2008年07月31日

【アリカンテ】2009年展望【パルマ】メトロ再開

ムルシアから約70キロ,直行の高速バスで1時間近くにあるアリカンテ
(Alicante / Alacant)では,古くからある狭軌鉄道線上を電化,1999年
からトラム型の低床車を走らせています.

2007年5月には従来の港に近いターミナルとは別に,中心部では地下を
走る新路線も一部開通し,電化区間の延伸されて,トラムトレイン型の
車両が高速で行き交い,2007年6月からは途中で枝分かれする支線用の
100%低床車(Flexity Outlook)も加わっています.
関連ログ: 2008/6/23 メキシコから視察団来訪ほか

快速運転を行い,アリカンテから今年6月にはベニドルム(Benidorm)まで
43.6キロに伸びた電化区間の終端まで向かうトラム1系統と,途中の各駅
に停車する区間運転のトラム3系統とは別に,途中からサンファンビーチ
(Playa de San Juan)の住宅地へ入っていく支線(トラム4系統)の延長区間
(ループ線)と,これまでの海沿い路線とは一線を画し,内陸にある大学や
病院に向けて路線を伸ばしていくトラム2系統が,相次いで2009年内に
開通する見通しです.

トラム4系統は,聖週間(Semana Santa)の時期,つまり2009年4月ごろに
延長工事が竣工し,トラム2系統は2009年前半に工事を終え試運転が開始
され,開業は同年後半となる予定です.
トラム4系統単独の区間は全線路面走行,内陸に向かうトラム2系統は,
本線から分岐した直後にトンネルがあるほかは,単独で運行される区間は
路面走行です.
(便宜上,トラム1系統や同3系統が走る路線を「本線」と書きましたが,
正式なものではありません)


26 de julio de 2008 El Tram «lleva» la capital a los barrios y la
periferia
(ABC Valencia ニュースへのリンク)
25 de julio de 2008 La línea 2 del tranvía dará servicio en el
segundo semestre de 2009

(Información ニュースへのリンク)

本線筋のほうでは,電化区間を更にアルテア(Altea)まで7.67キロ延長
する工事が,2009年には完成するとみられているほか,アリカンテ側では
広軌のRENFEの列車が発着する鉄道駅への地下線延長工事がたけなわで,
今週から駅前でも本格的な工事が開始されました.
この地下路線は,現在の暫定的な終点Mercado駅から一つ先のLuceros駅
までは2009年前半にも開業する模様です.しかし,RENFE鉄道駅へは,
乗換え総合駅(Estación Intermodal)工事に遅れ?があるようで,時期は
未定です.
その先もアリカンテ空港までの11キロ以上の路線延長計画があり,今年
2月の時点で2011年開通予定となっていました.地下区間は総合駅から
2キロ近く先まで続く予定です.

一方,ネックとなる単線区間をなくすために,障害となっている岩山の
中にトンネルを掘り,新たに複線電化の新線を建設する計画も進められて
いて,こちらは2008年内に着工する見込みです.
Serra Grossaの中をくぐる1.47キロのトンネルを含む約2キロの新線が
完成した暁には,La Isleta駅までの地中海を望む海沿いの単線区間は,
廃止されるのでしょう.単線が運行上の障害になっているだけでなく,
切り立った崖からの落石被害も,たびたび蒙っていました.

左は2007年開通の複線区間ですが,目の前に立ちはだかる岩山を避けて,
この先で画面右側の道路をくぐり海岸に至り,画面右端に僅かに信号機が
見える旧来からの単線と合流します.その間のどこかで,この岩山を貫く
トンネルを掘るようです.
右は旧来からの単線区間で,正面にリゾートマンションを見据えながら,
右手には紺碧の地中海が広がっている風光明媚な区間です.
FincaAdoc01.jpg FincaAdoc02.jpg

非公式なものですが,位置関係はこちらが判りやすいかもしれません.
Foro Urbanity/España/Infraestructuras/Alicante: TRAM [Tranvía] #6
(Foro Urbanity へのリンク)

アリカンテから約300キロほど話が飛びますが,
【パルマ・デ・マリョルカ】
地中海に浮かぶマヨルカ島にありながら,スペイン第9位の38万人余が
暮らすパルマ・デ・マリョルカ(Palma de Mallorca)では,2007年4月に
街中の一部区間で地下を走るメトロが開業しています.

しかし,同年8月と9月の集中豪雨で地下駅が水に浸かり,運休が続いて
いました.それが7/28,ほぼ10か月振りに運転を再開しています.
28 Jul. El metro de Palma se reabre hoy después de estar cerrado
durante diez meses por obras de reparación

(Europa Press ニュースへのリンク)

このメトロは,全長7.2キロ(そのうち地下4キロ)の路線には,開業までに
3億1500万ユーロが投じられました.
今回,浸水による損害や,その他の修復に2800万ユーロが加算されて,
結局のところ3億4300万ユーロかかったことになります.

これは計画時から比べると146%になりますが,全額バレアレス諸島自治州
(Comunitat Autònoma de les Illes Balears)が負担し,2031年までに,
利子を含めた5億3600万ユーロを返済していくそうです.

関連ログ: 2007/4/11 【パルマ】マヨルカ島でフル規格の地下鉄開業

その他,Metro de Palma de Mallorcaの項目で英語版やスペイン語版の
Wikipediaのデータがよくまとまっています.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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【ムルシア】トラム計画のスケジュール煮詰る

アリカンテから約70キロ,直行の高速バスで1時間近くに位置している
スペイン南東部のムルシア(Murcia)で,計画中のトラム路線網構築計画の
今後のスケジュールを含む詳細仕様書(del Pliego de Condiciones)が,
市議会(Junta de Gobierno Municipal)に承認されて,いよいよ本格的に
始動します.

現在の試験路線2.2キロを含む,トラム1号線の路線延長は16.7キロで,
建設費1億6500万ユーロと車両購入費3700万ユーロの合計は2億ユーロを
超えて,この地域史上最大級の投資になります.このうちの1億7880万
ユーロに及ぶ資金を調達し,更に将来の路線延長計画の調査と,開業後の
営業権を所有する企業体を,民間から募集します.締切りは10/23です.

その後の段取りは,建設と営業を請け負う企業体が2009年2月中旬頃には
決定され,同年3月中ごろの着工,試験路線との接続や,サークル広場
(Plaza Circular)とファンデブルボン通り(avenida Juan de Borbón)間の
架線レス区間を含む土木工事は13か月間で終えて,2010年4月から最低
でも半年間の試運転を行い,2010年12月から2011年1月までの間に営業
運行開始となる見通しです.
架線なしで電車を走らせる方法は,選ばれる企業体により決定されるの
でしょう.距離はGoogle Mapsで測定すると,約1キロあります.


公式発表と報道:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
30.07.2008 LA LÍNEA 1 ESTARÁ COMPLETA EN DICIEMBRE DE 2010.
(Tranvimur 公式サイトへのリンク)
29/07/2008 El Alcalde señala que la salida a concurso de la Línea 1
del tranvía es la mayor inversión de la historia de la ciudad

30/07/2008 Las obras de la Línea 1 del tranvía comenzarán en marzo
de 2009
(ムルシア市の公式発表内容の写し)
(Murcia.com ニュースへのリンク)
30 de julio de 2008 Treinta mil viajeros utilizarán la Línea 1
del tranvía cada día en 2011
(地図掲載)
(La Opinión de Murcia ニュースへのリンク)

関連ログ: 2008/3/08 中心部の架線レス化が明らかに

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2008年07月30日

【ヨーテボリ】低床車の問題で増発が危機?

スウェーデン第二の都市,ヨーテボリ(Göteborg / Gothenburg)のトラム
(Göteborgs Spårvägar)では,夏休み明けの8/18から増発の予定があり
ます.しかし,予定している車両数が揃わない恐れがあると,地元紙が
報じていました.
足を引っ張っているのは,2001年に発注し,2005年から順次営業運行を
開始しているアンサルドブレダ(AnsaldoBreda)製の低床車Sirioでした.

増発は,トラムの運転間隔を従来の10分おきから,ピーク時の運転間隔を
7系統と11系統では8分間隔に,その他の系統では9分間隔に縮めるほか,
土休日や平日のオフピーク時にも運転頻度を高めるという計画で,それ
には,これまでより15本多い141本のトラム車両が必要とされています.

ところが,あてにしていたM32タイプの車両の状況が,怪しくなっている
というのです.この車両は,AnsaldoBredaの100%低床車モデルSirioで,
400番台が割り当てられたヨーテボリ・トラムでの形式名が,M32です.

2001年に40本をAnsaldoBredaに発注していますが,これまでに28本が納入
されたに留まり,当初の予定から大幅に遅れています.ダイヤ改正の8/18
までに残る5本がイタリアから届く予定とのことですが,それがいつに
なるかはっきりしていません.

それに加えて,28本のうち16本が運用から外されているそうです.今は
夏休みで利用客も少なく,救われているようなものなのでしょう.16本が
運転できないのは,ギアボックスからの油漏れと,帰線電流の問題からの
ようです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
2008-07-29 Stor risk att turer ställs in
(Göteborgs-Posten ニュースへのリンク)
この記事に,AnsaldoBreda製Sirio(M32)の画像も載っています.

Route network & stop maps: Spårvagns- och stombusslinjekarta
(Västtrafik 公式サイトへのリンク)

本題とは直接関係ありませんが,ヨーテボリトラムのイメージ:
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Avenyn by andreasnilsson1976 (flickr)
Avenyn
Taken on February 23, 2007

Gothenburg Tram by ckrantz (flickr)
Gothenburg Tram
Taken on July 23, 2007

ヨーテボリ(イェーテボリ)では振るわないAnsaldoBredaの低床車モデル
Sirioですが,これまでの実績としてはイタリアだけでなく,アテネや,
トルコ中央部のカイセリ(Kayseri)でも採用されています.

最近も,黒海に面したトルコのサムスン(Samsun)から,約17キロのトラム
路線構築にあたり,AnsaldoBredaが参加するコンソーシアムが受注して,
Sirioを16本導入する予定であることが,今月明らかにされていました.

