2006年02月28日

【セントポール+ミネアポリス】両都市と中間の温度差

今年の念頭に,ツインシティのセントポールとミネアポリスを結ぶLRTの
建設を,新市長が表明
していることを,ご紹介していましたが,両市の
市長に加えて,政治家や財界のリーダーらが,バスを仕立てて,ライト
レール建設を計画しているUniversity Avenueや,それに続く,いわゆる
セントラルコリドー(Central Corridor)を走りました.
Mayors push for Central Corridor connecting Twin Cities
(KARE 11のニュースへのリンク)

ユニバーシティーアベニュー(University Avenue)を初めとする,Central
Corridorと呼ばれる11マイルは,道路の渋滞が激しく,何らかの手を
打たなければならない状態ですが,ライトレール案のほかにも,BRT(bus
rapid transit)案も,候補に挙がっています.現在では,ミネアポリスの
ハイアワサ ライン(Hiawatha Line)の成功もありますし,両市長がLRTを
推していることもあり,バスによる交通改善案よりLRTは優位に立って
いるようです.

8億4千万ドルのプロジェクトには,まだまだ難関が控えています.まずは
年内に,5千万ドルの初期資金にあてる予算を,州議会から得られるか
どうかだそうです.

追記(2006/3/23) :
FTA(Federal Transit Administration)が,このCentral Corridor計画は
コスト対効果が認められる,とお墨付きを与えたことが報じられました.
これは,建設コストと運営コストを,予測される利用者の通勤時間短縮と
比較した結果で出された結論だそうですが,これによりこの計画は大きな
後ろ盾を得て,連邦政府やミネソタ州からの承認も得やすくなりました.

今後は承認手続きに進むことになりますが,準備書(ドラフトEIS)への
コメントを求めたり,LRTかBRTのどちらにするのかを決定していくこと
になるそうですが,選択は今年の初夏にもなされるだろうとのことです.
しかし,費用対効果の調査はLRTをベースに行われていましたし,EISは
バスよりライトレールのほうが,20%多くの利用者があるとしています.
EIS : Environmental Impact Statement
環境アセスメントにおける環境影響評価書.ドラフトEISと,ファイナル
EISなどの手順を踏みます.
Central Corridor light rail wins key OK
(3/22付けPioneer Pressのニュースへのリンク)


しかし,上記記事にも紹介されている通り,University Avenueで商売を
営んでいる人たちは,必ずしもライトレール賛成ではありません.都心
と郊外を結ぶ路線ではなく,ツインシティの都心同志を結ぶ路線となる
ため,ライトレールは単に通過するだけで,沿線に人を呼び込むような,
波及効果が得られないのではないかと,心配しているのです.

昨年秋に,University Avenueに住所を持つ商業者らを対象にした,LRT
に関する調査結果が,最近公表されています.

LRT建設中の関心事項では,工事中,顧客が店舗に行きづらくなることを
47%が,28%が長期的な損失を,それぞれ心配していています.
建設中の店舗へのアクセスが不便になることに関しては,ここに限らず,
例えば現在LRTを建設中の,ノースカロライナ州シャーロットなどでも,
沿道の不満が高まり,新聞で報道もされています.

建設後では,27%以上がLRT軌道敷設により,沿道の駐車スペースが削減
されることを心配し,21%が建設後にも道路混雑を心配しています.これ
に対して,店舗へのアクセスが良くなると考えているのは17%,顧客が
増えることを期待しているのは,わずかに14%だったそうです.

調査結果は,下記サイト内にPDFファイルで公開されています.
City of Saint Paul University Avenue Business Outreach Survey
(セントポール市公式サイトへのリンク)
一部抜粋は,下記サイトでも紹介されています.
University Avenue LRT Survey Results
(St. Paul Asian American Pressへのリンク)

当地のテレビニュース,KARE 11の記事に話を戻しますが,バスの車内
では,テレビモニターで将来のLRTが走る姿をCGで見せたようです.
KARE 11の記事にあるビデオクリップで,その様子も僅かに出てきます
が,ヒューストンや建設中のフェニックスと同じように,ライトレールは
センターリザベーションを走るようです.
ニュースのビデオクリップには,ハイアワサ ライン(Hiawatha Line)の
映像も登場しています.


LRTが現実のものになると,建設費の半分程度は連邦からの補助金があて
られることになるようで,半分の4億ドル強のうちの更に三分の二,2億
7千万ドル近くをミネソタ州が,残り1億3千万ドル前後は,両市が属する
Hennepin郡,Ramsey郡で賄わなければなりません.
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2006年02月27日

【フェニックス】LRT運賃で経費の三分の一を

アリゾナ州フェニックスでは,2008年にライトレール開業を目指して,
現在建設工事が行なわれています.
2年先の開業ですが,早くも運賃の話がニュースになっています.また
運賃の話になりますが,記事には興味深い数字もありましたので,連続
して紹介させていただきます.

フェニックスのLRTでは,運賃関係で,次の3つの提案がされています.

運賃収受は,米国でこの15年以内に開業したLRTの標準である,honor
systemに基づき,改札口などを設けず,乗車前の切符の確認も行なわない
方式が有力視されていますが,これには,改札設置を省くことで経費節減
になり,また,改札通過や切符の確認などの手間がないことにより,LRT
乗車をスピーディーに,そして容易にする目的があります.それは,電車
の運行を遅らせないためでもあるのです.

券売機などは,米国の他都市でも実績がある,最新のものが導入される
ことになっています.硬貨から50ドル紙幣までの現金に加え,デビット
カード,クレジットカードも受付け,音声による作動も可能なようです.
ちなみに音声は,英語とスペイン語対応です.

スマートカード,=ICカードによる乗車券も,時期的に十分可能とされて
います.何らかの特典や,米国ではまだ例のない,切符以外への活用も
検討されているようです.
Light rail seeks out fare plans
(Arizona Republicのニュースへのリンク)
記事では,honor systemについて,小見出しの付いた一つの段落を占領
するほどの取り上げ方になっています.

Prices for transit tickets
(AZ Central.comのニュースへのリンク)

フェニックスでは,運賃で運営コストの三分の一までを賄えるように,
計画しています.ちなみに,米国では運営費の四分の一を運賃でカバー
できれば,成功とみなされるようです.
一日の利用者数は,2万6千人と予測されています.一方運営コストは,
年間で2260万ドル,一日換算6万2千ドルと見積もられていますので,
その三分の一を運賃で賄うには,運賃は80セントでも足りますが,実際
には,全員が均一運賃ではなく,定期券類や,身障者割引などもあります
ので,現在予定されている通常運賃は,$1.50です.
余裕を見込んでいることもあるでしょうし,現在のバス運賃との整合性
や,乗り継ぎをカバーするためもあるかもしれません.


なお,不正乗車が標準の全体の3%とすると,一日780人になり,この分の
損出だけなら微々たるものですが,改札を設けない以上,検査員が必要
となりますので,そのコストも考慮しなければなりません.多すぎれば,
罰金により回収できる収入以上に,経費が掛かる恐れもあります.
フェニックスと同じタイプの券売機を導入している,カルフォルニア州
サクラメントでは,20人の検査員で,乗客5人に1人の割合を,検査して
いることになっているようです.罰金は,初犯が60ドル,最高額は250
ドルとのことです.

米国での運賃逃れは,標準で3%であること,ミネソタ州ミネアポリスの
LRTでは,それが千人に一人の割合,つまり0.1%と紹介されています.

フェニックス Valley Metro Rail 関連過去ログ :
LRT工事期間中の手厚い対策
LRVモックアップ公開へ
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2006年02月26日

【ロサンゼルス】地下鉄に改札設置か?

LAの鉄道は,地下鉄を含めて"honor system",自己申告システム,いわ
ゆる信用乗車制度を採用していますが,MTAでは,地下鉄レッドラインの
全ての出入口に,回転式改札口(turnstile)の導入を検討しているという
報道がありました.
MTA (LACMTA または Metro) : Los Angeles County Metropolitan
Transportation Authority
米国では,公共交通機関での"honor system"を,"Proof-of-payment"とも
呼んでいます.

米国の本格的な地下鉄で,切符の所持を確認されないまま乗り場に行ける
のは,ここくらいしかないかもしれません.1990年に開業した,ライト
レールのブルーラインが,LRTの標準とも言える信用乗車制を採用する
ことが決まった後に,地下鉄レッドラインも同様に運賃ゲートを設けない
と,当時のLACTCが強く主張したと,記事では紹介されています.
LACTC : Los Angeles County Transportation Commission

MTAは,レッドラインを建設した,SCRTD(Southern California Rapid
Transit District)と,資金を出したLACTCが,レッドライン開業の年,
1993年に合併して誕生した組織です.


しかし,レッドラインの各駅には,回転式改札口の機器設置のための配線
は施されているそうです.2003年の見積もりで,導入コストは3000万ドル
とのことでした.3年前の金額ですし,メンテナンスや保守要員などの
費用も含まれていないものです.

不正乗車率は,MTA全体で5%と見られており,レッドラインだけでも一日
推定6000人以上が,正しく運賃を払わずに乗車しているとされており,
昨年一年間だけで,違反者摘発は5万人以上に上りました.人数には,
車内飲食,喫煙などの違反も含まれていますが,大半が運賃逃れです.
翌年は営業損失1億2500万ドルとなるMTAにとって,不正乗車は頭痛の種
になっています.

ただし,早くも反対意見が出ているようですし,専門家も慎重な態度を
崩していません.利用率が落ちるのではないかとか,偽の切符が出回る
など,システムを欺く方法が出てくるだろうというのです.

なお,記事では全米で改札のない鉄道は,20か所くらいあるようですが,
その大多数がライトレールであること,2000年?の調査によれば,改札の
ない鉄道での不正乗車率は,1%未満から6%までの範囲で,平均は2.4%で
あったこと,MTAの当時の不正乗車率は6%で,サンディエゴと並んで最も
高い割合だったことなども,紹介しています.
MTA Looks at Turnstiles to Snag Scofflaws
(Los Angeles Timesのニュースへのリンク)


ロサンゼルスの地下鉄レッドラインの話題では,今月中旬にLAの市長が,
地下鉄を海までという選挙公約に基づき,これを48億ドルを投じて実現
させたいという表明があり,先週MTAの理事らも,ウィルシャー大通り
(Wilshire Boulevard)を,サンタモニカ(Santa Monica)まで,13マイル
延長させる案に,乗り気だという話もあります.目的は道路混雑の解消
ですが,もちろん賛否両論あって,どうなるかまだ判りません.
Subway plan gains support
(Los Angeles Daily Newsの2/24付けニュースへのリンク)

元々レッドラインは,サンタモニカまで伸ばす予定でした.ところが,
予定地の地下は,メタンガスは発生しやすいことが.不幸にも爆発事故で
1985年に発覚し,それ以来,危険防止のためか,この場所での地下鉄
建設には,連邦政府からの資金が使えなくなる法令まで制定されていま
した.しかし,専門家らの調査により,トンネル掘削に危険なしという
ことが昨年確認され,法令が撤廃されることを目前に控えています.
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2006年02月25日

【ニース】トラム開業遅れと部分開業の可能性

ニースの路面電車(tramway)は,最近は2007年前半開業と,言われてきま
したが,それが更に遅れて2007年の夏の終わり頃になる,ということを,
CANCAが認めたとする報道がありました.
開業が予定より遅れることは,珍しいことではありませんが,ニースでは
車載のバッテリーで,架線のない区間を走ることから,他よりも注目して
いきたいと思います.
CANCA : Communauté d'Agglomération Nice Côte d'Azur
ニース市と,その郊外の市町村など,複数の自治体が集まった共同組織
で,CANCAの場合は,24の地方自治体から構成されています.域内人口は
50万人近くで,その7割がニース市に集まっています.


Tramway de Nice (トップページ)
voir le plan (路線図) (他にもPDFファイル版あり)
(公式サイトへのリンク)
Un tramway pour Nice
(ニース市公式サイトへのリンク)

路面電車の軌道敷設工事に伴い,Gorbellaでは,下水管を交換することに
なりますが,その下水管からアスベスト(石綿)が検出され,その処理に
3ヶ月を要すというような話が紹介されています.その他にも,一ヶ月
程度の遅れが見込まれる場所もあるようです.

車両基地は,16ヶ月前から建設されていますが,ここは膨張するマール,
泥灰土(原文 "marnes gonflantes")があったため,建物の変更が余儀なく
されるらしく,LRVの受け入れは秋の予定でしたが,僅かに遅れて,11月
末か12月初めになるようです.

車両基地の紹介 (公式サイトへのリンク)
Secteur 1 : Comte de Falicon, Centre de maintenance et bd Rémond

しかし最大の難関は,考古学の発掘調査?が7月から行われる,place Toja
です.そこでは軌道敷設工事が,2007年春まで行えないだろうということ
で,更に,発掘調査が長引くと,最悪の場合は,そこで二分割した,半分
ずつの路線での分断開業になる可能性もあるようです.
Les travaux du tramway ont pris du retard
(metroFrance.comのニュースへのリンク)

問題の場所,place Tojaが何処にあるのか,地図では探せないのですが,
square Tojaという場所なら,ガリバルディ広場(Place Garibaldi)の南部
との間で,発掘作業が2月から開始されたという案内が出ていますので,
ガリバルディ広場の近くにあるのではないかと考えています.
Planning Place Garibaldi / Avenue de la République

ガリバルディ広場は,近くのマッセナ広場(Place Masséna)とともに,
架線が張られずに,バッテリーで走る場所です.

