2008年08月31日

【リンツ】ミュールクライス線トラム化? ほか

昨日のグミュンデンと同じオーバーエスターライヒ州で,その州都リンツ
からは,今月多くの記事がありましたが,月末にそれを締めくくるのは,
突然発表された地方鉄道のライトレール化構想です.

連邦交通大臣(厳密にはBMVIT,交通と改革と科学技術の省庁の大臣)を
兼ねるオーストリア社会民主党(SPÖ)の党首と,同党所属の州知事代理,
それにリンツの市長を加えた三人が,リンツを起点に北西へ約58キロの
路線を持つ非電化単線の鉄道を電化し,リンツ中央駅の地下から市電を
延長させる形で直通運転させる構想を発表したのです.
BMVIT: Bundesministerium für Verkehr, Innovation und Technologie
SPÖ: Sozialdemokratische Partei Österreichs

ミュールクライス鉄道(Mühlkreisbahn)は,文字通りリンツとミュール
フィアテル(Mühlviertel)地区を結ぶ鉄道で,現在はオーストリア連邦
鉄道(ÖBB)が運行しています.2005年からは,シーメンス製の部分低床式
軽量ディーゼルカー(Desiro)も投入されました.

ところがこの鉄道,リンツ側のターミナルは幹線の発着するリンツ中央駅
ではなく,街外れのリンツ・ウアファール駅(Bahnhof Linz Urfahr)で,
後で登場する粘着式鉄道では欧州最勾配のペストリングベルク鉄道や,
中央駅への足となる市電も発着していますが,中央駅への直結が長年求め
られていたそうです.実際,市街地を地下で走るCity-S-Bahnと呼ばれる
連絡線構想もありました.

ウアファール駅前から中央駅(Hauptbahnhof)地下に至る市電3系統が,
ほぼ直線で結ばれているのに対し,ミュールクライス鉄道のライトレール
延長構想では,リンツ市街の東側に弧を描くような形で地下を走ります.
途中で総合病院などを経由し,最終的には市電が中央駅地下へ進入する
地下線の南側出入口近くで合流し,中央駅へは南から到達する格好となる
ようです.下記にリンクを張った,OÖNachrichten の記事に地図が載って
います.
時間短縮は,乗換え不要で節約できる10分程度ですが,ライト
レール化により運転頻度を高められる利点があります.

新たに必要となる路線のうち,約5キロは地下線となり,それだけでも
2億7千万ユーロが必要とみられ,ミュールクライス鉄道全線の電化などに
必要な費用が2億2200万ユーロ,増発のため必要な18本の新車購入として
5800万ユーロ,合計5億5千万ユーロが必要になるとみられています.

今の鉄道のままで中央駅まで乗入れるCity-S-Bahn構想より,地下線建設
距離が2キロ長くなり,必要な資金は倍以上に膨れ上がります.そのこと
もあり,発表の翌日には他の政党から,構想は砂上の楼閣で,選挙目当て
ではないかというような非難を一斉に浴びることになりました.実現の
ほどは定かではありません.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
29.08.2008 Straßenbahn von Linz bis Aigen-Schlägl
(ORF.at ニュースへのリンク)
29. August 2008 OÖ: Diskussion um geplanten "Regio-Liner" ins
Mühlviertel
APAの記事 (derStandard.at ニュースへのリンク)
29.08.2008 Fünf Kilometer U-Bahn für Linz: Mühlkreisbahn als
neue Straßenbahn
(OÖNachrichten ニュースへのリンク)

一方,ペストリングベルク鉄道(Pöstlingbergbahn)は,軌間1000mmから
市電のゲージにあわせて900mmへという,異例の改軌工事中で,今年3月
から全面運休中です.改軌と市内乗入れにあわせて,在来車両の改造と
低床車が購入され,予定では2009年3月には市電軌道を通って市内への
乗入が実現するはずでした.

しかし,ボンバルディアに発注している3本の新車完成が遅れ,2009年6月
になるという記事が出ています.
この遅れのため,2009年4月に改造車だけで運休前までの区間の運転を
再開し,その後6月には低床車を加えて市電乗入れという,二段階も検討
されているそうです.
22.08.2008 Pöstlingbergbahn hat Verspätung Neue Wagen fahren erst
im Juni ‘09

(OÖNachrichten ニュースへのリンク)
この記事にもあるように,当初低床車を受注していながら,途中で取消の
憂き目にあったFTDは,今年倒産したそうです.
FTD: Fahrzeugtechnik Dessau AG

ペストリングベルク鉄道関連 過去ログ :
2007/3/20 登山鉄道の低床化と市電乗入れへ
2007/6/25 登山鉄道低床化の製造会社変わる

このほか今月のリンツ市電の話題には,こんなものもありました.
EU加盟国の文化交流も兼ね,年間を通じ欧州規模の芸術行事が開催される
欧州文化首都(Kulturhauptstadt)という持ち回り制度があり,2009年は
リトアニアの首都ビリニュスと,リンツが担当です.

そのKulturhauptstadt 2009にあわせ,リンツ市では市電の終夜運転を,
今後の研究も兼ねて実施することになるというものです.
20.08.2008 Straßenbahn soll 2009 rund um die Uhr fahren
(ORF.at ニュースへのリンク)

リンツ前回の話題: 2008/8/13 新線は2009年3月の着工に

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年08月30日

【グミュンデン】湖畔の二駅接続計画を再認識

10月からインスブルックで使われるFlexity-Outlookが,製造地ウィーン
からの輸送途中でザルツカンマーグート地域に立ち寄り,数週間にわたり
その地で同車の走行試験と,デモンストレーションを行う話を今月中旬
紹介しましたが,低床車が到着して二週間余り.8/25までに予定されて
いた時速70キロの走行試験を無事に終え,8/27には招待客らにお披露目
されて,8/28からはTraunseebahnで一般客にも開放されている模様です.

9/04までは,グミュンデン(Gmunden)とフォルヒドルフ(Vorchdorf)を結ぶ
通称Traunseebahn,Lokalbahn Gmunden–Vorchdorfで運転されますが,
フォルヒドルフ地区など沿線の各世帯には無料券が配布され,これまでの
この地の鉄道車両のイメージを一新し,もしかしたら将来導入されるかも
しれない100%低床車Flexity-Outlookの試乗を,促しているそうです.

路面軌道にも地方交通線にも対応できるボンバルディア製100%低床車の
Flexity Outlookは,グミュンデンの路面電車(Straßenbahn Gmunden)線上
でも,9/12から10/01まで運行されることになっています.

関連ログ: 2008/8/14 インスブルック低床車試験

グミュンデンのトラウン湖畔(Traunsee)には,地方鉄道のTraunseebahnと
路面電車の二つの駅があります.両線とも,オーバーエスターライヒ州を
中心に,地方鉄道を五路線持つStern & Hafferl Verkehrsgesellschaftが
運営していますが,この二駅間は川を挟んで700mほど離れていて,今は
連絡されている状態とは言えません.

