2006年11月30日

【デンバー】LRT駅との連絡橋を拒んだモール

降雪で自動車交通が混乱し,氷結によるポイント不転換でライトレールが
遅れたという話も舞い込んできているコロラド州デンバー(Denver)では,
半月近く前にRTDのライトレール新線が開業していました.
これまでの全長が倍になるほどの,約19マイル(30キロ超)の新路線です.
このライトレールはハイウェイと並走しますが,その建設とハイウェイの
改修を含めた大々的なプロジェクトを,T-REXと呼んでいます.この
プロジェクト全体には16.7億ドルが投じられているそうです.
ライトレールのほうは,サウスイースト・コリドー(Southeast Corridor
Light Rail)と呼ばれ,開通後はEFGHの4系統が新設されました.
RTD : Regional Transportation District
T-REX : The Transportation Expansion

開業後のライトレールは非常に順調な滑り出しで,逆に混雑が激しすぎて
苦情が出るほどだそうです.開業から十日余りを経て,RTDの改善策も
報じられるようになってきました.

さて,これだけの大規模なプロジェクトです.当然TOD,公共交通に指向
した開発が,RTDも加わって行われています.
TOD : Transit Oriented Development (公共交通指向型都市開発)
ライトレール駅から歩いて行ける距離として,駅を中心に半径0.25マイル
(約400m)の範囲を,ヒトの視線で歩行者にやさしく,住宅,事務所だけ
ではなく,商業や都市機能も交えた複合開発を行います.

ところが,ここに車社会から脱却できない世界も残りました.これは,
ライトレールの駅が目の前に出来たにもかかわらず,対応が遅れて今は
歩行者を拒んでいるように見える,あるショッピングセンターの話です.

サウスイーストコリドーの路線(EFGの3つの系統)でLincoln行に乗ると,
終点の一つ手前にCounty Line駅があります.この駅のすぐ西側には,
Park Meadowsというショッピングモールがあります.目の鼻の先です.
ところが,モールの駐車場だけではなく,モール内外にそれぞれ4車線の
道路が立ちはだかり,歩いて行くことは出来ません.駅にはご丁寧にも
歩行者通路はありませんという案内も建てられているそうです.

この駅は,パークメドウ・ショッピングモールへのアクセスとして建設
されたように思われます.
モールと反対側はハイウェイ(I-25)が横たわっていますが,そちらには
立派なガラス張りの歩道橋が建設されました.パークアンドライド用の
駐車場が,ハイウェイ東側にあります.
パークメドウ・モール側にも歩いて移動できれば,買い物客だけでなく,
モール関連の従業員も利用するでしょう.
しかし,現時点でモールへ行くにはこの駅で下車してはダメで,目の前に
見えていても終点のLincolnまでライトレールに乗り,そこで路線バスに
乗り換えて行く必要があったのです.

このような理不尽と思えることがなぜ起きたのか,パークメドウモールが
TOD対象区画に当初は組み込まれておらず,モールの元のオーナーが,
ライトレール駅へのアクセス整備を拒否したからでした.
オーナーが2004年に代わり,新オーナーは駅とショッピングセンターの
駐車場をつなく連絡橋を450万ドルで建設することに同意しましたが,
契約が交わされたのは,開業が2ヶ月後に迫ってからで,その歩道橋が
完成するのは2008年3月の予定だそうです.

先週11/21のDenver Post紙の記事に,モールと駅の間を徒歩で移動した
記者の悪戦苦闘の模様,モールのマネージャへのインタビュー,今までの
モールとRTDの関係の経緯などが記されています.
ショッピングモールは,ライトレール利用者にモールの駐車場を提供する
形になるのを拒み,長い間,TOD対象となる?トランジットディストリクト
(transit district)にも加わりませんでした.Park Meadowsモールは,
他のモールに比べて売上税率の低さ(4%)が自慢だったのですが,巨額な
プロジェクトのディストリクトに入ることは,税率アップを意味した?
からのようです.
RTDは,2000年の時点で連絡歩道橋なしでライトレールを建設することを
決めていました.

しかし,開業後に乗客の不満が募り,昨日,RTDとモール側が同意して,
目の前のCounty Line駅から,無料シャトルバスが15分間隔で運転される
ことが決定されました.今週の金曜日からです.
当面はショッピングシーズンの6週間の間だけで,8万ドルになる費用は
両者が折半します.RTDでは歩道橋完成まで運転を希望しますが,6週間
後もシャトルが運転されるかどうかは,モール次第です.シャトルは,
ハイウェイI-25を渡ったモールとは反対側から発着します.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Southeast Light Rail and Bus Maps (路線図)
(Southeast Corridor Light Rail 公式サイトへのリンク)

T-REX Transit Oriented Development
(T-REX 公式サイトへのリンク)

目の前に見えていても歩いて行けない歯がゆさ :
11/21/2006 Light rail to mall? Bring a compass
(Denver Post ニュースへのリンク)

シャトルバスが運転されることになったことなど,最新情報 :
11/29/2006 RTD taking steps to address train woes
(Denver Post ニュースへのリンク)
November 29, 2006
* Shuttle from light rail station to mall starts Friday
* RTD taking action to deal with light-rail complaints
(Rocky Mountain News ニュースへのリンク)

建設途上のCounty Line Station駅 (北向きの俯瞰)
County Line Station (Live Search Bird's eye へのリンク)

テレビのニュースで放映された映像があり,再生すれば,モールと駅の
様子を垣間見ることができます.
November 20, 2006 New Light Rail Doesn't Go To Park Meadows
(TheDenverChannel.com ニュースへのリンク)

映像と言えば,モールと関係ありませんが,Rocky Mountian Railroad
Clubが開業前に試乗した際に,運転席から前方を撮影した約7分の作品が
あります.場所はG系統とH系統が走る区間と思われます.
Fastracks RTD SECC Trex Light rail Denver Colorado rr tour
(YouTube へのリンク)
カメラが固定されているので,落ち着いて見ることができますが,長編を
アップロードするためにかなり圧縮してしまったのか,画像がその分だけ
犠牲になっているようです.それでも雰囲気はつかめます.


誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2006年11月29日

【リヨン】T3開業,ただし営業は12/04から

リヨン(Lyon)のトラムウェイT3,通称LEAが月曜11/27に開業しました.
ただし,実際に乗車できるのは,来週の月曜12/04からになります.
LEA : Ligne de l'Est de l'Agglomération
(以前は逆に紹介してしまいました)

11/27には運行するTCLの組合がストライキをぶつけてくるなど,多難な
船出になりましたが,LEAは元から旅客営業は12/04からの予定でした.
開業(inaugurer)と営業(en service)の違いがあるようで,その間には
試運転が続けられます.
TCL : Transports en Commun Lyonnais

LEAは,以前は在来線だった線路跡を使ったライトレールです.これまで
最高時速は60キロでしたが,LEAは70キロに引き上げられていることが,
開業を報じる記事でも強調されています.14.6キロを最速23分で走り,
表定速度は時速38キロにも達します.踏切はありますが,自動車と併走
することもなく,トラムというより近郊電車の趣きのようです.

自動車が行き交う道路に沿って走るわけではなく,鉄道が運休して以来,
静かだった地域に騒音をもたらしかねないため,沿線のうち住宅が隣接
する総延長の半分に相当する7キロに,300万ユーロを投じて防音壁が設け
られました.これも路面電車では考えられないことです.
フランス語版ウィキペディアによれば,路線は主にバラスト軌道とのこと
ですが,芝生軌道の区間もあり,防音に一役買っているようです.踏切
以外の場所では,先輩格のトラムT1やT2より静かだという話が,Metro
Franceの記事にありました.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
T3が12/04から営業開始と伝える運行会社TCLの案内.
Tramway Lea-T3 entre La Part-Dieu et Meyzieu :
mise en service le 4 décembre (TCL 公式サイト ニュースへのリンク)
TCL : Transports en Commun Lyonnais

Création tramway T3 Lea (T3 ポータル),Vidéo T3 (PR映像)
(Sytral 公式サイトへのリンク)
Sytral : Syndicat Mixte des Transports pour le Rhône et
l’Agglomération Lyonnaise

開業を報じる記事 :
28.11.06 Lyon inaugure une nouvelle ligne de tramway pour
desservir les communes de sa banlieue est

(Le Monde ニュースへのリンク)
27.11.06 Léa fait construire sur son passage
(20 Minutes ニュースへのリンク)
27-11-2006 Lea : la conquête de l’Est lyonnais
(Metro France ニュースへのリンク)

芝生軌道の様子
Rails verts Photo by JaHoVil (flickr)
Rails verts

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

リヨン T3(LEA)関連 過去ログ :
2006/10/08 空港連絡の急行トラム事業権
2006/6/28 11月末開業のLEAで試運転開始

T3と言えば,パリにもT3があり,こちらも開業間近です.パリのT3では
12/16が予定されていますが,すでにmarche a blanc(非営業での運行)が
開始されています.
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2006年11月28日

【ムルシア】架線レスをAPSで導入を検討中

スペイン南東部ムルシア(Murcia)では,今秋から試験的な路面電車の建設
工事が始まっています.ムルシアはムルシア州の州都ですが,こちらでも
度々登場するバレンシア州アリカンテ(Alicante)の南西約80キロに位置
する,海沿いではないものの地中海に近いスペインの歴史ある街です.

試験的なと言うのは,ムルシアには市電計画があるのですが,本格的な
着工前に,試験路線で軌道や敷設方法,配置などの様々な要素を試し,
その結果を踏まえて,その後の路線建設に反映させるためのようです.
試験路線は,街の中心にあるplaza Circularから,北西に延びるJuan
Carlos I (ファン・カルロス一世)通りを1.5キロほど走り,2007年4月の
開通を目指しています.

車両に関しては,CAFかBombardierのいずれかと言われていましたが,
まだ正式ではないものの,アルストム(Alstom)に決めているという報道が
ありました.市の発表を受けてのものです.それらによれば,モデル名は
Citadis TGA 302.これは5車体連接の100%低床車で,車体幅は2.300m,
定員は立席を含めて272名になります.

実は,アルストムのシタディスを選ぶのにはワケがありました.
電車線を空中に張らないAPSによる架線レスを,ロータリー(rotondas)や
交差点(cruces)などに導入することを,ムルシアでも検討しているから
です.架線レスは景観上の理由から検討されるだけでなく,安全性も向上
すると考えられています.
APS : Alimentation par de Sol

APSはフランス語の略称ですが,スペイン語でもAlimentación por suelo
になるようで,省略するとやはりAPSになりそうですが,記事はAPSと書い
ていません.架線を隠すという表現(soterrar la catenaria)だけです.
しかし,下で紹介しているEl Faro Murciaの記事には,ボルドーの電車と
思われる画像も小さく掲載されていました.その注釈は,アトランタに
なっています.


昨日は,電停の庇(シェルター? / carpa)と車両?が,市内のplaza de la
Cruz Roja(クルス・ロハ広場 / 赤十字広場)で展示されるなどの話題が
提供されていました.いくつか種類が用意される電停の庇のデザインを,
投票で決めるそうです.
ムルシアでも昔は路面電車が走っていましたが,今は大多数が初めての
交通機関となるため,慣れ親しんでもらうための展示でもあるようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
ムルシア市の公式発表 (PDFファイルによる提供)
27 de noviembre de 2006 Los murcianos podrán elegir el modelo de
las marquesinas del tranvía a partir del 11 de diciembre

(Ayuntamiento de Murcia へのリンク)

27, NOVIEMBRE DE 2006
El modelo elegido por los técnicos para el tranvía de Murcia
permite soterrar la catenaria en rotondas y cruces

(La Opinión de Murcia ニュースへのリンク)
27 de noviembre de 2006 Instalan una carpa para que los ciudadanos
conozcan el futuro tranvía de Murcia

(LA VERDAD DIGITAL ニュースへのリンク)
28 de Noviembre de 2006 El Ayuntamiento soterrará los cables
del tranvía para reducir el impacto visual

(El Faro Murcia ニュースへのリンク)
28 de noviembre de 2006 Murcia tendrá un modelo de tranvía casi
igual al de Barcelona y Burdeos
(Burdeos = Bordeaux)
28 de noviembre de 2006 Los murcianos podrán elegir el modelo de
las marquesinas a partir del 11 de diciembre

(La Verdad ニュースへのリンク)

計画されている3路線の概略図が掲載されている今年4月時点の資料 :
Abril 2006 Próxima parada del tranvía, Murcia
(la economía ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

ムルシア関連 過去ログ : 2006/9/15 2年半は運賃無料の市電10月着工

APS 地表集電システム 関連 過去ログ :
2006/9/19 【APS】オルレアンのB線で採用され4都市に
2006/7/14 【APS】アンジェとランスで採用 3都市に
2006/6/21 【Alstom】APSがイノベーション賞受賞
2006/1/10 【ボルドー】架線レスを売り込み開始?
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2006年11月26日

【Muni】ケーブルカー乗継制度復活を検討中

14か月前,2005年9月に67%の運賃値上げを行なって,地元や観光客からも
不評をかっているサンフランシスコ(San Francisco)のシンボル的存在の
ケーブルカー(Cable car).
値上げ1年後となる9月,市長は運行するMuniに対して,運賃を下げる道が
ないか,利用者の不満を和らげる方策がないかを探らせていましたが,
Muniの考える案と試算が,このほど一部明らかにされました.
Muni : San Francisco Municipal Railway

現在ケーブルカーの普通運賃は,大人も子供(5才以上)も同額で片道5ドル
です.バスや電車では通じるトランスファー(乗継券)も,ケーブルカー
では通用せず,ケーブルカー同士の乗換えでもその都度運賃が必要で,
65才以上と身体障害者ですら,午前7時から午後9時までは全く割引なし
という運賃体系になっています.運賃は,2005年8月までは3ドルでした.
この影響を大きく受けるのが家族連れの観光客です.5才から大人と同じ
5ドルが必要なので,5人家族で往復すると$50にもなります.
これに対して,Muniの電車やバスは$1.50ですし,乗継ぎも90分以内なら
何度でも,たとえ往復となっても無料です.いかにケーブルカーが高いか
お判りいただけるでしょう.