資料を基に独自に構成したもので,公式のものではありません.

Nice tramway

緑色の区間は,自動車の走行が禁じられているところ

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2006年02月24日

【マイアミ】路面電車計画に補助金獲得へ

マイアミ市には,ダウンタウンに2つのループ路線からなる,ストリート
カー(路面電車)を,建設する計画があります.
来月から,住民へ向けての説明会も開催されますが,それに先立ち,今週
には連邦政府からのお役人らが,マイアミにやってくるため,連邦から
資金獲得するための,会談が用意されています.

ストリートカー計画の詳細につきましては,下記公式サイトに路線図も
ありますので,ご参照ください.
Miami Streetcar Project
(マイアミ市公式サイトへのリンク)

今回の記事では,建設コストの見積が,1億3000万ドルとなっています.
この金額には,6.75マイルの南北ループと,2.89マイルの東西ループの
軌道,道路やユーティリティ(=電気,ガス,水道などの,道路に沿って
設置された,電柱,ガス管,水道管など)の移設や改良などのコスト,
電車や保守車両,設計などに加えて,交差する鉄道線路(Florida East
Coast Railway)との信号機設置費なども,含まれているそうです.
また,年間の運営コストは,350万ドルと見積もられています.

建設費を賄うためには,連邦政府から資金を得たいところです.こちらで
何度か紹介した,"Small Starts"と呼ばれる,連邦補助金プログラムを
受けられるかどうかが,まず一つの鍵となります.このプログラムで得ら
れるのは,最大でも7500万ドルまでです.

それとは別に,1998年に発効された,Transportation Equity Act for
the 21st Century,通称TEA-21(=米国の21世紀に向けた国民輸送と交通
の公平法)に基づき,5000万ドルの獲得を目指して,Alternate Analysis
(代替分析?)と,Environmental Assessment(環境アセスメント,評価)が
行われていて,結果はこの夏に出るとのことです.
2005年に発効され,"Small Starts"を含む,同じ公平法のSAFETEA-LUに
よる補助金と,TEA-21による補助金は,重複して受けられるようです.
Miami, federal transit officials meet to discuss streetcars
(Miami Todayのニュースへのリンク)

プロジェクトの公式サイト(上記にリンクあり)には,公的機関や,地域
社会との,約半年が見込まれる調整局面に,この2月から入るだろうと
ありますので,ほぼ計画通りに,ことが進んでいるのかもしれません.

過去ログ :
ストリートカー復活へ弾み 2005年11月
米国上下両院の予算交渉委員会が,マイアミ市の計画するダウンタウンの
ストリートカー計画に,200万ドルを与えることを承認していました.

"Small Starts" 連邦補助金プログラム関連の過去ログ :
ワシントン州 【イサクワ】路面電車導入への手助け
ミネソタ州 【ミネアポリス】LRTだけでなく路面電車も再生へ
連邦予算 【FY07】交通関連は議会予算案を下回る
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2006年02月23日

【ウィーン】2005年輸送実績と今後の計画発表

ウィーン市は,公共交通機関の2005年利用実績などを発表しました.
市電,バス,地下鉄の利用者数は,一日200万人,年間で7億4700万人に
達し,これまでにない記録的な人数であることともに,新規開業がない
にもかかわらず,2004年比で1150万人の増加となりました.
利用者のうち,年間パス(定期券)所有者は,31万3千人となり,2004年比
で8500人増えており,このような定期的な利用客の増加と定着が,総利用
者数を底上げしているようです.
ウィーン市内で移動する人?(Stadt zurückgelegten)のうち,昨年公共
交通機関が使われた割合は,34%に及び,Wiener Linienは,ヨーロッパで
最も成功している交通事業者ということだそうです.

これまでの投資で,路線バスの低床車率は,88%になっており,この3年半
の間で35%増えました.市電の低床車率は,これはすなわちULFのことに
なるかと思いますが,現在27%,この3年半の間で70%の伸びです.
ULFは,2007年には全路線に投入されることが,昨年報じられています.
ULF : Ultra Low Floor

ここまでが昨年の実績で,次は今後の計画に関してです.
2006年の投資額は,4億4900万ユーロで,このうち3億ユーロ近くが地下鉄
建設費にまわされ,残りの1億5100万ユーロが,路面電車とバス,地下鉄
の新車や,その他の案内情報版などの,設備投資にあてられます.

地下鉄の建設では,U1の延長工事は,今年9月の開業に向けて既に大詰め
を迎えているでしょう.となれば,資金の大半は,U2延長にあてられる
のだと思われます.U2の延長は,2008年と2010年の完成に向けて工事中
の,総額13億ユーロのプロジェクトです.

地下鉄車両のほうでは,空調付きのVタイプ量産車が導入されるほか,
シュタットバーン(Wiener Stadtbahn)の高架を利用し,路面電車タイプの
車両(E6+c6)も残るU6では,1995年から投入されている,出入口に段差の
ない,Tタイプの車両が,2008年までに38両導入されることになります.
これで2008年には,E6+c6のステップ付き車両が引退して,U6の100%低床
化が図られます.

詳細やその他は,原文をご参照ください.
Rieder: Wiener Linien sind beliebt wie nie zuvor
(APA OTSのプレスリリースへのリンク)

以下は,このプレスリリースを基にしたと思われる記事ですが,上記では
触れられていない事柄として,運賃値上げは今年は無いこと,地下鉄の
新車Vタイプは,10本か11本が投入されること,そして不正乗車のこと
が,加えられています.
Wiener Linien: 747 Millionen Fahrten
(Wiener Zeitungのニュースへのリンク)
Wiener Linien mit Fahrgastrekord
(Kurierのニュースへのリンク)
報道は他にもありますが,内容はAPAの記事で同じのため,省略します.
この2紙には,ちょっとした画像もありますので,紹介しました.


不正乗車(Schwarzfahrer)に関しては,その割合が4%から6%ということ
で,比率は例年と比べて横ばいだそうです.関係者によれば,改札口の
あるパリの地下鉄と比べても,不正乗車率は高くないそうです.Kurier紙
では,"Schwarzfahrer"が一つの段落の見出しになっていますが,やはり
この問題への関心が高いのかもしれません.
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2006年02月22日

【ポートランド】モール改造計画への論議は続く

特に大きな進展はありませんが,新たな情報が得られています.
ポートランドを走る路線バスの大半が通る,トランジットモール(バス
モール,バス通り)にLRTが走る懸念の続編です.これまでの経緯や計画
内容につきましては,末尾に関連過去ログへのリンクをまとめています.


昨年6月に,APTAが北米他都市の交通事業者らをポートランドに集めて,
この案を検討させたことがありました.そのレポートの存在自体は,つい
最近明らかになったばかりですが,TriMetはサイトで,恐らく先週末から
だと思いますが,APTAが出した Peer Reviewを公開しました.
TriMet : Tri-County Metropolitan Transportation District of Oregon
APTA : American Public Transportation Association
peer review : 同分野の専門家たちの査読,評価,意見
Portland Mall: Documents & Publications
APTA Peer Review (February 2006) へのリンクがあるページ
(TriMet公式サイトへのリンク)

ざっと目を通しただけですが,今回のモール改造案を,安全上の理由から
推奨しないものの,必要な措置を施せばいいという感じで否定もしない,
どちらにもいいように解釈できるような報告書に思えます.

週に2回発行されるTribune紙は,先週金曜日の発行分で,この報告への
疑惑を取り上げました.オレゴン州の公文書法に基づき,TriMet内部で
取り交わされた,APTAの委員がポートランド訪問時の,ホテル代と食事
代を,TriMetが負担する話のeメール内容を公開して,APTAの報告は胡散
臭いものではないかということを示したのです.
(どこかの国の野党みたいですが)

TriMet: Mall critics had poor data
(Portland Tribuneの2/17付けニュースへのリンク)

一方,これまで取り上げなかった日刊紙のThe Oregonianも,ようやく
この問題を記事にしました.これまでの経緯を簡単にまとめたもの(上)
と,Q&A(下)です.
TriMet preps mall for its 'Nip/Tuck'
A quick look at transit mall overhaul
(The Oregonianの2/20付けニュースへのリンク)
Nip/Tuckとは,米国でシリーズが続いている,マイアミの美容整形外科医
のドラマのタイトルですので,改造を美容整形や形成外科にもじっての
ことでしょう.見たことはありませんが,日本でも放映されています.


1970年代に,今のトランジットモールを建設した際は,工事中は沿道の
店は営業もおぼつかないような状態でした.しかし今度はそうではない
というTriMetの説明を紹介しています.

今後の予定としては,4月までに最終設計をFTAに提出,11月には連邦から
の資金供与が確定して,来年1月に着工,2年後の2009年開業を目指して
います.もしもFTAへの提出期限を逸してしまうと,着工まで更に1年待つ
こととなり,鉄鋼材などの高騰による影響を受けて,建設コストが増して
しまうということです.

また,同紙は社説でもこの問題を扱い,ポートランド人気質では,政策
方針を黙って受け入れることはなく,たとえ正しいことにでも疑問を呈す
ものだ,と言うくだりから始まっていて,市と同様に,最終的にはTriMet
が,安全策を施し説明責任も果たすと確信しているようです.
Transit mall holds up to second-guessing
(The Oregonianの2/20付け社説へのリンク)

一方,都心の居住者や,事業者,ダウンタウンで働いている人らが組織
する,Downtown Neighborhood Association(ダウンタウンネイバーフッド
協会)は,月曜夜の理事会で,TriMetのトランジットモール改造案に正式
に反対することを,投票により僅差で決めたとのことです.
Light-rail plan loses in vote by association board
(The Oregonianの2/21付けニュースへのリンク)


「バス通りにLRTが走る懸念」関連過去ログ :
モール改造ちょっと待った! (4)
建設コスト上昇ほか (3)
バスとライトレールの走行車線交差の危険性指摘される (2)
バス専用のトランジットモールにLRTを乗入れるプラン (1)
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2006年02月21日

【カールスルーエ】特別な硬貨で乗車可能に

バーデン=ヴュルテンベルク州のカールスルーエは,今週から地域限定で
通用する?特別硬貨(Sondermünze)で,路面電車やバスに乗車できるように
なりました.
「City Initiative Karlsruhe」
「KARLSRUHER」
「ka-city.de」
と表面に刻印されたこの銀色の硬貨は,50セントの価値があります.

100か所で利用できるこの硬貨「KARLSRUHER」は,2005年7月の流通開始
以来,すでに3万枚流通しています.KVVはその新たなパートナーとなり,
全線で使用が可能になりました.ただし通常の硬貨も使えなくなった
券売機での購入はできませんし,当面は,市内3か所に設けられている
サービスステーションで乗車券に引換える必要があります.なお,沿線の
店舗などでも引換え可能なように,順次広げるようです.
KVV : Karlsruher Verkehrs Verbund

"Karlsruher" gilt für Busse und Bahnen
(ka-news.deのニュースへのリンク)
KARLSRUHER gilt auch beim KVV
(KVVのニュースへのリンク)

使える店舗なども掲載しているサイト(City-Initiative Karlsruhe) :
Karlsruher Mobilitäts – Bonussystem KVV neuer Partner
(Karlsruhe公式サイトへのリンク)

最近の調査によれば,中心部の大規模もしくは中規模の小売店では,顧客
の53%が路面電車を使って市内までやってくるそうです.
KVVの市電やバスだけではなく,市内11か所の立体駐車場などでも利用
できるようで,1枚50セントの価値があるこのコインの枚数が,乗車券の
金額に見合うだけあれば,結果的に無料乗車も可能なようです.

また,駐車場で使えることと,今回公共交通機関で使えるようになった
ことで,市内を移動する人が,公平に利用できることになりました.
Mobilitäts – Bonussystemという言葉も出てきますが,これを
モビリティ ボーナス システムと,カタカナには出来ても,ピンとくる
ような日本語が見つかりませんでした.

この硬貨の利用方法はわかりましたが,入手方法は今ひとつ不明です.
この特別硬貨の使用価値は50セントですが,いくらで買えるのか記述が
ありません.Bonusmünze(ボーナス硬貨)という言い方もしていたり,
1枚で50セントの割引というような雰囲気があるところをみると,提携
先の店舗で一定の金額以上の買物をすると,ボーナスとしてもらえるの
ではないかと想像しています.
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2006年02月20日

【ロサンゼルス】LRTゴールドライン不振は続く

LRTゴールドラインで急行運転が,先週より開始されていますが,早くも
批判の声にさらされています.
ラッシュ時に30分間隔で運転されることになった急行(express)は,増発
ではなく,これまで各駅停車だったものが建替えられるものだったため,
13駅のうち起点と終点を含む5駅,途中駅では3か所だけにしか停まらず,
残りの駅では待ち時間が長くなってしまったのです.しかも急行に立て
替えられた分だけ本数が減った各駅停車は,混雑しているようです.