しかし,すでに両線を接続させる計画は出ていて,技術的に実現可能との
報告もあがっており,2012年という目標も掲げられていましたが,今回の
お披露目の席上で,それが再確認されたことが,記事になっています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
27. August 2008 Die Zukunft auf Schiene bringen
(Stern & Hafferl Verkehrsgesellschaft m.b.H. 公式サイトへのリンク)
28 August 2008 Vorchdorf: Neue Verbindung die Menschen verbindet
(Im-Salzkammergut ニュースへのリンク)
29.08.2008 Schon 2012 könnte die Straßenbahn über die Traun bis
Vorchdorf fahren
(OÖNachrichten ニュースへのリンク)
OÖNachrichtenの記事には地図が掲載されています.

グミュンデン中央駅から最大傾斜100パーミルもの急坂を湖畔まで下って
くる延長2.3キロの路面電車は,Franz-Josef-Platzが現在の終点です.
そこから湖に注ぎ込む川をまたぐトラウン橋(Traunbrücke)を渡って,
トラウン・ゼー鉄道(Traunseebahn)の湖畔駅(Seebahnhof)までの延長が
実現すれば,一日2千人の利用者が増えると予測されているそうです.

その他,トラウン・ゼー鉄道の駅のバリアフリー化の一貫として,先行
して改装された駅(Unterm Wald)も,紹介されたそうです.同線では,
速度向上と安全性向上を目指し,曲線や施設の改修を施す予定です.
どの計画を指すのかは不明ですが,着工は2009年末になりそうだという
記述もありました.

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2008年08月29日

【ナント】トラムトレイン計画に青信号

2007年にアルストムが新世代のトラムトレイン(Citadis Dualis)を発表
した際,フランス北西部ペイ・ド・ラ・ロワール(Pays de la Loire)地方
への導入が決まっていましたが,その計画路線が沿線住民からの支持を
得て,2010年から2011年とされる開業予定が現実的なものになったとする
記事が出ていました.

トラムトレイン仕様のシタディスが走るのは,フランスでトラム復興の地
となったナント(Nantes)と,同じロワール=アトランティック県の北東部
にあるシャトーブリアン(Châteaubriant)間の64キロの非電化単線です.
同線は,ナントからパリへ直通する幹線の電化工事と引換えに,1980年に
旅客営業が廃止されていました.当時旅客列車が一日三往復走るだけで
採算が悪いとされたのが,理由だそうです.

計画では路線を電化し,行き違い設備を設け,高頻度でトラムトレインが
走れるように転換します.
導入される7本のCitadis Dualisは,2万5千ボルト交流電化と,750ボルト
直流電化の両方に対応し,電化は交流だけでなく,詳細は不明ですが,
一部は直流で電化される区間もあるようです.
しかし,ナント市内で並走するトラム1号線のトラム軌道への乗入れは
行わず,発着もSNCFのナント駅(Gare de Nantes)に留まります.

転換工事は二段階にわかれ,2010年から2011年にかけて,NantesとNort-
sur-Erdre間の約30キロ区間を開業,その後2013年後半にChâteaubriant
まで,トラムトレインの運転区間を延長します.

沿線にある13の自治体は,この計画を2006年から聞かされてきましたが,
今年6月から7月上旬にかけて,住民向けの公聴会(enquête publique)が
開催され,そこでトラムトレイン計画が強い支持を得たことが明らかに
なったというのが,今回の報道につながっています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
27 août 2008 Un tram-train qui fait l'unanimité
(Presse-Ocean ニュースへのリンク)
27/08/2008 Un tram-train pour la réouverture de la ligne Nantes-
Châteaubriant
(Gazette des communes ニュースへのリンク)

トラムトレイン路線図: La carte de la ligne
(Ligne ferroviaire Nantes-Châteaubriant 公式サイトへのリンク)
関連ログ: 2007/4/26 【SNCF】トラムトレインをアルストムに発注

必要費用は,1億6200万ユーロとする記事と,2億ユーロと見積もられて
いるとする記事がありますが,ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏,ロワール
アトランティック県,ナント都市圏,それに国とEUで分担するようです.

ナント市内の路線網に直通するわけでもないのに,トラムトレイン車両が
選ばれている理由の一つには,フランスでTERと呼ばれる列車に使われる
近郊型車両タイプよりも,効率よく頻繁に駅停車が可能ということがあり
ます.実際に,復活する路線には多くの新設駅が誕生する予定です.
TER: Transport express régional

ロワール・アトランティック県は,現在TERとして列車を走らせている
ナント発着の他の路線でも,トラムトレイン化の可能性を探っています.

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2008年08月28日

【アントワープ】未使用トンネル再利用を確約

ベルギーのアントワープ(アントウェルペン)(Antwerp / Antwerpen)市を
走る,De Lijnが運行するトラムには,中心部を地下でくぐり抜ける,
プリメトロ(premetro)と称する地下区間があります.

現在までに約15キロ(13.487mとする資料あり)が建設されているものの,
実際に供用されているのは8キロ(8.061m)で,残る5キロ強(5.426m)には
トラムが走っていません.

プリメトロ用のトンネルは1970年代から工事が開始され,1975年に最初の
区間が開通します.その後も東西の軸と,そこから南に伸びるT字形を
形成する路線が徐々に完成していきますが,その路線と一部で乗換えが
できる,別ルートも1980年代に建設されていました.乗換え駅は,地下で
上下二段構造にしているそうです.
しかし,予算不足から別ルートは開通の日を迎えることなく,今日まで
三十年近く,打ち捨てられていたのです.

2004年になり,2025年までを見据えたアントワープの公共交通整備計画,
ペガサス・プラン(Pegasusplan)の中で,その未使用の地下区間を使う
ことになります.
今回は,アントワープ市の市議会議員で,同市を管轄するフランデレン
地域政府の担当大臣が,忘れられた地下トンネルを徒歩で視察し,中が
完全な状態であることを確認して,2015年までにトラムが走ることを,
改めて表明したことが,報道されていました.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
27/08/08 Antwerpse premetrotunnel na 30 jaar eindelijk gebruikt
(HLN ニュースへのリンク)
27 augustus 2008 Antwerpen gebruikt tramtunnel na ruim twintig jaar
ANPの記事 (DePers ニュースへのリンク)

現在使用中のと見捨てられていたプリメトロの両方を描いた図は,下記
ページで見ることができ,英語で情報も得られます.
Antwerpen Premetro (Light Rail) (UrbanRail.Net へのリンク)

完成していながら,資金不足で三十年近くも使われなかったトンネルは,
アントワープの恥(Schande van Antwerpen)とされているそうです.
三十年間の維持費も500万から700万ユーロに及ぶとか.
フランデレン地域の政府がペガサス計画に基づき,8150万ユーロを投じて
トラムを改めて走らせることになるのは,未完の5キロ強のうち4キロほど
になるようです.