もちろん,運行経費が電車やバスの2倍から3倍かかるということもあり
ますが,ここまでの高額運賃は,Muniの財政状態が逼迫していて,少し
でも現金収入が欲しいということに原因がありました.
この値上げで運賃収入は9月の段階で33%増加,金額にしてこの1年間で
2150万ドルの増収を得ています.
それでも,市長を含めた現行運賃批判派は,このままでは観光客からも
背を向けられるのではないかと恐れているのです.

Muniが検討しているのは,乗継制度を改訂することと,他の交通機関では
子供運賃が摘要される12才以下の子供を,日曜祝日だけは運賃を支払う
大人に同伴されることを条件に,無料にしようというものです.

乗り継ぎに関しては,ケーブルカーから他の市内交通へ乗換えの際だけに
摘要が考えられています.乗継ぎは,最初に運賃を支払った額で,その
次の交通機関にも乗車できる制度ですので,他からケーブルカーへの逆の
乗継ぎは無理でしょう.$1.50でバスに乗った後の乗継ぎでケーブルカー
にも乗れるようになってしまうと,Muniにとっては大損です.
仮に10%が乗継券を使うとなると,Muniの収入は132万ドル減ることになる
と試算されています.
大人に同伴された13才未満の子供の,日祝の運賃無料については,まだ
試算が出ていないそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
感謝祭の連休さなかの土曜に掲載された記事 :
November 25, 2006 City considers ways to ease cable car fares
(San Francisco Chronicle ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

サンフランシスコ ケーブルカー関連 過去ログ :
2006/9/17 【Muni】ケーブルカー大幅値上げで客足遠のく
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2006年11月25日

【アムステルダム】カーゴトラム実現化へ前進

街中に張り巡らせた路線網を利用して,旅客以外の物資を運ぶ路面電車が
最近各地でお目見えしています.ドイツのドレスデンや,オーストリアの
ウィーン,スイスのチューリッヒなどがよく知られています.まだ他にも
あるかもしれません.
そこに,近い将来オランダのアムステルダム(Amsterdam)も仲間入りする
可能性が大きくなってきました.
Citycargoという組織が現在のアムステルダム市内を走るトラム路線網に
貨物路面電車(vrachttram)を運行し,従来のトラック輸送量を15%減らす
ことを目指し,実用化に向けた試験を行なうことになりそうです.

貨物専用の路面電車運行にあたっては,旅客輸送の運転間隔などを広げる
ようなサービス低下を招くことなく,余裕のあるところに割り込ませる
こと,道路交通法(wegenverkeerswet)を遵守して安全に運行されること,
運転時間は朝7時から夜11時までに限ることなどが,条件として挙げら
れています.
なお,この計画にアムステルダム市当局が財政支援を行なうことはないと
しています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
市の公式発表? : 22 november 2006
Randvoorwaarden goederenvervoer per tram vastgesteld
(Gemeente Amsterdam アムステルダム市 公式サイトへのリンク)

インフラなどの専門情報サイト?に記事が掲載されています.
23 November 2006 Amsterdam op weg naar goederenvervoer per tram
(Engineering 360 ニュースへのリンク)

どちらにもrandvoorwaardenという言葉が登場してきます.ウェブ検索
でもオランダ語で多数のヒットがありますし,境界条件とか,前提条件を
調整するという意味があるようです.
goederenvervoer(貨物輸送)と並んで出てくるので,重要なキーワード
だと思うのですが,その言葉の訳が今ひとつピンときません.
randvoorwaardeには,強制,制約のほか,いくつかの関連しあう変数の
比較?(対比?)という数学の考え方があるようです.randには周辺のとか
周囲の,voorwaardeには条件や表現などの意味があります.
いずれにしても,貨物輸送のそれがトラムに決定した,またはトラムで
整備されるというのが,市の発表したタイトルのようです.


(Flash Movie Demo) CityCargo (公式サイトへのリンク)
SWFファイルによる映像が見られるだけで,しかも,オランダ語?なので
話の内容は不明ですが,途中からドレスデンCarGoTramの色を塗り替えた
だけと思われるCGのカーゴトラム=シティカーゴが登場して,線路を走る
様を見せてくれます.

CityCargoのコンセプトも紹介されています.これは,今回の発表前の
ものと思われますので,実際にはこれと異なるかもしれませんが,この
映像を見る限り,環状高速道路のA10号線あたりに配送基地が2か所あり,
そこで荷を搭載した2本のシティカーゴは,それぞれトラム路線網を使い
街の中心まで向かいます.
シティカーゴは街中で荷を降ろしますが,荷降ろしの場所は普通の電停の
ようなところで,そこに小型自動車がやってきて,荷は積み替えられて
四方八方に向かっていきました.シティカーゴはその後,荷を載せたのと
反対の配送基地へ向かいます.
映像の終わりのほうでは,コンビーノと続行運転しているシティカーゴの
姿も出てきます.

CityCargoのiの文字は,アムステルダムの市章や市旗に出てくる三つの
バツ印(x印)を縦に並べたものになっています.

Lijnennetkaart (アムステルダム 公共交通 路線図)
(GVB 公式サイトへのリンク)
GVB : Gemeentevervoerbedrijf, Amsterdam

いつにも増して,今回は誤訳や誤解で内容が間違っている可能性があり
ます.情報共有のためにも,コメント欄でご指摘いただけると幸いです.

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2006年11月24日

【アリカンテ】トラムトレイン運行開始

スペイン初となるトラムトレインが,営業運転を開始しました.
バレンシア州アリカンテ(Alicante / Alacant)のPuerta del Marから,
El Campello間の約16キロが,当面の運転区間となります.
この区間は,アリカンテから海岸線に沿って北東に延びる狭軌鉄道FGVの
一部で,今は電化されている区間がEl Campelloまでですが,電化工事は
さらに先まで進められていて,工事完成後はトラムトレインの運転区間を
延ばしていくことになっています.予定では,2007年にBenidormまで,
2008年にAlteaまでです.路線終端のDeniaへは,ディーゼルカーに乗換え
です. FGV : Ferrocarrils de la Generalitat Valenciana
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Plano con el itinerario de la línea (路線図 PDFファイル)
(FGV 公式サイトへのリンク)

ご承知の人も多いと思いますが,アリカンテからカンペッロ(Campello)の
区間は2003年から低床式の路面電車が走っていて,エル・カンペッロ駅
ではカンペッロ以東からやってくるディーゼルカーとの乗換えを可能に
しています.低床車はバレンシアで走る同じFGVグループの路面電車と,
同じタイプが現在は使用されています.
今回営業運転に投入されたトラムトレインは.市内線から郊外へ直通する
目的で2003年に発注されたもので,全部で9本導入されます.全長37m,
定員(立ち席含む)303名,低床化率60%の車体で,最高時速は時速100キロ
(設計上は110キロ?)まで出せる仕様です.
当初は発注先がアルストム(Alstom)で,バレンシア北のAlbuixechで製造
される予定でしたが,その工場がVossloh所有になった?ために,製造も
Vossloh Transportation Systemsに移管されました.9本分のお値段は,
5700万ユーロと報じられています.

このほか,市内線だけに使用される低床車も発注されていて,そちらは
最初コンビーノ(Combino)に決まっていましたが,例の騒動で発注取消に
なり,ボンバルディアのFlexity Outlookに変更されました.その市内線
向け新車が導入されると,現在の低床車(3800形)5本は,バレンシアに
移籍されるそうです.

トレイン=トラム第一編成が営業運転に入ったと伝える記事 :
23 de noviembre de 2006 Entran en servicio las primeras unidades
del tren-tranvía de Alicante

(La Verdad ニュースへのリンク)
23/11/2006 Las primeras unidades del tren-Tram comienzan
a prestar servicio en Alicante

(Panorama Actual ニュースへのリンク)
Panoramaの記事には,右のほうに小さく車両の画像が載っています.
タイトルはトレイントラム(tren-tram / tren-tranvía)になっています.
基本的にトラムトレイン(tram-tren)と同じ意味だと思いますが,2通りの
言い方があるところをみると,何か区別があるかもしれません.


車両メーカのサイト : Train-tram (PDFファイルの諸元表あり)
(Vossloh Transportation Systems 公式サイトへのリンク)

多少情報が古い部分もありますが,英語で解説されたサイト :
Alacant metro-tram, tram-tren (UrbanRail.Net へのリンク)
Alicante Tram-Train (Railway Technology へのリンク)

アリカンテでは,この4年間に路面電車が自家用車の利用を40%減少させた
という記事もありました.上で紹介したRailway Technologyによれば,
市の長期計画では,2020年までに車の割合を三分の一にまで減らすことを
目指しているようです.
21-Noviembre-2006 El Tram reducirá un 40 por ciento el uso de
vehículos en cuatro años

(Terra España ニュースへのリンク)
21/11/2006 Las obras del Tram permitirán en cuatro años reducir
un 40% del vehículo privado

(Panorama Actual ニュースへのリンク)

アリカンテでは,RENFE駅と路面電車の総合駅を建設中で,そこに至る
ダウンタウンの区間は地下を走るほか,途中から分岐する2号線も現在
工事が進められています.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2006年11月23日

【テネリフェ】スペイン国王LRTに初乗車

5日間の予定でカナリア諸島を訪れている,国王フアン・カルロス1世と
ソフィア王妃は,テネリフェ島で来年4月に開業予定のライトレールに
試乗されたと報道がありました.映像が日本でも一部で流れています.

サンタクルス・デ・テネリフェ(Santa Cruz de Tenerife)とラ・ラグーナ
(La Laguna)を結ぶ約12キロ強の路線は,すでに完成している区間で100%
低床車シタディス(Citadis)が試運転を始めていて,国王夫妻がご乗車に
なられたのも,El Cardonalにある車庫とCruz de Piedra間の約5キロの
区間です.営業開始後の予想所要時間で計算すると,ご乗車はわずか10分
程度だったと思われます.
昨年12月に開始された試運転区間が,車庫(Talleres y Cocheras)から
Hospital Universitarioまでの600mで,それから徐々に区間を延ばして
います.今月初めはCampus de Guajara(ラ・ラグーナ大学キャンパス)
までだったようで,その先のCruz de Piedraまで試運転区間を延ばした
のは,つい最近のことなのでしょう.

スペイン国王フアン・カルロス1世ご夫妻にとっては,これが初めての
公共交通機関体験だったとのことですが,実は祖父のアルフォンソ13世が
今から百年前にサンタクルスを訪れた時にも,1904年に北岸のTacoronte
まで延長されたばかりの路面電車に,乗車されているそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
22-Noviembre-2006 (Terra España ニュースへのリンク) ほか多数
Reyes viajan en tranvía al igual que Alfonso XIII hace 100 años
この記事の後半には,バスでなく,まだ工事中の区間も残る路面電車に
国王をお乗せすることは,テネリフェの誤った印象を与えることにもなり
かねないとして,ご乗車に反対を唱えたグループもあるようです.

Reuters - Wed Nov 22 Spain's Royal Family
(ライトレールのホーム?で,関係者らと群集に手を振る国王の画像)
(Yahoo! News Photos ニュースへのリンク)

テネフィフェ島ライトレール : Tranvía de Tenerife
Dossier informativo (駅所在地と地図など)
(MetroTenerife 公式サイトへのリンク)

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過去ログ : 2006/10/12 ライトレール2007年4月開業へ
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2006年11月22日

【アルバカーキ】市電計画は住民投票か?

ニューメキシコ州アルバカーキ(Albuquerque)では,市の中心を東西に
走る目抜き通りのセントラルアベニュー(Central Avenue)に,ストリート
カー(streetcar)を走らせる計画を,同市市長を中心とした市が進めて
います.アルバカーキ市は人口急増の著しい街で,2005年には50万足らず
だった人口が,2010年には54万人を超えるとみられています.

その市電計画は,今月はじめに市議会が計画を承認するなど,ここにきて
矢継ぎ早に事が進みました.しかし,決して安い買い物ではないだけに,
市当局の先走りが警戒されたのか,ブレーキがかかります.

11/06の市議会では,6対3で計画が可決されていますが,今度は財源を
巡る問題(公債の発行)で,再び12/04にも市議会で投票が行われることに
なります.州の規則で,公債の発行が承認されるには9名中7名の賛成を
得なければなりません.前回も反対が3名いたため,今度は通りそうに
ありません.そうなると,今度は市民投票にかけられることになり,来年
2/06が検討されています.路面電車建設の是非を巡る投票ですが,市長は
否決されるとして,何とか投票を回避したいようです.

反対票を投じた市議の中には,市電計画自体を好意的にとらえていても,
資金源と見込む,歳入を担保にした公債(revenue bonds)発行には,住民
投票が欠かせないと主張しています.その返済には交通税があてられる
からです.今週,市の計画が適切かどうか,建設費やその見返り,路面
電車を近年導入した他の都市の近況など,市とは切り離した分析を行う
調査を要求しています.
一般からの反応も厳しいものがあります.最近,市長と賛成派の6名の
市議により,住民投票なしで交通税の期限を2020年まで延長したことも,
不信感となって影響を及ぼしています.
加えて,グレーター・アルバカーキ商工会議所(Greater Albuquerque
Chamber of Commerce)も,路面電車に好意的ではありますが,数週間前
には交通税の投入に賛成との表明を打ち出していたものを,ここにきて
それは市民の投票なしでもという意味ではないと,一歩引き下がる所信を
出しました.