July 14, 2008 Ansaldo Breda in a 106 million euro contract to
supply SIRIO trams to Turkey

(Frontier India Defence & Strategic News Service へのリンク)
(サムスン(Samsun)の導入に関して,英語で読める記事)

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2008年07月28日

【ニース】土曜の午後はトラムと歩行者だけ

開業後も何かと話題の多いニースのトラムウェイで,今度はトランジット
モールの実験が始まりました.
ニースでも,マセナ広場(Place Masséna)のように,トラム完成とともに
自動車から開放された場所や,通行する道路幅が狭く,物理的に自動車の
通行を原則排除した区間がありますが,普段は車が行き交う駅前からの
目抜き通りで,土曜の午後に限定した試みです.

自動車から開放され,歩行者とトラムだけの空間になるのは,SNCFニース
駅前から伸びるティエール通り(Avenue Thiers)が,トラムの走る通りと
交わるSNCF線路のガード近くの交差点から,マセナ広場(Place Masséna)
近くにあるギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)に至る,
繁華街を貫くジャン・メドゥサン通り(Avenue Jean Médecin)で,距離に
して800m以上,時間は土曜日の13:30から19:30までの間です.

実施される期間は,8月中としている記事もあれば,追って通知あるまで
としている記事もあり,定かではありませんが,これが好評で成功と判断
されると,継続されることだけは間違いないようです.

きっかけは,トラムの開通でした.トラム開業後のジャン・メドサン通り
では自動車通行量が減り,それも土曜の午後が顕著だったそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
25 juillet 2008 L'Avenue Jean Médecin piétonne ce samedi
(Nice Premium ニュースへのリンク)
25 juillet 2008 Ce samedi, l'avenue Jean-Médecin sera toute
piétonne !
(Nice-Matin ニュースへのリンク)
27 juillet 2008 Promenons-nous sur Jean-Médecin piétonne d'un
jour...
(Nice-Matin ニュースへのリンク)

Nice : L'Avenue Jean Médecin (Google Maps へのリンク)

Nice_AvJeanMedecin01.jpg Nice_AvJeanMedecin02.jpg
2007年12月,平日午前中のジャン・メドゥサン通りの様子.

前回: 2008/6/30 トラム2号線は英国人の散歩道に

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2008年07月27日

【ロサンゼルス】三度目の売上税増税投票へ

ロサンゼルスでも,LACMTA理事会で採決の結果,11/04に実施の総選挙を
兼ねた住民投票で,売上税増税の是非が問われることになりそうです.
LACMTA: Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority

まだ手続きが残っていますが,仮に投票にかけられ住民に承認されると,
ロサンゼルス郡では,現在8.25%の売上税が,カリフォルニア州が定める
州の売上税(6.25%)を含む最高限度率いっぱいの8.75%になります.

これによる増税収は30年間で300億ドルから400億ドルに達するとみられ,
このうちの65%は公共交通の運営(同25%)と路線網拡大の資金(同40%)に
あてられ,残りは歩道や自転車道を含む,道路関連の整備にまわることが
考えられています.

ロサンゼルス郡では,1980年(Proposition A)と1990年(Proposition C)で
それぞれ売上税率0.5%ずつの増加を住民が承認していて,今日の8.25%に
至っていますが,今日のLACMTA(通称Metro)のメトロレールがあるのも,
これら(売上税のうちの1.0%分)のおかげです.その他にも路線バスなど
公共交通の運営と整備にも使われてきました.

三度目となる売上税の増税を住民が認めるかどうかは,賛成票多数だけ
ではダメで,有効票数の三分の二が賛成である必要があります.
未曾有の燃料価格高騰も追い風となりそうですが,ロサンゼルス市長は,
もしも承認されれば,2009年に予定するメトロの運賃値上げを,増税分を
使って一年先送りにすることを提案,自らが議長を務めるLACMTA理事会を
説き伏せて,反対票を減らそうとしています.

今回の増税が認められれば,大きな弾みがつくことになる鉄道路線網拡大
構想には,市長が長年の夢としている地下鉄(Purple LineかRed Line)の
太平洋岸への延長や,ライトレールのゴールドライン(Metro Gold Line)
延長,ロサンゼルス国際空港(LAX)への鉄道アクセス,ダウンタウンでの
ライトレール接続線などが含まれています.

LACMTAの公式発表と報道:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 24, 2008 Metro Board Acts to Put New Transportation Sales
Tax on November Ballot
(LACMTA ニュースリリースへのリンク)
July 25, 2008 MTA votes to seek sales tax hike to fund L.A.
County transit, roads
(Los Angeles Times ニュースへのリンク)
July 24, 2008 MTA Board Approves Sales Tax Measure For Nov. Ballot
(KNBC 4 Los Angeles ニュースへのリンク)
26 Jun 2008 MTA Board Seeks LA County Sales Tax Increase
(KTTV-TV, Los Angeles ニュースへのリンク)

細分化すると,公共交通だけで13の計画に,道路関連は16の計画に資金が
投入されることになりますが,これだけの計画数に上るのは,それだけ
求められていることもさることながら,一千万を超える住民が暮らすと
されるロサンゼルス郡の全体に恩恵を広げ,三分の二を得票するために
必要な戦術とも言えます.

それでも,地域によって差が生じ,住民数の割合よりより投入額の割合が
高い地域や,高額な地下鉄の通行が計画されている地域は,やっかみの
目でみられているようです.

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2008年07月26日

【Sound Transit】15か年計画でLRT拡大を

シアトルを中心とするピュージェット(Puget Sound)地域内の3つの郡,
キング郡(King County),ピアース郡(Pierce County),スノホミッシュ郡
(Snohomish County)では,ライトレール延長計画を含む,公共交通整備
計画に伴う増税を,今年11/04の住民投票に再びかけることが,7/24に
行われたSound Transitの理事会で決まりました.

2007年11月にも,公共交通整備計画(Sound Transit 2)は道路整備計画と
抱き合わせたRoads and Transit案として住民投票にかけられましたが,
その時は反対多数(56%)で否決されていました.

今年は公共交通だけの単独になり,売上税の増税率(0.5%)は同じでも,
多少規模を縮小して,完成期限を5年から7年前倒しした形です.
今年は四年に一度の大統領選挙も同時に行われ,若年層を中心に投票率が
上がると見られることや,昨今の燃料価格高騰などによる社会環境の変化
も,投票に影響を及ぼしそうです.

0.5%の増税は,大人一人当たり年間$69の負担増に相当します.
ワシントン州の売上税(State Sales and Use Tax)は6.5%,これに地域の
売上税(Local City/County Sales and Use Tax)が加算されます.例えば
シアトルなら地域の売上税が2.5%で,ここに現在建設中のライトレール
などの経費に回る分も含まれています.この合計9.0%が現在の売上税です
から,これが9.5%になるということです.

2008年の案は,179億ドル(返済時228億ドル)の15か年計画です.
昨年の20か年計画と比べて費用は23%少ないと,Sound Transitは説明して
います.このうちの三分の二は,ライトレールの延長にあてられます.

現在工事中か近々着工予定の南北に伸びる約18.9マイル(約30キロ)の路線
に,昨年の案は約50マイル(約80キロ)を加えるものでしたが,今年の案は
多少短縮され,約34マイル(約54.4キロ)の路線を,南北の延長とシアトル
から東方への新線として加える計画です.

2009年末にはシアトル・タコマ空港まで開業するライトレールCentral
Linkは,昨年の案では2028年には延長されるはずだったタコマ(Tacoma)
まで,今回の延長案では到達しなくなり,この地域で一足早く開業して
いるタコマ・リンク(Tacoma Link)との接続も消滅しますが,タコマと
シアトル間には,輸送力が増強される通勤列車Sounderがありますし,
ピアース郡の住民に配慮して路線バスの輸送量も増強されます.

北のスノホミッシュ郡に対しても,負担は同じでもライトレール延長で
受ける恩恵が少ないため,急行バスを3割増強という形が示されました.

11/04の住民投票で承認され,その後も計画通りに運べば,2023年までに
約53マイル(約84.8キロ)のライトレール路線網が構築されます.

公式発表と計画図:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Proposed 15-year ST2 plan Map
July 24, 2008 November 2008 mass transit ballot measure provides
near-term express bus expansions, speeds up light rail by five to
seven years

(Sound Transit 公式サイトへのリンク)

数多くの記事の中から,各郡のものを一つずつ選びました.
July 25, 2008 Sound Transit sending voters $17.9 billion rail-and-
bus plan
(Seattle Times ニュースへのリンク)
July 25th, 2008 transit tax heads to vote
(Tacoma News Tribune ニュースへのリンク)
July 25, 2008 Voters will face regional transit measure again
(Everett Herald ニュースへのリンク)

関連ログ: 2007/11/30 2008年秋にも再挑戦?

しかし,18人で構成されるSound Transit理事会の中にも,今回の計画に
懸念を示す理事もいます.かつて理事長を務めたこともある,キング郡の
代表者です.昨年のRoads and Transitにも反対運動を展開しましたが,
理事会の前日付けで,その意見を述べた寄稿が掲載されていました.
July 23, 2008 The wrong investment at the wrong time
Guest columnist | Ron Sims (Seattle Times へのリンク)

ガソリン代がかつてないほどの勢いで高くなっている米国では,各地で
公共交通の利用者数が急増しています.その輸送力増強が必要なのは,
15年先ではなく15か月後(今すぐ)と強調し,ライトレールより早く実現
できるBRT(bus rapid transit)によるサービス強化を主張しています.

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2008年07月24日

【シーメンス】欧州の鉄道工場は三か所に

今月初め,ドイツの総合電機会社シーメンスが,経営刷新と世界的な経済
低迷を理由に,各地で人員削減を行うと発表したことは,お聞き及びと
思います.同社の運輸と物流関連のモビリティ部門(Siemens Mobility
Division)でも,これに連動する動きがありました.

先週末に南ドイツ新聞(Süddeutschen Zeitung)が報じていた通り,ドイツ
国内とオーストリアにある合計10の工場閉鎖は回避されますが,各地で
人員整理を計画中です.また,チェコのプラハにある鉄道車両製造工場
は,売却か閉鎖されることになりました.

今後成長が期待される市場では,そこの地元企業の介入を求める声が高く
なっています.先日お披露目された,北京天津間の高速鉄道などが,いい
例なのかもしれません.これに対応するためには,今の体制では生産力が
余剰になるため,組織の再編成が必要になるとのことです.