今回のLAタイムス紙では,ゴールドラインの2003年の開業日には,無料
だったこともあり,一日で8万人の利用があったこと,それが今では一日
16300人に減っていることや,MTAの他のライトレールでは,2年前と比べ
た乗車率が,ブルーラインで12.3%増,グリーンラインで19.1%増となって
いるのに対し,ゴールドラインは両者の半分しか輸送人員がないものの,
2年前との比較で10%減,前年比で2%減ということも,伝えています.
MTA (LACMTA または Metro) : Los Angeles County Metropolitan
Transportation Authority

また,UCLAの専門家の話として,ゴールドラインは公共交通機関を必要
としない,裕福なコミュニティを走っていていたり,住宅密集地が近くに
あるものの,そこを外して一戸建ての住宅地の中を走っていることが,
利用低迷の理由とされていることや,このLRTが政治路線だったという
ことも紹介しています.
Express Adds Little Luster to Gold Line
(Los Angeles Timesのニュースへのリンク)
Gold Line change is no help to riders
(Los Angeles Timesの2/16付けLETTERS欄へのリンク)

急行は全区間乗っても各駅停車と比べて5分しか速くなく,待避線がない
ことから,途中での追い抜きや追い越しもありません.
現在ラッシュ時も昼間も各駅停車は15分間隔になりました.以前はラッ
シュ時には8分から10分間隔でした.急行は30分間隔で,前の各停の11分
後に始発駅を出発,終点には前の各停の5-6分後にまで詰め寄ります.
急行のすぐ後の各停は急行の5分後に始発駅を出発,終点には10分差に
間隔が広がっています.
Metro Gold Line information (時刻表PDFファイル)
(Metro公式サイトへのリンク)

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2006年02月19日

【サンノゼ】モールでの電停ホーム嵩上げ

シリコンバレーの中心的な都市である,サンノゼ(サンホセ)(San Jose)
でLRTを運営しているVTAは,そのダウンタウンの2か所の電停を,かさ
上げ工事のため今月終わりから8か月間に及び閉鎖します.工事閉鎖は
他の電停でも時期をずらして行われ,工期は全体で18か月に及びます.
VTA : Santa Clara Valley Transportation Authority

今回電停のホーム嵩上げの対象となるのは,St. James駅からConvention
Center駅までの4か所です.Japantown駅以北は2年前に改修工事を終えて
いて,ホームの高さが確保されていますが,今回の一連の工事以降も残る
Convention Center駅以南は未定です.またVTAのライトレールでも最近
開業した区間は,当初から必要な高さを持っています.
Schedules, Maps & Fares > Maps 路線図のあるページ
(VTA公式サイトへのリンク)

VTAでは1987年に最初のライトレールが開通しました.2002年まではステ
ップのある高床車両だけが走っていましたが,その年に近畿車両製造の
低床車を導入します.しかしその運用範囲はホームが必要な高さを満たす
新しい路線,Mountain Viewと I-880/Milpitas間だけでした.
翌年VTAは車両の一斉置換えを行います.高さの足りないホームの電停
のうち,一部をかさ上げ工事で対応し,残りは先頭のドアが停止する位置
に,スロープ付きの木製の台をホーム上に設けることで対処しました.
かさ上げ工事が行われるまでの暫定的な措置です.

段差を苦手とする乗客は,その木製の台の上で電車を乗降りしますが,
スロープが急だったり,雨の日には滑りやすいなどの難点がありました.
また車椅子の乗客の乗降には運転手が補助する必要があるため,停車時間
が長くなり,遅延の原因にもなっていたそうです.

この度はトランジットモール区間の電停で,ホームのかさ上げを行うこと
になるのですが,その計画は低床車導入のはるか以前,1995年にすでに
承認されていました.これほどまでに工事が遅れたのは,トランジット
モールでのホームの高さが問題だったからでした.かさ上げ後のホームは
路面から14インチ(約36センチ)の高さになります.段差というには大人
でもかなり抵抗のある高さです.ホームの長さは270フィート(約82m)に
及びます.その80メートル強で道路を横断しにくくなると,ビジネスに
影響が出るのではないかという懸念があったからでした.

この問題は,ホームの中ほどに路面の高さのままの25フィート(約7.6m)の
すき間を2か所作り,道路の横断をしやすくすることで解決します.
推測ですが,そのすき間の位置にはドアがこないように停車するので
しょうか.ホーム長は80メートル強ありますが,近畿車輛製の低床車は
1編成の全長が27メートル強ですので,3本連結まで対応する長さです.

いくら改良工事とは言え,8か月も電停を閉鎖してしまうことが受け入れ
られてしまいます.トランジットモール内で最も乗降の多いSanta Clara
駅は,流石にクリスマスの繁忙期をずらして来年1月からの工事にする
ようですが,現時点ではVTAからの案内は,少なくとも公式サイト上では
まだ何も出ていないようです.
VTA light rail project prompts station closings
(San Jose Mercury Newsのニュースへのリンク)

現在の電停の様子
Santa Clara station (A9.comへのリンク)
右下の四枚画像が並んだコマのような部分にポインタを合わせると,上に
画像が表示されますし,クリックすると別ウィンドウで更に大きな画像を
見ることが出来ます.たまたまこの場所は現在ライトレール車両が停車
している状態が撮影されていて,最前部のドアにあわせた木製の台と,
その手すりなどが見えますし,右側の屋根のある場所は普通の高さに
なっていることがわかると思います.

Santa Clara駅の隣の,最初に閉鎖されるPaseo de San Antonio駅
Location: Transit Mall-Paseo de San Antonio Peter Ehrlich氏撮影
(www.nycsubway.orgへのリンク)
リンク先では近畿車輛のLRVが大きく写されていますが,右側に仕切りが
ない状態で歩道があり,左側は車道となっているサンノゼのトランジット
モールのレイアウトを垣間見ることができます.
歩道と軌道の間に仕切りが無いため,この区間でライトレールは徐行を
強いられています.それによる所要時間増加を取り上げて失敗と考える
人もいますが,LRTがこの場所を通ることにより,サンノゼの中心部が
瀕死の状態から息を吹き返したことを忘れてはなりません.

角度を変えた同駅の夜景.ホームかさ上げ前ですので,気軽に横断できる
状態であることもよく判ります.
transit mall, First Street, November 12, 2005
(flickr へのリンク)
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2006年02月18日

【ボルドー】Tramパークアンドライドの話題ほか

ボルドーを走るトラム(Tram)の,少々前のものですがパークアンドライド
の利用を伝える報道がありました.
2003年末の開業当初は月1万台だった利用台数が,現在は月5万台に達して
いるそうです.もちろん駐車場の数も最初から今の7か所(A線に4か所,
B線に3か所)あったわけではありませんが,パークアンドライド利用の
乗客数は,2004年と比べても,2005年には95万人に達し,これは前年比の
2倍だそうです.

ボルドーの路面電車のパーク&ライドは,月間パスや週間パス所有者は
無料です.パスを持たない人でもCUBのトラムやバスの往復乗車券を購入
すれば,一日2.6ユーロ,150円換算でも400円足らずで一日利用すること
ができ,全体の65%がこちらを利用しているとのことです.

ボルドーに限らずフランスでも,パークアンドライド制度のある都市は
多くあるようですが,ボルドーでは2008年までに更に8か所を加えて,
現在の一日2500台対応から,5000台まで対応可能にすることを検討中だ
そうです.ちなみに2007年には,現在の3路線が,それぞれ延長される
予定になっていて,すでに建設工事も佳境に入っています.
リヨンでは11か所3600台を提案しいて,クレルモン=フェランでは7か所が
建設中,レンヌでは5か所目を増設中だそうです.


パーク&ライドは通常なら郊外に設けられるものですが,ボルドーでは
1か所だけ中心部にかなり近い場所にもあります.収容台数は250台です
が,空いていません.郊外からA線に乗ると,ピエール橋を渡る前の最後
の電停Stalingradにある駐車場で,橋を渡ると歴史的建造物も並ぶ中心街
に入っていくという至近距離です.
このほか郊外のArts et Métiersにある駐車場は,600台も収容可能にも
かかわらず,200台しか利用されていないとかで,謎だそうです.
駐車場の運営には年間100万ユーロが必要ですが,収入は86万ユーロとの
ことで,年内にも駐車場利用調査がCUBの手で行われるようです.
Parkings et tram font bon ménage
(Sud Ouestの2/04付けニュースへのリンク)
このサイトは時間帯によって404エラーになることがあります


パークアンドライドの詳細(設置場所,料金体系,営業時間など) :
Les parcs-relais (TBC公式サイトへのリンク)
TBC : tram et bus de la CUB
CUB : Communauté Urbaine de Bordeaux


最後にやはり架線レス路面電車,地表集電(d'alimentation par le sol
=APS)の話になりますが,A線の末端部分にあったAPS区間が,架線方式に
改造中のようです.平日の夜間には電車の運転を取り止めて,バス代行と
なっており,工事が終了する5月には切替が完了するものと思われます.
この辺りの経緯につきましては,この1月に「架線レスを売り込み開始?
として紹介しています.過去ログへのリンクもそちらに掲載しています.

夜間はバスによる代行を告げる案内
Tram A : 21h Travaux entre Thiers Benauge et les Antennes
(TBC公式サイトへのリンク)

下記フランス語のバス関係の掲示板には,APSの最終的な仕様が,1/18
付けの"Ville et Transport"に掲載されていたとして紹介されています.
予備のバッテリーはより耐久性のあるものに,収容ボックスはn番目の
バージョン,同軸ケーブルの銅線はよりしなやかに,そしてAPS区間での
制限速度が時速60キロから同50キロに落とされるとのことです.
Suppression de l'APS, c'est pour de bon!
(MegaBus Forumへのリンク)
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2006年02月16日

【シカゴ】高架鉄道50年振りの営業運転

1950年代より営業運転されることがなくなっていた高架鉄道に,この夏
から定期路線が走ることになります.
シカゴの高架鉄道と言えば,「L」(エル)です.現在Lは7系統あり,それ
ぞれ7色の名前で線名を表しています.グリーンラインとブルーラインの
車両回送用にしか使われなくなっていた高架線を使い,ブルーラインの
支線が独立することになりそうです.路線カラーはまだ決まっていません
が,1950年まではその高架橋をシルバーラインが走っていました.

ブルーラインのDouglas支線,54th/Cermak Branchは,昨年1月まで4年に
わたり再生工事が行われていました.それまで高架橋の老朽化などで,
最高速度が時速24キロまでしか出せない区間が半分近くも占めていて,
通常の区間では同88キロですので,所要時間も当然ながら伸びていたの
です.1895年から1912年の間に建造された高架鉄道ですので,これは止む
を得ないでしょう.
余談ながら,Lは第三軌条方式の電車ですが,この支線の末端には地上を
走行する区間もあり,踏切もあるそうです.

その工事では,グリーンラインとブルーラインの連絡線として細々と使わ
れてきた Paulina Connectorも,同様に改修を受けており,今度はその
連絡線を営業用に利用しようという試みです.
現在ブルーラインはダウンタウンを地下鉄(Dearborn Street subway又は
Milwaukee-Dearborn-Congress Subway)で駆け抜けていますが,Paulina
連絡線は,その地下鉄ができる前までは郊外とダウンタウンの有名なLの
ループを結ぶ路線の一部でした.

資料を基に独自に構成したもので,公式のものではありません.
CTA_blue-green-pink
左側が現在のルート,右側が新しいルートです.
新ルートはこの夏より180日間試用されます.最終的にそのルートを継続
するかどうかは,試用期間の最後に決めるそうです.

これまでブルーラインとして走っていたDouglas(または54th/Cermak)支線
は,改修を終えた連絡線を通り,グリーンラインの高架線と合流,ループ
に至ることになります.これまでダウンタウンの地下鉄(地下区間)経由で
オヘア空港まで行っていましたが,ループを回ってそのまま戻るように
なります.下記リンク先の配線図によれば,ループは反時計回りに回る
しかありませんが,今回のChicago Tribune紙によれば,ループでは時計
回り=内回りになるとのことで,下記リンク先にはないポイントが,最近
設置されていると,RAILROAD.NETの掲示板に書き込みがありました.
Current Track Maps (Chicago-L.orgへのリンク)
Blue Line Cermak branch
(RAILROAD.NET Forum Index -> Chicago Transit Authority)
(RAILROAD.NET 掲示板へのリンク)

Douglas支線のスジが他に移ることにより,現ブルーラインの両線の線路
容量に余裕が生まれ,増発による輸送力が図れます.一方割込みを受ける
ほうの,グリーンラインやループの時計回りの線路容量は大丈夫なの
かと心配になりますが,地上走行だけなので問題ないのかもしれません.
あまり参考にはなりませんが,昨年の利用者数は次の通りでした.
ループは時計回りと反時計回りでは同じでないはずですが,資料では
区別していません.
* ブルーライン 地下鉄区間 約720万人
* ブルーライン 地上区間 約736万人 (Forest Park)
* ブルーライン 54th/Cermak支線 約320万人
* グリーンライン 約630万人 (Lake)
* ループ 約1670万人
参考資料 : CTAのレポート(下記リンク)
Ridership Reports for CTA bus and rail services

昨年1月よりCTAではこの計画のヒヤリングを行っていました.その結果
不便になる人への配慮でしょうか,朝夕のラッシュ時に限っては,従来の
ルート(地下鉄経由オヘア空港往復)も若干残すとのことです.
CTA Cermak Branch no longer will be Blue
(Chicago Tribuneのニュースへのリンク)
CTA Board Approves West Side Corridor Service Recommendations
(CTAのニュースリリースへのリンク)
CTA : Chicago Transit Authority

公式路線図 : Central System MapDowntown System Map
(CTA公式サイトへのリンク)

連絡線分岐の衛星写真 (Google Localへのリンク)
Blue line and Paulina Connector
Green line and Paulina Connector

追記 (2006/3/31) :
6/25から半年間試行される新ルートは,ピンクライン(Pink Line)
になります.幼稚園から中学2年までの,シカゴの子供たちからの
応募の結果です.
Add pink to the CTA's spectrum
(3/30付け Chicago Tribuneのニュースへのリンク)
Part of CTA's Blue Line to be renamed
(3/30付け ABC7Chicago.comのニュースへのリンク)
And the Color is…The Pink Line
(3/30付けCTA プレスリリースへのリンク)

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2006年02月15日

【ポートランド】モール改造ちょっと待った!