現時点で市が負担する建設費は,1億5千万ドルと見積もられています.
東西に走るCentral Avenueだけでなく,そこからABQ空港へ伸ばす路線も
計画にありますが,こちらはニューメキシコ州が負担することになって
いて,その区間も含め8マイルの総予算は2億7千万ドルです.
ABQ : Albuquerque International Sunport

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Tuesday, November 21, 2006 Voters May Get Say On Streetcar
(Albuquerque Journal ニュースへのリンク)
November 21, 2006 Streetcar backers will seek voters' approval
(The Albuquerque Tribune ニュースへのリンク)

夕刊紙のアルバカーキ・トリビューン紙は,論評解説を載せていますが,
論者は金の無駄遣いとして市電計画に反対の立場を示しています.また,
アルバカーキ市民だけでなく,資金の半分はニューメキシコ州にも依存
する計画のため,州全体でこの問題を注視する必要があるとしています.
November 21, 2006 Commentary: Don't get railroaded by trolley
(The Albuquerque Tribune ニュースへのリンク)
この記事で引き合いに出されたコミューターレールのRail Runnerとは,
正式名がNew Mexico Rail Runner Expressで,5億ドルを投じてBNSFの
貨物線上で,今年7月から運転されています.当初こそ一日平均4千人を
超える利用者がいましたが,物珍しさが薄れた秋口からは,2千人台に
まで落ち込んでしまいました.その二の舞を踏むことになるというのが,
書き出しです.

紹介されているリオグランデ財団法人?のサイトには,財団が路面電車
計画に反対する10の理由が記されていました.
1から3までは金のことで,その他は,推進派が引き合いに出す成功例の
ポートランドとは,人口密度が違いすぎる(アルバカーキが低い)こと,
そのポートランドでも,(これも反対派に良く使われる資料からですが)
ライトレール建設決定前のほうが,全交通量に占める公共交通の割合が
高かった(1982年に2.6%だったのが,2.3%に減った)ということを挙げ,
さらにLAの例を出して,鉄道建設への巨額の出費が,ほかの公共交通の
値上げや運行本数削減を招き,鉄道路線の恩恵を受けない地域が衰退した
ということも記されています.(詳しくは本文をご参照ください)
With City Council Vote on ($224) $270 Million “Modern Streetcar”
Looming, the Rio Grande Foundation Provides 10 Reasons to Oppose

(Rio Grande Foundation へのリンク)

最後になりますが,市のサイトに路面電車計画の概要が載っています.
Albuquerque's Modern Streetcar
Modern Streetcar Proposed Alignment (計画路線図)
(City of Albuquerque 公式サイトへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2006年11月21日

【Douai】ゴムタイヤトラムのお披露目

ベルギーと国境を接するフランスのノール県,Nord (59)にあるドゥエ
(Douai)と,その南部(Canton de Douai-Sud)方面との間に,2008年初頭
から運転を開始する予定の,ゴムタイヤトラムのお披露目が,この土日に
沿線各地で行われたという記事がありました.地元フランスで報道された
ばかりでなく,オランダ語でも報じられています.

ドゥエ(Douai)は,リール(Lille)から南に約40キロ近く離れたところに
あります.ここで採用されるゴムタイヤ式トラムには,鉄のレールを全く
必要としません.走行路を予め記憶させた車載コンピュータが,道路下に
埋め込まれた磁気マーカーの助けを受けて走るのだそうです.
また,ドゥエで導入される車両では,バッテリー搭載のハイブリット方式
のため架線もありません.
これではほとんど専用レーンを走るバスですが,ドゥエ(Douai)に導入
される車両は両側にドアが設けられ,島式ホームにも発着できます.
そのことと関係あるかどうかは判りませんが,オランダの記事によれば,
フランスの法律上はバスではなく,トラム(tram)として扱われます.
そのため,記事でもTramと記されていますし,ドゥエの公式サイトなど
でもTramとなっていますが,ガイドウェイバスと言ったほうが,日本では
通りがいいかもしれません.磁気式誘導は,IMTSという現物もあります.
IMTS : Intelligent Multimode Transit System


導入されるのは,オランダ政府が一部資金援助して開発された,Phileas
(フィリアス?)と呼ばれるシステムで,ドゥエではÉvéole(エヴェオル?)と
名乗るようです.オランダの記事によれば,トラムであろうとなかろうと
Évéoleは,Phileasの弟分ということになるそうです.

このPhileasが際立っているのは,磁気誘導によるオートステアリング
運転ができることもさることながら,全輪がステアリング可能で,横への
移動も容易なところにもあります.この機能により,乗降所と出入口との
間の隙間が,5センチに縮まるまで幅寄せできるそうです.
Phileasは,イタリアではトロリーバスモードで導入が計画されている
ほか,韓国でも検討されているようです.
ドゥエ(Douai)では,12キロに及ぶ第一期区間の開業を,2008年初めに
目指しています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
地元フランスでの報道 : (France 3 ニュースへのリンク)
20/11 Le tram de Douai s'expose

オランダ語の報道 : (Eindhovens Dagblad ニュースへのリンク)
20 november 2006 Évéole, het pijlsnelle broertje van de Phileas

Tram (la ville de Douai 公式サイトへのリンク)
左側にあるメニューの,TRACÉ DE LA LIGNE 1をクリックすると,計画
路線図が表示されます.

Le Tram Le projet (SMTD 公式サイトへのリンク)
SMTD : le Syndicat Mixte des Transports du Douaisis
Le Tramのメニューの中に,évéoleのロゴが入った車両が見られるページ
もリンクされています. Eveole Présentation

SMTDでは,トラムが走る予定の沿線にあるカフェで,地元住民と当局の
人間が意見を交し合う会合も各地で開催してきたようです.公民館など
ではなく,リラックスできる雰囲気で説明会を開くという手法は,参考に
なるかもしれません. Café Tram Planning rencontres

このサイトにも画像や情報があります.
TRAM2007 : L'info Tram de la ville de Douai
(www. Tram2007.com へのリンク)

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2006年11月20日

【パリ郊外】トラムトレインT4開業

パリ郊外でフランス初と言われるトラムトレインが開業しました.
パリ(Paris)中心部から東に10キロ少々離れた,セーヌ・サン・ドニ県の
ボンディ(Bondy)とオルネ・スー・ボワ(Aulnay-sous-Bois)を結ぶ8キロの
路線で,両端の駅ではそれぞれRER(近郊急行線)と接続しています.
RER : Réseau express régional d'Île-de-France
周辺は,昨年秋の暴動以降,物騒なイメージがつきまとっています.

イルドフランスの交通網の中ではトラムと位置づけられ,T4と呼ばれる
ようですが,元はと言えば19世紀後半に開通した在来線の,コクチェ線
(ligne de chemin de fer des Coquetiers)を転換したトラムトレイン
です.Coquetier(コクチェ/コクチュ)とは,半熟卵などを載せるエッグ
カップという意味だそうです.

トラムトレイン(tram-train)と言っても,ドイツなどに見られるような,
路面電車が在来線に乗入れるわけではなく,その逆でもありません.
下で紹介するTF 1の記事にもありますが,鉄道と路面電車の両方の良い
ところを取り入れた交通機関という意味で,用いられているようです.
同じく下で紹介するSNCFのサイトによれば,トラムトレインは,リヨン,
ナント,ミュルーズ,ストラスブール,サンテティエンヌ,グルノーブル
などに今後導入が予定されているそうです.

在来線からトラムトレインが走るライトレール規格への転換工事には,
2年半を要しました.その関係でCoquetiers線は,2003年末よりバスで
代行されていましたが,それも11/19は朝から解消されます.11/18には
祝賀式典が行われ,11/19は朝から運賃無料で利用できたそうです.

転換工事に2年半も掛かったのは,それなりに理由がありました.
最大の土木工事は,それまで路線の北半分が単線だったため,それを複線
化することでした.沿線で随一の交通量がある国道(RN3号線)との交差
部分では,早くから鉄道が上を走る立体交差になっていましたが,その
場所以北が単線だったため,立体交差の橋をそっくり複線用のものと交換
しました.言葉で書くとこれだけですが,大変な作業だったようです.
その他にも運河を跨ぐ橋を複線用に拡張する必要もありました.
在来線時代には,電気機関車が牽引する客車が走っていましたが,これ
からは最短4分間隔で,低床車両が頻繁に行き来します.そのためには
複線化が外せない条件でした.

もちろん,それまでの駅施設やホームなどを取り壊し,低床車両向けに
することも行われています.さらに地域に密着するため新たに3つの駅を
設けました.
さらに,「踏切」を「交差点」に変換しています.これは間違っている
かもしれませんが,いわゆる鉄道にある踏切(passage à niveau)から,
路面電車が走る交差点(carrefours)に作り変えるということで,横断する
交通をスムーズにする狙いがあるようです.踏切横断のための歩行者用
地下道が従来はありましたが,これも撤去されて歩行者も平面で街中の
交差点のように線路を横断できるようになります.信号がありますが,
遮断機を無くしてしまったようです.これは,トラムトレイン化の目的の
一つに,地域が鉄道によって分断されている状況を改善することが挙げ
られていて,そのための転換と思われます.

これらの工事で2年半を要しましたが,当初からの予定では今年12月末の
開業予定でしたので,若干早く完成したことになります.

車両には,シーメンスのAvantoが採用されました.複電源車両で,この
地域では標準の交流2.5万Vに加えて,直流750Vに対応します.
パリ近郊では南部に直流1500Vの電化区間がありますが,セーヌ・サン
ドニ県では交流電化になっています.今回の転換工事で,この区間が直流
750V化されたのかどうかは,よく判りません.

SNCFでは型式名U 25500となるAvantoは,車長は37m近くに及び,定員は
242名(座席定員80)になります.

T4(ligne de Coquetiers)の今後は,東に位置する,モンフェルメーユ
(Montfermeil)方面や,北方面への新設路線も検討されているようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
まずは,開業を伝える公式機関のサイトへのリンクから.Transilienは,
SNCFが運行するイルドフランスの鉄道ネットワークの名称です.
Inauguration de la ligne du tram-train T4
(Transilien 公式サイトへのリンク)
Inauguration du 1er tram-train Bondy-Aulnay
La SNCF déroule ses innovations Le 1er tram-train de France
(SNCF 公式サイトへのリンク)

祝賀行事にあわせて報道もありました.TF1 では,先月より話題になって
いる,パリ外周部に建設が計画される循環ルートの話を,記事の後半を
割いて取り上げています.
samedi 18 novembre 2006 Le "tram-train" enfin sur les rails
(TF1 ニュースへのリンク)
18.11.06 Inauguration du premier tram-train de France
(Le Nouvel Observateur ニュースへのリンク)
18 novembre 2006 Le tram-train facilitera la vie des Franciliens
(画像集) L'actualité en images
(M6.fr ニュースへのリンク)

豊富な画像でトラムトレインを紹介するブログ (カテゴリへのリンク)
Rubriques Tram-train Bondy-Aulnay
(Le Raincy - site non officiel ブログへのリンク)

昔の様子は,下記ページで駅名をクリックすると画像を見られます.
La Ligne "Provisoirement" fermée Des Coquetiers
(VraiTourisme へのリンク)

T1やT4を含めて,パリ北駅から北東部,セーヌ・サン・ドニ県方面への
RERや,現在計画されている路線の一部の位置関係をまとめました.
色にかかわらず,破線の部分が構想や延長計画などを示しています.

資料を基に独自に構成したもので,正確ではないかもしれません
paris-T4.png

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

パリを周回する環状交通計画 関連 過去ログ :
2006/11/07 【イルドフランス】貨物線をトラムトレイン?
2006/10/10 【パリ】メトロでの外環状線構想
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2006年11月19日

【シアトル】バス代行からの復帰に暗雲(2)

メルボルンからやってきた電車を使い,1982年からシアトル(Seattle)の
ウォーターフロント地区を走ってきた路面電車が,ちょうど1年前の11/19
から長期に及ぶ運休に入りました.これは,George Benson Waterfront
Streetcarの話です.

ウォーターフロントに沿って南北に走る路線の北の終点にある車庫が,
シアトル美術館オリンピック彫刻公園の施設の一部として使われるため
失われ,代わりの車庫が完成するまでは運転できなくなったのです.
当時廃止論や路線移設案なども出るなか,現状復帰を望んだシアトル市と
キング郡は,土壇場で車庫の代替地を決め,2007年夏の再開を目指して
いました.
しかし,以前もご紹介しているように,市と郡との間で合意し,新車庫と
抱き合わせで周辺地域を再開発しようとしていた業者が,市のゾーニング
変更の遅れを理由に開発から手を引いてしまい,同時に車庫建設の話も
立ち消えになってしまいます.
現在一時的にバスで代行運転されていますが,新しい車庫が出来なけれ
ば,ウォーターフロントストリートカーの運行再開は不可能です.

そうしたなか,市議会の中には,宙に浮いている新しい車庫建設のための
資金,7百万ドルを別の用途に使おうと進言する議員が出てきました.
郊外の路線バスのバス停のシェルター設置に投じようというのです.

というのも,ウォーターフロントストリートカーは,新しい車庫が完成
して運転を再開しても,すぐまた長期運休を強いられる可能性があるから
です.それは,ウォーターフロントストリートカーの軌道上にある老朽化
した高架道路,アラスカン ウェイ(Alaskan Way Viaduct)の建替え計画が
あるからです.高架での建替えにしても地下化にしても,工事期間中の
路面電車運転は無理でした.
当時この建替え計画はまだ先の話になりそうで,1年半あれば車庫が完成
できるとして,すぐに建設に着手していれば,来夏には運転再開が可能
となり,アラスカンウェイの工事まで少し間もあると考えられていたの
ですが,今後建設予定地がすぐに定まっても,1年半の間にアラスカン
ウェイの話も決まって着手される可能性も出てきたため,それに資金を
使うのは無駄という考えから出た話のようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
車庫建設資金が危うくなってきたことを伝える報道 :
Wednesday, November 15, 2006 Council mulls using streetcar money
for suburban bus shelters

(Seattle Times ニュースへのリンク)

現在は同じデザインの代行バスで運転されている,ウォーターフロント
ストリートカー : (King County Metro Transit 公式サイトへのリンク)
George Benson Waterfront Streetcar Line Metro Route 99

2007年1月開園予定のオリンピック彫刻公園 俯瞰予想図 :
Aerial view of the future Olympic Sculpture Park.
(Olympic Sculpture Park 公式サイトへのリンク)

公園の南西の端にあたる場所にあった,かつての車庫(運休の半年前) :
Seattle Trolley Barn 2

シアトル ウォーターフロント・ストリートカー関連 過去ログ :
2006/7/01 バス代行からの復帰に暗雲
2005/10/09 車庫没収で路面電車運休に
2005/8/06 ウォーターフロントをゆく路面電車しばしのお別れ?