将来的には,鉄道車両の生産拠点を三か所に絞ることも発表されました.
アルミニウム製車体の車両は,デュッセルドルフに近いノルトライン・
ヴェストファーレン州クレーフェルト(Krefeld)イェルディンゲン地区の
Krefeld-Uerdingen工場(元はDUEWAGの工場),鋼製車両はウィーン工場で
製造され,三つ目のミュンヘン工場は機関車の製造が主になります.

クレーフェルト・イェルディンゲン(Krefeld-Uerdingen)工場では,現在
行われているコンビーノ(Combino)の改修作業が終了した時点で,220名の
人員整理が提案されています.

北米市場を見据えた米国サクラメント工場は,影響を受けないそうです.

シーメンスの正式発表と,業界紙の記事,工場が売却か閉鎖されるチェコ
での報道(チェコ語)を並べました.一般の記事は星の数ほど出ています.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
2008-Jul-23 Siemens Mobility to continue manufacturing in Germany
– Locations are to be retained

(Siemens Mobility Division プレスリリースへのリンク)
23 Jul 2008 Siemens to concentrate production on three sites
(Railway Gazette へのリンク)
24.7.2008 Siemens opustí svůj závod na pražském Zličíně
(Hospodářské noviny ニュースへのリンク)

現在はプラハのズリチーン(Zličín)にある今回売却もしくは閉鎖対象の
工場は,かつては同市スミーホフ(Smíchov)にあり,元を正せばチェコ
スロバキアの国営企業ČKDが,当時の東側諸国向けに,大量のトラムを
製造していた拠点だったそうで,その流れを汲んでいます.
ČKD: Českomoravská Kolben Daněk

ステンレス・スチール製車体のCombino Plusは,今後製造される場合は
ウィーン工場でということになるのかもしれませんが,期待されていた
カナダのトロント(TTC)への売り込みは,結局消滅してしまいました.
TTC: Toronto Transit Commission

余談になりますが,
TTCでは在来車の置換えと新線用の車両として,204本の低床車を発注する
予定です.アルストムは納期を守れそうにないと早々に競争から離脱,
その他の各社も,100%低床車に限定され部分低床は不可になったことや,
25%はカナダ製とする条件が追加されて離脱していき,残ったのは最大手
ボンバルディアとシーメンスだけでした.シーメンスは,Combino Plusの
モックアップをトロントに運んで懸命に売り込みを図りますが,その後は
先月末までの入札期限に,なぜか手続きを行いませんでした.
このシーメンス離脱は正式な説明はされていませんが,一連の組織再編に
目を向けなければならないという現実があったからとみられています.

さらに余談になりますが,
結局TTCの入札に応じたのは二社だけで,ボンバルディアと世界的には
無名の英国に本拠をおくTRAM Power Ltd.という会社でした.この会社は
英国ブラックプールに試作車を納めた実績があるだけで,しかも,その
試作車(Citytram)は,2007年1月に電気系統の不具合で試運転中に炎上
してしまいます.
誰が見てもボンバルディアのFlexity Outlookが受注と思われましたが,
今月中旬TTCは,両者とも不適格の烙印を押します.結局入札は取消で,
これから三週間後までに,ボンバルディアだけでなく,一度は辞退した
アルストムなどとも,TTCは個別に見積り交渉することになっています.

シーメンスの話から更に逸れていきますが,
ボンバルディアのFlexity OutlookがTTCに不適格とされた理由は,TTC
路線網にある急カーブに対応できないからというものでした.
これはTTC側に有利に事が運ぶようにするための戦術ともとれますが,
TTCとしても,のんびり構えているわけにはいかない事情があります.
地元の条例により,バリアフリーに対応していない車両は,2025年以降は
運行できなくなるのです.それまでに低床化を行うなどの措置を迫られて
いるのでした.
TTCの発注先は,今後決まった時点で大々的に報道されることでしょう.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月23日

【リヨン】空港連絡急行LESLYSルート決まる

リヨン市内とサンテグジュペリ空港(Aéroport de Lyon Saint Exupéry)を
シュタットラー・レール(Stadler Rail)製の部分低床車(Tango)が25分で
結ぶ予定の,連絡急行線(LESLYS)建設の公益宣言(DUP)を,監督官庁の
ローヌ(Rhône)県が認めました.
LESLYS: Liaison Express Lyon Saint-Exupéry
DUP: Déclaration d'utilité publique

大規模な公共事業に不可欠な行政手続きのDUPを終えたことで,用地確保
などが今後行えるようになり,ルートも確定したことになります.それに
先立ち行われていた公益調査では,反対意見などが出ていると,今年1月
から2月にかけて明らかにされていましたが,経由地や空港側の駅の位置
など,問題視されていた部分の決着が付いたことにもなります.

リヨン・パーデュー駅(Gare Part-Dieu)駅前と空港間の約23キロを走る
LESLYS路線のうち,途中メイジュー(Meyzieu)までは,古い貨物鉄道線を
転換して2006年12月に開業したトラムT3(LEA)と軌道を共用します.
そのトラムT3の終点Meyzieu-ZIから空港までの約7キロの区間が,今後
新たに建設されることになっています.
LEA: Ligne de l'Est de l'Agglomération

当初の計画では,貨物鉄道線(CFEL)の線路跡地を利用して,パリからの
TGVがリヨンをバイパスする際に通る高速鉄道線,LGV Rhône-Alpesとの
交差部分から高速鉄道に沿って南下し,リヨン・サン=テグジュペリ空港
ターミナル近くまで到達するルートが考えられていました.
CFEL: Compagnie des chemins de fer de l'Est de Lyon

しかし,後に若干の距離を短縮できるなどから,メイジュー(Meyzieu)の
現在のT3終点から貨物線の跡地を離れ,Pusignanという村落の南に広がる
耕地を短路するルート案が提示されました.
この案は,将来トラムT3を東進させ,Pont de Chéruyあたりまで延長させ
たいと考えていた団体などからの反対に遭います.彼らに言わせれば,
短縮できる時間はわずか45秒だそうです.

また,空港に設けられるLESLYSの駅は,サン=テグジュペリTGV駅(Gare
de Lyon-Saint-Exupéry TGV)と空港ターミナルビルを結ぶ連絡通路の下に
設けられるという話でしたが,空港アクセス道路が電車で分断されない
ようにと,空港TGV駅の西側とする案が後から出てきました.これは,
LESLYS駅が空港ターミナルから遠ざかることを意味します.

そして結局今回のDUPは,Pusignanの南を通る短路ルートと,空港では
TGV駅の西側に駅を設置という形で,もたらされた模様です.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
22-07-2008 Le Préfet signe la DUP pour la réalisation de LESLYS
(Lyon En Lignes へのリンク)
2008-07-22 Le tram qui reliera l’aéroport Saint-Exupéry en 25
minutes est sur les rails
(Lyon Capitale ニュースへのリンク)

2007年9月時点の計画概要: LESLYS, tramway de l'Est
(Département du Rhône 公式サイトへのリンク)

今年1月から2月にかけて出ていたLESLYSの話題:
02-02-2008 LESLYS, la grande inconnue
(Lyon En Lignes へのリンク)
28/01/2008 Train-tram Lyon-Saint Exupéry: des associations
d'accord avec les réserves du commissaire enquêteur

(environnement rhone alpes へのリンク)

今回の内容とは直接関係ありませんが,TCLのT3(LEA)線内で急行運転を
行うLESLYSが停車する途中駅の一つVaulx-en-Velin - La Soieは,メトロ
A線との乗換え駅で,ご覧のような4線構造です.
LyonT3-02.jpg LyonT3-01.jpg

LESLYS通過駅となるGare de Villeurbanne(T3のみ停車)では,片方だけ
通過線が設けられています.この他にもT3線内には,通過線が設けられて
いる駅がいくつかあります.
LyonT3-03.jpg

多少遅れるのかもしれませんが,リヨン都市圏TCLが運行する各駅停車の
シタディス(Citadis)を,ローヌ県と30年契約のRhônexpressが運行する
トラムトレインのタンゴ(Tango)が追い抜く光景が繰り広げられるのは,
2009年末以降になるようです.
TCL: Transports en commun lyonnais

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月20日

【米国東部】7月中旬Streetcar関連報道から

ワシントンD.C.の路面電車試験線と,スクラップ寸前のPCCカーを購入
しようとしていたペンシルバニア州ランカスターの,続編です.

【ワシントンDC】
ワシントンD.C.南東部のアナコスティア(Anacostia)に建設が予定されて
いる,路面電車のデモンストレーション路線は,前回紹介の直後に出た
ワシントンポスト紙の記事によれば,今後が予定通り運ぶなら,2009年末
までには,今はチェコのオストラヴァ(Ostrava)でレールが敷かれるのを
待つ3本の部分低床車が,走っていることになりそうです.

地元行政の議員の要請で急遽7/14に開かれた公聴会も,特に計画の進行を
左右する事態にはならなかった模様です.

4300万ドルとも4500万ドルともされる,この1.3マイル(約2.1キロ)ほどの
路面電車の試験路線は,文字通り将来ワシントンD.C.の中心部を含めた
ほぼ全域に路面電車網を展開するための布石となるはずにも関わらず,
軌道を敷く場所がなかなか定まらず,進展が遅れていました.

元々は,ロナルド・レーガン・ナショナル空港のポトマック川対岸にある
ボリング空軍基地(Bolling Airforce Base)と,メトロレール(Metrorail)
グリーンラインAnacostia駅前を経由して,ペンシルバニア・アベニュー
(Pennsylvania Avenue)の南東部との間を,アナコスティア川に沿う形で
結ぶ計画でした.
ちょうど貨物鉄道CSXの線路敷地があり,そこを利用する予定でしたが,
交渉に失敗します.2005年には一般道上を走る計画に改められるものの,
これも沿線住民の反対にあい,挫折してしまいます.2006年1月になって
止む無く今のルートに落ち着きますが,路線は空軍基地からAnacostia駅
までに距離が半減されました.このあたりの話は,ワシントンポスト紙が
カバーしています.

