドアと
ホームの隙間を埋めるほか,ドアに付けられたセンサーなどがあります.
また駅やトンネルを監視するシステムが,ホームからの転落などを感知する
と,直ちに地下鉄を止めることができるようです.

なおホームドアなしの自動運転地下鉄は,フランスのリヨンにもあります.

追記(2006/3/25) :
U3の開業が一年以上遅れるという報道がありました.早くても2007年秋
になりますが,これは自動運転にあと1年は試験が必要と,製造メーカの
シーメンスが発表したためです.
Erste vollautomatische U-Bahn der Welt lässt auf sich warten
(2006/3/24付けMDRのニュースへのリンク)

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2005年10月06日

【ニューオリンズ】交通機関に4700万ドル

米国連邦運輸省のミネタ長官が,ニューオリンズとバトンルージュ(Baton
Rouge)の両都市の交通機関(ニューオリンズ RTA,バトンルージュ CATS)に,
交通網の復興(RTA)と拡大(CATS)のために,4700万ドルの緊急資金を提供する
ことを発表しました.
U.S. Transportation Secretary Mineta Announces $47 Million to Restore
and Expand Transit Services in New Orleans and Baton Rouge

(U.S. Department of Transportationのニュースリリースへのリンク)

RTA : New Orleans Regional Transit Authority
CATS : Baton Rouge Capital Area Transit System

ニューオリンズでは被災地域に戻った市民のためのバス輸送に,一方州都の
バトンルージュでは避難のため人口が倍増しているのに,バスが対応でき
なくなっているのを改善するために資金が使われます.先日ネーギン(Nagin)
市長が申し入れていたライトレール(LRT)や,ニューオリンズの路面電車に
関しては,何も触れられていません.路面電車に関しては,生活路線の12番
セントチャールズ線がバス代行ながらも真っ先に復活していますが,残りは
被害が甚大なのかもしれませんし,リバーフロント線のような観光路線は
後回しになるのでしょう.

RTAのウェブサイトには,先日は連絡先がトレーラーになっていましたが,
今は特にその記載がなくなっています.ただし郵便の宛先やGMの居場所は
バトンルージュになっています.またバス路線の復活が増えて8路線になって
います.

そのRTAのサイトのForumで紹介されていたリンク先に,被災後と思われる
キャナルストリート線(Canal Street Line)車両の画像がありました.
Canal Streetcars Drying Out
見た目には問題なさそうに見えますが,日本でも報じられたネーギン市長が
市職員を一時解雇したことを伝えるニュースサイトには,路面電車側面に
掲げられた市長自身の広告に,水面の跡が残っているとして,囲み記事の
扱いで画像を紹介しています.
Nagin Lays Off 3,000 City Workers
(ABC Newsのニュースへのリンク)
その水面の跡というのがよく判りませんが,広告の高さまで水に浸かって
いたのなら,時間と金がかかりそうです.

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2005年10月05日

【シアトル】ストリートカー特別税

サウスレイクユニオン地区とダウンタウンを結ぶストリートカー(路面電車)
の建設に使われる特別税が,シアトル市議会で承認されました.路面電車
沿線の土地所有者に対して,4750万ドルとされる建設費のうち2500万ドルを
納税の形で負担してもらうというものです.
沿線の土地所有者にはほとんど反対者はいないと見られていましたが,この
決定をみて初めて心配になってきた所有者もいるようです.昨日の段階では
報道がありませんでしたが,今日の日付になって出てきたところをみると,
場合によってはまだ紆余曲折があるかもしれません.
Council approves streetcar tax district
(Seattle Timesの10/04付けニュースへのリンク)
Streetcar cost shocks neighbors
(Seattle Post Intelligencerの10/05付けニュースへのリンク)

サウスレイクユニオンは,ダウンタウンの北にあるユニオン湖の南岸の地域
で,多種多様な中小企業や軽工業,小売業から果てはバイオテクノロジーの
研究所もあるほか,住宅地にもなっているところで,マイクロソフトで財を
なした人の興した会社が再開発の中心を担っています.
ここをバイオテクノロジーのハブにして,雇用と住宅の増加を促進させる
計画が,2003年にシアトルのNickels市長から発表されました.その計画の中
には湖岸の公園建設などのほか,ダウンタウンのウェストレイクセンター
(Westlake Center)のすぐ北と直結する2.6マイル(4.2km弱)=ループを含む
片道1.3マイルの路面電車も含まれていました.
In-Depth : South Lake Union (計画内容や変遷など)
(Seattle Channelのサイトへのリンク)

沿線の土地所有者が路面電車建設に際して費用を負担することは,オレゴン
州ポートランド,フロリダ州タンパなどでもみられますが,半分以上を負担
するのは米国では初めてのことかもしれません.