シアトルと言えば,モノレールのその後も気になります.
運行が再開されたという記事は無かったように思われますが,11/11に
沿線でガス漏れ事故があり,その時にはモノレールも運転を見合わせたと
いう報道がありました.また,公式サイトも午前11時から午後7時までと
運行時間を掲載していますので,どうやら再開したようです.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2006年11月18日

【ウィーン】ULF専用の駅時刻表を試行

出入口の床面の低さで世界一とされる,ウィーン(Wien / Vienna)市電の
ULF専用の時刻表が,電停に掲示されているようです.十日前に記事が
ありました.日本でも低床車両の走っている街で見かけることですから,
そう珍しいことではありませんが,桁違いにトラム路線網の規模が大きい
ウィーンでは,当面一路線で試されることになります.
ULF : Ultra Low Floor

ウィーンで路線バスや路面電車を運行するWiener Linienは,ULFを現在
150本所有し,32ある市電路線のうち15の路線に投入しています.単純に
計算しても1路線10本の割合ですが,これまで電停でいつULFが来るかは
わからず,ホットラインなどに電話して確認する必要がありました.記事
では50分も待ったという話も紹介されています.

10/30から試行されているのは,リンク(Ring)のDr.-Karl-Renner-Ringと
ウィーン14区のHütteldorfを結ぶ49系統です.平日は早朝から3分から6分
間隔で電車が走るうち,ULFは1時間におおむね3本から5本の割合で投入
されていて,机上ではULFの待ち時間は最大でも20分です.
ULFが専用時刻表の通りに運転されるかどうかなど,49系統で少なくとも
1ヶ月様子をみて,他の路線に広げていくかどうか判断されるようです.

なお,2007年から2014年の間に,ULFは150本追加されて合計300本になる
予定です.また,2007年6月には路線バスの低床化も完了する予定です.
2016年には身体障害者平等法(Behindertengleichstellungsgesetz)が,
公共の乗り物や建物で施行されることになっているそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
各路線の各駅ごとの時刻表は,PDFファイルで見ることも可能です.
Linie 49 (nur Niederflurfahrzeuge - ULF) (ULF専用の駅時刻表)
Linie 49 (49系統の通常の駅時刻表)
リンク先はいずれもPDFファイル.(Wiener Linien へのリンク)

記事 : (derStandard.at ニュースへのリンク)
08. November 2006 "Ulf" wird pünktlich und verlässlich

オンライン路線図検索 : Wiener Linienplaene Online
一番左の電停サインについている点滅する丸をクリック,現れる番号を
クリックすることで,その系統の路線図がフラッシュで表示されます.

量産先行車を含めて152本のULFが投入されているウィーンでの一コマ :
Wien6(ULF) Wien2(ULF)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

ウィーン ULF関連 過去ログ :
2006/7/24 ULF地下走行解禁近し?
2005/9/24 低床車ULFが2007年には全線に
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2006年11月17日

【シャーロット】2030年大量輸送計画承認

シャーロット(Charlotte)の話が出たところで,近況を報告します.

大型公共事業での予算超過問題はつきものですが,連邦政府が補助金を
出している現在建設中の公共交通計画の中で,予算オーバーに陥っている
のは,全米で2件しかないそうですが,その一件がシャーロットのライト
レールLynxでした.
(もう一件はサンディエゴ北部のDC運転によるライトレールです)

経緯は以前ご紹介していますので省略しますが,Lynxの予算超過問題の
その後の状況としては,先月下旬,超過する分を上乗せした新予算による
FFGA枠内での計画遂行をMTCが承認,これでCATSは引続き建設と完成後の
運営を行えるようになります.これは特に変化なしということですが,
以前からと同様に,営業開始は2007年12月31日までが条件です.
FFGA : Federal Full Funding Grant Agreement
MTC : Metropolitan Transit Commission
CATS : Charlotte Area Transit System

次に,Lynxが走るサウスコリドー(South Corridor)を含む,地域全体の
計画が見直しになりました.2002年に2025 Transit Corridor System
Planが発表されていますが,完成が5年先送りの形となり,2030年プラン
になります.総予算も2025の時の60兆ドルから,新しい 2030 Corridor
System Planでは,一気に90兆ドルにまで膨れ上がりました.
この財源になるのは,半分近くが地元のメクレンバーグ郡(Mecklenburg
County)に課せられる売上税のうちの0.5%分からです.1998年以来,現在
年間6500万ドルになるこの資金を元に,CATSはバス路線網を広げ,ライト
レールを建設しています.しかし,長期的な視野に立つこの計画では,
連邦政府とノースカロライナ州からの補助金も欠かせません.完成予定が
先送りになるのは,建設費の高騰が原因です.

今週,MTCの投票で,この2030 Corridor System Planが満場一致で承認
されました.すでに工事中のLynx(サウスコリドー)の次に整備する方面も
決まります.それによれば,コミューターレールによるノースコリドー
(North Corridor)が最初で,次がライトレールのノースイーストコリドー
(Northeast Corridor)になりました.
この順番は決まっていたようなものでした.9名のMTCの委員には,沿線
市町の首長も入っていますが,北方面の沿線がMTC委員に3名もいたこと,
それに沿線の開発業者の後押しも強かったようです.
建設費も安く,既存の貨物線(Norfolk Southern O-Line)にコミューター
レールを走らせるため,25マイルと距離の長さにも関わらず,北東方面の
距離が約半分のライトレールの7億4千万ドル強の三分の一近い,2億6千
万ドル強(第一期分のみ)で済みます.ただし,予想利用者が少ないため,
連邦からの補助金はあてにできず,州や沿線の開発業者が資金面で頼りに
されています.運転開始予定は2012年です.

北東方面への11マイルのライトレールは,現在建設中の南方面からのLynx
(ブルーライン)の延長にあたり,2011年着工で2013年開通を目指します.
目的地のユニバーシティ・シティは,文字通りノースカロライナ大学の
シャーロット校があり,現学長はそのキャンバス内に駅を設けようと意欲
的です.そうすれば予想利用者数が膨れ上がり,連邦が多額の建設費に
金を出すのです.

残りの方面とダウンタウン周辺の路面電車に関しては,2002年時の計画
より遅くなり,優先されるこれら2つの方面が開業後に設計に着手して,
2020年から2034年の開通予定となります.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
(近況) South Corridor and 2030 Plan Budget Update
November 16, 2006 - MTC Approves 2030 Corridor System Plan:
Sets The Course For Next 24 Years
(2030年計画プレスリリース)
Rapid Transit Planning (交通整備計画一覧)
(CATS 公式サイトへのリンク)

地元有力紙による詳細な記事 :
Wed, Nov. 15, 2006 Vote on long-term transit plan expected
Thu, Nov. 16, 2006 Rail plans to north, university roll ahead
(Charlotte Observer ニュースへのリンク)
今回の話は,11/16の記事からに依るものが多いです.


ニュース専門のケーブルテレビ局による記事
11/15/2006 Commission to discuss transit projects
11/16/2006 MTC plans north, northeast corridor
(News 14 Carolina ニュースへのリンク)

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シャーロット ライトレールLynxと交通整備計画関連 過去ログ :
2006/9/29 5年後に決定延期とLRT危機
2006/9/09 LRT設計問題で経費膨れる
2006/8/24 LRTとBRT どちらを選ぶ?
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2006年11月16日

【シャーロット】トロリー運転再開も遅れ

米国の民間航空業界では再編の動きが日本でも報じられていますが,その
主役の航空会社が拠点の一つにする,サウスカロライナ州シャーロット
(Charlotte)では,ライトレールのLynxが現在建設されています.
その他にも,将来を見据えた路面電車建設計画もありますが,実は今年
2月まで路面電車(トロリー)がシャーロットの街を走っていました.
シャーロットの中心部にあたるアップタウン(uptown)から,サウスエンド
地区(South End)までの2マイル少々の距離を,1996年からクラシックな
車両で運転が行われています.しかし,郊外からの大量輸送機関として
ライトレールを建設するにあたり,同じ軌道敷を利用することになり,
その本格的な工事が今年2月から開始されるのに伴い,路面電車の運行は
一年間休止されることになったのです.

このCharlotte Trolleyは,当初架線を張らずに電源車を連結した運転
でしたが,2004年には電化されて本格的な運行を開始し,一時運休までの
2年近くの間に,約40万人が利用していたそうです.客層は主に週末の
観光客や,コンベンション参加者などが主な利用客ですが,児童の遠足
などの利用が25%も占めているのも,このトロリーの特徴です.

予定ではライトレールより一足早く,2007年2月の運転再開でした.
しかし,Lynxの工事に遅れが生じ,さらに安全上の規則の問題により,
ライトレールより先にトロリーの運転を再開することは出来ないことが,
今回明らかにされました.

地域の公共交通を担い,路線バスやライトレールのLynxを建設している
CATSの代表者は,ライトレールの運転開始前にトロリーを再開させること
など,今考えると非現実だったと言ったそうですが,工事が遅れている
問題の他にも,ライトレールが走れるよう敷き直された軌道の安全確認を
終えるまで,旅客営業を行えないとCATSのコンサルタントが決定を下した
とのことです.
CATS : Charlotte Area Transit System

なお,運休前まで踏切では係員が降りて自動車を止めてから,トロリーを
横断させていましたが,今度運転が再開された暁には,それも昔話になる
ようです.また,ラッシュ時にはLynxが増発される関係で,平日の朝夕の
ラッシュ時間には,トロリーは運転されなくなります.
再開は9ヶ月遅れとなりそうですが,これまで同様,人々に郷愁を呼び
起こすだけではなく,子供たちの教育の一環としての利用が,今後も期待
されています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Wed, Nov. 15, 2006 Trolley running late on restart
(Charlotte Observer ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

シャーロット トロリー関連 過去ログ :
2005/12/16 LRT工事本格化でトロリー運休

シャーロット ライトレールの遅れ関連 過去ログ :
2006/9/29 5年後に決定延期とLRT危機
2006/9/09 LRT設計問題で経費膨れる
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2006年11月15日

【リッチモンド】発祥の地でLRTシンポジウム

先日の中間選挙で最後までもつれたバージニア州.その州都リッチモンド
(Richmond)で,今週金曜にライトレールのシンポジウムが開催されると
いう記事がありました.バージニア州は,リッチモンドをはじめとして,
海軍基地の街として知られるノーフォーク(Norfolk),ワシントンDC近郊
アーリントン郡(Arlington)と隣接のフェアファックス郡(Fairfax),その
他にRoanokeやCharlottesvilleで,ライトレールもしくはストリートカー
計画があります.
シンポジウムでは,今回これらが取り上げられ,ライトレールが都市圏の
道路混雑解消に果たす可能性を,広めようとしています.

実は,リッチモンドは米国で初めて電気運転によるトロリー,路面電車が
ちゃんと走った街なのだそうです.その後19世紀終盤には路線網を拡張
していきますが,自動車やバスとの競争に敗れ,20世紀半ばまでに全廃
となりました.現在バージニア州には,ライトレールや路面電車の走る
街が一つもない状況が続いています.

リッチモンド(Richmond)の計画は,ライトレールというよりは,どうも
路面電車に近いようですが,今回の記事によれば,建設に1億5千万ドル
以上,年間の維持費に120万ドルと見積もられる金額で敬遠されたのか,
進展がありません.

バージニア州は自動車中心の社会で,免許所持者は510万人なのに登録
台数は730万台で,これは州内に張り巡らされたハイウェイの1マイルに
126台の車両が走っていることに相当するばかりか,州内全人口のほぼ
一人に一台の割合になるのだそうです.
2000年時点の話ですが,過去10年間に車両一台が走るハイウェイの距離が
24.3%上昇しているのに対し,同じ時期の公共交通は,この州では公共
交通機関は路線バスが中心となりますが,わずかに6.4%しか伸びていない
のでした.

今回の記事では,州内で一番計画が進展している,ノーフォークの例を
取り上げると共に,ライトレールは多額の予算を要するものの,環境への
悪影響が軽減されること,ライトレールや路面電車により街が再生する
利点を強調しています.後者の例では,ポートランドの話を引き合いに
出していました.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Monday, November 13, 2006 Light rail: born and reborn in Virginia
リッチモンドは,米国での路面電車発祥の地 :
First successful electric trolley system built here
(いずれも,Richmond Times-Dispatch ニュースへのリンク)

シンポジウムの案内 : Virginia Light Rail Symposium
(Virginia Association of Railway Patronsへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

ヴァージニア州 関連 過去ログ :
2006/9/04 【ノーフォーク】LRT計画のFTA認可が間近に
2006/5/01 【アーリントン】路面電車とバスを併用
2005/12/02 【ノーフォーク】NSの廃線跡用地をLRT用に購入
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2006年11月14日

【クレルモン=フェラン】一ヶ月遅れの運転開始

この話題はもう食傷気味かもしれませんが,
ゴムタイヤ式トラムのトランスロール(Translohr)の営業運転が,ついに
クレルモン・フェラン(Clermont-Ferrand)で開始されました.ピュイ=ド=
ドーム県の県知事の運行許可を受けて,11/13午後からです.
ここまでの経緯は,過去ログをご参照ください.

SMTCのサイトや報道によれば,営業運行に際して,いくつかの改良点を
実施しています.これらを3ヶ月間試用し,有効となれば本格的な採用と
なるようです. いずれも,試運転中の10/02に起きたような,車体側の
ガイドロール(案内輪)が,中央のガイドレール(案内軌条)から逸脱しない
ようにするための予防策です.
SMTC : Syndicat Mixte des Transports en Commun
de l’agglomération clermontoise

まず,中央のガイドレール(案内軌条)の周囲は,これまで柔軟性のある
樹脂で覆われていましたが,これを硬い素材に切り替えました.破片が
残らない(刺さらない)ようにするためでしょう.これは全区間ではなく,
脱輪が起きた問題の場所や,高架橋部分などに限られます.