ポートランドを走る路線バスの大半が通る,トランジットモール(バス
モール,バス通り)にLRTが走る懸念の続編(その4)にあたります.
これまでの経緯や計画内容につきましては,末尾に関連過去ログへの
リンクをまとめています.ご参照ください.


先週後半の段階で,モール沿道の商店主などが中心となり,TriMetが進め
ようとしている,バスモールへのライトレール(MAX)乗入れ案は,安全上
問題があるほか,2年にも及ぶ工事期間がダウンタウンに与える経済的な
ダメージも大きいとして,その計画に反対する人達の話が新聞に取り上げ
られました.
モール改造完成後にも,MAXへの車線譲渡から一部のバス路線はモールを
通らないままになりそうですし,ただでさえ少ない中心部の駐車場も消滅
してしまいます.このプランはトランジットモールの再活性化はおろか,
ダウンタウンをかえって不便にして,人が集まらなくなるのではないかと
心配しているのです.そして計画の再考をTriMetに求めました.

TriMetは3月にも連邦政府(FTA)に最終案を提出することになっていて,
残された時間は限られたものになってきています.
TriMet : Tri-County Metropolitan Transportation District of Oregon
FTA : Federal Transit Administration
Transit mall plan draws mix of foes
(Portland Tribuneの2/10付けニュースへのリンク)
Portland Tribune紙は週2回,金曜と火曜に発刊の無料新聞


市民団体の中には,独自の案を提示するところも出てきました.危険性が
指摘されている,ライトレールとバスの進路を交差させることを止め.
それぞれが独自の車線を走ることとし,一般車両の乗入れをバスの交通
量が多くなるラッシュ時には制限するというものです.この独自提案も,
現在の案は2年に及ぶ工事期間が長過ぎで,地域にダメージを与えかね
ないとしています.
この案は,ウィラメット川(Willamette)の河岸を走るフリーウェイを廃止
させるのに一役買ったことで知られる,Riverfront for Peopleという
組織によって提案されました.しかし今のところこれを報じるニュース
サイトは見当たらず,下記ブログに提案内容のPDFファイルへのリンク
や,提案組織へのリンクがあります.
Mall Discontent II (Portland Transport, ブログへのリンク)

そこに今度は前市長が介入してきました.市の側でもTriMet案を再検討
すべきとしていることを,Portland Tribune紙が取り上げています.
Katz joins transit mall fray
(Portland Tribuneのニュースへのリンク)

Katz氏は,2004年12月までポートランド市の市長で,通勤時に公共交通
機関を利用していたそうですから,この問題に無関心ではいられません.

以前も紹介していますが,外部の専門家からなる委員会は,昨年夏の段階
で,TriMetが進めようとしているバスとLRTの車線が,停留所ごとに交差
するようなレイアウトは奨励できないとの報告を出していました.実は
そのことも,今回のニュースソースでもあるPortland Tribune紙が先月
報じるまで,一般には知られていませんでした.
前の女性市長は,もしも自分が在任中に出た報告だったなら,その場で
現在のレイアウトの前提となっている一般車両の車線新設に対し,ひと
騒動を引き起こしていただろうと言い,更に現在一部区画で締め出されて
いる一般車両を,トランジットモール全線を通じて走らせることで,それ
が沿道にもたらす経済効果が,誇張され過ぎているとしています.

安全性の問題のみならず,これまで2車線を独占してきた路線バスが,
MAXと一般車両に車線を譲り渡すことにより,バスはその通行量を減らす
ことになります.モール改造工事中に迂回させられるバス路線の一部は,
MAXモール乗入れ後も,どれだけモールに戻せるか,これも問題です.

工事期間中の迂回案は現在TriMetのサイト上で公開されていて,TriMet
ではコメントを求めていますが,2つあるうちのいずれのケースでも,
これまで中心部では南北のトランジットモールを走っていた一部の路線
が,東西の通り,それもやや中心部から南側にずれた通りを走るように
なっていて,これにも不満や不安の声があがっているようです.

TriMet側は,トランジットモールの車線割振りを今一度設計し直すと,
コストが10%ないしは20%上昇するばかりでなく,完成時期も1-2年遅れる
ことになると反応しています.
政府の予算案(議会通過待ち)でも連邦からの資金が計上され,あとはFTA
の最終的な承認を得るばかりにまできていますが,果たしてこの先どう
なっていくのでしょうか.

「バス通りにLRTが走る懸念」関連過去ログ :
建設コスト上昇ほか (3)
バスとライトレールの走行車線交差の危険性指摘される (2)
バス専用のトランジットモールにLRTを乗入れるプラン (1)
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | 米国北西部 I このエントリーを含むはてなブックマーク

2006年02月14日

【シャーロット】渋滞緩和策の切り札が渋滞を招く?

ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)では2007年夏ごろの開業を
目指し,ライトレール建設工事が現在たけなわです.今月に入ってから
ライトレールと軌道敷を共用するため,古典的な車両で運転されていた
路面電車(トロリー)が工事期間中の運休に入りました.

米国でのLRT導入は,道路の混雑緩和がその目的の一つでもありますが,
完成後のライトレールが,その意に反して渋滞を引き起こすのではないか
という懸念が持ち上がりました.

全長10マイルのシャーロットのLRTは,道路と交差する場所が20か所ほど
ありますが,そのうちLRTが高架となる立体交差化するのは4か所だけで,
残り16か所は踏切になります.
ラッシュ時には片方向だけでも4分間隔でLRTが走ると,これらの場所で
道路は渋滞するのではないかという心配です.4か所に限っては交通量が
多いためLRTが高架化されますが,全線高架では建設費が2倍にも3倍にも
膨れ上がるため,交通量の比較的少ない場所では,平面交差のままとされ
たのでした.

CATSのプロジェクトマネージャは,貨物列車に比べるとはるかに短いLRV
通過で踏切が閉まるのは,せいぜい40秒前後だとして,楽観視している
ようです.CATS : Charlotte Area Transit System

路線の南半分では,LRTは貨物鉄道(Norfolk Southern)から線路敷地を
購入し,貨物線と並走していますが,アップタウン(都心部)寄りの北側
では,これまで貨物線が走っていなかったこともあり,踏切それ自体が
自動車のドライバーにとって新しい体験になるかもしれません.
また途中には線路が一旦道路の上下(南北)車線の間に入り,また出て行く
という場所があります.南行車線では,その前後で2回も踏切を通らなけ
ればなりません.南行は都心部から郊外に向かう方向ですので,朝では
なく夕方のラッシュになりますが,この場所が渋滞のネックになるのでは
ないかと考える人もいます.

記事では危険性についても触れていて,オレゴン州ポートランドでMAX
開業後の犠牲者数が20年で18名だとか,テキサス州ダラスでは10年で7名
というような事例に加えて,遮断機を取り付けても,米国では反対側の
車線にまで遮断機を設けないため,車で反対車線に回りこんで踏切に進入
し,4人がダラスでは犠牲になっていることも伝えています.
CATSではこの反対車線を経由して踏切突破ができないよう,中央分離帯を
遮断機の手前では少し高くしたり,これまで不定期で時々しか貨物列車が
通らなかった線路を,歩行者が油断して渡らないように,貨物線とライト
レールの間にフェンスを設けるなどの対策を講じるそうです.
Fast trains expected to slow traffic
Light rail to halt vehicles on 16 streets at South Boulevard
(The Charlotte Observerのニュースへのリンク)

シャーロット ライトレール 公式サイト :
CATS / Rapid Transit Planning / South Corridor
(シャーロット市とメックレンバーグ郡の公式サイトへのリンク)

シャーロット ライトレール 関連過去ログ :
LRT工事本格化でトロリー運休
LRT開業まであと1年半
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 米国南東部 このエントリーを含むはてなブックマーク

【クレルモン=フェラン】電停プロトタイプ公開

クレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)は,タイヤメーカの本社がある
ことでも知られますが,ゴムタイヤトラム(le tram sur pneu)が年内にも
街中を南北に貫く路線を走る予定になっています.
車種は堺の実験線で,日本でもお馴染みになりつつあるトランスロール
(Translohr)です.2005年12月には営業用車両も現地入りしたことは,
鉄道雑誌などでも既に紹介されていたかと思います.

車両お披露目より遅れること2ヶ月,今度は意匠を凝らした電停のプロト
タイプが公開されました.営業開始後には北の終点から二つ目の電停に
なる予定の,Croix de Neyratでです.
電停のデザインに都市建築で有名らしい Jacques Dulieu氏が起用され,
建設はバス停の広告などで世界的な企業の JC Decauxが手掛けました.

La première station du tram à Croix de Neyrat
Présentation de la station prototype (PDFファイル 257.39 KB)
(SMTC - Le tram Actualitésのニュースリリースへのリンク)
SMTC : le Syndicat Mixte des Transports en Commun de
l’agglomération clermontoise


原語がフランス語のため理解不明なことが多いのですが,リンク先にある
画像を見る限りでは,木とガラスを多用して自然とモダンの調和を強調
した,いかにも今風のデザインに仕上がっています.一方で全長14キロに
及ぶ路線には,31の停留所に62のホームが設けられるため,部品を極力
標準化して予備の備蓄を抑えるなどの配慮もされています.

62のうち22のホームには,PMRと呼ばれる身障者向けの待合所?(原語は
abri)が設置されるとのことですが,普通の待合所(ホームの屋根付きの
部分と思われます)とは別に設けられることが判っても,普通のと比べて
どこが違うのか,文章を読んでもPDFファイルのイラストや,実物を撮影
した画像を見ても,よく判りませんでした.

さらにヴァンダリズム(vandalisme)など破壊行動への対策として,建造
物はいずれも強固なものになっているほか,落書き対策としてガラスにも
特殊な加工を施してあるようです.

クレルモン=フェランの交通機関に関しては,下記サイトが画像も豊富で
非常に充実しています.まだまだ建設中のページもありますが,今後も
要チェックでしょう.英語のページは今のところ404になります.
le Site Non-officiel des transports en commun de l'agglomération
Clermontoise!

(クレルモン=フェラン地方の非公式の交通関係サイトへのリンク)
SMTCや,T2Cの公式サイトにも路線図はありますが,このサイトにはGIF
ファイルで見ることが出来ます.
T2C : Transports Urbains de l'Agglomération Clermontoise

クレルモン=フェランには,すでにゴムタイヤ式トラム(le tram sur
pneu)が走っているとしているサイトもありますが,これは光学式ガイド
装置を装備した,日本で言うところのガイドウェイバスのことでしょう.
2001年より走り始めた,Léo 2000とも呼ばれる路線バスの14番系統で,
今回紹介のゴムタイヤ式トラム(路面電車)がA線として開業した後は,
B線と名乗ります.A線が南北に対して,B線は東西に街を走る路線です
が,番号ではなくアルファベットの路線名がつくところをみると,実態は
ガイドウェイバスでも,tramwayとして認知されているようです.

この光学式ガイドウェイバスは,現在はルノー社(Renault)のAgoraという
連接バスが用いられていますが,2004年12月までの試用期間中には,
IrisbusのCivisも走っていました.Civisはバスとしては珍しく丸味を
帯びた前面を持ち,動力源もハイブリット(hybrid)のタイプでしたが,
クレルモン=フェランでは燃費が悪いことなどを理由に採用されません
でした.同じフランスのルーアン(Rouen)や,米国ネバダ州ラスベガスで
走っています

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2006年02月13日

【ロサンゼルス】BRTオレンジラインを防音

2005年10月末に開業したロサンゼルスのBRT(bus rapid transit),オレ
ンジラインの乗客へのアンケート調査がMTAにより1月第2週に行われ,
その結果が今月初めに報じられていました.
MTA (またはLACMTA,単にMetroとも) : Los Angeles County
Metropolitan Transportation Authority

それによれば,対象の14%はそれまで車を単独で運転していた人たちで,
その人たちを含む全体の17%は,MTAのバスや列車を使っていなかった,
いわば新規乗客でした.78%はそれまでもバスや鉄道などの公共交通機関
を利用してきた移行組です.
また全体の85%は,それまでの手段よりも早く移動できるようになったと
言っており,新規乗客だけでみても77%がそう感じているとのことです.

ただし調査対象は1300人で,開業3ヶ月後と間もないこともあり,専門家
らは手放しで喜ぶには時期尚早と警告しています.LRTのゴールドライン
では,開業後に利用者数が激減した過去もあるとのことです.
Busway proving fruitful
Riders say busway saves time, stress
(Los Angeles Daily Newsの2/05付けニュースへのリンク)

そのバス ラピッド トランジットのオレンジラインで,騒音問題が持ち
上がりました.バス専用道では,ゴム入りのアスファルト舗装を施し,
防音化を図っていましたが,それだけでは十分でなかったのです.