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2008年08月27日

【ロサンゼルス】ダウンタウン市電の続報ほか

Bringing Back Broadwayという,ロサンゼルス中心街に路面電車の復活を
目指している官民からメンバーが共同で参加しているイニシアチブが,
LA Streetcar, Inc. (LASI)という名前の非営利団体の設立を決めたと,
先日伝えられていましたが,このことは,十年越しになると考えられて
いた構想が,その半分の五年で実現できるかもしれない可能性を秘めた
ことを意味するなど,LASI設立の意義を補足する記事が出ていました.

路面電車の設計,建設,運営を目的とした公益性を持つ非営利組織では,
1990年代初頭に設立され,1995年にポートランド市によって選ばれた,
Portland Streetcar, Inc. が思い浮かびます.
ロサンゼルスのグループも,今年4月に路面電車の経済効果を見るために
現地を訪れ,路面電車が(サンデーにトッピングされたチェリーのような)
単なるお飾りなどではなく,新たな経済発展の原動力になったことを目の
当たりにし,それに習って非営利のLASIを設立することにしたそうです.

二年後の着工を実現させるまでには,いくつもの難問が控えています.
最低でも6千万ドルともされる必要経費を,民間からの寄付などを通じて
かき集めなければなりませんし,ルート決定までに広範囲な調査も終え
なければなりません.
おまけに,ロサンゼルス郡内には,構想から何年も足踏み状態で進行して
いない計画が目白押しの状態です.それらを押しのけて計画を実現できる
のかという疑問の声も挙がっています.

それでも,主体が市でも郡でも(LA郡内の公共交通を運営する)メトロでも
ない,官民からただ一つの目的を目指して集まった,利益を分配しない
非営利の組織であることで,政治や様々な思惑などのしがらみを避けて,
短期間のうちに実現できるのではないかと,期待されているようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
8/25/2008 On the Fast Track
Huizar, Broadway Proponents Speed Up Streetcar Effort

(Los Angeles Downtown News ニュースへのリンク)
Aug 25 2008 L.A. streetcar update
(Los Angeles Times -Bottleneck Blog- へのリンク)

関連ログ:
2008/8/18 LA Streetcar, Inc. 立上げ
2008/5/24 市電ワークショップほか

ダウンタウンで復活を目指す市電は,税金投入は考えられていないよう
ですが,ロサンゼルス郡全体では,公共交通や道路整備の財源のため,
財源確保で売上税を引き上げることを,11月の総選挙の際に住民に諮る
という話が先月ありました.
メトロ(LACMTA)の理事会が承認し,市長も投票項目に載ることに自信を
もっていましたが,こちらは,どうやら雲行きが怪しくなっています.
LACMTA: Los Angeles County Metropolitan Transportation Authority
関連ログ: 2008/7/27 三度目の売上税増税投票へ

カリフォルニア州の州議会上院で,投票に図るために必要な法案が,一度
否決されてしまいます.反対派は,増税分で建設される公共交通などの
恩恵を受けない地域からの代表でした.
結局,LAX空港へのグリーンライン延長など,彼らの意見も取り入れた
修正法案が,州議会上院を通過する必要があります.
それに加えて,11月に投票対象となるには,州知事が同法案に署名する
必要がありますが,カリフォルニア州が抱えている予算問題で,これが
そう簡単にはいきそうにない状況です.

アナハイムからロサンゼルスを経由して,ベイエリアと州都サクラメント
を結ぶ,州内縦貫高速鉄道計画の予算枠組みの是非を,11月の住民投票に
かけるかどうかの法案には,州知事はサインしたそうです.
しかし,ロサンゼルス郡の売上税増税に対して,州知事の考えが明らかに
されていないことや,予算不足に陥っている州財政を救うため,一時的に
州の分の売上税を6.25%から引き上げることを州知事が提言していること
も,悲観的な見方につながっています.
この州知事提案の売上税の一時増税が実現すると,郡内の交通整備用の
増税分とあわせて,ロサンゼルス郡内の売上税は最終的に9.25%となり,
賛成を得られない可能性が高くなってしまうからです.

この話は刻々と動きますので,関心をお持ちでしたら,上にも記事への
リンクをつけている,Los Angeles Timesの交通分野の記者による公式
ブログ,Bottleneck Blogを,お読みになるといいと思います.

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2008年08月26日

【フライブルク】10月末に全コンビーノ復帰へ

曲線を通過する際に,設計時の想定を超える大きな力がかかり,ボルト
結合のアルミニウム製車体に損害を与えることが判明したシーメンス製の
100%低床車コンビーノは,シーメンスがリコールしていました.

同社工場で改修工事を受けるため,各地からコンビーノが続々と入場し,
すでに所有する全車が改修を終えた街もあるなかで,19本のコンビーノを
所有していたドイツのフライブルクも,10月末に最後の改修車が戻って
くる予定であることが,明らかにされました.

最後に戻ってくるのは,19本のうち1999年から2000年にかけて納入されて
いた,9本のCombino Basicのうちの最終車(279号車)だそうです.

今回の記事によれば,2002年4月にCombino Basicの272号車でボルトの
破損が発覚,その後2004年からの454本に及ぶコンビーノのリコールに,
発展していったとされています.
同車は近々閉鎖か売却が決まったプラハの同社工場へ運ばれ,徹底的に
分解されたため,現在VAGの車籍には272号車は存在していません.
VAG: Freiburger Verkehrs AG

この272号車を除く,18本のコンビーノが復帰することを見越して,VAG
では1981年から使っていたGT8タイプの車両10本のうち,5本を除き売却を
進めていました.残る5本も朝のラッシュ時やサッカーのクラブチーム,
SC Freiburgの試合がある時に使われるだけになるそうです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
26.08.2008 Combino-Flotte bald wieder vereint
(Südkurier ニュースへのリンク)

コンビーノのリコールが遅れたのは,当初からのCombino Basicと,あと
から若干改良を加えて登場しているCombino Advancedの2タイプのうち,
Combino Basicの改修方法を確定するのに手間取ったことも影響している
そうです.昨年発行の業界紙に,関連記事(英語)がありました.
01 May 2007 Combino rectification programme moves ahead
(Railway Gazette へのリンク)

現在改修作業を受けている279号車と,1982年製のGT8(213号車):
VAG279.jpg VAG213.jpg
(2006年6月撮影)

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2008年08月25日

【ハーグ】試験導入のトラム車掌を終日に?

改札のない市街電車でも,昔の雰囲気を再現するための鉄道は別として,
車掌がいないのが半ば常識になって久しくなりますが,ライトレールの
中には,新規開業時から車掌を乗務させたり,一度は廃止した車掌を復活
させているケースも一部で散見されます.
切符の販売機に不具合があるとか,もれなく運賃収受を行うためという
のが主な目的でしたが,地域によっては,車内の保安強化の意味合いも,
最近は強まっているようです.

オランダでは,アムステルダムのGVBが,1996年からトラムに車掌を復活
させ,その路線も次第に拡大しています.
ランダムに車内改札を行い,次から次へとトラムを渡り歩くからか,直訳
すると飛行編隊という意味になる,vliegende brigadeと呼ばれる,従来
からの切符検査員との,費用対効果の比較も研究されています.