次に,これはパドヴァでも行われているはずですが,障害物を排除できる
装備を車体に施したことです.これまでも板状のものが先頭部の床下に
見えましたが,これが強固なものになったのでしょうか.装備済車両の
画像は今のところ見つかっていませんが,クレルモン=フェランでは,
11本に装着されて営業運転に入っており,残り5本にも10日以内に装着
されるそうですから,見かけるのも時間の問題でしょう.

最後に,これは脱輪に関係あるかどうかよく判らないのですが,plate-
forme(文字通りプラットフォームか?)の区分線を,花こう岩?(非常に硬い
素材)から,muret(直訳すると低い壁),=段差?に変更したようです.
muretとは,初期の段階でbaliroutesに覆われていたブロックともあり
ますが,どちらにしてもこれはイメージが沸きません.

11/13から3週間の試用期間後,今度こそ問題がなければ,トラム導入で
予定されていたバス路線の再編を,運行会社のT2Cは12/04に行います.
T2C : Transport en Commum de l'Agglomération Clermontoise

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
13/11/2006 Lundi 13 novembre à midi,
Lundi 4 décembre, les bus se mettent à l'heure du tram...
(SMTC ニュースリリースへのリンク)

ゴムタイヤトラムの開業を伝える記事 :
13/11/2006 (Moniteur-Expert ニュースへのリンク)
Mise en circulation du tramway sur pneus de Clermont-Ferrand

映像 From: Jfox63 : (YouTube へのリンク)
Tramway de Clermont-ferrand le 12 novembre 2006.
13 novembre 2006 Le viaduc st Jacques avec ses baliroutes.
上段の映像では,しきりに床下を気にしているようですが,際立つ違いは
見当たりません.排障装置は外からでは見えないのかも.muretとは,
下段の映像に写っているブロックのことかもしれません.

一方,イタリアのパドヴァ(パドバ)(Padova / Padua)では,今月いっぱい
各種試験を伴う試運転が実施されるようです.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

営業開始に向けた最近のトランスロール 関連過去ログ :
2006/11/04 【パドヴァ】改造後の試運転再開か?
2006/11/03 【クレルモン=フェラン】11/13営業再開へ
2006/10/21 【パドヴァ】トランスロールを改良?
2006/10/15 【トランスロール】案内輪逸脱はパドヴァでも
2006/10/14 【クレルモン=フェラン】本格開業はお預け?
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2006年11月13日

【リスボン近郊】アルマダ市のライトレール

ポルトガルのリスボンの南で,テージョ川(タホ川)(Rio Tejo / El Tajo
/ Tagus)を挟んで対峙するアルマダ市(Almada)は,2キロ以上の4月25日橋
(Ponte 25 de Abril)でリスボンと結ばれる,人口16万5千人の街です.
リスボンは路面電車の走る街として知られますが,このアルマダとその
周辺の街でも,ライトレール(metros ligeiros),MSTが開業する予定で
準備が進められています.
MST : Metropolitano Ligeiro da Margem Sul do Tejo

その3路線にわたるライトレールは,本来なら,昨年12月には開業して
いたはずでした.しかし,問題があり遅れています.先週の報道では,
既に流れている情報と大差ありませんが,開業は3段階にわけられて,
最初の部分開業は2007年春ごろ,その次は早ければ同年9月末,最終的に
2年遅れの2007年末までに全区間で開業する予定となります.

ライトレール(Sul do Tejo Metro)の運営権(concessionária)を獲得して
いるMTSは,車種にコンビーノを選びます.
コンビーノ問題発覚後もブダペストと同様にシーメンスとの契約を維持
して,コンビーノ・スープラ(Combino Supra)に内容が変更されますが,
この納入の遅れも懸念されていました.
シーメンスから昨年5月に第一号が到着し,最後の24本目が10月には届け
られているとのことです.記事では,この10月が2005年10月のようにも
読めるのですが,本数や他の文脈から考えると,今年のことのようです.

宝の持ち腐れ状態の4車体のコンビーノ・スープラは,車庫のある南端の
終点CorroiosからParque da Pazまでの間で,試運転が時折見られるだけ
だそうですが,この区間が来春の先行開業区間になります.
MTS : Metro Transportes do Sul

問題は,アルマダ市の土地譲渡?(使用許可?)(cedência dos terrenos
por parte da Câmara Municipal de Almada)の手続きが遅れたことにある
ようです.(6月末に承認された?)
今月でライトレール,Sul do Tejo Metroのオペレータ契約?営業許可権?
(concessionária)が切れる?MTSと,遅れの元であるアルマダ市との補償
交渉がまとまりそうだということが報じられたようで,MTSでは来年1月に
中断している?工事を再開できるよう待機しています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
ライトメトロ計画概要 : Metropolitano Sul do Tejo
Percurso das Linhas – Fase 1 第一期計画の路線概要
Planta do Traçado Geral no concelho de Almada 路線図
Traçado geral do Metropolitano Ligeiro da Margem Sul do Tejo 構想
(上記ページには,広域構想図へのリンクもあります)
(MST公式とも言える,Câmara Municipal de Almadaのサイトへのリンク)

運営会社 : Metro Transportes do Sul
MTS参加会社 concessionária (シーメンスも加わっています)
traçado (第一期完成時の運転系統図)
Metro Ligeiro de Piso 100% Rebaixado (Combino Supraのデータ)
(MTS 公式サイトへのリンク)

2007年春開業に向けて先行きが見えてきた感触の記事 :
10.11.06 Metro Sul do Tejo exige contrapartidas do Governo
(Diário de Notícias ニュースへのリンク)
10-11-2006 Metro Sul do Tejo espera contrapartidas do Governo
(上記記事を基にして書かれた,Diário Digital ニュースへのリンク)

今回は誤訳や誤解で内容が間違っている可能性がかなりあります.
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2006年11月12日

【ハーグ】ロッテルダムとメトロで直結

在来線をライトレール化するランドシュタットレール(RandstadRail)の
うち,ハーグ(Den Haag)とロッテルダム(Rotterdam)間の,工事が遅れて
いた一部区間も転換が完了し,昨日(11/11)から同区間の全線で,電車に
よる運転が再開されています.

工事の関係で,6月にはオランダ国鉄ホーフプレイン線(Hofpleinlijn)の
運行は終了し,その後はバス代行が行なわれていました.当初再開予定の
9月には,ランドシュタットレール(RandstadRail)として,新たにロッテ
ルダムのメトロ車両が一部走り始めますが,デンハーグ近郊のNootdorp駅
からデンハーグ側は工事が終了せず,そこでは引続き代行バスに乗換えを
強いられる状況が更に2ヶ月続いていたのです.そしてこの度,ようやく
その区間の転換工事も完了し,全線で運転再開となったわけです.
9/10から11/11までの運転区間 : Nootdorp -- Rotterdam Hofplein
11/11からの運転区間 : Den Haag Centraal -- Rotterdam Hofplein

車両はロッテルダムのメトロ車両を改造した電車が使われますが,今は
直通運転するロッテルダムの地下鉄エラスムス線(Erasmuslijn)の駅で
待っていても,ハーグ行が来るわけではありません.
ロッテルダム側のターミナルは,Hofplein駅のままオランダ国鉄時代と
変わりなく,今後,ロッテルダム中央駅の地下駅から延長される形で,
エラスムス線(Erasmuslijn)とランドシュタットレールとの連絡新線が
建設され,その完成後に名実ともにロッテルダムの地下鉄がハーグに乗り
入れすることになります.その2009年頃には,ボンバルディアの新車も
登場していることでしょう.
なお,床面高さの問題もあり,ハーグでは中央駅の列車ホームへの入線
となり,Netkous(連絡線)や市内線(路面電車)への乗入れはありません.

これで,ランドシュタットレール(RandstadRail)への転換が未完なのは,
ズーテルメール(Zoetermeer)のプリッツェル状の路線のみとなります.

RandstadRail2.png
この図は資料を基に独自に構成したもので,正確ではありません

今回の開通は緑色の線で,青は既に運転されているRandstadRail 4系統
(RR4),薄赤の破線が未だ運転されないRR3(RandstadRail 3).

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
運行会社の案内 :
RandstadRail (公式サイトへのリンク)
9-11-2006 Erasmuslijn gaat rijden zondag 12 november 2006
RandstadRail Rijdt! (RET 公式サイトへのリンク)
09 november RandstadRail vanaf 12-11 naar Den Haag
RET : Rotterdamse Elektrische Tram

ロッテルダムのメトロ車両が,予定より2ヶ月遅れながらも,いよいよ
デンハーグ中央駅へ乗入れることを報じる記事 : (ほか多数あり)
9 november 2006 Erasmuslijn RandstadRail rijdt vanaf zaterdag
(Elsevier ニュースへのリンク)
ランドシュタットレールのロッテルダムとデンハーグ間の区間が,公式に
開業したことと,明日(11/12)は朝から通常ダイヤで運転され,新しい駅
にも停車し,運転本数が増えることを伝える速報ほか :
11 November 2006 Tweede deel RandstadRail geopend
(Nos ニュースへのリンク)
11 November 2006 Nieuw stuk RandstadRail rijdt 'probleemloos'
(Algemeen Dagblad ニュースへのリンク) (ほか多数あり)
初日の様子(画像多数のファンサイト) :
RandstadRail rijdt! (r e t m e t r o . n l へのリンク)

低床のレギオシタディス(RegioCitadis)と,ロッテルダムから来る高床
車両の双方が走る区間では,ホームが高低二段になっているようです.
Leidschenveen駅 (段差がはっきりわかる画像 - JPGファイル - )
Regio Citadis (RandstadRail) (画像のある元ページ)
(HAAGS TRAMNIEUWS へのリンク)

ランドシュタットレール(RandstadRail)の話題では,先日デンハーグ中央
駅(Den Haag Centraal)で,二日連続して同じ場所でレギオシタディスが
脱線する事故がありました.HTMなどの調査の結果,問題は線路の磨耗が
予想以上に早かったことで,この磨り減ったレールが原因と発表されて
います.問題のレールが使われたのは中央駅だけで,ランドシュタット
レールの他の区間では使用されていないことから,問題が広がる恐れは
ないとされています.
HTM : HTM Personenvervoer (ハーグ市内でバスと路面電車を運行)

レールの磨耗が脱線の原因と伝える報道 :
09 november 2006 Slijtage deed RandstadRail ontsporen
(Nieuws.nl ニュースへのリンク)
11 November 2006 Slijtage oorzaak ontsporingen
(Algemeen Dagblad ニュースへのリンク) (ほか多数あり)

脱線した車両など,最新の情報を豊富な画像で紹介するファンサイト :
Actuele nieuwsfeiten van "De digitale Tram"
("De digitale Tram" へのリンク)

追記 : 2006/11/19
運転再開から一週間も経たないのですが,11/18から11/26までの
一週間は,ランドシュタットレールでは運賃を取らないことにした
そうです.問題多発で時間通りに運転できないからです.
以下がその公式発表で,これを元に多くのニュースサイトで一斉に
報道されました.
18-11-2006 Aanloopproblemen RandstadRail Erasmuslijn,
vervoer de komende week gratis

(RandstadRail 公式サイトへのリンク)
Zaterdag 18 november Vervoer Randstad Rail Erasmuslijn de
komende week gratis

(RET 公式サイトへのリンク)
技術的な問題のほか,一部で線路を共有するレギオシタディスとの
運転調整?が,まだ最適化されていないことや,レール締結装置?の
盗難?(とのイタチゴッコ)などがあるようです.
元々改札があるわけではありませんし,乗降時に車内で運賃収受を
行なっていたわけではありませんので,切符の検査を行なわない
ということなのでしょう.先週オランダの4大都市で公共交通のスト
ライキがあった際も,運転された時間帯は運賃無料にしたそうです
が,この時も切符の所持検査が無かっただけだったようです.
なお,ランドシュタットレールはストの対象外で運転されていた
ため,存在感を示すことができたかもしれませんが,このような
状況ですので,信頼回復まで時間が掛かりそうです.
運賃が一週間無料になるのは,ロッテルダムとハーグの区間だけ
で,ズーテルメール(Zoetermeer)とハーグの間では必要です.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

RandstadRail 関連 過去ログ : (今日で3週連続週末の紹介となりました)
2006/11/04 中央駅で運行開始間もないLRV脱線
2006-10-28 10/29よりRandstadRail一部運転
2006/09/03 トラムトレイン10月までお預け
2006/8/26 在来線のライトレール化遅れる
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2006年11月11日

【カンザスシティ】LRT賛成多数は得たものの

ミズーリ州(Missouri)カンザスシティ(Kansas City)では,先日(11/07)の
住民投票で,ライトレール計画に有利となる市の条例修正案が賛成多数で
可決されました.これでLRT建設に向けて弾みがつくと思わず書いてしま
いましたが,ことはそう簡単にはいかないようです.

カンザスシティは,ミズーリ州とカンザス州(Kansas)にまたがります.
中心は主にミズーリ州のほうで,人口は市内だけで44万人強です.
今回の条例もミズーリ州側のもので,ライトレール計画も同州内を走る
予定です.カンザス州側のカンザスシティは15万人弱で,双方と近郊の
町をあわせた人口は約136万人,両州にまたがるメトロエリア(面積1万
3千平方キロ弱)では200万人弱の人が暮らし,全米27位だそうです.

人口はライトレールなどの都市鉄道が走っていてもおかしくない規模です
が,中心部を除くと,住民は薄く広範囲に広がっているため,大量輸送
機関には不向きという状況がありました.これまでライトレール計画が
7回も住民投票にかけられてきましたが,ことごとく否決されていたの
です.それが一転して今回はYESだったわけですが,これをサプライズ
(surprise)とまで書いた記事もあるほど,予想外の結果でした.

道路の混雑にうんざりしてきているということもありますが,やはり,
ガソリン価格の高騰の影響が大きいようです.下記記事によれば,前回
2001年には単独で是非を問いましたが,投票率が低く,全ての票数を合計
しても,今回のYES票数に及ばなかったそうです.それからガソリン代は
実に二倍になっています.

今回是非を問われたのは,交通機関向けの財源として,すでに売上税に
0.375%(八分の三セント)積み増ししている期間を,さらに25年延長する
という修正案でした.現行の条例では2009年までとなっていますが,賛成
多数で,これが2034年3月末まで増税が継続されることになります.