開業以来,全線で41件の苦情があり,9か所では適切なレベルを超えて
いたこともあり,一部区間で防音壁を設置することにしました.防音壁は
二重窓になるようです.ただし視界を妨げて安全性を損なう恐れのある
交差点付近などは除かれますし,防音壁よりも高い住宅もあります.
なおこれまで横向きだったバスの排気筒を,後ろ向きに手直しすること
も行われました.
Homes Near Orange Line May Get Double-Pane Windows
(Los Angeles Timesのニュースへのリンク)
MTA May Install Windows In Homes Near Orange Line
(CBS 2のニュースへのリンク=AP記事)

LAオレンジライン関連の過去ログ :
BRTオレンジラインは事故多発?
BRTオレンジラインは成功?
平面交差のバス専用道
オレンジライン開業秒読み
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2006年02月12日

【Newark】City Subwayこの夏新たな一頁

ニューヨークのお隣ニュージャージー州のニューアークで,つい数年前
までPCCカーが走っていた,Newark City Subwayの新路線が,いよいよ夏
にも開業するそうです.どちらもAPの記事ですので,内容は同じです.
Mile-long Newark subway extension to open this summer
(philly.comのニュースへのリンク)
Mile-long Newark subway extension to open this summer
(Newsdayのニュースへのリンク)

Broad Street extensionと呼ばれる支線の開設で,1998年にFTAが計画を
承認,着工は2003年でした.総工費2億770万ドルのプロジェクトは,8割
が連邦政府からの資金で,残り2割がニュージャージー州より交通信託
資金?(Transportation Trust Fund)として賄われています.
FTA : Federal Transit Administration

ニューワークのペンステーション(Newark Penn Station)の地下駅を出た
直後に分岐していた,元Cedar Street Subwayのトンネルを一部使用し,
850フィート(約260メートル)の新しいトンネルをくぐりぬけて,本線とは
異なりすぐに地上に顔を出します.その後はマイナーリーグの野球場や,
博物館のそばを通り,1マイル足らずで終点ボードストリート駅(Newark
Broad Street Station)に到着する短い支線ですが,ニューワークを通る
通勤鉄道の2つの離れた駅(ペン駅とボード通り駅)を連絡するばかりで
なく,通過する沿線への需要が見込まれています.

使用される車両は,もちろん現在のニューアークシティサブウェイで使用
されている,近畿車輛製のLRVになります.

NJ Transit : New Jersey Transit
ニューアークをはじめ,南は州を越えてフィラデルフィアにも乗入れ,
東はカジノで有名なアトランティックシティなど,ニュージャージー州
全域をカバーする公共交通機関.通勤鉄道,ライトレール(LRT),バスを
運行していて,ハドソンベルゲンライトレールも含まれています.


(どちらもWindows Live Local バードアイ画像へのリンク)
Newark City Subway Broad Street Line Centre Street 駅付近
画面の上(南側)へ移動していくと,ニューアークのペンステーションが
見えてきます.
Newark Broad Street 駅とリバーフロントスタジアム(野球場)

Newark City Subway Broad Street Line データ
Newark City Subway system map (GIFファイル)
Newark City Subway (NCS) Extension to Newark Broad Street Station

Downtown Newark Transportation Improvements (JPGファイル)
(いずれもNJ Transit公式サイトへのリンク)

追記 (2006/3/30) :
3/15より架線に通電しているようですし,4/07からと4/14からの
週末,金曜夜から日曜終電まで,Newark Penn駅と,Branch Brook
Park駅の間はバス代行になります.トンネル内の分岐点の工事かも
しれません.Branch Brook Park駅は,PCCカー時代の終点ですので
ほぼ全線に近いバス代行です.なお,代行区間の駅の券売機は使え
ないため,バス乗車時にはつり銭の必要のないよう運賃額を用意
するようにと,プレスリリースに記されています.
OVERHEAD WIRE TESTING BEGINS FOR NEWARK CITY SUBWAY EXTENSION
NEWARK CITY SUBWAY SERVICE ADJUSTMENT SET FOR NEXT THREE
WEEKENDS
(NJ Transit プレスリリースへのリンク)


NJ Transitでは,現地時間2/11(土)午後6時から翌日の午後11時59分まで
の間,冬の嵐が到来して猛吹雪が予想されるため,買った切符が鉄道用,
ライトレール用,バス用のいずれであっても,どれにでも乗車できる特例
措置がとられています.
NJ TRANSIT SERVICE ADJUSTMENTS DUE TO WINTER STORM
Cross-honoring in effect to provide customers with travel flexibility
(NJ Transitのニュースリリースへのリンク)
Travel Alerts & Advisoriesによれば,ニューアークとホボケン間では,
PATH(ニューヨークとニューアークを結ぶ第三軌条の地下鉄)への振替輸送
も行うようです.PATH : Port Authority Trans-Hudson
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2006年02月11日

【ボストン】シルバーライン延長に新提案

ボストンのシルバーラインと言えば,地下鉄ではなくバスです.厳密には
BRT(bus rapid transit)ですが,地下鉄の路線図にもシルバーライン
登場しています.
しかしこのシルバーラインは現在2つにわかれています.ちょうど都心の
部分がミッシングリンクになっていて,両者を接続させる計画でしたが,
反対意見が多く,昨年夏に計画を一時棚上げにしました.

最初に開業したシルバーラインは,地上走行のみで,一応バス専用レーン
が設けられていますが,きちんと守られていないようで,目論見どおりの
時間で走れない状態です.後からできたシルバーラインは,バス専用の
トンネルがあり,その中ではトロリーバスとして走り,地上に出た後は
通常のエンジン走行となる,デュアルモードバスで運転されています.
昨年6月にはローガン空港への乗り入れも果たしました.地下鉄ブルー
ライン以外にも空港アクセスの選択肢ができたのです.

当初の計画ではバス専用のトンネルを掘り,ボストン南駅へ乗入れている
新しいほうのシルバーラインと接続させる予定でした.しかし計画が頓挫
してしまっていることは,前述の通りです.反対派はトンネルを掘ること
に懸念を示していました.住民への影響もさることながら,トンネル入口
予定地のそばには緊急医療センターもあったのです.

そこへ昨日,マサチューセッツ州の州運輸省長官が,これらを解決し,
なおかつ予算を大幅に削減できる上,工期も大幅に短縮できるという,
新しい案を打ち出してきました.
しかし周囲への根回しもあまりされておらず,新案はすぐに各方面から
批判を浴びることになってしまいます.実際に運行を担うMBTAですら,
直前に知らされ詳細を検討中で,コメントできないありさまでした.

その新案とは,どのようにして両者を接続させるのか,
答えは地上走行でした.ボストン南駅のそばにトンネル入口を新設する
必要がありますが,あとは道路を走るだけです.
New Silver Line plan offered, stirring critics
Tunnel cut may save time, $700m
(Boston Globeのニュースへのリンク)
記事の中には提案ルートの地図へのリンクもあります.

新たな提案ルートでは,トンネル走行と比べても遜色のない所要時間で
両者を結ぶことができ,建設コストが8億ドルから9400万ドルに激減させ
ることができます.1マイルに及ぶトンネルを掘らずに済むのですから,
当然の話でしょう.しかしこれではBRTのメリットが発揮できません.
専用レーンすら守られていないのが現状です.両者の接続はトンネルで
なければダメだと主張する人もいます.
ボストングローブ紙の記事を読む限りでは,この案ですんなり話がまと
まるようには思えませんでした.

ただし新提案には,接続だけではなく第一期シルバーラインを,南側に
延長する案が含まれています.またバックベイ(Back Bay)のCopley
Squareから,ボストン南駅近くに新設されるトンネル入口を通り,第二期
シルバーラインへ運転させる案もあるそうです.

シルバーラインの2線を連絡させることに,どれだけ重要な意味がある
のかとも思いますが,第一期区間は元々地下鉄オレンジラインが走って
いた場所で,その移設の際に,地下鉄と同等かそれ以上の交通機関を整備
すると住民には約束していました.2つが1つになることにより,第二期
区間が走るサウスボストンや,ローガン空港への便は確かに良くなるで
しょう.

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【フィラデルフィア】バス速達化に反対派がデモ

連邦政府が80万ドルの資金を投与した,Transit Firstプログラムにより
所要時間の短縮を図ろうとした路線バスが,沿線利用者の反対にあって
います.SEPTAは,交差点での青信号を10秒延長するバス優先信号機と,
利用者の少ないバス停を廃止することに加えて,優先信号の効力を発揮
させるため,既存路線のバス停を交差点の向こう側に移設する試みを1月
から行っていました.
SEPTA : Southeastern Pennsylvania Transportation Authority
フィラデルフィアとその周辺地域の公共交通機関を運行する準公営(州営)
の事業者


ところが事前にSEPTAからの相談もなく,バス停を廃止されたり移された
沿線の利用者らが,少々過激な実力行使に及び,今回対象となった52番の
バスを朝のラッシュ時に2時間にわたり止めてしまうほどの騒ぎが起き
ました.52番は市内でも利用の多い路線です.廃止されたバス停は全部で
4ヵ所,移設されたバス停は27ヶ所でした.

騒動の後,SEPTAは4つのバス停を復活させますが,交差点の向こう側の
ファーサイド(far side)に移動したバス停を,元の交差点の手前のニア
サイド(near side)に戻すことは,青信号延長が無駄になるとして,今の
ところはそのままです.しかし住民側は全て元通りにすることを要求して
いるようで,平行線になっています.

SEPTAは,路線バスに自動車などとの競争力をつけるため,運転時間の
短縮を図ることを狙ったつもりですが,足元をすくわれた格好になって
しまいました.下記記事では,告知方法がお粗末だったことを伺わせる
話も掲載されています.SEPTAはバス停の廃止や移設を,12月末にバス停
に告知する貼り紙をしただけでした.日本と異なり,バス停には普段何の
案内もありません.ただ位置を示す標識があるだけで,時刻表があるわけ
でもないのです.そこにある日何かを張り出しても,注意を引くことは
無いでしょう.お年寄りが来るはずもないバス停でひたすら待っていた
ということも紹介されています.
'Faster' 52 bus halted by irate SEPTA riders
They blast 'Transit First' program cutting out stops
(Philadelphia Daily Newsのニュースへのリンク)

この記事には,Transit Firstプログラムは,当初SEPTAでは10番トロリー
(路面電車10系統)で実施するつもりだったとも記されています.
ご承知の方も多いと思いますが,フィラデルフィアのトロリーは,都心部
では地下を走り,周辺部では地上を走ります.地上では大半が併用軌道
となっています.


トロリーの10番では,利用の少ない10ヶ所の電停を廃止し,青信号を延長
するシステムを導入しようとしましたが,杖を突いた老女がやってきて,
廃止された電停では,もう1ブロック歩かなければならないと言ったそう
で,これがきっかけで10番トロリーへの導入が見送られたという関係者の
話が掲載されています.そのため10番トロリーは今も鈍足のままです.

SEPTAのプレスリリースでは,Transit First装置は既に10番トロリーと,
15番トロリーに搭載しているとなっていました.この装置は,青信号を
延長させるための車載発信機のことだと思います.

1月に発表された,速達化を告げるSEPTAのニュースリリース
SEPTA Bus Route 52 To Offer Transit First Service
(SEPTAのニュースリリースへのリンク)

SEPTAでは,Transit Firstプログラムを他のバス路線に広げる予定はない
としていますが,もしも今後も沿線利用者の反対の度が過ぎるようなら,
52番バスは元に戻して10番トロリーで実施するかもしれないそうです.
しかしこれは前にも書いたことですが,安全地帯のないトロリーの電停を
ファーサイドに移すと,乗降中は自動車が横をすり抜けられない規則に
なっていますから,交差点内が混乱してしまうのではないでしょうか.
ざっと見た限り,併用軌道の10番トロリーでは,安全地帯のある電停は
ほとんど無かったように思います.

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2006年02月10日

【シュツットガルト】路面電車の林間部も改軌へ

バーデン=ヴュルテンベルク州シュトゥットガルト(シュツットガルト)
(Stuttgart)では,最後まで残った路面電車15番系統を,狭軌から標準軌
のシュタットバーン(Stadtbahn)へ変換する工事が昨年9月より始まって
います.昨年8月に「路面電車時代に幕」でも紹介しました.

この2月からは,大きく工区を2つに分けたうちの南端部分でも改軌工事に
取り掛かります.区間は停留所で言うと,Geroksruheと終点のRuhbank
(Fernsehturm=テレビ塔)の間です.ここは森林鉄道の趣があるところで,
GT4が走るのを見なければ,とても路面電車とは思えないような所です.
しかし標準軌のシュタットバーン化に伴い,軌道を道路沿いに移します.

今年が最後の冬ということで,インターネット上でもこの場所の15系統を
撮影した画像が多く見られるようになりました.
[S] Ein Tag auf der Linie 15 (m.11B) (2006/1/12付け投稿)
Schneebericht (m4B) (2005/11/25付け投稿)
(Strassenbahn-Forumへのリンク)
これらの投稿では,林間区間だけではなく,15系統の工事中の他の場所の
画像も掲載されています.