ロッテルダムのRETでは,2003年11月から警備会社に委託して,トラムに
車掌を乗務させています.
デンハーグ(Den Haag)のHTMでも,2007年11月からトラム9系統と16系統で
三年間の車掌の試験導入に踏み切りました.

デンハーグの例は,開始一年後に見直しを図るという条件付きで,運賃
収受と車内保安強化を目的に,現在は14時から終電までの時間限定です.

これを終日乗務にすべきだという声が,デンハーグ市議会のキリスト教
民主同盟(CDA)から挙がっていることを伝える報道がありました.
CDA公式サイトからも,発表されています.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
22-08-2008 CDA: conducteurs hele dag op tram
(CDA Den Haag 公式サイトへのリンク)
21 augustus 2008 Geweld in tram houdt zich niet aan winkeltijden
(InfoThuis TV ニュースへのリンク)

昨年11月から,HTMのトラムに14時から終電まで,車掌を試験的に乗務
させることになった際の発表と報道:
Proef met vaste conducteurs op trams 9 en 16
(HTM 公式サイトへのリンク)
(9 oktober) Vaste conducteurs op tram 9 en 16
(Gemeente Den Haag 公式サイトへのリンク)
02 november 2007 Echt terug: tramconducteurs
(AD.nl ニュースへのリンク)

先月,オランダ全土で行われていた調査結果がCBSから発表され,それに
よれば,公共交通機関には治安に懸念があるとして,9%の人が路線バス,
トラム,メトロなどの利用を避けているという現状が,明らかにされて
いました.特に,ロッテルダムやデンハーグでの数値はオランダ全国平均
より高く,20%近い人が公共交通を敬遠しているとのことです.
14 juli 2008 Bijna één op de tien reizigers mijdt openbaar vervoer
wel eens wegens onveiligheid

(Centraal Bureau voor de Statistiek へのリンク)
地域ごとのデータなどの詳細は,上記ページからダウンロードできます.

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2008年08月24日

【サバンナ】ハイブリッド式トラム11月にも?

観光客にとって,ジョージア州の大西洋岸にほど近いサバンナ(Savannah)
最大の見所と言えば,リバー・ストリート(River Street)を中心とした
ダウンタウンだそうです.

その名の通りサバンナ川に沿うリバー・ストリートには,石畳にレールが
敷かれています.そこを,早ければ今年11月にもハイブリッド式の路面
電車が走ることになりそうです.計画より遅れているという形でですが,
地元紙に記事が出ていました.

サバンナ市は,メルボルンのW5クラスのstreetcarを2000年に1両購入し,
記事によれば,現在その車両はElectric Motor and Supply Inc. (EMS)の
本拠地ペンシルベニア州アルトゥーナ(Altoona)で,オーバーホールを
受けていると,みられています.そこでは,1930年代製造の路面電車に,
EMSが提案したハイブリッド式の駆動装置を取り付け,足回りを最新的に
生まれ変わらせようとしているようです.

このハイブリッドとは,自動車のハイブリッドカーのように,ディーゼル
発電機とモーターにバッテリーを組み合わせたもので,記事には「巨大な
プリウス」という言い方も出てきます.ということで,レールが敷かれた
リバー・ストリートには,実は架線は張られていません.

米国で,電気式ディーゼルの路面電車が架線なしの路面を走行している例
は,テキサス州メキシコ湾沿岸の観光地,ガルベストンでも見られます.
それからシステムが多少は進化しつつも,似たような雰囲気になるのかも
しれません.

開業後には,正午から20時までの運行が予定され,午前中は商店などへの
荷捌きに,通りが自動車に開放されるとのことです.

今回は,サバンナ市が8/22に説明会を開催したため,その内容を記事に
したものと思われます.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
2008-08-22 River Streetcar: November at earliest
(Savannah Morning News ニュースへのリンク)

運転開始が遅れる理由に関しては,車椅子用リフト二台を搭載する関係
とともに,FTAが安全性を認め許可する必要があることに触れています.
FTA: Federal Transit Administration
アトランタにあるFTAの支局の管轄になりますが,アトランタMARTAの電車
しか旅客鉄道を取り扱った経験がないらしく,サバンナの関係者らは,
両者は全く異なるので,混同されないことを願っているようです.

さらに,サバンナ市は2台目の電車も購入しています.
一台目に取付けたハイブリッド・システムが思惑通りに性能を発揮する
ようなら,二台目にも同様の改造を施すそうですが,市の資料によれば,
こちらはPCCカーのようです.

メルボルンW-5と思われる車両や通りの画像を含む,2006年ごろの情報:
Georgia Streetcar Systems: Savannah
(John Smatlak - Railway Preservation Resources へのリンク)

下のリンク先は,リバーストリートを走るトロリー(ディーゼルエンジン
バス)を紹介するページで,川沿いの石畳の通りに,線路が敷かれている
のを見ることが出来ます.
Savannah: View Trolley car on River Street (Arounder へのリンク)

また,Google MapsやGoogle Earthでも,ストリート・ビューがカバー
していますので,レールがどこまで伸びているか,追跡することも可能
でしょう.94 E River St‎ (Google Maps ニュースへのリンク)

リバー・ストリートに敷かれているレールは,詳細は不明ですが,綿貿易
などで使われたのか,以前からあったもので,わざわざ敷設したものでは
なさそうです.その線路は修繕を要しそうですし,少し北(川側)へ移設
して,車も同時に通りを走らせる話も,今回の記事に載っていました.

Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Savannah 2008 - Historic Downtown by Aim and shoot! (flickr)
Savannah 2008 - Historic Downtown
Taken on August 11, 2008

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2008年08月23日

【シュコダ】イネコンと提携トロント目指す

ジョイントベンチャーを組んで米国に部分低床車を販売していた時期も
ありながら,近年は裁判沙汰になるまで関係が冷え込んでいた,チェコで
路面電車車両を製造するメーカー二社が,互いに関係修復を図り,120億
チェコ・コルナ(12 miliard Kč)に及ぶトロントの低床車受注に向けて,
提携することになった模様です.

その二社とは,チェコスロバキア時代には国営企業で,長い歴史を持つ
シュコダの鉄道車両部門,ŠKODA TRANSPORTATION s.r.o.と,もう一方は
ビロード革命後の1990年に民間企業として発足したInekon Groupです.

米国ポートランドに向けた部分低床車(Škoda 10 T)の第一次発注分の時
までは,両社はパートナーでシュコダ製トラムを販売していましたが,
その後はInekon Groupがチェコ東部のオストラヴァ(Ostrava)で公共交通
機関を運営するDopravní podnik Ostrava(DPO)と手を組み,自らトラム
車両の製造に携わるようになり,関係が悪化していきます.