しかし,市はいささか当惑気味です.住民がライトレール建設に賛成と
いうことを受け止めますが,それを実現する手立て,すなわち資金調達を
どのようにしていくか,頭を悩ませることになるからです.
というのも,増税分は路線バスへの資金援助にあてられていて,今回の
期間延長でもライトレール建設に見合う金額にはならないようで,資金
調達のため,住民は更なる選択を迫られる可能性があるようです.

計画内容については,投票に関する市のページに記載があります.
それによれば,カンザスシティ市の南南東にあるSwope Park内のカンザス
シティ動物園(Kansas City Zoo)から,北北西のカンザスシティ国際空港
(MCI)までの27マイルに及ぶライトレールと,それを補完する電気バス
(シャトルバス),それにユニオン駅とPenn Valley Parkの間を結ぶロープ
ウェイ(aerial gondola tram system)が,セットになっています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
November 7 Ballot, Kansas City Questions
ORDINANCE NO. 060931, AS AMENDED
(City of Kansas City, Mo. 公式サイトへのリンク)

今回の件については,各紙がさまざまに報道しています.(一部を紹介)
Nov. 10, 2006 Reaction is biggest surprise
Voters may face more decisions as light rail plan develops
(Kansas City Star ニュースへのリンク)
November 9, 2006 City Hall Troubled Over Light Rail Plan
(Kansas City Channel ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2006年11月10日

【セビリャ】市電工事ストリーミングビデオに

スペインのセビリャ(Sevilla / Seville)中心部で,急ピッチで建設が
進められる路面電車(Metrocentro)の工事現場の映像が,リアルタイムの
ストリーミング配信で公開されています.セビリア市庁舎の屋上に2台の
カメラを据え付け,Plaza Nueva(プラサ・ヌエバ)と,Avenida de la
Constitución(コンスティトゥシオン)の2方向を映し出すものです.
(直訳すると,前者は新・広場で,後者は憲法通りになります)


映像が公開されているのは,市役所(Ayuntamiento)のサイトからです.
下記にリンクを紹介しますが,少なくとも先月下旬からありました.
セビリャ市電のメトロセントロ(Metrocentro)では,既に一部の区間で
軌道が敷かれていますが,映像で見られる場所は,今週から軌道工事が
始まっています.現時点で,Constitución通りでは複線が姿を現していま
すが,Nueva広場は単線状態で,横にスペースがありますので,これから
隣にレールが敷かれるのかもしれません.(ここから単線になるので,
このままの可能性もあります)

この場所は,4月のイースター明けから工事で通行止めになっています.
人の歩いている場所が極めて限られていることも,映像から伺えます.
このあと12月には通行止めが解除される予定ですが,路面電車の建設に
それだけの時間を要するのではなく,市役所のウェブサイトにある記載に
よれば,開始から4ヶ月間は下水道管交換工事などが行われたそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
ストリーミング配信 : Metrocentro en directo
09/11/2006 Las cámaras en directo de las obras de Metro_Centro
reciben 3.000 visitas el primer día

Web de la A.I.E. deSevilla: Metro_Centro (路面電車のポータル)
(Ayuntamiento de Sevilla 公式サイトへのリンク)

ストリーミング配信は中段のページによれば,初日に3千回のアクセスが
あったそうで,この初日がいつの話かわかりませんが,すでに許容量を
超えているようです.ページを開いて,通常コンテンツは表示されても
映像がスタートしない場合には,時間帯をずらしてみるといいかもしれ
ません.

カメラ設置の話は記事にもなっていました.ビデオのキャプチャー画像に
加えて,11/07からレール敷設が開始されたともあります.11/08付け記事
には,レール断面のアップと背後にカメラが屋上に設置された市庁舎が
写っている画像を載せています.
07.11.2006 Las obras del Metrocentro, en tiempo real
08.11.2006 Vea con sus propios ojos y desde casa cómo va la obra
del Metrocentro
(20 minutos ニュースへのリンク)

Google Mapsの衛星写真を使ったWikimapiaで上空から現場を見ると :
Plaza Nueva - Avenida de la Constitución (Wikimapia へのリンク)
やや左側にある広場がプラサヌエバで,その画面右の建物が市庁舎です.
Plaza Nueva方向の映像は横向きに画面右側から左側を見ていることに
なり,Avenida de la Constituciónの映像は,画面上から下に向かって
見ていることになります.

しかし,この路面電車をinútil(使い物にならないもの)と酷評する人も
います.アンダルシア党(PA)から市長選に立候補予定の人で,都市バス
(autobuses urbanos)で需要は十分賄えると考えているのです.
8 de noviembre de 2006 El PA califica de «inútil» el proyecto
y pide un plan de movilidad
(ABC Sevilla ニュースへのリンク)
PA : Partido Andalucista

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

セビリャのメトロセントロ(Metro_Centro) 関連過去ログ :
2006/10/20 市電工事が観光に打撃
2006/9/16 市電建設工事中に遺跡見つかる
2006/8/05 大聖堂前は仮設の架線で
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2006年11月09日

【ブダペスト】Combinoの近況(3)

ブダペスト(Budapest)に導入されたコンピーノ(コンビーノ・スープラ)
(Combino Supra)(NF12B)に絡む一連の混乱は,ブダペスト市長がBKVの
最高責任者(CEO)を更迭しようとするほどにまで発展していました.
BKV人事は市議会が行なうこともあり,それが10月の選挙後の混乱?から,
現時点ではBKVのCEOは現職に留まっていますが,今後リストラは避けられ
そうにないという英文の記事があります.
BKV Zrt. : Budapesti Közlekedési Zártkörűen Működő Részvénytársaság

コンビーノのドアが閉まらない不具合で発車不能となり,その度に一日
45万人が利用する路線の路面電車がしばしば遅れることや,コンビーノ
対応用の架線に張り替えてから架線柱が複数倒壊したことなどの問題で,
調査が行なわれていました.8月にはその結果がBKVの諮問委員会にもたら
されますが,諮問委員の抱えていた疑問,即ち,コンビーノ導入に際して
BKVが十分な投資計画が用意していたのかどうか,その計画遂行や調整は
適切に行なわれたのか,業者選定には注意が払われていたかどうかなど
に答えるものではなく,結局は誰に責任があるのか,調査でははっきり
させられなかったそうです.

なお,記事はこれまでの経緯も英語としてはかなり詳しく記しています.
コンビーノの車体問題が発覚したあとも,ブダペストではシーメンスとの
契約を維持したことなど,こちらでも紹介していることもありますが,
中には興味深い話もあります.
たとえば,アルストム(Alstom Transport SA)が,シーメンス(Siemens)
の提示より6.5%も安かったのに採用されなかったこと,後にアルストムは
ハンガリーの当局に異議を申し立てますが,最終的には却下されたことが
あったそうです.
余談ですが,先日ボンバルディアに決まったイルドフランスの通勤電車の
一件でも,アルストムは当局に申し立てをするようです.

その他,旧ADTranzのモデルに変更されてからは,当初今年10月から運転
開始となる予定だったのですが,BKVからの再三の要請で7月からに変更
された経緯もあったとのことです.

ブダペストの路面電車に新車が投入されるのは,実に25年振りのことだ
そうで,40本の契約のうち,現在何本がBKVに納入されているのかは不明
ですが,実働しているのは8本です.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
November 06, 2006 (New World Publishing ニュースへのリンク)
Combino probe results await yet-to-be-formed city council
November 08 2006 (Emerging Markets Economy ニュースへのリンク)
Budapest commuters left stranded by Siemens’ Combino trams

Emerging Markets Economy のオリジナル記事はこちらのようですが,
BBJは登録制で読めませんでした.

06 Nov 2006 (Budapest Business Journal ニュースへのリンク)
Combino probe results await yet-to-be-formed city council

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

ブダペスト コンビーノ・スープラ関連の過去ログ :
2006/9/14 Combinoの近況(2)
2006/8/03 Combinoの近況
2006/2/09 【Combino】ブダペスト向けウィーンで製造中
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 欧州(独仏西蘭伊以外) このエントリーを含むはてなブックマーク

【スポケーン】LRT案 住民投票で否決

中間選挙報道が一段落し,米国では交通関係のニュースも,他の話題に
混じって怒とうのごとく流れ込んできています.もちろん,投票で状況が
変化したことが大きく影響しています.
火曜(11/07)に行なわれた米国の選挙で選択のふるいにかけられたのは,
政治家ばかりではありません.道路や鉄道などの交通インフラを整備する
べきかどうかや,その資金調達のための新税や増税を受け入れるかどうか
などの住民投票も,上下両院の連邦議会議員や,知事などを選出するのと
同時に,地域ごとに行なわれていました.
昨年はシアトルの住民投票で,モノレール計画が4度目にして否決され,
そのまま廃案になったのが記憶に新しいところでもあります.その後の
モノレールは整備の機会を逸し,事故を起こし,再起不能な状態に追い
込まれていますが,水曜(11/08)から時間と定員を制限した上で運転再開
する予定との一報も届いています.


さて,各地で行なわれた交通関連の議案は,かなりの地区で承認されて
いるようです.ソルトレークやカンザスシティなど,ライトレール建設に
弾みのつくところも出てくるでしょう.しかし,一方で提案が否決された
街もあります.ワシントン州第二の都市スポケーン(Spokane)です.
人口20万人のこの街では,ライトレール計画に関する2つの提案が投票に
かけられていました.しかし,その2つともノーが56%と54%で過半数を
占めてしまいます.ライトレール建設は当面先送りとなりました.

ライトレール計画は,路線長15.5マイル,建設費2億6300万ドル,運営費
600万ドルで,この経費が需要に見合わないと考えられたのが,住民に
No.を投票させてしまったようです.議案は,地域の公共交通を担うSTAが
ライトレール建設を計画し,資金を調達することを求めるものと,もう
一つは,現有する資金で計画を続けることを認めるかどうかでした.
STA : Spokane Transit Authority

計画では5つの選択肢があり,そのうち推奨されていたのは,ディーゼル
カー(DMU)運転によるライトレールです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
住民投票の結果で事実上ライトレール計画は終わりとも書かれた記事.
November 08th, 2006 Transit propositions derailed by voters
(KXLY ニュースへのリンク)
こちらの記事では,あきらめるのはまだ早いようです.
November 8, 2006 What's next for Spokane light rail?
(KREM Spokane ニュースへのリンク)

計画概要 : Spokane Regional Light Rail (公式サイトへのリンク)

全米各地の結果を総括しているARTBAのニュースリリース :
ARTBA : American Road & Transportation Builders Association
11/8/2006 (U.S. Newswire ニュースリリースへのリンク)
Voters Support Nearly $40 Billion for Transportation Funding;
American People Clamoring for Relief from Traffic Congestion


Ballot Initiatives Report : (ARTBA 公式サイトへのリンク)
Special 2006 Ballot Initiatives Report (PDFファイル)
各地で住民投票にかけられた議案内容と,その投票結果が一覧に.

10月時点のライトレール関連の議案をまとめているページ :
Dozens of Public Transport Issues Face US Voters This November (2006)
(Light Rail Now Project へのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2006年11月08日

【ポートランド】モールMAX折返し点の土地買収

ポートランド(Portland)のTriMetは,トランジットモールに2年の工期を
かけてライトレールのMAXを走らせることになりますが,その折り返し用
ループ線建設のために,PSU(オレゴン州立大学)などから敷地を買い取る
手続きを進めていることが,大学新聞のDaily Vanguard紙で報じられて
いました.大学新聞と言えども60年の歴史がありますし,タブロイド版は
5千部の発行で大学周辺に限られますが,ウェブサイト版もあります.
MAX : Metropolitan Area Express
TriMet : Tri-County Metropolitan Transportation District of Oregon
PSU : Portland State University

モールは一方通行で1ブロック離れた2つの通りから形成されて,MAXも
それにあわせ,南行一方通行の5番街(Southwest Fifth avenue)を南下
して,モール終端にあたるPSUキャンパス近くで,北行一方通行の6番街
(Southwest Sixth avenue)に移りますが,その部分の連絡線を建設する
ための土地が必要ですし,モール内では単線ですが,連絡線部分では他に
留置線として2線を設けるため3線が必要です.それに加えて,この場所に
運行管理用のブースも設けることになります.

すでに計画発表の段階から,ループ線にあたる場所がわかっていたため,
現在はPSUと民間が駐車場として使っている場所の買収手続きは問題なく
進められ,TriMetはPSUに59万ドルを支払うようです.PSUではこの部分に
16台分の駐車スペースを持っていましたが,これが無くなっても影響は
ほとんどないとのことでした.また,建設終了後に不要の部分は,PSUに
戻されるそうです.ここまでは先週の話です.

今週,TriMetが駐車場の一つ北側のブロックの一部も,買い取ろうとして
いることが明らかにされました.3線設けるうちの一番内側の線が,入り
込んでしまうためです.その場所には元弁護士事務所と,メキシコ料理の
店があります.新聞社が取材を試みますが,メキシコ料理屋のオーナーは
国外に居て連絡不能でした.
TriMetのサイトにある計画図では,この2つ目のブロックに掛かるように
見える図と,1つだけで足りるように見える図の2種類があります.


(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
November 03, 2006 TriMet bids on PSU land for light rail
November 07, 2006 TriMet seeks land for new MAX
(PSU Daily Vanguard ニュースへのリンク)
11/07付けの記事は,詳細な地図入りです.これを元に,大学キャンパス
地図をご覧になると,現地の状況をつかみやすいかもしれません.
Campus Map (PSU 公式サイトへのリンク)

上段の地図ではSouthwest Jackson Streetの南側で回りきっている内側の
ループ線が,下段の地図ではかぶっているように見えます.
Mall Design & Future Transit Service
Active Construction (建設状況)
(TriMet 公式サイトへのリンク)

現場の様子(撮影時期不詳) : PSU South/SW Jackson Street
参考 11th Avenue Loop tracks (Live Search Bird's eye へのリンク)
下段は,参考として現在MAXで使われている折返し用の3線を俯瞰してい
ます.この場所は最初にMAXが開通した時に建設され,西に延長される
までは,ここで折り返していました.現在は一番新しい路線のイエロー
ラインが使うほか,ラッシュ時の一部のブルーラインと,日曜日に運転
されるビンテージトロリーも使います.
MAXは東西(画面左右)を走り,ポートランド・ストリートカーが南北に
交差して走っています.