今のルートは,下にリンクを張ったBeyondDCにサムネイルとPDFファイル
版の地図へのリンクがあります.
2006年1月のルートでは,DDOTは反対に遭いませんでした.それもその
はずで,このルート上にはコミュニティが全くないのです.やはり下に
リンクを張ったGreater Greater Washingtonには,沿線の様子をとらえた
画像も紹介されています.
DDOT: District Department of Transportation

そんなところに低床車を走らせて誰が乗るのか,路面電車がもたらす沿線
への経済効果をあの場所で実現できるのか,といった疑問が,路面電車
支持派からも出ていたのが,先の公聴会につながったようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 12, 2008 Transit Plan on Track
(Washington Post ニュースへのリンク)
Jul 14, 2008 Connecting communities (or not)
(Greater Greater Washington へのリンク)
July 15th, 2008 When the perfect is the enemy of the good
(BeyondDC へのリンク)

メトロレールのペンタゴンシティ(Pentagon City)駅から,南西に伸びる
コロンビア・パイク(Columbia Pike)通りを進む,ヴァージニア州の北部
アーリントン(Arlington)にも路面電車計画もありますが,こちらも今回
ワシントンポスト紙の記事によれば,州による資金調達がうまく行かず,
遅れているとのことです.

関連ログ:
2008/7/12 【米国東部】7月上旬Streetcar関連報道から
2008/6/14 【公共交通】車通勤から切替で年1800ドル節約 (前半のみ)
2008/4/25 【ワシントンDC】路面電車はチェコで待機中
2008/1/16 【アーリントン】路面電車計画に弾み

【ランカスター】
ペンシルバニア州の南中部に位置するランカスター(Lancaster)市が,
ニューヨーク市ブルックリン(Brooklyn)で半ば放置されていたPCCカーを
非営利団体が1500ドルで落札し,整備して市内に建設するループ路線に
走らせようとしていた話がありました.

その後,ブルックリンにあった元SEPTAのPCCカーは,ランカスターに送ら
れることなく,今月初めにスクラップになってしまいます.
SEPTA: Southeastern Pennsylvania Transportation Authority

そこで非営利団体のLancaster Streetcar Companyは,ボルチモアにある
路面電車博物館(Baltimore Streetcar Museum)から,やはり元SEPTAの
PCCカー3両を3万ドルで購入していました.その1両目がランカスターまで
約75マイル(120キロ)かけて陸送されるという記事が出ています.

今後,35万ドルから40万ドルをかけて再生する構想がありますが,実現
すれば,車体はPCCカーのままでも,回生ブレーキを導入するなど今風の
技術が導入されるそうです.
3年以内の運転が望まれていますが,路面電車を知らない世代も多い中,
車両の展示だけでも,路面電車計画を議論する機会を提供するだろうと,
考えられている模様です.
Jul 16, 2008 1st streetcar for city line arriving here
(Lancaster Online ニュースへのリンク)

一方,ブルックリンのPCCカーがスクラップになってしまった話は,下の
ブログに画像入りで掲載されています.
July 11th, 2008 Trolley Car Destructoporn: Fourth Ave. SEPTA Car
Gets It

July 14th, 2008 Could Fourth Ave. SEPTA Car Murder Have Been
Avoided?
(Gowanus Lounge へのリンク)

関連ログ: 2008/5/10 【ランカスター】落札したPCCカーの運命は?

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2008年07月19日

【マルセイユ】新トラム開業一年で公営化

フランスでは,民間の公共交通請負企業が自治体に代わって公共交通の
サービスを提供して対価を受け取るコンセッション方式や,官民が共同で
公共交通を運営する第三セクターの企業体を設立する方式が主流ですが,
マルセイユほど規模の都市で,その都市交通の運営を年々減少傾向にある
公営企業(EPIC)が直営で行っているところは,フランスでも稀です.

マルセイユでは,マルセイユ市の管理下(2000年にマルセイユ都市圏の
自治体共同体MPMが誕生してからはMPMの管理下)にあるRTMが,メトロや
路線バスと,かつてのトラムを運営してきました.
RTM: Régie des transports marseillais
MPM: Communauté urbaine Marseille Provence Métropole
EPIC: Établissement public à caractère industriel et commercial

しかし,2004年に旧トラム路線が工事運休に入る頃,2007年7月に生まれ
変わった新生トラムは,まだ影も形もありませんでしたが,その運営は,
RTMだけには任せない方針を,MPMの代表が打ち出します.EUが求める競争
原理が働く入札の形で,最良の選択を図ろうとしたのです.

その入札に応じたのは,RTMと当時のConnex(現在のVeolia Transports)と
いう官と民が共同で設立したLe Tramだけでしたが,フランスの内外で
豊富な軌道系都市交通の運営経験を持つConnex(現Veolia Transports)の
経営手腕が期待されました.

MPMとLe Tramの公共サービス委託(DSP)契約は8年間で,RTMがLe Tramの
51%を所有します.ヴェオリア(Veolia Transports)は,トラム運営の
財政的リスクをRTMとともに負いますが,Le Tramの収入の半分を受取り,
役員を三人派遣します.生まれ変わるトラムは,既存のメトロ(地下鉄)や
路線バスと統一した運賃体系を採用し,RTMの路線網に組み込まれます.
DSP: Délégation de service public

ところが,2007年7月に開業したトラムの建設費は税収で賄われたのに,
Connex(現Veolia Transports)は無競争で収入の半分を得て,RTM路線網の
整備などに資金が回らなくなるなどが問題視されたり,公共交通の民間
企業への外注化(DSP)への反対運動が高じて,RTMの組合が2005年9月から
一月半という異例の長さの長期ストライキを敢行するといった反応があり
ました.それでもMPMは,新生トラムの開業に先立つこと一年前,2006年
7月にはLe Tram(=RTMとヴェオリア)との契約を承認します.

しかし,話は行政裁判所に持ち込まれ,マルセイユの新しいトラムが開業
した数日後には,行政裁判所はトラム運営を委託するMPMの決定(DSP)を,
続いて2007年12月には,2006年7月のMPMとLe Tramの契約も,無効とした
のでした.
2008年2月にはMPMが控訴しないことを決めたことから,7/18にトラムは
完全にRTMの掌中に収まり,2004年以前と同様に,そしてメトロやバスと
同様に,100%公営に戻った形となりました.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
16/07/2008 Le tramway de Marseille reviendrait dans le domaine
public
AFP (Moniteur ニュースへのリンク)
17 juillet 2008 le tramway pourrait revenir dans le public
(La Provence ニュースへのリンク)
18 juillet 2008 Le tramway de Marseille dans le domaine public
(Marseille Evous ニュースへのリンク)

関連ログ:
2007/7/01 復活したトラムが営業を開始
2006/7/15 新トラム運営にVeolia参入へ

追記: 2008-07-23
2004年1月までは,トラム68系統としてPCCカーが走っていたシャーヴ
通り(Boulevard Chave)は,通りの装いも新たに,2007年11月から
低床車が走りはじめましたが,トラム68系統時代に接続していた
メトロのノアイユ(Noailles)駅へ通じるトンネルの改造工事が遅れ,
ノアイユへの接続はシャトルバスに頼っていました.

車両限界が大きくなった低床車を断面積の小さいトンネルに通すため
単線化された区間は,2008年秋の完成と伝えられてきましたが,7/22
から試運転電車が走り始めたという報道がありました.
22 juillet 2008 Les essais du tramway au tunnel Noailles.
(La Provence ニュースへのリンク)

9/15にはノアイユ(Noailles)駅への低床車乗入れが開始される模様です.
その際には運転系統の建て替えも行われます.
現在は,
Les Caillols - Euroméditerranée Gantès
SainteThérèse - Eugène Pierre
これが,
T1 : Les Caillols - Noailles
T2 : Euroméditerranée Gantès - Blancarde Foch
となります.

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2008年07月18日

【サラゴサ】トラム路線2009年4月着工へ

スペイン北東部サラゴサ(Zaragoza)市の中心部と,南北の郊外を結ぶ市電
計画が大詰めを迎えます.公共サービス委員会(7/21)と市議会(7/25)の
双方で承認されれば,4億ユーロを投じる全長12.8キロのトラム計画は,
2009年4月にも着工されて,最初の区間は2011年に開業し,その後の全線
開通は2013年になる見通しです.

反対する政党があるものの,一連の手続きには支障がないとみたのか,
サラゴサ市はトラム計画の詳細を発表しました.

4億ユーロの内訳は,路線工事費に2億200万ユーロ,全長32mの車両25本
購入に8200万ユーロ,車庫建設に3700万ユーロ,沿線の補助工事として
5500万ユーロ,交通信号などの改良など,その他に2500万ユーロとなって
いるそうです.

その資金は,1億3千万ユーロ(32.5%)は,サラゴサ市とアラゴン州が等分
負担で補助し,8千万ユーロ(20%)は官が2割で民が8割の割合で設立される
事業体が,残る1億9千万ユーロ(47.5%)は民間企業からとなっています.
運営モデルはPPPになるようで,8千万ユーロは,2割の1600万ユーロが
市と州で負担しあい,残る8割の6400万ユーロは民間企業が担う形です.
PPP: Public-Private Partnership (colaboración público-privada)

以前から話の出ていた架線レスになる区間は,サラゴサ中心部のグラン
ビア(Gran Vía)近くのパラダイス広場(Plaza de Paraíso)と,エブロ川
(ríos Ebro)にかかるサンチアゴ橋(Puente de Santiago)の間です.
架線を張らない区間で電車を走らせる方法は,今秋にも入札が公告され,
2009年3月までに設立される企業体次第になりそうです.

公式発表と,それを伝える記事:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
17/07/2008 El proyecto del tranvía Norte-Sur de Zaragoza da un
paso definitivo para su futuro con la aprobación del modelo de
gestión
(Ayuntamiento de Zaragoza へのリンク)

17-07-2008 Una sociedad mixta gestionará la primera línea de
tranvía con un coste de 400 millones

EFEの記事 (soitu.es ニュースへのリンク)
17 Jul. El Ayuntamiento presenta el proyecto del tranvía Norte-Sur,
que tiene definidos su tipo de gestión y trazado

(Europa Press ニュースへのリンク)
17/7/2008 El primer tramo del tranvía unirá Valdespartera con plaza
Paraíso y estará listo en 2011

(Aragón Digital ニュースへのリンク)

計画路線図: Proyecto de la línea norte-sur especificaciones
(Tranvía de Zaragoza =サラゴサ市の公式サイトへのリンク)
2011年に先に開業するのは,南西部のバルデスパルテラ(Valdespartera)
地区からサラゴサ市中心部Gran Víaまでの区間になる模様です.その後,
北部にあるゴヤ公園(Parque Goya)に到達するのが2013年の予定です.