道路沿いに線路を移すに際しては,やはりある程度の森林伐採が必要に
なりました.そこで次週から道路を閉鎖して作業を行うとのことです.
Ausbau der Linie 15 geht weiter
Ab nächster Woche werden entlang der Jahnstraße
mehr als 100 Bäume gefällt
(Esslinger Zeitungのニュースへのリンク)
U15: Erste Maßnahmen für den Bau des zweiten Teilabschnitts
(SSB公式サイトへのリンク)
SSB : Stuttgarter Straßenbahnen AG
原文がドイツ語ですので,例によって間違っているかもしれませんが,
SSBは伐採を当初夏にも開始したかったようです.ところがこの森林が
鳥や小動物たちの生息地であることから冬からになりました.緑が茂って
動物たちが営巣地を見つける前に,作業を終えてしまったほうが,影響を
最小限に留められるだろうという配慮からのようです.

今年末までに線路敷設工事を終えて,2007年1月からは今回開始の第二
工区はバス代行になるようにも読めます.バス代行期間中は,都心から
やってきた電車(GT4)は,ループ線のあるGeroksruheで折り返すのでしょ
うか.路面電車15番が,南半分だけですが,シュタットバーンのU15に
変身を遂げる2007年末まで代行バスが走るようです.

道路沿いの新設軌道も,他区間のシュタットバーン化後と同様に3線軌道
になるらしく,それならバス代行にする必要もなさそうに思えますが,
よくわかりません.


シュタットバーン化の詳細は,確認していませんが,おそらくドイツの
鉄道雑誌などに載っていると思います.ウェブサイトでは次のところが
参考になるでしょう.

Bau der Strecke für die U15
(SSB公式サイトへのリンク)
Arbeitskreis Linie 15 (Arbeitskreis Linie 15のサイトへのリンク)


15系統の位置関係を作図してみました
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【シアトル】モノレール7月再開を目指す

ウェストレイクセンターとシアトルセンターを結ぶ,シアトルのシンボル
とも言える市所有のモノレールが,衝突事故で11月末より運休していま
したが,修理の上で7月に運転を再開することにしたと,市長から発表が
ありました.

複線モノレールでのすれ違いざまの接触事故が起きて以来,その存亡も
危ぶまれていたモノレールですが,モール建設時に欠陥を抱えてしまった
間隔の足りない軌道は改善されず,300万ドルとも400万ドルとも言われる
修繕費用をかけて,車両だけが元通りにされます.
その費用は,市の一般財源から資金を回すことなく,保険金や営業再開
後の運賃収入で賄われるようです.また助成金が出るかもしれません.

安全対策として,自動列車停止装置が導入されますが,この資金は市が
出すようです.ただし導入は次の冬になる見込みのため,それまで1編成
だけの運転に留めて安全を確保するとのことです.

今のところの報道は,市長の発表を簡潔に報じるだけです.
Seattle Center Monorail To Return This Summer
(KOMOのニュースへのリンク)
Monorail Returning To Service This Summer
(KIRO 7のニュースへのリンク)
Monorail to reopen in July, after up to $4 million in repairs
(Seattle Timesのニュースへのリンク)
City to repair monorail
(Seattle Post-Intelligencerのニュースへのリンク)

関連過去ログ :
モノレール 営業再開への選択肢
モノレールの欠陥配線はモールが原因
衝突のモノレールは年内再開が絶望的

シアトルセンターモノレールの公式サイトには,まだ何も出ていません.
RIDER ALERT (公式サイトへのリンク)
このページも2005年11月26日付けで,現在修理のため運休を告げるのみと
なっています.
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2006年02月09日

【ニューヨーク】地下鉄T系統は更に遅れか?

政府が打ち出した次の会計年度における,鉄道関係プロジェクトへの総額
15億ドルの連邦予算案に対する報道が,昨日よりあちこちで見られます.

ニューヨークも2つのプロジェクトが候補に上がっていますが,どちらも
満額回答にはならず,すでに遅れている両プロジェクトは更に遅れて,
2012年ごろ開業になりそうだと報じられています.

プロジェクトの一つは,ロングアイランド鉄道(Long Island Rail Road)
の都心側ターミナルを,現在のペンステーションだけではなく,グランド
セントラルステーションにも設けようという,イーストサイドアクセス
(East Side Access)です,
MTA Long Island Rail Road Grand Central Connection
From Long Island To Grand Central Terminal

(MTA公式サイトへのリンク)
MTA : New York Metropolitan Transportation Authority

こちらは審査中のFFGAs(Pending Full Funding Grant Agreements)という
状態ですが,新規事業中では最高額の3億ドルが見込まれています.

もう一つのプロジェクトは,戦後初の地下鉄新線ということでこちらでも
紹介した,地下鉄セカンドアベニュー線(T系統)です.昨年11月に州の
Transportation Bond Act(法案)が投票で承認され,長年にわたり検討
されてきた路線が,実現に向けて大きな一歩を踏み出しましたが,今回の
扱いはOther Projects to be Considered for Fundingということで,
全米5つの候補がある中で,連邦予算1億200万ドルという限られたバイの
奪い合いとなるようです.このため具体的な金額は提示されていません.

競争相手は,ノーフォークの新設LRT,シアトルのユニバーシティリンク
(セントラルリンク-現在建設中のLRT-の北方への延長),ワシントンDC
の地下鉄の延長2線となっています.

Second Avenue Subway Overview
(MTA公式サイトへのリンク)
Second Avenue Line (英語版Wikipediaへのリンク)
現在の版にはJPGファイルによる路線図も掲載されています


ネガティブなタイトルも散見されるニュースサイト(このほか多数あり)
No money yet in federal budget for Second Avenue subway
(The Journal News.comのニュースへのリンク)
Funds for a Grand plan? Feds urge backing of E. Side line
(New York Daily Newsのニュースへのリンク)

政府が提示した連邦予算案の詳細
President’s Budget Recommends $1.5 Billion
for Major Transit Projects

(連邦運輸省のニュースリリースへのリンク)
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【Combino】ブダペスト向けウィーンで製造中

1編成の長さが世界で最も長い路面電車が,ハンガリーのブダペストに
もう間もなく登場することになっていますが,その製造はオーストリアの
ウィーンで行われています.

40編成のコンビーノ(Combino)を,140万ユーロでブダペスト(Budapest)の
BKVより受注していたシーメンス(Siemens)は,ウィーンのSimmering工場
で製作中とのことで,最初の2編成は3月にもトラムの4番と6番が走り,
投入予定でもある当地の Nagykörút(大環状通り?)で,100日間にわたり
6千キロに及ぶ走行試験に入るとのことです.
BKV : Budapesti Közlekedési Részvénytársaság (Rt.)
Grand Boulevard (Budapest) (英語版Wikipediaへのリンク)

定員350名,全長54mの長いトラムは,年内に20編成が投入される予定に
なっているようです.
Wiener Straßenbahnzüge für Budapest
(ORFのニュースへのリンク)

ハンガリー語なので詳細不明ですが,公式サイトに画像などがあります.
「villamos」がトラムという意味の言葉なのでしょう
A Combino villamos
2006. január 19. A Combino "menyegző" (製造中の画像)
Készülnek a villamosok Képgaléria (製造中の画像多数)
Márciusban megérkezik az első két új alacsonypadlós villamos
Budapestre
(想像図や諸元など)
(BKV公式サイトへのリンク)

元SGP,今はシーメンス傘下のSimmering工場は,ウィーン市電のULFを
手掛けていましたが,世界ブランドのコンビーノ(Combino)の製造も行う
ことになり,意義深いというようなことをORFニュースは記しています.

追記 (2006/3/14) :
第一号が落成し,ブダペスト側に引渡されたことが3/13付けで報道されて
います.ブダペストから市長もやってきました.
Made in Vienna: Siemens-Niederflurstraßenbahn für Budapest
(ウィーン市公式サイトへのリンク)
ULF-Tramway Wien beliefert Budapest
(wienweb.atの3/13付けニュースへのリンク)

3/13付けの記事によれば,年内に25編成を納入,その後2007年半ばまでに
今回発注分の40編成全てを納入するとなっています.
ウィーン市公式サイトでは画像も用意されていて,rk-Fotoservice:の
右横からたどっていくと,13.03.2006(日付)のAnsicht Bild 3に,貨車に
搭載されて出発を待つ,6車体から構成されて54メートルの長さを誇る,
世界最長の路面電車の姿を見ることができます.
コンビーノでは7車体のものもありますが,短い車体も含まれています.
今回のブダペスト向けは,6車体全てが長く,台車も持っています.これ
までの短車体に台車があり,長車体は台車なしとは異なっています.

追記 (2006/3/30) :
下記報道(ドイツ語)によれば,6月中旬にも4番と6番系統で営業運転に
就く予定です.それまでに投入予定路線では,架線の更新や電停の
拡張とかさ上げ(道床を下げる)などが行われ,その工事期間中は
バス代行になるようです.
,,Massenverkehr kein Symbol der Armut“
(3/20付け? Budapester Zeitungのニュースへのリンク)

夜間に行われた試運転が,静止画と動画で紹介されています.
First test ride of the "Combino Supra" in Budapest
(上下ともTrams of Hungaryのサイトへのリンク)(英語版)
A clickable imagemap of the lines and some of the important
"tram places"
(簡単な路線図)
Descriptions sorted by routes:Route 4/6 (路線概要)
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【ポートランド】新規交通事業予算2つ獲得

月曜に大統領が鉄道関係向け予算が総額15億ドルであることを発表し,
火曜にはミネタ運輸省長官が配分などを公開した新年度予算FY2007で,
連邦運輸省がFFGAs(=Full Funding Grant Agreements)を出す新規
交通事業は全米で5つありましたが,このうち2つはオレゴン州でした.
FFGAsとは連邦運輸省が申請された全資金を提供する協定というような
意味でしょうか.全資金と言ってもプロジェクトの総額ということでは
なく,連邦に負担を求めてきた分の全額でしょう.

オレゴン州で予算を獲得したのは,いずれもポートランド周辺のメトロ
で公共交通機関を担う,TriMetの次の事業です.
TriMet : Tri-County Metropolitan Transportation District of Oregon
1. I-205 Light Rail
2. Washington County Commuter Rail Project
(TriMet公式サイトへのリンク)

I-205(インターステート205号線)に沿ってMAX(ライトレール)を走らせる
案は,クラカマス郡(Clackamas County)が待ち望んでいたことです.計画
にはダウンタウンのトランジットモールを改造して,MAXを走らせること
も含まれています.

2つ目のワシントン郡の通勤鉄道は,主に貨物鉄道と線路を共有する形の
14.7マイル(約23.5キロ)で,機関車牽引ではなく,米国では珍しいディー
ゼルカーによる運転になる予定です.ポートランドへは直接乗り付けま
せんが,LRT(MAX)のBeaverton Transit Center駅で接続することになり
ます.西海岸で直接都心に乗入れず,乗換えを必要とする通勤鉄道は,
珍しいかもしれません.

予算獲得を報じるニュースサイト(このほか多数あり)
Metro rail projects hit funding fast track
Transit - The president's budget includes $393 million for an
I-205 MAX line and a westside commuter rail
(OregonLive.com (The Oregonian)のニュースへのリンク)
Bush's budget includes $107 million for Portland area transit
(KATUのニュースへのリンク)

連邦運輸省は,道路混雑の緩和に最大の重点を置いてプロジェクトを厳選
しています.新規事業(New Starts)の残り3つは,コロラド州デンバーの
ライトレール延長計画,テキサス州ダラスのライトレール延長計画,ユタ
州ソルトレークシティの通勤鉄道となっています.
どれも通勤需要に対応するものばかりですが,その中でポートランドだけ
は,混雑緩和にはあまり無縁の都心モール改造計画に連邦予算を投じさせ
ることに成功しています.これはMAXを郊外へ延伸するI-205 Light Rail
計画と抱き合わせることにより,成しえたことかも知れません.


そのトランジットモール改造工事期間中に,それまでモールを走っていた
路線バスを,どこに迂回させるかの案が2つ提示されました.
Portland Mall Bus Service to Be Relocated January 2007
(TriMet公式サイトへのリンク)
工事開始は2007年1月からの予定です.

バス通りにLRTが走ることには安全性に懸念がありますが,工事期間中の
混乱を指摘する声もありました.現在モールを走る29路線のバスを,全て
他の通りに走らせることになるからです.2案の詳細は上記公式サイトを
ご覧いただくとして,いくつかの路線はモール改造後(LRT乗入れ後)も,
MAXとバスの干渉を少しでも減らすため,移設先に残す提案もあります.
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2006年02月08日

【FY07】交通関連は議会予算案を下回る

2006年10月から1年間の連邦予算,FY2007がホワイトハウスより提示され
ましたが,トランジット関係は昨年夏に議会で承認された金額よりも,
1億ドル減らされてしまいました.

2005年夏に法案化された,Safe, Accountable, Flexible, Efficient
Transportation Equity Act: A Legacy for Users,略してSAFETEA-LU
の下で,連邦議会は運輸財源として89.7億ドルを保証していましたが,
これが88.7億ドルに減額されたというものです.FY2006では85億ドル
でしたから,これでも前年度比の4.3%増にはなっています.

これに対して非営利団体のAPTAが失望を表明しました.
APTA Statement On President Bush's Proposed FY 2007 DOT Budget
(APTAのニュースリリースへのリンク)
APTA : American Public Transportation Association
(米国公共交通機関協会)

この中でも懸念が示されていますが,レールや専用レーンなど,ガイド
ウェイのある小規模の交通機関の整備を支援するプログラムが,2億ドル
から1億ドルに減額されたことにより,小規模ながら全米で進行中の322の
新規プロジェクトへの援助が削減されるのは不可避とみられています.