一方でポートランドのMAXには,気になる報道も飛び込んできました.
通勤でライトレールを利用する人の割合が,過去5年間で33%も低下して
いるというのです.この記事や,記事の中にある報告書について,今日は
調べる時間がありませんが,何かわかりましたら,またご紹介します.
11/7/2006 The Market has Spoken: Light Rail Can't Compete
11/7/2006 Transit Commuting to Downtown Portland Declines
(Hawaii Reporter ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

モールMAX(Green Line MAX) 関連 直近の過去ログ :
2006/10/18 モールMAXの専用ウェブサイト
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2006年11月07日

【イルドフランス】貨物線をトラムトレイン?

先日,パリ市(Paris)の外縁を,メトロが走る計画が再浮上してきたと
ご紹介していたばかりですが,今度は更に外側の貨物線にトラムウェイ
か,トラムトレイン(tram-train)などのLRV(trains légers)を走らせる
計画の公聴会が,今週から沿線の各地で開催されるという報道がありま
した.この計画も,実は20年越しのものだそうです.

このTangentielle計画は,直訳では接線の計画ということになりますが,
現在貨物列車が走る,Ligne de Grande Ceinture(大ベルト線)を利用,
パリを中心にイルドフランス各地へ放射状に伸びる通勤路線との接続を
図る連絡鉄道を走らせるものです.ただし,今回はパリ北側だけにとど
まるため,Tangentielle Nordと呼ばれます.

下に地図や乗換え可能な路線へのリンクもありますが,東から順に,
RER E線とトラムウェイ T1号線,メトロ5号線,RER B線,メトロ13号線,
RER D線,TransilienのParis-Nord線,RER C線,TransilienのSt Lazare
線,そしてRER A線と乗換えできます.(現在開通している路線のみ)

これまで郊外から郊外へ移動の際も,パリ市内を経由しなければならな
かった人たちにとって,公共聴聞手続きに入ったことは朗報のようです.
トラムトレインに決まったわけではありませんが,約28キロの区間を,
35分で走る予定で,運転間隔はピーク時に5分を想定しています.

貨物列車が主に走るLigne de Grande Ceintureは,交流電化されていま
すが,パリ西部のごく一部(10キロ程度)の区間(Grande ceinture Ouest)
で,2004年12月から旅客列車が走るようになり,当時68年振りの旅客営業
再開だったそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
06.11.06 Un supermétro pour la Seine-Saint-Denis
(20minutes.fr ニュースへのリンク)

Tangentielle Nord (公式サイトへのリンク) 計画概要
計画路線図 : Plan des correspondances
開通後の乗換え案内 :
Des correspondances avec toutes les lignes du RER
公共聴聞調査の日程 : Les dates de l'enquête publique

東側の始発駅となる,Noisy-le-Sec RER (Google Maps)
Avenue Gallieniには,トラムウェイT1が走っているはずですが,撮影
時点ではまだ軌道がありません.

先日ご紹介していたパリの外周メトロにつきましては,その後の情報に
よれば環状運転ではなく,トラムT2号線との重複区間は途切れることが
判明しました.西向きに口を開いた馬蹄形のような路線になるようです.
過去ログ 2006/10/10 【パリ】メトロでの外環状線構想
November 2006 Orbital metro in RATP development strategy
(Railway Gazette ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2006年11月06日

【LA】LRTゴールドライン全列車で時間短縮

ロサンゼルス(Los Angeles)のダウンタウンとパサデナ(Pasadena)を結ぶ
ライトレールのゴールドライン(Gold Line)で,平日ラッシュ時の電車
増発と所要時間短縮を図るダイヤ改正を,LACMTAが行ないました.
LACMTA : Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority
(ロサンゼルス郡の都市交通局,Metroまたは単にMTAとも)

3年前の2003年7月に開通して以来,予想を下回る乗客数に悩まされていた
ゴールドラインですが,今年2月に平日ラッシュ時の急行運転を導入して
からは利用者が堅調に増え続け,この9月には平日の一日平均利用客数が
2万1千人に達するまでになりました.
乗客増加はLACMTAのMetro Railだけでなく,バスを含めたシステム全体に
みられる傾向で,前年比の伸び率から言えばゴールドラインは,LACMTAの
中でも低いほうかもしれません.9月分のデータで唯一前年を割っている
のは,LRTブルーラインでした.


今回のダイヤ改正では全線の運転時間を終日にわたり5分短縮し,各駅
停車でも34分から従来の急行の所要時間と同じ29分に,平日ラッシュ時に
だけ運転される急行は,29分から24分にそれぞれ短縮されました.
運転間隔は,朝夕のラッシュ時に各駅停車を増発し,結果的に1時間当り
4本から6本に増発されます.急行があるため等間隔ではありませんが,
各駅停車と急行をあわせると平均10分間隔となり,これまでより平均待ち
時間が30%も短縮されることになるそうです.
これまでの急行は各駅停車のスジを建替えただけのもので,急行の止まら
ない駅の利用者には事実上の減便となり不評でした.


短縮された5分はどこから捻り出したのか,最高速度を引き上げたわけ
ではなく,新車に全面的に切り替わったわけでもなく,線形が改善された
わけでもありません.LACMTAによれば,オペレーションシステムの改良と
列車コントロールをアップグレードした結果とのことです.
LACMTAのプレスリリースにはそうありましたが,実は各駅停車で29分と
いうのは,計画当初の所要時間だったそうです.これが沿線住民が警笛の
使用中止を求めるなどして速度制限個所が増えたため,開業時は34分に
なったと言われていました.


利用者数に関しては,ほぼ同じ路線長(14マイル前後)で,開業一周年を
迎えたばかりのBRT(bus rapid transit)オレンジライン(Orange Line)と
比較されることがあります.オレンジラインも平日の一日平均利用者は,
2万1千人です.単純に比較できませんが,建設費はLRTゴールドラインが
8億6千万ドル,BRTオレンジラインは3億3千万ドルです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
November 3, 2006
Metro Gold Line Trains Now Run Faster, More Frequently
(LACMTA News Pressroom ニュースへのリンク)

新しい時刻表など :
More Trains, More Often on Gold Line (PDF)
Ridership Statistics (路線別乗客数の推移)
Facts at a Glance (路線別諸元など)
(LACMTA 公式サイトへのリンク)

Ridership Statisticsからリンクがある,View Graph - Trends in Metro
Line Average Weekday Boardingsをみると,軒並み今年5月が前後の月と
比べて利用者数が多くなっています.これはガソリン価格高騰の影響かも
しれません.しかし,ゴールドラインだけは,そこからジワジワと伸びて
いるのが興味深いところで,他のMetro Railは6月以降下降してます.


時間短縮と増発は,一部メディアで簡単に報道されていました.
November 3, 2006 Upgrades To Trim Travel Time On Gold Line
(NBC4.TV ニュースへのリンク)
Nov 3, 2006 MTA Upgrades Service Between Downtown & Pasadena
(CBS 2 ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

LA ゴールドライン関連 過去ログ :
2006/2/20 【ロサンゼルス】LRTゴールドライン不振は続く
2006/1/21 【ロサンゼルス】LRTゴールドラインで速達運転
2005/8/23 【ロサンゼルス】LRTゴールドラインは鈍足で不評
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2006年11月05日

【シアトル】立ち往生モノレールその後

シアトル(Seattle)で昨年11月,感謝祭の祝日に車両同士で衝突事故を
起こし,その後は事故防止策を施して今年8/11に営業を再開したものの,
再開2日後(8/13)に故障で数時間止まり,さらに数日後(8/19)には本線
カーブ上でやはり立ち往生してしまったシアトル・センター・モノレール
は,開業から走り続けてた今年44年目の車両や施設に問題があるとわかっ
てはいても,原因を突き止められずに,そのまま運休してしまいます.

シアトル市長は大金を投じて修理を行い,運転を再開してモノレールを
存続したいとしていますが,市議会ではこの案を検討するため,コンサル
タント会社に10万ドルを投じて委託した調査結果が,このほどまとまって
月曜には報告されると報道がありました.

それによれば,やはり車両の耐用年数が終わってること,運行を再開する
場合には,定員の半分(200名)の乗車だけに限定するべきとしています.
乗車定員制限は,軽い方が車両の性能を保証できることや,改善効果も
期待できることと,8月の2度にわたる故障のうちの1つは,乗客数による
重量も関係していたと考えられるためです.

8/13の故障はパワーサージが原因とされています.これに対して8/19の
致命的な立ち往生は,離線が原因でした.車両側にある集電装置が,軌道
側にある電気供給線を追従できなくなったためで,説明ではワイヤから
ポールが離線したトロリーバスを例えに挙げていました.シアトルでは
トロリーバスが数多く走っているため,判りやすいのでしょう.

この離線は,乗客の多数にかかわらず,集電装置の位置を一定に保つ弁の
不調からきていたようで,弁の不調は保守管理が遅れていたために生じた
ようです.保守作業が遅れていたのは,グリーンラインと呼ばれた新しい
モノレールに生まれ変わることが予定されていたからで,そのグリーン
ライン計画そのものは,今から約一年前の昨年11月はじめ,衝突事故が
起きる少し前の住民投票で否決され,日の目を見ることがなくなっていた
のでした.

ダウンタウンとシアトルセンターを結ぶこのモノレールで,定員を半分の
200名に制限されても,運行会社は大した問題ではないとしています.
シアトル市長も,クリスマス前に再開されることを望んでいます.
しかし,安全第一です.再開に向けた試運転がこの日曜まで行なわれて
いるようですが,現時点でも,運行がいつ再開されるのか,未定の状態が
続いています.

市議会では,今後数週間のうちに,この調査報告を元に修理を行なうのか
どうかを投票にはかる見通しです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
シアトルの二大新聞が記事を発信しています.
November 4, 2006 Center wants Monorail to roll
(Seattle Post-Intelligencer ニュースへのリンク)
November 4, 2006 Seattle's stalled monorail worn out, report says
(Seattle Times ニュースへのリンク)

シアトルと言えば,今Sound Transitがバストンネルを改造のため閉鎖
して,ライトレールを建設中です.2009年からその場所を走り始める予定
で,大阪の近畿車輛で製造されたLRVを搭載した船が,先週エバレット港
に到着し,荷揚げされた様子が画像入りで地元紙に載っていました.
画像はクレーンが車体を吊るしているところですが,シートで覆われて
いていますし,台車は付いていないようです.
シアトルの新聞では記事が見つかりませんでした.この後どこかで最終
工程を受けて,シアトルに運ばれるのは少し先なのかもしれません.

Thursday, November 2, 2006 Sound Transit's first light rail car
arrives in Everett
(Everett Herald ニュースへのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

8月運転再開後のシアトルセンターモノレール 関連 過去ログ :
2006/8/22 モノレールを路面電車に転換?
2006/8/12 今度こそ運転再開

Sound Transit Central Link向け車両関連 過去ログ :
2006/6/01 LRV試運転区間が完成
2006/5/07 LRV完成と,LRT北進
2005/10/24 Central Link向けLRV建造中
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2006年11月04日

【ハーグ】中央駅で運行開始間もないLRV脱線

ハーグ(Den Haag)と,近郊のズーテルメール(Zoetermeer)を結ぶ在来線を
ライトレールに転換したランドシュタットレール(RandstadRail)が,その
再出発でつまづいているようです.
今週日曜(10/29)に予定していた区間の一部のみ,新しい部分低床車両,
Alstom製RegioCitadis(レギオシタディス)よる運行が開始されました.
転換工事の遅れにより,6月から代行バスの利用を強いられてきた人たち
には,これでやっと不便から開放されると思ったことでしょう.しかし,
今度は運行トラブルに見舞われることになります.
すでに不具合で2時間近く,運転不能になったこともありましたが.昨日
(11/03)は,デンハーグ中央駅(Den Haag Centraal)で,ランドシュタット
レールのレギオシタディスが,脱線事故を起こしてしまったのです.

この脱線の影響で,ランドシュタットレールとハーグ中央駅(CS)を共用
している一部のHTMの市電が,経路を変更して運転されたほか,ランド
シュタットレールは,ズーテルメールからLaan van NOI駅までの折返し
運転になったようです.この駅は,在来線とハーグ市電線の間の連絡線の
入口にあたっています.

HTMとAlstomが原因究明につとめていますが,どうやらRegio-Citadisの
レールブレーキが,中央駅のポイントで破損した可能性があり,それが
脱線の引き金になったとみられているようです.
HTM : HTM Personenvervoer (ハーグ市内でバスと路面電車を運行)

RandstadRail1.png
この図は資料を基に独自に構成したもので,正確ではありません
青の太線が10/29より運行されている,RandstadRail 4系統

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
脱線事故を伝える記事の一つ :
03-11-2006 Sneltram loopt uit de rails
(Algemeen Dagblad ニュースへのリンク)

コンピュータトラブルで運転不能に陥った時の記事の一つ :
1 nov 2006 Storing legt deel Randstadrail plat
(Telegraaf ニュースへのリンク)

追記 : 2006/11/06
その後の報道によれば,最初の脱線の翌朝(11/04)に,同じ場所で
同じ車種が再び脱線を起こしてしまったようです.2回とも正式
には原因が明らかにされていません.
05-11-2006 Twee ontsporingen op dezelfde plek
(Algemeen Dagblad ニュースへのリンク)

この新聞では,ライトレールのランドシュタットレールに転換されて,
以前の電車(Sprinter)より良くなったか?と問いかけています.すでに
コメントが多数寄せられていて,ざっと見た限りあまり好意的にとられて
いないようですが,反響は11/14の紙上でまとめるそうです.
31-10-2006 Stelling RandstadRail
(Algemeen Dagblad ニュースへのリンク)

Den Haag CS駅のCG画像 : The Hague Central Station
(Benthem Crouwel へのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

RandstadRail 開業関連 過去ログ :
2006-10-28 10/29よりRandstadRail一部運転
2006/09/03 トラムトレイン10月までお預け
2006/8/26 在来線のライトレール化遅れる
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2006年11月03日

【パドヴァ】改造後の試運転再開か?