エブロ川とサンチアゴ橋のイメージ:
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
El Pilar, junto al rio Ebro y el Puente de Santiago by ibirque (flickr)
El Pilar, junto al rio Ebro y el Puente de Santiago
Taken on July 16, 2007

関連ログ: 2007/7/25 トラムは南北,メトロは東西に

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2008年07月17日

【メキシコシティ】トラム一部区間は架線レス

メキシコシティ(Mexico City / Ciudad de México)の中心部に復活させ
ようとしているトラム計画の,より詳細な内容が発表されています.
それによれば,走行ルートだけではなく,一部の区間では架線を張らずに
電車を走らせる方針であることも明らかになりました.

トロリーバスや,南部のソチミルコ(Xochimilco)まで延びるライトレール
(Tren Ligero)などを運行するSTEが,トラムも運営するようです.今回は
STEの公式サイトに情報が掲載されています.
STE: Servicio de Transportes Eléctricos de la Ciudad de México

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Proyectos: Tranvía de la Ciudad de México
(STE 公式サイトへのリンク)
現在STE公式サイトのプロジェクト関連ページは,トラム1号線(Línea 1
"Centro Histórico - Buenavista")の記載になっていて,その最後に,
計画の詳細を記したPDFファイルへのリンクがあります.

今月初めの発表では,中心部を巡る10.8キロのループ上の路線には,途中
28の停留所を設けるとされていましたが,これが32になります.それを
タイトルにした記事が出ています.
16 de julio de 2008 Amplían proyecto de tranvía a 32 estaciones
(El Universal ニュースへのリンク)

ユネスコにより世界遺産にも指定される,中心部の歴史保存地域(Centro
Histórico)のPerímetro Aと指定された区画では,電線類を空中に渡す
ことが禁じられているため,トラム用の架線も不可です.この区域に該当
する全長の半分を超える5.5キロの区間では,架線レスで電車を走らせる
ことになります.
その方法としては,パンタグラフを使わずにレールから給電する方式の
ほかに,停留所で充電する方式も検討されている模様です.

後者が採用された場合に備えて,停留所での充電時間の確保のため,今回
発表された電車運転間隔は3.8分となっているそうですし,充電によって
走る距離を抑えるため,停留所同士の距離は600m以下になるようです.
停留所数を増やすことにしたのは,この影響なのかもしれません.

元記事は有料登録制で参照できませんでしたが,CAFが興味を示している
という記事が,7月上旬に出ていたようです.

STEのページにある全15ページに及ぶPDFファイル版資料の9ページ目に,
き電路線図(Esquema de Alimentación de Alta Tensión)があります.
そこでは架線ありを緑色,架線レス予定区間を青色で表示しています.

次のページ(10ページ)のConfinamientoという図は,専用車線かどうかを
示しているものと思われます.5キロの区間でBRTのような専用レーンを,
復活する市電が走ることになるようです.
13ページでは,他の交通機関との接続がわかる地図を見れます.枠内の
判例にトラムがないので判りにくいですが,トラムは紺色の破線です.
中心部の史跡地区を走る区間は,オープンデッキのダブルデッカーバスで
運転される,定期観光バス(Turibus)とルートがほぼ重なります.

なお,最新情報まではカバーしていませんが,ドイツ語による記事も最近
発見できました.
15. Juli 2008 Mexiko-City bekommt wieder eine Straßenbahn
(DMM ニュースへのリンク)
この記事によれば,トラム開業が予定される2010年は,メキシコにとって
革命百周年記念の年になるのだそうです.

今月初め,ソカロ広場で展示されたミネアポリスの低床車:
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Tranvia by Gary Denness (flickr)
Tranvia
Taken on July 5, 2008

その他の画像集: Mexico City Tram (Set) by Gary Denness (flickr)

関連ログ:
2008/7/02 ソカロで低床車と計画発表
2008/5/20 中心部横断する市電復活へ

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2008年07月16日

【ロサンゼルス】改札機第一号2009年9月にも

ライトレールやトラムでは世界的に多くみられる,改札ゲートのない運賃
自己申告制度(honor system)システムも,地下鉄となると,ドイツ語圏
では珍しくありませんが,他の地域ではあまり見られません.それでも
米国ロサンゼルス都市圏のLACMTAでは,1993年開業のレッドラインには
当初から改札を設けず,いわゆる信用乗車制を採用してきました.
LACMTA : Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority

しかし,以前からお伝えしている通り,それも過去の話となります.
LACMTA(通称 Metro)は,379基の改札(fare gate)を設置する資金として,
その他のセキュリティ対策への分を含め,カリフォルニア州から1610万
ドルを受け取ったと発表しました.

資金の出所は,州のホームランド・セキュリティ局(Governor’s Office
of Homeland Security)からですが,これは2006年11月の州民投票で承認
された,公共交通の保安強化だけではなく,混雑緩和や大気汚染軽減の
ための道路整備,橋脚などの耐震性強化なども含む州債法案の一環です.
一般にCalifornia Proposition 1Bと呼ばれますが,正式には,Highway
Safety, Traffic Reduction, Air Quality and Port Security Bond Act
of 2006という名称です.
2008/3/09 【カリフォルニア州】州債からの資金提供

これで,ロサンゼルスを走る2つの系統の地下鉄,メトロレール・レッド
ライン(Metro Red Line)とパープルライン(Metro Purple Line)の駅と,
ライトレールの一部駅に,改札機が導入されることになります.
その第一号は,今後18か月から24か月以内(報道では2009年9月)に設置
されることになっています.

改札機が設置されれば,民間の切符所持検査員を減らすことができ,その
分の経費を節減できるばかりでなく,保安当局を切符所持検査業務から
解放することで,本来の保安強化に専念させることができます.なお,
この資金は改札機以外にも,監視カメラ導入などにも使われるとか.

公式発表と,それを伝える記事:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 15, 2008 Metro Receives $16.1 Million in Prop 1B Transit
Security Funding
(LACMTA ニュースリリースへのリンク)
07/15/2008 Metro gets $16 million to install security gates on
subways, light-rail
(Los Angeles Daily News ニュースへのリンク)

関連ログ:
2008/1/27 地下鉄改札設置計画ほか
2007/10/27 切符不所持は5%から10%も
2006/2/26 地下鉄に改札設置か?


LACMTAのライトレールや地下鉄のメトロレール各線と,BRTのオレンジ
ライン(Metro Orange Line)でも,6月には過去最高を記録する利用者数が
報告されています.
BRT: Bus Rapid Transit

2007年6月との前年比で平均12.8%の増加がみられ,ブルーラインだけは
史上二番目の数値に留まりますが,それ以外は最高値を更新しました.
伸び率が一番顕著なのは,2003年開業のゴールドラインです.パサデナ
(Pasadena)とロサンゼルスを結ぶライトレール路線は,6月の平日一日
平均利用者数が26,338人となり,ほぼ同じ距離のBRTオレンジラインと
肩を並べるまでになりました.ガソリン代高騰の影響で,自動車から移動
手段を切替えた人が,他の線区から比べ特に多かったのかもしれません.

一方で,オレンジラインを除くバス路線全体では減少が見られますが,
これは昨年の運賃値上げの影響と考えられていています.

公式発表と,それを伝える記事:
July 11, 2008 Metro Rail, Metro Orange Line Set New Ridership
Records as Commuters Balk at Paying High Gas Prices

Facts at a Glance: Metro Fixed Guideways - Rail and Transitways
(LACMTA 公式サイトへのリンク)
July 11, 2008 Metro rail ridership surges in June
(Los Angeles Times Bottleneck Blog へのリンク)
Bottleneck Blogには,路線ごとに昨年同時期の数字と比較できる表が
掲載されています.

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2008年07月12日

【米国東部】7月上旬Streetcar関連報道から

この数日間に,ルイジアナ州からコロンビア特別区,オハイオ州に至る
まで,路面電車計画の関連報道がありました.まとめて紹介します.

【ニューオリンズ】
ハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)被災後初の全線営業運転を
先月再開したニューオリンズ(New Orleans)から,旧型車(Perley Thomas
car)のレプリカで,空調や車椅子用乗降リフトを備えた2000シリーズの
復活予定が届いています.

浸水の被害に遭うまで,カナル・ストリート線(Canal Street Line)や,
リバーフロント線(Riverfront Line)で活躍していた24本のキャンディ・
アップル(candy-apple)色の車両のうち,5本が再生の最終段階を迎えて
いるそうで,そのうちの1本,2008号車が,7月末までに試運転を行う計画
であることが,引退する塗装工の話を綴った記事に記されています.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 05, 2008 Retiring RTA painter brings Canal streetcars to life
(New Orleans Times-Picayune ニュースへのリンク)

関連ログ: 2008/6/29 【ニューオリンズ】全線復旧後も課題山積

【ワシントンDC】
メトロレール(Metrorail)グリーンラインAnacostia駅から,近くの空軍
基地(Bolling Airforce Base)までの試験的な路面電車計画で,DDOTが
2005年に1千万ドルで発注した部分低床車3本が,チェコ東部オストラヴァ
(Ostrava)で渡米できずに待機中という話がありました.
DDOT: District Department of Transportation

この試験線,起工式はとうの昔に行われていたものの,肝心の軌道敷設
工事が手付かずだったのです.4月に入札があり,今秋にも業者選定の
見通しとなっていたようですが,そこに今度は,地元D.C.行政の議員の
一人が,予算や効果などに疑問を投げかけ,週明け早々(7/14)に公聴会を
開くと横槍を入れてきました.

これにより手続きにまた遅れが生じるようです.報道とこれに反応した
ブログも紹介しておきます.
2008-07-07 Councilman stalls streetcar plans in Anacostia
(The Examiner ニュースへのリンク)
July 7th, 2008 Why now, Jim?
(BeyondDC ブログへのリンク)
July 8, 2008 Transit on Tuesday: The Streetcar Shuffle Edition
(DCist ブログへのリンク)

入札公告: April 25, 2008 DDOT Issues Streetcar Solicitation
(District Department of Transportation 公式サイトへのリンク)

関連ログ:
2008/6/14 【公共交通】車通勤から切替で年1800ドル節約 (前半のみ)
2008/4/25 【ワシントンDC】路面電車はチェコで待機中

【コロンバス】
オハイオ州コロンバス(Columbus)で市長が主導してきた路面電車計画は,
市議会の反対に遭って予算がつかず,別の財務計画を立ち上げるまでの
少なくとも半年間は計画が進まない状態に陥り,2012年に迎える同市の
二百年祭(bicentennial)の期間中の開業は,困難になってしまいました.