土地所有者からの資金調達は,Local Improvement District (LID)という
システムに基づくもので,ワシントン州法で定められています.今回はスト
リートカーを建設することが整備とみなされ,整備の前後でその区画の市場
価値がどれだけ上がったか,その差額に基づいて支払額が決まるというもの
です.LID対象エリアは,路面電車の軌道からおおよそ400mまでの範囲内に
なっています.
Seattle's South Lake Union Streetcar Project LID FAQs
(Seattle Department of Transportationのサイトへのリンク)

Seattle Timesの記事によれば,LIDの対象内には700区画あり,市の調査では
沿線の地価は690万ドルも上昇しているとのことです.この上昇分のうち36%
を土地所有者は支払うことを求められるようです.

建設費の残りは,シアトル市,ワシントン州,連邦政府から資金が拠出され
ることになっています.このうちシアトル市の分は,今年6月末に市議会から
承認されていました.
運転開始後の運営経費のほうは,年間160万ドルが見込まれています.
開業後2年間は,民間からの資金提供と,$1.25を予定している運賃収入から
賄われ,その後はシアトル市が属するキング郡の交通部門 Metroが経費負担
を補助していくことになっているようです.
South Lake Union streetcar wins council's OK
(Seattle Post Intelligencerの6/28付けニュースへのリンク)

ストリートカー(路面電車)が交通機関として選ばれたのは,米国では路面
電車にはバスでは得られない集客効果があるとされており,それにより経済
的な開発を促進し,沿線の地価を上げると考えられているからです.

このあたりはポートランドでの成功例が強烈な印象を与えています.
プロジェクトのイメージにポートランド市の市電(ストリートカー)が使われ
ているほどです.実際にも車両はレトロ調のものではなく,近代的なものに
なるようです.

この路面電車は早ければ2007年の年末に開業する予定です.
ダウンタウンの終点は,ウェストレイクセンター(Westlake Center)という
ことになっていますが,現在のモノレール駅からもやや北に離れたちょうど
ウェスティンホテルの目の前あたりになるようです.現在改修工事のため
閉鎖しているバストンネルを走る予定のライトレールの駅から遠いのも少々
気になりますが,相互を乗り継ぐ人が少なければ問題ないかもしれません.
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(3) | 米国北西部 I このエントリーを含むはてなブックマーク

2005年10月04日

【サンノゼ】座れないほどの混雑

サンノゼとキャンペル(Campbell)を結ぶ,10/01開業のVasona(バソナ)線
実際に乗車して取材したSan Jose Mercury紙の交通関係のコラムニストが,
同線の電車がサンノゼのダウンタウンに入るころには座席が埋ってしまい,
立つ人が出るほどの盛況ぶりに驚いた様子です.
Surprise: Light rail is standing-room only
(San Jose Mercury Newsのニュースへのリンク)
San Jose Mercury Newsは,VTA叩きでも知られる地元の新聞です.

米国ではニューヨークの地下鉄でもない限り,通勤電車でも立ったまま乗車
しなければならないということは,滅多にありません.


記事にもありますが,サンノゼを中心とするシリコンバレーでは1987年から
ライトレールが走っています.その後42マイルもの路線長を持つまでになり
ましたが,総額10億ドル以上が費やされ絶えず議論の的になっていました.
2000年には3万1千人近かった平日の平均利用者数も,その後の景気低迷で
2002年には半分近い1万7千人にまで低減しています.