今週初め,フランスのストラスブール近郊(Duppigheim)にあるロール社
(Lohr Industrie)の試験線で,イタリアのパドヴァ(パドバ)(Padova /
Padua)で先月脱線した,トランスロール(Translohr)の実証実験が行なわ
れました.その結果,2つの改造を施せば問題ないという結論に達した?
ようで,スノープロウのような排障器を付けたトランスロールが,昨日
パドヴァで試走しているはずです.
結果次第では,軌道を道路に戻す?というような発言もあるかのように
読める記事もありました.誤訳の可能性があります.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
メトロトラムが,リトマス試験にかけられると題する記事 :
29 Ottobre 2006 Metrotram, "prova del nove" a Strasburgo
(Il Gazzettino Online ニュースへのリンク)

ストラスブールでの試験で,改造されればOKという文字がタイトルに載る
記事 : 31/10/2006 Strasburgo, è ok il tram con le modifiche
(Associazione Commercianti Turismo e Servizi Padova にアップロード
されている, il mattino di padova 記事PDFファイルへのリンク)


しかし,この記事の最後によれば,パドヴァ市長はクリスマス(Natale)
までにトラム(Metrotram)が(営業運行として)走ることはないと考えて
いるようです.
31/10/2006 Tram, nuove prove "Non partirà a Natale"
(Associazione Commercianti Turismo e Servizi Padova にアップロード
されている,Corriere del Veneto 記事PDFファイルへのリンク)


昨日,改造後のテストが本日行なわれると伝える記事 : 2 Novembre 2006
Oggi i test del dispositivo che tiene "pulita" la rotaia
(Il Gazzettino Online ニュースへのリンク)

今日(11/03)は,その記事があるかと思いましたが,最近では珍しく,
パドヴァ関連の紙面にTramの文字が全くありませんでした.

おまけ,雪の上を走るトランスロールのビデオ :
August 28, 2006 Translohr sous la neige From Jfox63
(Youtube へのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

最近のトランスロール 関連過去ログ :
2006/11/03 【クレルモン=フェラン】11/13営業再開へ
2006/10/21 【パドヴァ】トランスロールを改良?
2006/10/15 【トランスロール】案内輪逸脱はパドヴァでも
2006/10/14 【クレルモン=フェラン】本格開業はお預け?
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【クレルモン=フェラン】11/13営業再開へ

先月中旬,華々しく行なわれた開業式典のあと,土日だけは一般の旅客も
乗車できたクレルモン・フェラン(Clermont-Ferrand)のトラム(tramway)
は,すでにご紹介している通り,その後は一旦旅客営業を休止して,安全
性確認のため,旅客なしのカラの運行が続いていました.トランスロール
(Translohr)の特長の一つである,脱線しにくい構造のはずの案内輪が,
先月初めの試運転中に脱線したためです.その後,同じトランスロールを
導入する,イタリアのパドヴァ(パドバ)(Padova / Padua)でも,同様に
脱線が起きたことも恐らく影響していたことでしょう.


しかし,先月末にLohr社をはじめ,国の交通技術関係の省庁(STRMTG),
運行するT2Cなど,関係者の専門家らが集まった席で,過去2週間の試運転
内容を分析した結果,クレルモン=フェランが属すピュイ=ド=ドーム県の
県知事の運行許可が下りることを条件に,SMTCは営業再開を11/13からに
決定したとの発表が昨日ありました.
SMTC : Syndicat Mixte des Transports en Commun de l’agglomération
clermontoise
STRMTG : Service Technique des Remontées Mécaniques et des
Transports Guidés
T2C : Transport en Commum de l'Agglomération Clermontoise

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
02/11/2006 Mise en exploitation commerciale du tram annoncée pour
le lundi 13 novembre
(SMTC - Le tram ニュースリリースへのリンク)
今のところ報道記事は見つかっていません.

これに先立つ今週はじめ,フランスのストラスブール近郊(Duppigheim)に
本社と試験線を持つロール社(Lohr Industrie)は,イタリアのパドヴァで
起きた案内輪脱輪の再現検証を行なっていたようです.これはイタリア
からの報道で明らかにされています.
実験が行なわれていたと思われる,ロール社敷地の衛星画像 :
Lohr Industrie INDUSTRIAL FACILITIES
Z.A. De la Bruche Avenue de la Concorde 67120 Duppigheim Alsace
(Google Maps へのリンク)

また,パドヴァのトランスロールに施される改良,以前ご紹介している
スノープロウのような排障器と,異常を検知して非常制動をかける装置の
取り付けを,クレルモン=フェランの2本の車両にも行なったそうです.
こちらも,イタリアの下記報道が情報源です.
31/10/2006 Tram, nuove prove (PDFファイル)
(Associazione Commercianti Turismo e Servizi Padova にアップロード
されている,Corriere del Veneto 記事PDFファイルへのリンク)

この記事によれば,パドヴァは年内の営業運転は難しい状況のようです.

クレルモン・フェランでは,新聞記事などの情報を探せずにいますが,
ビデオを精力的にアップロードされている人がいます.
10/14に撮影された,開業式典に向かう電車からの映像 :
Inauguration du tramway depuis la rame 2 by J-fox
車庫から式典会場まで,続行運転されたらしい2台目からのもので,先頭
位置を確保できなかったらしく,あまりいい映像ではないかもしれません
が,途中を早送りして10分近くで,車内から外の様子を追っています.

次は,10/15撮影の営業車両の先頭からのかぶりつき映像 :
Tramway de MDC à 1er Mai by J-fox
Tramway de 1er Mai à Champratel by J-fox
これらも,途中は早送りに編集されていますが,周辺の雰囲気などがよく
わかりますし,電停で人が鈴なりになって電車を待っているところが,
なんとも印象的です. (ビデオは,Dailymotion へのリンク)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

最近のトランスロール 関連過去ログ :
2006/10/21 【パドヴァ】トランスロールを改良?
2006/10/15 【トランスロール】案内輪逸脱はパドヴァでも
2006/10/14 【クレルモン=フェラン】本格開業はお預け?
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2006年11月02日

【AutoTram】レールなしのゴムタイヤトラム

これもゴムタイヤ式トラムと言っていいのかどうか,名前にTramが付いて
いるものの,実態は新交通システムを路面に走らせるような感じです.
ドイツとスイスの会社が開発している,このAutoTramなるものを,ドイツ
Die Welt紙が取り上げました.同紙のウェブサイトでは,自動車(Motor)
欄に記事が掲載されています.画像は同紙記事にもあります.

路面電車と,バス,それに新交通システムの,それぞれの長所を集めると
こういう車両ができるというもので,駆動輪にはゴムタイヤが用いられ,
非接触のガイドシステムで自動的に誘導されることも可能ですし,一般の
道路上を,運転手によるハンドル操作で走ることも可能です.
試作車の2車体に3つある車軸は,それぞれ個別に駆動され,さらに電気
油圧式で別々に操舵できます.タイヤには,ピープルムーバーに義務付け
られている,リンプホーム機能(limp-home function =破損時に最低限の
走行が可能な機能? ドイツ語:Notlaufeigenschaften)が,備わっている
そうです.
動力には燃料電池のほか,ディーゼルエンジンを搭載したり,車両には
動力源を置かないバッテリー方式も視野に入れています.
最高時速は70キロ.軸重は条件により,5トンから10トンだそうです.

車体が同種の車両に比べて特徴的で,路面電車やピープルムーバの流れを
汲み,双方向運転(両運転台)が可能で,試作車両は2車体で車長が18mです
が,これを3車体36mまで伸ばすことができるモジュール方式です.
出入口が低床かどうかはわかりません.

新たに軌道を敷いて電車を走らせるよりかなり安くなりますし,欧州では
珍しくない2連接(3車体)バスよりも,コスト面で優位とみられています.

非接触のガイド装置は,光学式のものになるようです.
公式サイトには,英語版ではcontactless guidance systemとなっている
ものの,ドイツ語版にoptisches Spurführungssystemと記されています.
日本のIMTSのような,磁気装置によるものではないでしょう.
IMTS : Intelligent Multimode Transit System (磁気誘導式バス)

いずれにしても,この手の駆動と操舵を分離した車両では,自動操舵の
場合には専用軌道化しなければならないことが多く,AutoTramも恐らく
例外ではないように思われます.これを自動車などと併用とまでいかなく
ても交差を許す設計にしたのが,TVR(GLT)やトランスロール(Translohr)
などですが,両者ともその部分で一番苦労しています.そうしてみると,
百年以上の歴史がある鉄道,特に併用軌道さえ可能な路面電車は,駆動と
操舵の両方を,レールと車輪の組合せだけでこなしてしまう,優れものと
いうことを改めて実感します.しかし,それにかかるコストが高いから
こそ,この手の研究が続けられているのでしょう.


現在は試作車1本だけですが,ドレスデンやライプチッヒなどが興味を
示しているそうです.その他にも,空港での利用や,大規模イベントでの
会場と駐車場とのシャトル輸送,さらには旧東独地区での廃線となった
鉄道の再生向けとしても検討されているようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
01.11.2006 Straßenbahn fährt ohne Schienen
(Die Welt ニュースへのリンク)

AutoTram概要(英語版) :
Projekt: AutoTram People-Mover-System auf »Virtual Rails«
(Fraunhofer-Gesellschaft のサイトへのリンク)

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2006年11月01日

【ポートランド】トラムと路面電車の出会い

十日以上前の話ですが,ポートランドのストリートカー(路面電車)の路線
延長が行なわれました.開発中のサウス・ウォーターフロントへの公共
交通を担います.路線延長は更に続きますので,行き先表示はそれにも
備え,"WATERFRONT"になっているようです.
その暫定的な終点には,ロープウェイの麓側ターミナルも建設中です.
山側にある大学(OHSU)が,サウスウォーターフロント(South Waterfront)
にも建物を増築するため,その連絡手段として建設されているものです.
完成後には一般の人も乗車できますが,そのロープウェイで使われるゴン
ドラが,スイスからポートランド港に日曜の午後届いたという報道があり
ました.オランダから2ヶ月かけた船旅だったそうです.
OHSU : Oregon Health and Science University

実はこのロープウェイ,前にもご紹介していますが,建設費が当初予算
1500万ドルより大幅に超過し,5500万ドル近くまで膨れ上がって,最終
的にはポートランド市が資金を追加投入して,何とか工事が続けられた
という曰くつきのものです.工事日程も大幅に遅れました.
現場では,これまでは工事用の無骨なゴンドラがロープから吊るされて
いましたが,これからは丸みを帯びた営業用に代わります.その試運転は
11/09から,営業運転は来年1月からの予定です.

2台の卵型をした銀色のゴンドラ(キャビン)は,一台あたり添乗員1名を
含む79名定員で,3分以内でサウスウォーターフロントと,山側のOHSU
キャンパスにあるアッパーターミナルを結びます.
ゴンドラ(キャビン)は愛称名を模索中で,市のコミッショナーが今月末
までメールを受付けています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
計画の概要など :
Portland Aerial Transportation, Inc. (公式サイトへのリンク)
The Portland Aerial Tram (City of Portland へのリンク)

記事にトラム(Tram)が使われていますが,これは"aerial tramway"(索道)
からきています.
Monday, October 30, 2006 Portland's tram cars arrive
First Look at Tram Cabins (ゴンドラ輸送の画像集)
(KGW Portland ニュースへのリンク)
10/30/2006 Bubbly Tram Cars Finally Arrive
(KOIN News 6 Portland ニュースへのリンク)
Mon, 10/30/2006 Name the tram cars!
(シティコミッショナーSam Adams氏のブログへのリンク)

ポートランド・ストリートカー(路面電車)の区間延長に関しては,早く
から軌道など地上設備が完成していたものの,チェコへ追加で発注した
車両の到着が遅れたため,当初の9/08延長開業予定から,10/06に延期
され,最終的には10/20になりました.
路線が延長されても,全線での運転間隔を空けずに保つため,3本の車両
追加が予定されていました.その到着を待って延長開業を遅らせていた
のですが,それにもかかわらず,結局最初の1本目も間に合わず,到着を
待たずに延長に踏み切ったようです.1本目到着の現在の予定は12/01で,
2本目以降は来年1月になるようです.これは,公式サイトのCitizen's
Advisory Committee Past Meeting's Minutes
からの情報で,輸送力
不足分は,一部バスで代行するようにも読めます.以前は,日曜にMAXの
ダウンタウン区間を走る,Gomacoのビンテージトロリー(レプリカ)を走ら
せてしのごうという案もあったようですが,昨春延長した勾配区間が走れ
ないらしいことや,低床ではないため見送られたようです.

次の延長は,路線を更に数ブロック南下させますが,そこで隣の通りに
移り,ループの形で今回の暫定終点SW Moody and Gibbsまで戻ってくる
ことになり,現時点では2007年の7/13が開業日となっています.

増車されて全部で10本となる低床車のうち,9号車はOHSUが5年間契約で
スポンサーとなり,他車と同様に慎ましやかですが,OHSUのロゴが貼ら
れる予定です.

ポートランド市電の現在の(来夏までの)終点(航空写真) :
SW Gibbs St. (S.W. Moody and Gibbs streets)
(Live Local powered by Virtual Earth へのリンク)

Portland Streetcar South Waterfront station beneath the huge
OHSU Aerial Tramway
電停とロープウェイの支柱
Portland Streetcar South Waterfront station
Photo by pdxjeff on October 22, 2006 (flickr)
from Out and About in Portland Created by pdxjeff.
3ページにわたるポートランドの寸描の中に,10月のトラムやストリート
カー延長区間の画像も少し含まれています.(リンク先は2頁目)

ポートランド ロープウェイ 関連過去ログ :
2006/4/21 こちらのロープウェイは...
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(3) | 米国北西部 I このエントリーを含むはてなブックマーク
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