それは米国向けトラムだけに留まらず,オストラヴァ向けの車両でも,
Astraの名称で知られるŠkoda 03Tに決まっていた契約を,同車をベースに
してInekon GroupがDPOと組んで製造するInekon 01 Trioに変えられた
ことなどから,シュコダは両者を相手に訴訟を起こしています.

それが今回,2002年以来の両社のわだかまりを水に流して,トロントから
低床車の注文を獲得しようと,手を携えることになった次第です.

英語版Wikipediaの「Portland Streetcar」の項目によれば,2005年には
トロントTTCがポートランド市を訪れ,Škoda 10 Tを視察していました.
TTC: Toronto Transit Commission

しかし,その後TTCが100%低床化を条件に加えたこともあり,シュコダは
入札に応じませんでした.同社はプラハ向けに100%低床車ForCity(15T)を
開発しているものの,トロントの条件の厳しさから断念したようです.

その条件の厳しさには,今回の報道にも記されているように,急曲線の
ことがあります.欧州での標準的な曲線半径の半分だとか.それに加えて
冬と夏で寒暖の差が大きいことも,指摘されています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
21.8.2008 ŠKODA a INEKON budou spolupracovat
(VLAKY.NET ニュースへのリンク)
21. srpna 2008 V Torontu by mohly jezdit tramvaje škodovky
(iDNES.cz ニュースへのリンク)
22 08 2008 Inekon Group a Škoda Transportation chtějí zakázku
za 12 mld.
(Cesty Plzeňského Kraje.cz ニュースへのリンク)

曲線半径の小さいことは,最有力候補のボンバルディアの車両でさえ,
TTCから通過できないと判断され,結局入札は中止になってしまいます.
関連ログ: 2008/7/14 【シーメンス】欧州の鉄道工場は三か所に

トロント側でも,部分低床に条件が緩和されれば,チェコのシュコダが
乗り気だと言うことが,7月下旬に報じられていました.
Jul 24, 2008 Czech firm keen on TTC contract
(Toronto Star ニュースへのリンク)

公式な情報ではありませんが,Bombardierの提案するFlexity Outlookが
安全に通行できないとTTCが判断する典型的な急カーブの例は,例えば
503系統の終点にあるループ線などに見られるそうです.
503 Kingston Road 終点: Queen St. E. and Kingston Rd.
(Google Maps へのリンク)

8月に入ってからの情報は少ないのですが,TTCは100%低床車を製造する
三社と個別交渉に入っていたと思われ,今後何か動きがあるとすれば,
8月最終週以降のようです.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
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2008年08月22日

【ポートランド】貨物鉄道会社からの提案

TriMetのライトレールMAXは,ポートランドの西方約17マイル(約27キロ)
にあるヒルズボロ(Hillsboro)まで,1998年に路線を伸ばしていますが,
さらに7マイル弱(約10キロ)ほど西方にある,人口2万余のフォレスト・
グローヴ(Forest Grove)市にとって,MAXの延長は近年の悲願でした.
TriMet: Tri-County Metropolitan Transportation District of Oregon

しかし,そのためには2億ドル近くを必要とするなどから,この先15年は
実現の見込みがありませんでした.

それを解決すべく,民間から手が差し伸べられてきたという話が,紹介
されています.
ヒルズホロのMAX駅の近くに貨物鉄道の線路がありますが,そのレールは
フォレスト・グローブまでつながっていて,所有するクラスII貨物鉄道の
ポートランド・ウェスタン鉄道(PNWR)が,沿線自治体に自社線路を走る
ディーゼルカーを使ったコミューターレールの話を持ちかけたのです.
PNWR: Portland and Western Railroad

まだまだ着想段階に過ぎませんが,ヒルズボロで乗換えが必要なものの,
フォレスト・グローブとポートランド間が鉄道で一時間圏内になります.
現役の貨物鉄道と線路を共有すれば,軌道改修などに3千万ドル少々を
投じるだけで済み,早ければ2013年にも運転開始できるのではないか,
という提言内容でした.

ディーゼルカーを貨物線に走らせることは,同じオレゴン州ワシントン郡
(Washington County)内にもWESという例があり,この秋から運転開始が
予定されています.WESが走る線路も,実はPNWR所有でした.
WES: Westside Express Service

ヒルズホロとフォレスト・グローヴ間の貨物線は,いずれ改修が必要と
されていて,PNWRにとっても,半旅客化により資金を投入してもらえる
という目算もあるようです.

とは言え,3千万ドルとも3500万ドルともされる必要経費も,そう簡単に
捻出できない模様ですし,乗換えで利用者が運賃を二回払わずに済ませる
ためには,TriMetの協力も不可欠で,実現に向けては課題が山積ですが,
関係者の気をひいたことだけは確かなようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
August 20, 2008 Commuter rail to go to Forest Grove?
(The Oregonian ニュースへのリンク)
Aug 20, 2008 Portland in an hour? Say hello to new commuter rail
(The Forest Grove News-Times ニュースへのリンク)

秋の開業を控え,準備に余念がないWESの最新情報も届いています.先週
Colorado Railcar製のディーゼルカーを,本線上で初めて動かしました.
August 21, 2008 TriMet's new Westside Express Service prepares to
take to the rails this fall
(The Oregonian ニュースへのリンク)

長年ライトレールの経験を積んだTriMetも,このDMUは勝手が少々異なる
ヘビーレールであることを改めて実感し,FRAの基準を満たさなければ
ならないことを,身をもって体験しているようです.
DMU: diesel multiple unit
FRA: Federal Railway Administration

米国ではディーゼル機関車牽引の客車列車はあるものの,DMUが本格的に
運転されている例は少なく,東海岸ではニュージャージーのRiver LINE,
西海岸ではサンディエゴ近郊のSprinterなどに限られています.
上記記事からリンクされている先のWikipediaによれば,この両者はFRAの
耐衝突性能などの指針に適合せず,ライトレールに分類されています.

関連ログ: 2008/6/28 【ポートランド】この秋登場の新車お目見え

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2008年08月20日

【メストレ】トラム2009年末完成を市長確認

ヴェネツィア(Venezia / Venice)の本土側メストレ(Mestre)で建設が進め
られている,ゴムタイヤ式のトランスロール(Translohr)を導入する工事
現場を,ヴェネツィアのカッチャーリ(Massimo Cacciari)市長が関係者ら
とともに視察して,トラムの2009年12月31日完成予定を,改めて表明した
という記事がありました.

道路の軌道(中央ガイドレール)敷設工事に際しては,路面を掘り返して
いますが,埋設されていた水道管などライフラインも,あわせて交換する
ことを,イタリアの自治体の最小単位である沿線のコムーネ(comune)が
決定していたことで,さらなる遅れが危ぶまれていた模様です.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
19 ago. CACCIARI VISITA CANTIERI TRAM, CONSEGNA FINE 2009
(Agenzia Giornalistica Italia ニュースへのリンク)

2009年末の工事完成により,2010年に開業が予定されているのは,トラム
1号線の一部と2号線にあたるMargheraとFavaro間で,当面は本土側だけに
留まります.
路線概要: LE LINEE
(IL NUOVO TRAM DI MESTRE 公式サイトへのリンク)

その先,トラム1号線の一部にあたるベネチア本島への区間は,2011年
という話が一応あるものの,それは橋次第ということになりそうです.