明言はされていませんが,これはSmall Startsと言われることもあるプロ
グラムのことだと思われます.SAFETEA-LUが制定した新しい運輸機関への
連邦補助金プログラムの一つで,7,500万ドル以下の小規模な新規プロ
ジェクトに補助金を交付して援助するものです.対象は路面電車,トロ
リー,BRT(bus rapid transit),通勤電車などになりますが,このうち
BRTはここでは専用レーンかガイドウェイシステムを伴うものに限られ
ます.「【イサクワ】路面電車導入への手助け」でも紹介していました.
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2006年02月07日

【マルセイユ】新トラム来春開業は予定通り

フランスのLRTは景気の良い話ばかりですが,昨秋ストライキが続いた
マルセイユでも同様です.
CUM,Communauté urbaine Marseille Provence Métropole,マルセイユ
とプロバンス都市圏のアーバンコミュニティの代表者らが,マルセイユで
建設中のトラムウェイは,予定通り開業すると高らかに宣言しました.
現在はバスで運転されているものの,2004年1月までPCCカーが走っていた
路線の,Saint-Pierre車庫の再開の時の話です.当初は今年の年末という
話もありましたが,今は2007年春の予定です.
Le tramway sur la bonne voie
(20 minutesのニュースへのリンク)

約1年後に開業が見込まれているのは,旧68系統のNoaillesからSaint-
Pierreまで走っていた路線を,更に東に延長するNoailles-Caillols線
(トラム1号線)と,Euroméditerranée-GantèsとBlancardeを
結ぶ路線(トラム2号線と3号線の混成)です.

第一期区間11.2キロのうち,3割は今年11月にも完成するようで,今年
9月には新しいトラムの車両,Bombardier FLEXITY Outlookも到着して
いる予定ですので,試運転が開始されるでしょう.

更に次の第二期区間も,建設が決定して準備に取り掛かるようです.
Gantès==Arenc,Canebière==Castellane,同じくCanebière==Place du
4 Septembreです.
建設の財務計画がMPM(Marseille Provence Métropole)に承認されれば,
2008年後半には着工できる見込みだそうです.

マルセイユお役立ちリンク集
du nouveau tramway de Marseille (公式サイトへのリンク)
Plan de la ville (マルセイユの地図検索サイト)
(マルセイユ公式サイトへのリンク)
Le renouveau du tramway à Marseille (非公式サイトへのリンク)

路線 想像図 (クリックしてください)
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2006年02月06日

【Schwarzfahrer】ドイツのテューリンゲン州では少数

Schwarzfahrerとはドイツ語で無賃乗車の人を言います.直訳すると黒い
乗客ということになりますが,何となく意味が伝わってきそうです.
テューリンゲン州(Thüringen)では,このバスや路面電車での不正乗車が
少ないそうです.総輸送人員に対する不正乗車の人数は,なんと0.1%を
下回り,3%から5%前後のドイツの他都市の例からすると,驚異的に低い
数字になります.

こちらで紹介した街だけでも,ベルリンやフランクフルト(アムマイン)
などの大都市では3%台から4%台ですし,ニーダーザクセン州ブラウンシュ
ヴァイク
(Braunschweig)では5%の時代もあり,テコ入れの結果,昨年は
1.9%にまで下がり,現在は1%未満を目指している段階です.いかにテュー
リンゲン州が低い数字か実感していただけるでしょう.
(ロンドンやパリでは,6%台という話も聞きます)

エアフルトのEVAGでは,検査員(Kontrolleur)が年間に1万2千人の不正
乗客(Schwarzfahrer)を摘発しており,損害額は30万ユーロに及びます.
エアフルトは人口は20万人強で,2004年の都市内輸送人員は3528万人
でした.不正乗車1万2千人と一口に言っても,のべ人数かもしれません
が,一日あたり30人以上ということになりますから,日本の感覚で言うと
これでも多いほうでしょう.ちなみに罰金は40ユーロです.
EVAG : Erfurter Verkehrsbetriebe AG

イェーナ(Jena)では1万人だそうで,この数字はイェーナの近郊都市交通
会社(Jenaer Nahverkehrsgesellschaft)によれば,数年来変わっていない
そうです.イエナでの路面電車とバスの年間輸送人員の合計は,2004年の
数字で2152万人でしたから,かなり低い割合になります.
なお不正乗客1万人のうちの2割程度は,Graufahrerと呼ばれる,間違った
切符を買ってしまったり,家に定期券類を忘れてきたようなケースです.
これらの場合でも容赦なく罰金を取られるのが通例です.Graufahrerは
直訳すると灰色の乗客です.

イエナが不正乗車した乗客の人数があまり変わらないのに対して,ゲーラ
(Gera)では検査体制を強化したため,人数が減っています.これは運輸
会社(Geraer Verkehrsbetrieb)の従業員が,空き時間に検札を行うように
したからだそうです.当初検査員が発見した不正常者人数は,月間1300人
で年換算15600人と比較的多かったのですが,強化後には月間530人(年
換算6360人)と激減しました.
Wenige Schwarzfahrer in Thüringen
(MDRのニュースへのリンク)
Schwarzfahrerquote im Thüringer Nahverkehr gering
(e110のニュースへのリンク)

テューリンゲン州ゴータ(Gotha)のThüringerwaldbahnでは,不正乗車乗客
の割合が,テューリンゲン州の他都市よりも,もっと低いそうですが,
flächendeckenden(平らに覆った?)検札が功を奏しているそうです.
Thüringerwaldbahn und Straßenbahn Gotha GmbH (公式サイトへのリンク)


ザクセン=アンハルト州(Sachsen-Anhalt)の人口約23万人の都市で,MVBが
年間6000万人を輸送するマグデブルク(Magdeburg)では,不正乗車客数は
やはり1%程度だそうですが,60万ユーロと見積もられる不正手段による
乗車の被害は,摘発された人たちが払う40ユーロの罰金で,相殺されて
いるように読めます.
MVB : Magdeburger Verkehrsbetriebe
Millionenschäden durch Schwarzfahren
(e110のニュースへのリンク)
典型的な不正乗客像というものはないそうですが,3分の2が30歳以下の
男性とのことで,無賃乗車などの不正を一種のスポーツとしてみている
のではないかと考えられています.なおマグデブルクでも2割が意図的で
はなく無賃乗車してしまった人たち,Graufahrerとのことです.


ザクセン州(Sachsen)のケムニッツ(Chemnitz)では,切符の偽造が巧妙に
なってきたことを伝えています.
人口約49万人,交通局がカバーするエリアに55万5千人が住むとされる
ドレスデン(Dresden)では,年間の輸送人員が1億3800万人で,一年間に
摘発される不正乗車数は5万5千人だそうです.こちらも比率はかなり低く
なっていますが,担当者は検査係りの出動頻度が非常に重要と力説して
います.それでも年間の損出は1500万ユーロにも及ぶとか.
Nur wenige Schwarzfahrer ertappt
Mitteldeutscher Nahverkehr büßt Jahr für Jahr Millionen ein
(Freie Presseのニュースへのリンク)
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2006年02月05日

【ラスベガス】モノレール空港線計画の概要

モノレールが延長計画に本腰を入れて取り組み始めました.
ラスベガスモノレールの社長が,クラーク郡(Clark County)のコミッショ
ナーやRTCのジェネラルマネージャと,モノレール延長計画の件で会合を
持ち,そのあと発表したところによれば,空港への接続と,ストリップ
(Strip)の西側への路線拡大について,結論に達したとのことです.
RTC : Regional Transportation Commission of Southern Nevada

新路線は建設費を13億ドルと見積もられています.全長8マイルに14から
15駅が予定され,完成後にモノレールは現在の三倍の路線長になります.
空港への路線が5億ドル,ストリップ西側への路線が8億ドルと見られて
います.
この13億ドルにも及ぶプロジェクトは,早ければ来年にも着工,2010年の
開通を目指します.2010年には,計画されているマッカラン(McCarran)
国際空港のターミナル3が開業を予定しています.モノレールの空港乗り
入れでは,ターミナル3を起点に考えていますので,何とかこれに間に
合わせたいようです.

もちろん問題は山積みです.まず資金をどうやって調達するか,これが
最大の難問でしょう.
現在の約4マイルの路線,6億5千万ドルは,ネバダ州発行の公債?(bonds)
を財源としています.開業当初はトラブルのため信用を失いましたし,
その後は順調に走り続けるも,利用者数が見込みを下回り,昨年末には
運賃値上げも行っています.
ただ空港に乗り入れることにより,利便性が飛躍的に向上するでしょう
から,投資する企業が出てくるのかもしれません.もちろん路線は直線で
目的地を結ぶのではなく,すでに開業しているリゾートや,開発が予定
されている場所を経由することが計画されています.

Tracks may lead to McCarran
Monorail addition could run by 2010
(Las Vegas Sunの2/03付けニュースへのリンク)

過去ログ :
モノレールは空港へ?
モノレールの強敵現る? "DEUCE"(ジュース//デュース)登場

非公式の路線想像図 (クリックしてください)
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2006年02月04日

【ポートランド】バス通りにLRTが走る懸念(3)

バス通りのトランジットモールを改造して,自動車を通れるようにする
とともに,ポートランドのライトレール,MAXを乗入れさせる件で,建設
コストが以前より高くなるという報道がありました.2年前に1億6600万
ドルと見積もられていたものが,1億9800万ドルに膨れ上がります.
(前回は1億6300万ドルと紹介していました)

これまでの経緯(過去ログ) :
バス通りにLRTが走る懸念(2)
バス通りにLRTを乗入れる

見積り額高騰の原因は,複雑な計画のため設計コストが余計に掛かった
ことと,2年前の見積り時より鉄鋼の値段が大幅値上げしたことなどに
よる,建設コストの全米的な上昇にあります.

しかし幸運にも値上げ分は,連邦政府により補填されることになります.
FTA(Federal Transit Administration)の負担割合が,このプロジェクト
全体の53%から60%にまで引き上げられたのです.トランジットモールの
改造を含む,インターステート205号線ライトレールプロジェクトは,
5億5700万ドルの総費用のうち,3億3400万ドルをFTAが出します.

ただしFTAからこれ以上はもう出ませんし,オレゴン州や広域自治体の
メトロなど,他の組織も台所は火の車です.
計画内容も切り詰められるところは全て削ってきました.ということは,
このあとインフレで費用が上昇することがあっても,それはTriMetで
何とかしなければならないということです.
しかし設計にはまだ決まっていない部分があり,それによっては費用が
更に上がることもあるのです.例えば交差点にもレンガを敷き詰めるか
どうかとか,トランジットレーン(バスとMAXが走る車線)を,車道の
アスファルトと区別するためにもセメントを使用するかどうかなど,
これらがまだ決まっていないそうです.
TriMet : Tri-County Metropolitan Transportation District of Oregon

前回の補足にもなりますが,幅の広い歩道とバス専用通りが特徴だった
現在のトランジットモールに,自動車の走行を許すことと,LRTを乗入れ
させることには,安全性を心配する声がありました.
今回の記事で紹介されているのは,ポートランド州立大学教授の懸念で,
自動車とライトレールの乗入れはモールの交通量増加をもたらしますが,
それは都市の中心部にとって一番重要な,歩行者の犠牲のもとに成り立つ
というものです.これには考えさせられます.

TriMetは恐らく最終と思われる設計案を,3月中旬にFTAへ提出します.

Transit mall also battles the bulge
Project costs climb, but TriMet finds the extra $32 million
Metro poll: Planning is critical as area grows
(Portland Tribuneのニュースへのリンク)
下段の記事では,メトロ内の世論調査の結果が報じられていて,最後に
交通関連のものが掲載されています.
それによれば,将来も道路が今以上に混雑すると考える人が81%,計画の
優先順位では,新しい道路やハイウェイの建設を望む人が46%で,ライト
レールの建設を望む人の38%を上回りました.しかしそれでも公共交通
機関への投資を良い投資と考える人は,65%だったそうです.

米国西海岸の中では公共交通機関が比較的充実しているポートランドで
さえ,LRTをこれだけ建設しても道路の混雑は収まりませんし,道路の
新設を望む声のほうが上回っています.それでもポートランドは,米国で
唯一,京都議定書に定める温室効果ガスの排出を削減できた都市という
誇りがありました.2005年7月にニューヨークタイムス紙のコラムリスト
が取り上げてからというもの,いたるところで紹介され続けているのです
が,実はそれも誤りだったという話があります.

Analysis: Portland Not Complying with Kyoto, Despite State Claims
to the Contrary

(The Heartland Instituteの2/01付けニュースへのリンク)
これは最近のものですが,すでに昨年8月の段階でもCascade Policy
Instituteが指摘していました.
詳細は上記をご覧いただくとして,ポートランドを擁するマルトノマ郡
(Multnomah)の2004年の二酸化炭素排出量は,1990年の数値を実際には
下回っておらず,京都議定書の基準を満たしていませんし,LRTが走って
いる地域の,一人当たりの一日の自動車走行距離は,過去14年間の増加率が
他の地域から比べて大きいというのです.
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【バーゼル】隠されたコンビーノ衝突事故

この前の日曜に起きたコンビーノ(Combino)同志の追突事故を,BVBが公表
していなかったことが明らかにされました.公表していなかった理由は,
このような衝突はしばしば起きていること,事故は早朝で10分程度の遅れ
に留まったからと,BVBの担当者は話しているそうです.幸いけが人も1人
だけで済みました.しかし前を走っていて追突されたほうのコンピーノの
後部の損傷は激しく,当初5万スイスフランと見積もられた損害額は,
その後10万スイスフランに訂正されています.
BVB : Basler Verkehrs-Betriebe

事故原因は不明ですが,衝突した速度は記録されていて,時速13.4キロ
でした.その割りに追突された後部の破壊が大きいのです.座席が前に
押し出されて前方の座席にくっついてしまいましたし,非常用の後部運転
操作盤もめちゃめちゃになっているようです.再び軽量化のための設計に
よる構造上の問題が疑われています.