米国の各都市では運転コストの30%を運賃収入で賄うのが平均的ですが,VTA
ではそれが14%以下という低さで米国でも最低です.他の都市のような人口が
密集している地域が少ないことが致命的なのでしょう.
VTA : Santa Clara Valley Transportation Authority

それでも路線が延長されるなどの効果があり,2002年を底に徐々に回復の
兆しが見られはじめます.今年はガソリン価格の高騰という助けもあって,
先月は2万3千人にまでになりました.昨年比で7.5%の利用者数増加です.
(8月は8%増という数字もあります)
サンノゼの南へ向かう路線では,時間帯によっては座席が埋まってしまう
ことも日常茶飯事となったため,これに対応すべく一部では2本併結から3本
併結に車両の増結を始めたようです.ちなみにVTAでは2003年には車両の一斉
取替えを終了して,今では近畿車輌製の低床車を100本も所有しています.
それまでは50本でした.

VTAには他にもLRT建設計画案などがあるにはありますし,BARTの延長計画案
もありますが,今回のLRT開業セレモニーが,VTAにとって当分の間は最後に
なってしまうかもしれません.
増税しない限り資金が得られないのです.年内に行われそうな市民投票で,
売上税の25セント値上げ承認を得られるかどうかが鍵です.
As trolley project finishes, chances for another are slim
(The Contra Costa Timesのニュースへのリンク)
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2005年10月03日

【サクラメント】LRTゴールドライン10/15延長

サクラメントのライトレールも,この春以降でしょうか,路線に色の名前が
付きました.1987年最初に開業したWatt/I-80(ワット通りとインターステー
ト80号線の交差点)と2003年開業の旧名サウスラインの終点Meadowviewを
結ぶブルーラインに,ダウンタウンと旧名Folsomラインの現在の終点Sunrise
を結ぶゴールドラインの2つです.

そのうち建設中だったゴールドラインのSunriseから先が,この15日に開業の
運びとなりました.当初は春の予定が遅れていたものです.これでLRTは,
Folsom(フォルソムまたはフォルソン)まで伸びることになります.
Folsom Light Rail Grand Opening Information
(公式サイトへのリンク)

その開業に先駆け,この日曜日(10/02)から習熟運転が始まったもようです.
Trains Start Rolling on New Light Rail Line
(KXTVのニュースへのリンク)

これから開業の日まで毎日,平日は朝5時台から夜7時台まで,30分間隔で
電車が走ることを,歩行者と自動車に向けた警告としてプレスリリースも
発表されています.なおそのダイヤは開業後のものとほぼ同じ30分間隔で,
ダウンタウンからFolsomへ向かう終電は午後6時半発です.土日は始発も朝
10時台となっていて,完全に通勤に特化した形は,LRTというよりコミュー
ターレールのイメージのほうが近いかもしれません.残業の多い会社の人は
使えないと思われるかもしれませんが,時差のある国でもありますし,会社
によっては東海岸にあわせて始業が早朝のところもあるのでしょう.

Folsom市のサイトには,駅の画像なども載っています.
公式資料では確認できていませんが,このサイトによれば,延長区間は
ほとんど単線のように見受けられます.元々サクラメントのライトレールは
初期の段階では単線区間が多くあり,後に利用者の増加とともに徐々に複線
化していった経緯があります.
Grand Opening of the Light Rail Extension to the City of Folsom
(City of Folsomのサイトへのリンク)
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | 米国ベイエリア このエントリーを含むはてなブックマーク

2005年10月02日

【ニューオリンズ】セントチャールズ線バス代行で

RTAのサイトを見てみました.連絡先がトレーラーになっていたり,Useful
Linksに,FEMA(Federal Emergency Management Agency)があったりします.
そして中央に一際目立つように,4つの路線での運転再開を告げていました.

ハリケーンカトリーナ(Katrina)の被害を受ける前にはストリートカー(路面
電車)で運転されていた12系統,セントチャールズ(St. Charles)線も,その
4路線の中に含まれています.路線は以前と同じようですが,タイトルの通り
当分の間は電車ではなくバスでの代行運転で,朝8時から夕方6時までです.
RTA : New Orleans Regional Transit Authority

ニューオリンズの住民の中には,ルイジアナ州の州都バトンルージュ(Baton
Rouge)へ避難している人も多いと聞きます.そのためバトンルージュでは
人口が倍増し,当地のCATS(Capital Area Transit System)によるバスの運行
も大変なようです.ニューオリンズのRTAのバスを移動して,救援するような
話もありました.実際にどうなっているかはわかりません.