関連ログ: 2007/11/22 トランスロール第一号到着と公開

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2008年08月19日

【ベルリン】Flexity Berlinは10月からM4で?

ベルリンのBVGが,東独時代からの旧型車置換えを目指し,2011年からの
導入を検討している,ボンバルディア製の次期低床車Flexity Berlinは,
9/20にザクセン州バウツェン(Bautzen)の同社工場で落成することが,
この週明け早々に報じられています.
BVG : Berliner Verkehrsbetriebe

その後,既報の通り9/23から9/26までベルリンで開催される,2008年の
国際鉄道技術見本市(InnoTrans 2008)で展示されます.
そして,遅くとも10月からは,今回のBerliner Kurierの記事によれば,
メトロトラムM4系統で定期的な試運転が行われる予定だそうです.
これまでの情報では,M4の他に,M2,M5,M10系統での運転も,考えられ
ています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
18.08.2008 Die neue Pummel-Tram rollt an
(Berliner Kurier ニュースへのリンク)
18 August 2008 So sieht Berlins neue Straßenbahn aus
(Berliner Morgenpost ニュースへのリンク)

どちらも記事も,全長が従来より長い40mあることや,幅広(車体幅2.4m)
であること,外観が丸っこいことなどを,特徴として挙げています.
幅が広くて長いということは,それだけ客室部分が広いということで,
車椅子や自転車向けスペースになる多目的区画とか,ちょっとした腰掛け
にもなる?,子供用の低い椅子もあるようです.

外観について,Berliner Kurierは,丸々したという意味だと思われる
Pummelという言葉をつけていますし,Berliner Morgenpostのほうは,
Bauhausstilということで,バウハウスのスタイルを彷彿させるという
ような表現を使っていました.

関連ログ:
2008/5/30 9月にFlexity Berlinお披露目へ
2007/4/14 Flexity Berlin 詳細明らかに

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2008年08月18日

【ロサンゼルス】LA Streetcar, Inc. 立上げ

今年5月ロサンゼルスで路面電車ワークショップ(Los Angeles Streetcar
Workshop)が開催されていました.
関連ログ: 2008/5/24 市電ワークショップほか

それで弾みがついたのか,ロサンゼルス中心部で路面電車の復活を考える
官民共同出資のBringing Back Broadway Trusteesが,ロサンゼルスの
ダウンタウンを走る路面電車の設計と建設,運営だけを目的とした非営利
組織を立ち上げることを,先週末に決めています.

LA Streetcar, Inc. と名づけられた非営利団体が,最初の18か月間に
目指すのは,路面電車がもたらす力を提言し,コーディネイトしていく
ための資金として,40万ドル足らずを調達することだそうです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
August 15, 2008 Broadway Trustees Approve Streetcar Non-Profit
(blogdowntown へのリンク)

【パサデナ】
そのダウンタウンから,メトロレールを乗り継いで30分近くで到達する
パサデナ(Pasadena)で,全米を渡り歩く路面電車(streetcar)の伝道師の
ような存在の都市計画専門家が講演を行っており,その内容が地元紙に
紹介されました.
08/14/2008 Streetcars? Again?
(Pasadena Star-News ニュースへのリンク)

ロサンゼルス北部にある高級住宅街パサデナには,今ではライトレールの
ゴールドラインが走っています.利用者を惹きつけるべく,一時は急行
運転などを行うものの,最初は利用状況が芳しくありませんでしたが,
最近は各駅停車の運転頻度を増やし,燃料価格の高騰という追い風も得た
からか,この7月も昨年同時期を39%も上回る利用好調ぶりを示すほどに
までなっていました.

講演では,州や連邦からの資金を頼りに,LAではメトロとも呼ばれる公共
交通事業者によって運営される,通勤客を長距離運ぶために高速道路の
中央分離帯の中に建設される高規格の路線が,通勤手段を公共交通に切り
替えさせて道路の混雑緩和を図るのと同様に,自治体や地元の商店などが
中心になり,自前で資金を調達できるような短距離の路面電車でも,多少
方法は異なりますが,買い物客を中心に移動を電車や徒歩に切り替える
ため,地域の道路混雑緩和に一役買うことができると紹介しています.

また,建設工事が大掛かりにならず,工事の影響が長期化しない利点が
路面電車にはあり,シアトルでは着想から開業まで四年で足りたという
例も取り上げられていました.

既にパサデナでは,ショッピングやレストラン街になったOld Pasadena,
Pasadena Playhouse(劇場)の周辺,ショッピング街のSouth Lake Avenue
といった場所が,ルート候補地として検討されている模様です.ただし,
パサデナ恒例のローズパレードで,架線が問題になる懸念があります.


先週は,ニューヨークタイムズがオハイオ州シンシナティやコロンバスの
路面電車計画を記事にしたのをきっかけに,ブロガーの間で,こうした
ストリートカー関連の話題で盛り上がっていたようです.

これまでも,ウォールストリートジャーナルや,USAトゥデーといった
メディアが,全米各地で中心街に路面電車を導入することを検討中という
現状を紹介してきましたが,この記事は,読者が知人にメールで紹介した
件数が,ニューヨークタイムズの数日間の全記事の中で,三番目に多い
ほどにまでなったそうです.
August 13, 2008 Downtowns Across The U.S. See Streetcars In
Their Future
(New York Times ニュースへのリンク)

この記事の最後には,十年後に2008年のことを振り返って,なぜあの時に
路面電車を建設しなかったのか,あれから(建設費は)十倍にもなったし,
ガソリン代も負担しきれないほどになってしまったと,問いかけることに
なるだろうとして,将来を見据えて計画すべきというコロンバス市長の
言葉を引用しています.
コロンバスでは市議会の反対にあい,市長の路面電車計画は,先月の時点
では足踏み状態になっていました.

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2008年08月17日

【シアトル】併用区間でもLRT試運転開始

シアトルのライトレールCentral Link開業まで,あと1年を切りました.
近畿車輛と三井グループのジョイントベンチャーKinkisharyo-Mitsuiの
ライトレール車両を使った実地の試運転が始まって久しくなりますが,
セントラル・リンク(Central Link)のうち,もっとも交通事故の多発が
懸念される約5マイル(約8キロ)の区間でも,試運転が開始されています.

南北に伸びるセントラルリンクでは,北端にあたるシアトル中心部は,
既存のバストンネルを流用して地下を走ります.中心部から南下すると,
ちょうどマリナーズの本拠地セーフコ球場(Safeco Field)の近くは地表
走行ですが,その後はビーコンヒル(Beacon Hill)の丘陵地帯を横断する
ため,長さ4300フィート(約1300m)ほどのトンネルを掘っています.
一方,南端のタクウィラ(Tukwila)では,ハイウェイとの交差があるため
大半が高架で建設されました.