市議会の反対は,2009年は予算不足に直面している中で,一般財源から
市電計画に求められていた2500万ドルは捻出できないとの結論に至った
からとのことです.それに路面電車の効果に懐疑的な声もありました.
July 10, 2008 For now, streetcar proposal is off-line
July 8, 2008 Downtown gets big tax change
(The Columbus Dispatch ニュースへのリンク)

下段の記事は,市電計画が立ち往生する二日前に,ダウンタウンに今後
30年続く新税を導入する案を承認したことを伝える記事です.これは,
対象地域周辺の駐車場,道路,公園などの整備に向けた資金調達のため
で,市電計画には使われません.

関連ログ: 2008/3/28 【コロンバス】入場料上乗せで市電を走らせる

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月10日

【ポートランド】米国製低床車姿を現し始める

初の米国製となる部分低床式路面電車が,ポートランド近郊の工場で現在
製作されている様子が紹介されています.
このメイド・イン・アメリカの低床車は,ポートランド市電向けの試作車
です.昨年7月の時点では今秋にも完成予定でしたが,今は年内の完成を
目指し鋭意製造中で,2009年第一四半期に試運転が予定されているとか.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 10, 2008 Portland's Next Streetcar
(Portland Transport へのリンク)

上のサイトには数枚の画像が紹介されていますが,下の画像はその中の
一つで,駆動台車の枠になるようです.
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
This is the "bogie" by portlandtransport (flickr)
This is the bogie
Taken on July 9, 2008

チェコのSkoda社との間に独占的な技術譲渡契約を結んだ,Oregon Iron
Works, Inc. の子会社,United Streetcar, LLCが製造を行います.その
会社のウェブサイトがあり,2007年時点の情報が掲載されていました.
トップページ: Welcome to United Streetcar
同社ポートランド向け車両の仕様: 10 T3 Streetcar
製造スケジュール: Prototype Schedule (AS OF JULY 2007)
(United Streetcar LLC. 公式サイトへのリンク)

上のレポートの筆者は,以前チェコで製造工程を見学したこともある人
で,チェコでの製造方法と比較してUnited Streetcarは,治具(jig)や
取付具(fixture)に先行投資していると記しています.将来の大量生産と
品質向上が考慮されているようです.

現時点で米国内には,ライトレールを製造するメーカーはありますが,
ひと回り小さく軽い路面電車(streetcar)の低床車を製造するところが
ありません.
今後,北米各地で検討されている路面電車計画が次々実現化していくと,
大半の製造工程が米国内になるユナイテッド・ストリートカー(United
Streetcar)製の車両は,バイアメリカ法(Buy America)に適合し,連邦
補助金を申請できるため,引く手あまたになるのかもしれません.

関連ログ: 2007/1/28 United Streetcar 設立ほか

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月08日

【シアトル】宣伝兼ねたLRV野外留置が裏目に

シアトルで建設が進むライトレールCentral Linkの開業まで,あと一年に
迫りました.一年後に先行開業する約14マイル(約22.5キロ)のレールは
今年5月には全てつながり,車庫近くの高架線上で金色の犬釘を打ち込む
締結式も行われました.

その後,6月中旬に同線最大の土木工事でシアトル南東部の丘陵地帯を
くぐりぬけるトンネルを通り,近畿車輛製の低床車がセントラル・リンク
南部の約11マイル(約17.7キロ)に初めて姿を現します.ただし,この時は
自走したわけではなく,建築限界などの確認を行いながら,軌陸車に徒歩
並みの速度で牽引されたのでした.

この南部の区間と車庫の間には,ビーコンヒル(Beacon Hill)の丘陵地を
貫く,日本の企業体などが建設した,長さ4300フィート(約1300m)ほどの
ビーコンヒル・トンネルがあります.レールはつながっていますが,他の
施設は未完成ですが,南部で実車試験が必要なため,低床車(105号車)を
一度だけ通しました.その後再び工事が再開され,105号車はタクウィラ
(Tukwila)側に留まって日々試験を重ね,夜になっても車庫に戻らず,
屋外で越すことになるのでした.

それから約三週間後,先週の金曜深夜から土曜の未明の間に,その低床車
105号車が滞泊先で落書きの被害に遭ってしまったのでした.
今年2月にも,サウスレイクユニオンの路面電車でも,車庫内に置かれた
車体への落書きがありました.納税者は落書きの除去費用を気にかけます
が,Sound Transitは除去対策を施していたため,千ドル程度に留まるとの
ことです.

夜間105号車が留め置かれていたのは,州間ハイウェイ5号線を走る車から
でもよく見える高架線上です.高架で人が容易に近づけない上に,周囲も
金網と鍵で守られ,24時間体制で警備されているはずでした.

その場所は,平日は南行車線だけで一日13万台以上の車が通るI-5号線の
すぐ横ということで,自動車通勤者に向けた良い宣伝にもなる好都合な
ところです.未定ですが,11月の住民投票で再びライトレール路線網拡大
計画の賛否が問われることになるかもしれません.開業は一年後のため,
今の時点で目に見えるものだけでもアピールすることも大切でしょう.
しかし,この落書き騒動で滞泊先が変わるかもしれません.

なお,このこの車両を使い,8月にはライトレール(Central Link)南部で
地上走行区間のRainier Valley地区でも,試運転が開始される予定です.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 6, 2008 Sound Transit train hit by vandals
(KING5 Seattle ニュースへのリンク)
July 6, 2008 Graffiti taggers hit new Sound Transit train in Tukwila
(Seattle Times ニュースへのリンク)

現場付近のインタラクティブ地図: Interstate 5 at Tukwila
(Google Maps へのリンク)

6月中旬にビーコンヒルのトンネルを低床車が初めて移動したことを取り
上げた記事は見当たりませんが,Sound Transitが画像入りで紹介して
います.一見しただけでも架線がまだ張られおらず,仮の通行の様子が
伺えます.残念ながら牽引している車両は,ここでは写っていません.
Photo of the Week June 20 - 27, 2008: In the Beacon Hill Tunnel
(Sound Transit 公式サイトへのリンク)

トンネル内は関係者以外立入禁止だったでしょうが,トンネルの外に一旦
出てしまえば撮影可能で,しかも移動が牛歩のごとくだったため,先回り
できたようです.各ポイントでの様子がアップロードされていました.
この画像集の中には,低床車を牽引した軌陸車も写っています.
14 Jun 2008 Central Link to Tukwila by Brian Bundridge aka Macster
(flickr へのリンク)

関連ログ: 2008/2/20 市電網拡大検討中,落書き洗礼

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

2005年8月の1回目「【シアトル】LRTの空港乗入れに赤信号? (1)」から
足掛け3年ですが,この場を提供しているSeesaaのカウンターによれば,
今回が1000回目になるそうです.数字の上では先月ドバイの確定でさらに
増えた,Citadisの受注数1166台には,まだまだ及びません.

posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 米国北西部 II このエントリーを含むはてなブックマーク

2008年07月07日

【北ブラバント州】HOVで軌陸バスも候補に

オランダ版の鉄道線路と道路の両方を走れるデュアル・モード・ビークル
(DMV)は,早ければ2009年にも試験走行を行うかもしれません.

オランダ南部ノールト・ブラーバント(北ブラバント)州(Noord-Brabant)
では,州内に高価値公共交通(HOV)を整備する計画があり,4社が各案を
提示しました.これらは住民にも公開され,今秋にも採用する案を決める
ことになります.
HOV: hoogwaardig openbaar vervoer

HOVは,高規格な公共交通機関ということで,高頻度で運行され,まめに
停車しつつも高速で移動でき,快適で認識しやすい乗り物と位置づけが
されています.
4つのグループが提示した案には,ライトレールやBRTなどがありますが,
施設建設費が安いとして,新開発の軌道と路上の両方で走れる連接バスを
提案するコンソーシアムもありました.長さ24mの軌陸両用バスです.

そのコンソーシアム名サザンクロス(Zuiderkruis)には,バイ・モーダル
バス(bimodale bus)と分類される軌陸バスのコンセプトを持つ鉄道技術系
コンサルタント会社のMovaresが加わっています.自社ではRegioRailerと
呼んでいたようですが,ここでは単にBibusと紹介されています.

今回提示された各案は,モード選択だけでなく,どこに路線を設けるのが
効果的かというところまで提案内容が及んでいて,サザンクロスの案では
廃止された鉄道線を利用する,東西南北を軸とするルートが示されます.
東西の軸: BoBo-lijn (Boxtel-Schjijndel-Veghel-Uden-Boxmeer)
南北の軸: HeOs-lijn (Helmond-Veghel-Uden-Oss)

このうち,2009年にもBibusが試験走行するかもしれないのは,廃線と
なった,オランダ南部の北ブラバント州ボクステル(Boxtel)と,ドイツの
デュッセルドルフにほど近いヴェーゼル(Wesel)を結ぶ,Duits Lijntje
(ドイツ線)とも呼ばれる,東西の路線の一部です.
Bibusを大きく取り上げた記事には,ボクステル(Boxtel)とフェフヘル
(Veghel)間で,オランダ語版WikipediaにあるSpoorlijn Boxtel - Wesel
(Duits Lijntje)のページによれば,同区間は約18キロで,2005年に廃止
されたようです.このため,RegioRailerでは疑問視する声もあった,
一般の列車と軌道共有できるかどうかの懸念は不要です.
フェフヘル(Veghel)は人口は2万5千ほどで,サザンクロスの案では東西
南北の軸の要に位置する街になります.廃線跡は,街の北側をかすめる
ように走っていますが,Bibusなら中心部に立寄れるというわけです.

州の公式発表と,デュアル・モード・ビークル案を伝える報道:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
04-07-2008 Noordoost-Brabant krijgt beter OV
HOV 概略: HOV in Noordoost-Brabant
(Provincie Noord-Brabant 公式サイトへのリンク)

05 juli 2008 'Bibus kan in 2009 al over Duits Lijntje'
(Brabants Dagblad ニュースへのリンク)
記事によればBibusは,北ブラバント州でもバス運行事業を行っている
ヴェオリア(Veolia)と アイントホーフェンにある技術大学(Technische
Universiteit Eindhoven)で開発が進められているそうです.ちなみに,
アイントホーフェンは同州最大の都市で,ガイドウェイバスのPhileasが
走っています.