またニューオリンズの市長がホワイトハウスに要求した内容の一つに,州都
バトンルージュまでのライトレール建設計画もありました.途中空港を経由
して全長80マイル(128km)にも及ぶものです.いざという時には避難手段と
しても使われるのでしょう.

容易ではないのでしょうけど,少しずつ復興への道を歩みだしたようです.
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(5) | 米国南東部 このエントリーを含むはてなブックマーク

2005年10月01日

【ボルドー】トラム延長と架線レスのゆくえ

来週のストライキや,トラムウェイ建設にかかわる汚職疑惑などの話題も
あるボルドー(Bordeaux)ですが,先週末,トラムA線が路線を延長しました.
第一期の二十数キロがこれで全線開通したことになります.
今回延長された沿線には病院や大学もあり,CUBではA線で現在一日あたり
5万人の利用者に,新たに1万2千人が追加されることを予測していますが,
その半数は病院からになるでしょう.またこれまで他の路線でもそうだった
ように,今度もその予測を上回ることが期待されています.
CUB : Communauté urbaine de Bordeaux

Extension ligne tram A depuis le 26 septembre
(Tram et Bus de la CUBへのリンク)

参考記事
A la conquête de l'Ouest
(Sudouestのニュースへのリンク)
このサイトはアドレスに日付が入るため,ご覧のパソコンの日付と時差で
フランスの日付が異なる時間帯になってから,新聞社がその日のコンテンツ
をアップロードするまでの間は,エラー表示になります.


記事にはトラムの建設中に商売があがったりになり,撤退していった会社も
あった地域の苦悩も,少しだけ載っています.

それに加え今回の区間にも採用されている地表集電システム(APS)が,もしか
したら最後の試練を迎えることになると,大きなスペースを割いて報じて
います.(延長区間のGaviniès〜Hôpital Pellegrin間がAPS区間)
APS : Alimentation par le sol (詳細は下記リンク先をご参照ください)
ボルドー・トラム開業記念 架線なし集電システム (日本語解説)
(Le Tramのサイトへのリンク)

8月にも「地表集電は信頼性を取戻したか」に記しましたが,今回の開業に
先立つ数日前にも,トラムB線が長時間にわたり不通になるなど,残念ながら
この画期的な架線不要のシステムは,まだトラブルが絶えないようです.

今月からはAPS区間で同システムに関係する全ての地下給電ケーブルを,より
頑丈でメンテナンスしやすいものに交換することになっているようです.
もしもこれでダメなら,今度は本当に地表集電システムは,通常の架線集電
に変えられてしまうかもしれません.これまでにも何度か同じような話が
出ていますが,今度は現実味を帯びています.それはA線の北東側の末端部に
あるAPS区間の廃止が,いよいよ現実のものになってきたからです.

A線には本来の目的ではなく,新技術を導入したいという,いわば自治体の
見栄のために地表集電システム(APS)が採用された場所があります.
Cenon地区,Pelletan〜Morlette間 544m
Lormont地区,Bois Fleuri〜Gravières間 410m

どちらもひと電停の間だけで,両方足しても1キロに満たない距離です.
このためだけにトラムの運転士はこの場所を通るたびに切替操作を行わなけ
ればなりませんし,わずかな区間でもあってもトラブルメーカーには違い
ありませんでした.

切替は前後の電停で行われます.ボタン一つ押すだけで自動的に床下の集電
シューとパンタグラフの上げ下ろしが連動するようになっていますが,一度
だけAPS区間に進むのに,パンタグラフをたたまず発車したトラムを見かけた
ことがあります.その時は少し進んだあと急停車してパンタを下ろしました
が,やはり警告する装置があるのでしょう.


わずかひと停留所間だけのAPS区間 (Lormont)
BOD Bois Fleuri
(芝生になっている場所には架線柱がありません)

先週開催されたコミュニティの委員による投票で,両地区のAPS区間を前後と
同じ架線集電式に改める工事の入札が,満場一致で決定されたのです.
ただし実施できるかどうかは,CUBの同意を得られてからになるようです.
posted by NeiTech at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(5) | フランス I このエントリーを含むはてなブックマーク
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