セントラルリンクが実質的に道路の中央を走るのは,ビーコンヒル地区を
トンネルを抜けて,タクウィラ地区に至るまでの,レーニエ・ヴァレー
(Rainier Valley)地区内の約5マイルの区間だけです.ここには18か所の
交差点と10か所の信号機つき横断歩道があり,時速35マイル(約56キロ)で
走るライトレールが,自動車や歩行者と接触事故を起こしかねない場所と
して心配されてきました.

前後の区間では線路が道路と分離されているのに,レイニエバレー地区
だけが路面走行になる計画を知った住民らは,Sound Transitに対して
抗議や訴訟を起こしますが,トンネルを掘ったのでは建設費が嵩み過ぎ,
高架にすれば沿線地域が視覚的に分断されるとして,反対を退けて道路
中央を走らせることに決めています.

数年前に,全米平均を基にすると,この沿線では年間29件の車両事故と
同3件の対人事故が予想されるとの報告書が出ましたが,ポートランドの
イエローラインに似た標識などを含む改善が施されていますし,比較的
シアトルでは運転マナーが良いということもあり,そこまでは至らない
のではないかとの期待もあります.

それでもSound Transitは,広告看板を用意し,学校や地域住民集会で
説明したり,12か国語で安全のしおりを作成するなど,万全を期そうと
試みています.12か国語も用意したのは,多民族国家と言われる米国の
中でも,レーニエヴァレーは多様性に富む屈指の地域だからです.

この試運転は,一足先に工事中のビーコンヒルトンネルを軌陸車に牽引
されて通過し,今は単独で南部に留まっている,先月初めには落書きの
被害にも遭ってしまった105号車が行っています.
今回は早足程度のゆっくりした速度でしたが,時速35マイル(約56キロ)
での試運転は,この秋にも予定されているそうです.

試運転開始の前後に出た代表的な記事:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
August 14, 2008 Sound Transit tests light rail in Rainier Valley
(KING5 Seattle ニュースへのリンク)
August 13, 2008 Sound Transit to run test trains through Rainier
Valley
(Seattle Times ニュースへのリンク)
Seattle Timesの記事には,レーニエバレーを走るセントラルリンクの
交差を網羅した地図も載っています.

公式サイトでは,高架橋上での試運転の様子を運転台から撮影した画像を
公開中です.その他,ドライバー向けの標識ガイドなど.
Photo of the Week August 15 - 21, 2008: Smooth all the way
Drivers Guide: Stay safe & sound driving around Link light rail
12か国語のブローシャへのリンクがあるページ: Light Rail Safety
(Sound Transit 公式サイトへのリンク)

レーニエバレーでライトレールは,通称MLK通りの路上を走ります.
正式な通りの名前は,Martin Luther King Jr. Way South.
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Train Testing In Progress by oranviri (flickr)
Train Testing In Progress
Taken on August 8, 2008

関連ログ:
2008/7/08 宣伝兼ねたLRV野外留置が裏目に
2006/3/31 LRT建設工事に伴う苦難

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2008年08月16日

【トレーラーバス】北ヘッセンで導入検討中

ピーク時には車両数を調節できるのが鉄道の強みでもありますが,路面
電車の世界でも,ピーク時に付随車のトレーラーを後ろに連結して運転
されることがあります.ウィーンなどが有名ですし,車両が低床化されて
いく黎明期には,モーター不要で設計が容易だったからか,低床化された
トラムのトレーラーも,ドイツなど幾つかの街に登場しています.

トレーラー方式は,切り離しできない連接車では不可能な需要に応じた
輸送量の調整ができ,複数の車両を重連総括制御するよりも車両経費が
安上がりという利点があるものの,連結開放作業や運用の煩雑さという
不便もあります.

実は路線バスの世界でも,連接バスではなくトレーラー方式があります.
日本でもかつて存在したそうですし,今でも観光用のセミトレーラー型
なら走っているとのことです.
欧州に目を向けると,スイスのルツェルンやローザンヌでは,トロリー
バスの後ろに二軸のトレーラーを,ピーク時に連結して今でも運行されて
いるようですが,それ以外の地域では,スキーや荷物運搬用は別として,
旅客用は1960年代に廃れていたのが現状のようです.

それが,近年復活の兆しを見せはじめています.
二車体の連接バスより定員を多くとれることもさることながら,閑散時に
トレーラーを外して燃料を節約できることが,注目されているのです.
特に,ピークとオフの需要差が大きい路線への投入が,見直されてきた
模様です.

ドイツ語では,トレーラーバスはBusanhängerとなりますが,Buszugと
いう言葉も使われます.Zugは列車ではなく隊列の意味なのでしょう.
Buszugは,1960年に旅客営業がドイツでは禁止されたため,最近の復活は
特別な認可を得ているようです.

たとえば,フォルクスワーゲン社のお膝元,ニーダーザクセン州にある
ヴォルフスブルク(Wolfsburg)で,24m級のトレーラーバス2本が運用され
ています.親車体は12.0m,子車体(トレーラー)は11.2m弱の長さがあり,
それぞれ35席と26席の(補助椅子を除く)正座席を持ちます.WVG所有の
連接バスは,全長18mで座席定員は55でした.
WVG: Wolfsburger Verkehrs-GmbH

そのヴォルフスブルクのトレーラーバスを借りて,カッセル近郊でも試験
運行が今月初めヴェラ・マイスナー郡(Werra-Meißner-Kreis)で行われ,
その反応は上々だったと,NVVが発表を出しました.
NVV: Nordhessischen Verkehrsverbund (北ヘッセン交通連合)

NVVの路線バス200系統(Frölich-Reisen運行)の,ヘシッシュ・リヒテナウ
(Hessisch Lichtenau)とエシュヴェーゲ(Eschwege)間で,試験運転は実施
されています.
ヘシッシュ・リヒテナウは,カッセル中心部からのトラム4系統の終点が
ある地区です.二日間の試験運行中に,学生を中心に800人ほど輸送し,
良好な感触を得られたため,今後も本格投入の検討が続けられます.
NVVのプレスによれば,切り離し作業は二分程度のようですし,100キロの
走行につき燃料消費量を10リットル少なくできるとありました.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
旅客向け案内: Gute Erfahrungen mit dem "Bus-Zug"
15.08.2008 Testbetrieb des Buszuges im Werra-Meißner-Kreis
erfolgreich – Positive Rückmeldung aller Beteiligten

(NVV 公式サイト プレスへのリンク)
上段のリンク先には連結部の画像が載っています.

今回の試験運行に先立って簡単な記事が出ていました.
05.08.2008 Mit Anhänger Hessen testet neuen Superbus
(Express.de ニュースへのリンク)

Wolfsburger Verkehrs-GmbH 保有車両リスト: Fahrzeuge
(WVG 公式サイトへのリンク)

ドイツ国内のトレーラーバスの現状をまとめたバスマガジンのページ:
06.07.2008 Magazin: Einsatzübersicht Anhängerzüge
(stadtbus.de - Online-Busmagazin へのリンク)
少数製造のため,トレーラーバスの価格は割高になるものの,連接バス
より長持ちするとあります.