各社の提案内容はPDFファイル版で読むことができます.
Presentatie plannen hoogwaardig openbaar vervoer Noordoost-Brabant
(Hovnoordoostbrabant へのリンク)
デュアルモードヴィークル案は,Businessplan Zuiderkruisです.
対象となる地域の地図や,Bibusの利点,特徴なども記されています.

北ブラバント州東部のインタラクティブ地図: Noord-Brabant
(Google Maps へのリンク)
コンソーシアムのサザンクロスが提唱する東西の軸,BoBo線で結ばれる
街を中心にすえ,画面左上に州都の 's-Hertogenbosch(Den Bosch)が,
やや左寄りの下にアイントホーフェン(Eindhoven)が,画面内に収まって
いるはずです.

関連ログ: 2008/6/08 【RegioRailer】オランダの連接バス版DMV

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月06日

【ロンドン】TfLクロイドンTramlink買収完了

ロンドン近郊で,半世紀振りに復活する形で2000年に開業したクロイドン
(Croydon)地区を走る路面電車,Tramlinkを運営してきた民間の会社を,
ロンドン市交通局(TfL)が買収すると今年3月に発表していましたが,先月
下旬に手続きが終了して買収が完了したことを伝える記事が,今月初めに
相次いで出ていました.
TfL: Transport for London

今回完全に経営権をTfLに委ねた形の民間企業TCLは,クロイドンのトラム
計画のDBOM(設計,建設,運行,保守)契約を,1996年に入札で獲得して
いました.契約は99年間に及ぶ異例の長さです.当時の政権が進めた公共
サービスでの民間資本の活用(PFI)でした.
TCL: Tramtrack Croydon Limited
PFI: Private Finance Initiative
その後,政権が代わり,グレーター・ロンドンの行政を担うGLAが誕生,
従来は国の管轄だったロンドンの公共交通機関LT(London Transport)を,
1999年に大ロンドン市が引き継いだ形で生まれたTfLは,TCLが契約した
当時にはまだ存在していません.
GLA: Greater London Authority

そうした状況の中で開業したクロイドンのTramlinkは,2007年には年間
2500万人を輸送するまでになり,地域に根付きました.
LTを受け継いだTfLは,民間企業のTCLが運営するTramlinkの運賃を公共
サービスとして低水準に抑えるため,契約で毎年TCLに不足する分を補う
ことになります.それでも,TCLの経営状況は芳しくありませんでした.
旅客営業にも影響を及ぼします.PFIで期待されたほど民間の経営手腕が
発揮されなかったのです.

そして,次第にTfLとTCLの対立が表沙汰になっていきました.たとえば,
低運賃維持のための補助金額の算出を,現金運賃に基づくようにとTCLが
訴えを起こしたというようなことです.
ロンドンでは,オイスターカードのようなICカード乗車券と現金とでは
運賃が異なり,現金のほうが高く設定されています.現金運賃で算出した
ほうが補償額も大きくなりますが,実際は安いカード乗車券の利用者が
ほとんどでした.このため裁判所はTCLの訴えを退けます.その他にも,
Centraleの停留所設置を巡る問題などがありました.

ついに今年3月,TfLは9800万ポンドでTCLを買い取る発表を行います.
実際にTramlinkのトラム運行に携わる民間の委託先ファーストグループ
(First Group)傘下の従業員はそのままですが,今後はTfL London Railの
所有・運営となるため,TCL経営陣の大多数は余剰になります.

トラムの運賃を低く抑えるために毎年TfLが税収からTCLに支払っていた
補填額は,2007年には400万ポンドになっていました.しかも,金額は
今後も上がることが予想され,買収がなければ契約の残り期間88年間も
続くところでした.買収発表に際してTfLは,TCLに払っていた財源は税金
だったことから,ロンドン市民に対して買収は節約になると説明します.
一方で沿線の利用者には,TfL主導で今後は投資を増やしサービス向上を
図ると約束しています.

今回は発表時の市長が選挙で敗れた後の買収完了でしたが,新市長も自賛
していました.しかし,どうやら運賃値上げは避けられない見通しです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
01 July 2008 TfL Complete Tram Buyout
(MayorWatch ニュースへのリンク)
02 Jul 08 TfL’s Tramtrack takeover may result in fares’
(Croydon Guardian ニュースへのリンク)
03 Jul 2008 Tramlink transferred to Transport for London
(Railway Gazette ニュースへのリンク)

3月のTfL公式発表:
17 March 2008 TfL announces plans to take over Tramlink services
(Transport for London 公式サイトへのリンク)

関連ログ: 2007/8/12 クロイドンのトラム経営に不満

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2008年07月05日

【ミュンヘン】バッテリートラム2009年春に

昨日最後にミュンヘンのバリオバーン(Variobahn)の話題を出したあと,
ビルト(Bild)紙と同じタブロイド新聞のAbendzeitung紙が,違う切り口で
バリオバーンの記事を出していました.MVGが導入する4本のうち1本で,
バッテリー稼動の試験走行を2009年春から行うというものです.
MVG: Münchner Verkehrsgesellschaft mbH

ミュンヘンには,街中にある公園としては世界最大級と言われる英国庭園
(Englischer Garten)があります.ここを横断する路線の必要性が叫ばれ
ながらも,実に百年以上実現していません.最近も,電車を通すことで
建設される架線が景観を汚すという理由から,英国庭園の横断線計画は
前途が絶望視されていました.
2006/3/17 市電路線を巡る百年論争

しかし,近年は性能向上が著しいバッテリー技術により,架線を張らずに
路面電車を走らせる構想が浮上し,退役させる旧型車両の置換え用として
発注していたヴァリオバーンに白羽の矢が立ったのでした.
2006/7/22 英国庭園の横断は架線レスで?

MVGのヴァリオバーンは,当初は3本のみの導入,オプション19本という
契約でしたが,後に最初は4本に増えます.この4本目がバッテリー走行の
試運転に供用される模様です.

技術的な詳細は不明ですが,高性能バッテリーは屋根上に搭載され,発電
ブレーキで充電されます.架線を張れない区間は約1キロで,うち900mが
英国庭園内になるようです.初期試験も1キロになり,そこで技術的にも
経済的にも問題ないとなれば,英国庭園の横断路線計画の是非が,再び
議論されることになるそうです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
04. Jul. 2008 Akku-Tram kommt 2009
(Abendzeitung ニュースへのリンク)

Englischer Gartenのイメージ:
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Linienverkehr by maxi_pienzenauer (flickr)
Linienverkehr
Taken on January 12, 2007

バッテリー試験以外にも,ミュンヘン向けのバリオバーンの記事は次の
ようなものが出ていました.(昨日紹介した分をここに再掲しています)
04.07.2008 Hier rollt Münchens neue Flüster-Tram
(Bild.de ニュースへのリンク)
03.07.2008 Schrauben an der neuen Tram
(Merkur Online ニュースへのリンク)

今回ミュンヘン向けのバリオバーンの記事が相次いだのは,MVGの代表が
シュタットラー・レール(Stadler Pankow GmbH)のベルリン工場を訪れ,
4本に1080万ユーロを投じる製造中の車両を視察したからのようです.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月04日

【グラーツ】バリオバーンはシルバーアロー?

シルバーアロー(Silberpfeil)と言っても自動車の話ではありません.
鉄道の世界でも,ドイツ語で銀の矢を意味するSilberpfeilで呼ばれる
車両がドイツ語圏に幾つかあります.オーストリアでもウィーン地下鉄で
走っていますが,グラーツ(Graz)市電に2009年秋の納入が予定されている
新車も,そう呼ばれるのかもしれません.

昨秋GVBが発注した次期100%低床車45本分は,シュタットラー・レール
(Stadler Pankow GmbH)の,バリオバーン(Variobahn)と呼ばれるモデル
でした.45本を9720万ユーロで購入する新車の想像図を掲載した記事が
出ています.
GVB: Grazer Stadtwerke AG

それによれば,配色が従来の白と緑のアレンジから一新し,白をベースに
先頭部分が緑ではなく銀に改められています.銀地に緑色でGVBのロゴを
あしらうのは,CI(コーポレート・アイデンティティ)なのだとか.
シュタットラーのサイトは,先頭が緑色の画像を載せていますので,比較
できるでしょう.

しかし,記事はデザインの話はそこそこに,新車は座席数の少ないことを
批判されているとして,対策が検討されることを紹介していました.
バリオバーンの座席定員は37名で,折りたたみ式の補助椅子をあわせて
47席となっています.これに対してGVBが2001年から投入した100%低床車
の先輩格,ボンバルディア製シティランナー(Cityrunner)は,51名(補助
椅子を含めて54席)です.わずかな差ですが,ピーク時に座席が足りなく
なると非難する声を取り上げていました.

そこで,モジュール式の低床車モデルならではの,中間車体の追加も考え
られるのですが,それには停留所の長さ,特に2本同時に停車する仕様の
停留所(Doppelstationen)での不足が障害になるそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
03.07.2008 Variobahn: Rücker will "Silberpfeile" nachrüsten
(Kleine Zeitung ニュースへのリンク)
この記事7/02には,Variobahn: Neues Design für Grazer Straßenbahn
というタイトルでしたが,一日後には同じアドレスで内容が差換えられて
います.今は古いタイトルで検索すれば,キャッシュに残っていますが,
更新されれば書き換えられてしまうでしょう.

古い記事では,車両の長さが延長できないのは,車庫の問題があるから
という話がありました.グラーツの路面電車は最長でも27mです.
ヴァリオバーンもシティランナー(Flexity Outlook C)も全長27mなのは,
それ以上では車庫の収容が困難になるからのようです.

また,ドア数が少ないことも非難の的になっていました.シティランナー
でも問題になっていて,27mに4ドアでは,低床化によるスムーズな乗降を
可能にした効果を相殺してしまうとのことでした.