BVB keeps silent about accident with Combino
(Basler Zeitungの2/01付けニュースへのリンク
この記事は英語版です.また後部座席部分の画像も掲載されています.
記事の最後の方では,BVBは事故を公開しなかったばかりでなく,この
事故の画像が掲載されたインターネットの掲示板から,その画像などを
削除させたようだとも報じています.

Aufstand der Wagenführer (BAZの記事を転載)
(Tramforum Baselへのリンク)
この投稿は,BAZ(Basler Zeitung)の2/03付け記事を転載しています.
追突したほうのコンビーノの先頭部分の画像があります.
タイトルは直訳すると運転手の反乱ということになりますが,今回事故を
大したことではないとBVBが発表したことに対し,現場の運転手らが怒り
を表しているようです.

それに加えて,コンビーノを運行している他の事業者も関心を寄せ始めた
もようです.バーゼルに程近いドイツのフライブルクでも,Freiburger
Verkehrs AGが,フライブルクでは両運転台なので片運転台のバーゼルの
ようなことにはならないとしながらも,気にしているようです.

1998年に最初にコンビーノを営業に就かせたポツダムのViP(Potsdamer
Verkehrsbetriebs)も同様で,ダメージが構造上の問題によるものなの
かどうか今は不明としながらも,今の段階では危険はないとし,しかし
もしも調査により危険性が認められれば,バーゼルはコンビーノを運用
している全ての都市に通知しなければならないと表明しているようです.
ポツダムではコンビーノ購入を途中で取り止め,現在16編成のみが在籍
しています.
Combino-Crash in Basel
Unfall wird untersucht / ViP: Keine akute Gefahr
(Potsdamer Zeitungsverlagsのニュースへのリンク)

コンビーノはご承知の通り,設計上の問題から車体強度に難点があり,
それが露呈した2004年春のドイツでは,全車が一斉に運用から外される
という事態にまで発展していました.
バーゼルでもコンビーノは改修工事を受けにドイツへ順次移送されること
になっています.
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2006年02月03日

【ニュージャージー】LRTの延長開業とダイヤ改正

ハドソン ベルゲン ライトレール Hudson-Bergen Light Rail(HBLR)の
名前に付けられたベルゲンへ,ようやくこのLRTは足を延ばすことになり
ました.開通は2/25だそうです.

新線区間では,先日ご紹介している19世紀のトンネルをLRTが走ることに
なります.

新しい終点は,衛星画像などで見る限り,駅周辺には貨物鉄道の操車場
や,墓地,湿地帯ばかりが目立ち,住宅地は少ないようですが,700台?
以上収容できるパークアンドライドの駐車場が設けられるとのことです.
ここまで自家用車でやってきてライトレールに乗換え,トンネルを抜けた
先の駅から徒歩4分のポート インペリアル フェリーターミナル(Port
Imperial Ferry Terminal)から出る,ハドソン川を渡るフェリー(NY
Waterway)でマンハッタンのミッドタウン(西38丁目)に行くこともでき
ますし,HBLRでジャージーシティまで出てPATHに乗換え,ローアーマン
ハッタンやニューアークに行くこともできます.

Tonnelle Avenue 駅 バードアイ画像(東向き)
(Windows Live Local へのリンク)
先日トンネルの出口を調べていた際に,ついでにこの終点をバードアイで
見た時には,まだ影も形もない画像が出てきましたが,今回見たら新しい
撮影分に差し替えられたようで,ループ線を持つ駅構内などがしっかり
確認できるようになっていました.


それに先立ち,2/11にはダイヤ改正を行い,輸送力増強やラッシュ時の
運転間隔を短くします.またこれまで独立して運転されていた,ホボケン
(Hoboken Terminal)以北から,ジャージーシティへの直通運転も開始され
ることになり,これまでのようにホボケンで乗換えせずに,ウィーホー
ケン(Weehawken)やノースベルゲン(North Bergen)と,ジャージーシティ
(Jersey City)の中心部が結ばれることになります.
NJ TRANSIT ANNOUNCES GRAND OPENING DATE FOR NEW
LIGHT RAIL STATIONS

(NJ TRANSITのニュースリリースへのリンク)

ウィーホーケン系統からホボケン ターミナルを経由せずに,エクスチェ
ンジ プレイス(Exchange Place)方面へ直通する新設系統は,これまで
使われていなかった渡り線を通ることになると思われます.
(渡り線は,Windows Live Local Birdeyeへのリンク)
リンク先の画像では,右がホボケンターミナル,下がジャージーシティ
方面,左がウィーホーケン方面になります.現時点の画像で上のほうに
停車しているのが見えるのは,HBLRではなくNJ Transitの通勤鉄道の車両
でしょう.

2/26 追記 :
新しい駅の開業後の様子が,アップロードされています.
New HLBR service (pgengler.netへのリンク)



このほかニュージャージートランジット(New Jersey Transit)では,今週
州内の大学生らを対象に,無料乗車サービスを行なっていることも以前
紹介していましが,その申請が3万3千人もあったそうです.2005年9月に
実施した際には6500人でしたから,飛躍的な伸びです.これが関心の高さ
を裏付けているのか,または前回は知りませんが,今回はニュースなどで
かなり多量に情報を流したせいかは不明です.

無料サービスは大学生らに気軽にNJ Transitに乗れるようにすることで,
その便利さと快適さを体験してもらい,将来の利用につなげようという
試みでした.
非公式の運転系統 想像図 (クリックしてください)
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2006年02月02日

【カールスルーエ】車内監視カメラ設置の目的

バーデン=ヴュルテンベルク州カールスルーエの公共交通機関を担うVBK
では,ワールドカップ開催までに,まず最初の10編成の路面電車並びに
シュタットバーン(トラム トレイン)の車内に,カメラを設置することに
しました.目的は車内外への落書き(Graffiti)や,器物破損などの破壊
行為を少しでも減らしたいためです.
VBK : Verkehrsbetriebe Karlsruhe GmbH

監視カメラに効果があるのかについては,マンハイムのRNVが好例を示し
ていました.25万ユーロを投じて1995年に車内に監視カメラシステムを
導入したRNVでは,その効果が浸透してきた1998年以降2004年までの間
に,被害を70%に減らすことが出来たそうです.またマンハイムでは,
落書きの特別捜査班が1998年から活動しているとのことです.
RNV : Rhein-Neckar Verkehr GmbH

ドイツで初めて鉄道に乗った際に,車庫などに留置された車両が落書き
だらけだったのを見て,驚かれた人も多いのではないでしょうか.ドイツ
鉄道(DB)もこれにはかなり悩まされています.落書きを消し元通りに塗り
直すには,1両につき1万ユーロから1万5千ユーロも経費が掛かります.
DB全体で年間に2万4千件の告発があるということなので,捕まった分だけ
でも,それだけの件数があるということなのでしょう.どこかは明確に
されていませんが,近距離交通向け車両の半数が被害にあった地域もある
とのことで,DBの負担は年間5000万ユーロを下回らないそうです.

問題は落書きだけではなく,釘などで自分の名前などを壁や窓ガラスに
彫る行為にもあります.カールスルーエのケースでは,窓ガラスは1枚
交換するのに1800ユーロ掛かり,これが年間に400枚にも及ぶそうです.
これだけでも年間72万ユーロに及びますが,この他にも椅子を壊されたり
するなどを含めると,損害は年間100万ユーロにもなり,運賃値上げ分の
半分近くがこれで消えてしまうようです.
最新のビデオ車内モニター装置を導入しても万能ではないですし,初期
投資も嵩みますが,抑止効果が得られればと期待されているようです.

Kameras in jedem Wagen
Mannheim meldet Rückgang der Schäden um fast 70 Prozent
(Südwest Presseの1/31付けニュースへのリンク)
Notbremse Videoüberwachung
(Stuttgarter Nachrichtenの1/31付けニュースへのリンク)

VBKでは昨日より新管理者が赴任しました.前任者の跡を継いでProjekt
Kaiserstraße(カイザー通りプロジェクト)とU-Strab(路面電車の地下化)
を推進させるようです.
Dienstantritt für Dr. Walter Casazza
(ka-news.deのニュースへのリンク)

U-Strabが完成すると,トランジットモールからトラムが消えることに
なります.地下区間では進行方向右側のドアを生かすのと,建設費を少し
でも減らすため?,島式ホームを採用した上で,左側通行を行なう予定も
あるようです.
Kombilösung (U-Strabを含む計画全体像)
Linksverkehr (U-Strab) (地下の左側通行)
(Karlsruher Stadtwikiへのリンク)
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ I このエントリーを含むはてなブックマーク

2006年02月01日

【ニューオリンズ】ボストンから助っ人来る

世界最古の路面電車の歴史が,ハリケーン カトリーナで一時中断して
いましたが,路線網のうちの一部は昨年クリスマス前に営業運転が再開
しています.現在キャナルストリート線では南端のごく一部,ミシシッピ
川河岸からCrozat通りまでしか走れませんが,これをさらに先に伸ばす
ために必要なポータブル整流器が,埃にまみれていたボストンからニュー
オリンズに貸出しされることになり,今週末に届けられるとのニュースが
舞い込みました.

このポータブル整流器はMBTAが22年前から使っていたものの,機器更新で
使わなくなっていたものです.しかしニューオリンズのNORTA(RTA)では,
これが宝にも見えるでしょう.60フィート(18メートル強)のユニットは,
RTAが全米中を探した中で,ニューオリンズのストリートカーを走らせる
600Vに適応できる唯一のものだったそうです.
NORTA : New Orleans Regional Transit Authority
MBTA : Massachusetts Bay Transportation Authority
(MBTAは地元ボストンで"T"と呼ばれています)

トレーラーに積まれた3個のコンバータは,途中バージニアで修理を受け
たあとニューオリンズには金曜にも到着しますが,これを使ってRTAでは
マルディグラの始まる2/28までに,再開区間の延長を図るようです.
このコンバータはマサチューセッツ州がニューオリンズに1年間無償で
貸出しするもので,その輸送費はMBTAが一旦立て替えているようですが,
RTAでは連邦政府に請求して返済する計画だそうです.
T loaner to power Big Easy's trolleys
(Boston Globeのニュースへのリンク)

昨年クリスマス前の営業再開にまつわる過去ログ :
路面電車 復活に向けた試運転
路面電車 12/18営業再開予定
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | 米国南東部 このエントリーを含むはてなブックマーク

【アーバイン】LRT計画が一部分復活か

カルフォルニア州オレンジ郡で,一度は葬り去られたLRT建設計画が,
距離を大幅に短縮しながらも復活するかもしれない話が出ました.

CenterLineと呼ばれた28マイルにも及ぶLRT計画は,一時はオレンジ郡の
シンボルとまで謳われましたが,長年にわたって議論が重ねられた結果,
10億ドルもの大金をライトレールにつぎ込むより,道路の建設や,バスや
通勤鉄道のMetrolinkを増発させるほうがいいということになり,2005年
10月オレンジ郡の交通関係当局により計画は見送りとなっていました.

新計画では,それまでの路線を大幅に短縮した5.5マイルのみで,主に
アーバイン市(Irvine)を走ります.すでに先週同市の市議会より新しい
計画は承認され,調査費として560万ドルが出ているとのことです.
Light-Rail Plan May Be Back on Track in Irvine
(Los Angeles Timesのニュースへのリンク)

カリフォルニア大学アーバイン校,ジョンウェイン空港(SNA),Metrolink
のアーバイン駅,海兵隊基地の跡地に計画されているGreat Parkなどを
結び,建設コストもCenterLineの10億ドルから2億1千万ドルにまで抑え
られます.このうち1億2500万ドルは,CenterLine向けに計上していた
予算が充当されるようです.これは住民投票で賛同を得た売上税の一部
で,CenterLine建設のために1990年から2011年まで課税が予定されて
いるものです.ただしそれが使えるかどうか,まだ紆余曲折があるかも
しれません.

市の当局者によれば,新路線計画ではライトレールだけではなく,モノ
レールや,トロリースタイル(BRTのことか?)も検討されるようですが,
いずれのモードでも道路や歩道との分離を図り,高架にするようです.

アーバイン市の新計画はOCTAの承認を得る必要がありますが,計画通りに
LRTが建設されて成功すれば,周辺地域のモデルにもなり,ゆくゆくは
アーバイン市のライトレールを中心として,相互に接続できるようになる
かもしれないとの期待がもたれています.
OCTA : Orange County Transportation Authority
オレンジ郡内の交通機関を統括する公的機関.路線バスを運行するだけ
ではなく,道路の管理維持から交通政策の立案までこなす組織で,米国
公共交通協会(APTA)より,2005年の米国の交通機関のナンバー1に選ばれ
ています.

余談,ドラマに出てきたライトレールの台詞
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 米国南西部 このエントリーを含むはてなブックマーク
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