なお,グラーツ向けのヴァリオバーン(Variobahn)は,車体幅が2.3mと
シティランナーより10cm広いこともあって,立ち席定員は110名となり,
座席数では負けてても立ち席は20人分増えます.
新車納入は2009年秋が予定され,最初は4系統と5系統に投入されます.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

関連ログ: 2007/10/16 シュタットラーが受注を正式発表

Variobahn: Grazer Stadtwerke AG (GVB), Österreich
(Stadler Rail 公式サイトへのリンク)

バリオバーンは,ニュルンベルクに続いて今年12月にミュンヘンにも納入
される予定ですが,下記記事に画像がありました.営業運転は2009年春
からで,Bildの記事によれば,15, 19, 20, 27系統で運用されるとか.
04.07.2008 Hier rollt Münchens neue Flüster-Tram
(Bild.de ニュースへのリンク)
03.07.2008 Schrauben an der neuen Tram
(Merkur Online ニュースへのリンク)
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2008年07月03日

【ウィーン】リング循環系統10/25に廃止

ウィーンで行われたUEFA欧州選手権2008(UEFA Euro 2008)の決勝戦後も,
ファンゾーン(Fan Zone)として使用された,かつての城壁と堀を環状道路
にしたリングシュトラーセ(Ringstraße)は,通常の状態に戻す大掛かりな
作業のため,7/04までリングの西半分は通行止めです.

この関係で市電も通常ダイヤに戻るのは7/05からで,期間中は東半分の
シャトル運行に留まっていた,中心部を囲むリングをエンドレスに走る
循環系統の市電1系統(時計回り)と2系統(反時計周り)も,これまで通りの
運転は7/05から再開されます.しかし,それも10/25で終了することが
明らかになりました.

路線の廃止ではなく,系統の建て替えです.
Wiener Linienは,10/26から単純にリングを巡回するルートを止めて,
リング外を基点として,リング到達後に半周し,再びリング外に抜ける
ルートに改めることにしました.ちょうど,今のD系統のような形です.
リング外とリングの間は,これまでの路線を踏襲しますが,その系統名は
吸収されて消滅の運命です.

具体的には,
1系統: リング内の時計回りの運行から,南の65系統とN系統の東半分を
継承し,リング内は北半分のみの走行に,
2系統: リング内の反時計回りの運行から,西のJ系統とN系統の北半分を
継承し,リング内は南半分のみの走行に,
なります.消える系統名は,J, N, 65の三つです.

さらに,2009年には現在のD系統を3系統に改称,71系統もリング内の西
半分を走る形に延長の上で4系統に改称されることになりました.
アルファベットと数字が混在していた系統名が,これで整理されることに
なります.アルファベットではO(オー)系統が残りますが,詳細は未定な
ものの,近いうちに番号化されることになる模様です.

ウィーン市電の系統名のつけ方は,実は法則性があって,路線が廃止や
短縮された後も,そのまま受け継がれてきました.
数字の20までは,周回や接線を形づくる路線に与えられ,数字の21以降は
中心部から放射状に伸びる路線に与えられてきました.
アルファベットは,直通系統ということで,複数の放射状の路線同士を
中心部でつないだ格好の路線に与えられています.
今回の措置は,乗客の流動に沿って運行を建て替えるだけでなく,こう
した伝統も打ち破ることにもなります.

公式発表と報道: (外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
02.07.2008 Neues Straßenbahnkonzept am Ring
(Wiener Linien 公式サイトへのリンク)
右側のDownloads欄にあるリンク先に,路線図があります.

02.07.2008 Wiener Straßenbahnen: Aus für Ring-Rundfahrten
APA/Redの記事 (Die Presse ニュースへのリンク)
02.07.2008 Neue Route für Ring-Straßenbahnen
(ORF.at ニュースへのリンク)
02. Juli 2008 Wiener Linien: Neues Konzept für Ring-Straßenbahnen
APAの記事 (derStandard.at ニュースへのリンク)

これらの記事によれば,これまで乗換えを必要としていた経路でも直行
できるため,新しい運転系統により年間70万人の利用増加が見込まれて
いるそうです.それも,ほとんど投資を必要としません.
また,リング上の循環系統(今の1と2系統)で現在行われている拠点停留所
での時間調整(Stehzeiten)を廃止できることから,所要時間を5分程度
短縮でき,運転間隔の短縮も可能なようです.観光協会も歓迎している
ことまで伝えられました.

前回のウィーン関連の話題: 2008/5/29 トラム乗降時の事故分析結果ほか

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月02日

【メキシコシティ】ソカロで低床車と計画発表

メキシコシティ(Mexico City / Ciudad de México)の中心部に,市電導入
構想があることを5月に紹介していましたが,このほど連邦区政府(GDF)は
詳細を発表し,同時にデモンストレーションとして車両を展示しました.
GDF: Gobierno del Distrito Federal

ブエナビスタ(Buenavista)と旧市街地(Centro Histórico)を結ぶトラム
1号線は,距離にして10.8キロの途中に28の停留所を設け,5つのメトロ
路線と途中で接続を図りながら,座席数70の車両12本が,46分かけて平均
速度時速16キロで運行されることになるそうです.運転間隔は最短3.8分
で,開業後の利用予想は一日5万人になるとか.
着工は今年末,2010年9月の完成が見込まれています.投資額は最大で
18億ペソ(約1億7323万ドル)に及ぶことも明らかにされました.車両購入
から軌道建設費まで含みます.
国際入札により選ばれた企業が建設し,25年間の運営ののち市に譲渡する
BOT(Build-Operate-Transfer)契約になる模様です.
路線名: Línea 1 del Tranvía Buenavista-Centro Histórico

デモ用車両が公開されたのは,一帯が世界遺産にも指定されているソカロ
(Zócalo)と呼ばれる広場(Plaza de la Constitución)の中です.
展示された車両は,7/01から売上税が0.25%引上げられた米国ミネソタ州
ミネアポリスのHiawatha Lineを走る,ボンバルディア製の部分低床車
モデルFlexity Swiftでした.(増税分は公共交通の整備にあてられます)

ミネソタから約3千キロの距離を運ばれてきたのでしょう.パンタグラフ
有無が不明のためABどちらか判りませんが,片方のセクションだけです.
仕切りには鏡がはめ込まれているように見えます.
塗装はミネソタMetro Transitのままですが,車体に「J」の字を左右反転
させたような形のロゴと,TRANVIA de la Ciudad de Méxicoの文字が,
Metro Transitのロゴの上にシールで貼られているようでした.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
01 de julio de 2008 Presenta GDF proyecto de tranvía para la ciudad
(El Universal ニュースへのリンク)
01/07/08 Presenta Ebrard proyecto de tranvía; prevé inversión de
$1800 millones
(El Semanario Sin Límites ニュースへのリンク)
1 de julio de 2008 Volverá a circular el tranvía por la Ciudad
de México en 2010
(El Sol de México ニュースへのリンク)

ソカロで公開された様子は下記ページでうかがい知ることができました.
上記データのうち幾つかは,この中に写っている展示から得ています.
CD. MÉXICO | Tranvia | Proyecto page 11
(SkyscraperCity へのリンク)

公式発表?
01 de julio de 2008 Presenta Marcelo Ebrard Proyecto de Licitación
del Tranvía Buenavista -Centro Histórico

(Dirección General de Comunicación Social へのリンク)

関連ログ: 2008/5/20 中心部横断する市電復活へ

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年07月01日

【カディス】建設中の第二大橋に鉄道加わるか

カディス湾に突き出した格好のカディス市には,内陸から2つのアクセス
ルートがあります.南にある砂州の上に設けられた道路と鉄道が一つで,
1982年開通の道路橋カランサ橋(Puente Carranza)が二つ目です.そこに
第三のルートを加えるべく,カディス湾に架ける二番目の橋が2007年4月
着工されていました.2010年には完成する予定です.

その第二の橋も道路橋ですが,着工されてしばらく経った今年初め,鉄道
供用とする話が持ち上がります.2月には片側三車線の一部を道路から
線路に転換する?(原文はplataforma tranviariaを造る)ことで関係者間の
協定が交わされていた模様ですが,アンダルシア州政府は計画草案を策定
する業者選定を行ったと,先週末発表していました.橋の取り付け部分と
カディス駅(Estación Plaza de Sevilla)の接続ルートも含まれます.

カディス(Cádiz)への鉄道は,セビリアからの路線が北東から近づいて
きますが,カディス湾(bahía de Cádiz)に阻まれて大きく迂回し,南から
砂州を通って中心部に進入しています.
そこで,第二の橋(segundo puente)に線路を敷き,近郊電車セルカニアス
(Cercanías)を走らせれば,大幅な時間短縮も可能になる次第です.
たとえば,今は50分かかっているカディスとヘレス・デラ・フロンテラ
(Jerez de la Frontera)間が29分になると言われています.実際に列車の
運行が行われるかどうかは不明なものの,カディス湾を周回する鉄道の
環状ルートの誕生です.

トラム(tranvía)もしくはトラムトレイン(tren-tranvía)という言葉が
使われていますが,これはカディスとチクラナ・デ・ラ・フロンテーラ
(Chiclana de la Frontera)を結ぶトラムトレインを,カディス駅から
この橋の新線に,接続または延長させる狙いもあるからのようです.

公式発表と報道:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
27 de junio de 2008 La Junta de Andalucía adjudica el proyecto de
las conexiones del tren-tranvía del segundo puente de Cádiz

(Junta de Andalucía 公式サイトへのリンク)
28.06.08 El proyecto del trazado del tranvía por el segundo puente
estará listo en un año

(La Voz Digital ニュースへのリンク)
27-06-2008 Adjudicada la redacción del proyecto de los ramales de
conexión del tranvía proyectado en el futuro segundo puente

(Diario Bahía de Cádiz ニュースへのリンク)

着工前の第二の橋(segundo puente)のプロモーション?ビデオは,下記で
見ることが出来ますが,この時点では鉄道が盛り込まれていません.
Proyecto segundo puente en Cádiz
(La Voz Digital ニュースへのリンク)

カディス湾第二橋(segundo puente)と想定される鉄道線を,Wikipediaに
掲載されている系統図に書き込んでみました.
ベースとした作品のCreative Commonsの条件に基づき,公開しています.
クリックで拡大しますが,正確ではない可能性もあります.

Mao06 作 Cadiz Bay Local Train mapを改変,出典元:
es.wikipedia.org/wiki/Imagen:Cadiz_Bay_Local_Train_-_es.svg

Cadiz_Bay_TramTrain.png
今回話題にした鉄道線は青色の破線で,カディスとサンフェルナンドや
チクラナを結ぶトラムトレイン計画は,緑色の破線で示しています.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン語圏 I このエントリーを含むはてなブックマーク
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