ローザンヌのトロリーバスがトレーラーをつけて走る様子:
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Trolleybus with trailer! by vitalyzator (flickr)
Trolleybus with trailer!
Taken on October 8, 2000

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2008年08月15日

【ミュンヘン】地下鉄でSyntegra台車の試験

ミュンヘンの地下鉄で,ダイレクトドライブ方式の駆動台車を持つ試験
電車が,営業運転を開始したそうです.
電動機と車軸を直結した車軸直接駆動式電動機,いわゆるギアレス方式を
採用した台車を備えた2両1ユニットが営業運用に組み込まれ,各種測定を
継続して行いながら,二年後にも量産車製造を目指すとのことです.

日本でも2003年ごろ,103系の1両をDDM(ダイレクト ドライブモーター)
試験車に改造し,しばらく京葉線で営業運転したことがあり,ACトレイン
(E993系)とともに,その後のE331系量産先行車につなげましたが,それと
同じような感じなのかもしれません.

ミュンヘンの地下鉄(U-Bahn)には,現在大きく分けて三つの車種があり
ますが,改造されたのは,開業十年後にあたる1981年から製造された,
二番目に新しいTyp Bと呼ばれる形式で,さらに細かい分類でB1.4形式に
あたるユニット番号498です.

このユニットは2005年に一度廃車扱いとなるものの,これをシーメンスが
買い取り,同社が2006年のInnoTrans 2006(国際鉄道技術専門見本市)に
出展していたダイレクトドライブ(Direktantrieb)を装着した試験車両に
改造しました.

シーメンスでは,このネオジム磁石を使った車軸直接駆動式モータと電気
ブレーキシステムに,軽量化を図った台車枠を含めた駆動台車丸ごとを,
Syntegraというコンセプト名で開発しています.
このSyntegraでは,出力などが全く同じ条件の従来の地下鉄台車と比べ,
プロトタイプで15%の重量軽減に成功しており,強度を維持しつつ従来の
台車よりも構造を簡素化した量産型では,最終的に重量3割減を達成し,
これによりエネルギー消費量も2割減が図れることを,うたい文句にして
います.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
12.August 2008 Premiere von Siemens-Fahrwerk Syntegra in der
Münchner U-Bahn
(Siemens AG プレスリリースへのリンク)
12.08.08 München: Syntegra-Fahrwerk im Fahrgastbetrieb
(Eurailpress へのリンク)
英語の記事: 13 Aug 2008 Syntegra gearless bogie enters service
(Railway Gazette へのリンク)

英語版: Syntegra - The complete integration of traction, bogie
and braking technology
(Siemens AG 公式サイトへのリンク)
このページから,PDFファイル版の英文資料をダウンロードできますし,
車軸断面図のサムネイルも掲載されています.

ユニット498は,その車体側面にSyntegra台車の画像が描かれているそう
ですが,一般の利用者から見れば,違いはそれだけで,逆に見つけようと
しても,膨大な車両の中に紛れているため,大変そうです.

Fröttmaning駅(U6系統の北部)近くに,ミュンヘン地下鉄の車両基地が
あります.本題とは直接関係ありませんが,その車庫で三世代が揃った
画像がありました.右から数えて二本目と三本目がTyp Bです.
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
U-Bahn Trains by jon|k (flickr)
U-Bahn Trains
Taken on July 22, 2006

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2008年08月14日

【グミュンデン】インスブルック低床車試験

別の街を走る最新鋭の路面電車が,デモンストレーションなどで他の街を
走ることは,最近では大陸を超えて運ばれる例もあるほどで,同じ国内
では珍しくもありませんが,ウィーンで製造されたインスブルック向けの
100%低床車が,グミュンデン(Gmunden)に立寄って試運転を行うことが,
報道されています.春先にファン向けサイトで紹介されていた話ですが,
現地フォルヒドルフ(Vorchdorf)に低床車が到着したこともあり,一般の
メディアでも取り上げられた模様です.

グミュンデンは,リンツと同じオーバーエスターライヒ州の南にあって,
山と湖に恵まれたオーストリア屈指の観光エリア,ザルツカンマーグート
(Salzkammergut)内に位置し,かつてのハプスブルク家の保養地だった
バート・イシュル(Bad Ischl)に次ぐ1万4千人弱が暮らす湖畔の街です.

ご承知のかたも多いでしょうが,グミュンデンには開業百年を優に超える
路線長2.3キロほどの路面電車(Straßenbahn Gmunden)があります.
トラウン湖(Traunsee)の北端に臨むグミュンデンの湖畔地区と,高台に
あるザルツカンマーグート線(Salzkammergutbahn)の鉄道駅の間を結ぶ,
急勾配もある風光明媚な路線です.

それにもう一つ,湖畔には同じメーターゲージで,直訳するとトラウン湖
鉄道となる,通称Traunseebahn(Lokalbahn Gmunden–Vorchdorf)という
15キロほどの狭軌鉄道も来ています.この鉄道はグミュンデンとフォルヒ
ドルフ(Vorchdorf)を結び,フォルヒドルフで別の標準軌ローカル鉄道
(Vorchdorferbahn)に乗換えると,オーストリアの幹線鉄道(Westbahn)が
走るリンツの南西約40キロほどのランバッハ(Lambach)へ抜けられます.

前置きが長くなりましたが,インスブルックに向かうボンバルディア製の
100%低床車Flexity-Outlook(全長27.6m,車体幅2.4m,重量38t)の1本
(305号車)が,このグミュンデンの二つの鉄道で試験走行を行います.

昨日の記事と7月のPro Gmundner Straßenbahnという協会の情報とでは,
その期間にかなり食い違いがあります.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
13.08.08 Testfahrten mit dem "Flexity-Outlook" auf Traunsee-Bahn
(OÖ Rundschau ニュースへのリンク)
2. Juli 2008 Probebetrieb einer neuen Niederflur-Strassenbahn in
Gmunden
(Pro Gmundner Straßenbahn へのリンク)

試運転は最初Traunseebahnで行われ,一応後から出ているOÖ Rundschauの
記事に基づくと,8/28から9/04までの一週間に,最高速度70キロの性能
試験が行われます.これは,インスブルック市内線では,そこまで速度を
出せないからです.
その際に昨日の記事によれば,旅客は乗せず乗客に相当する重量として,
代わりに砂袋が搭載されるそうです.これがPro Gmundner Straßenbahnの
情報では,それまでに試運転を終え,8/27からTraunseebahnで営業運転を
行うように読めます.

その後,記事によればFlexity-Outlookは9/10に路面電車軌道の方に移動
して,試運転が続けられますが,今度は路面電車の代わりにという文が
ありますので,旅客営業を行いそうです.
一方,協会の情報では移動は9/05で,許認可が得られれば9/12から10/01
まで旅客営業の予定とありました.最終的に,10/02にインスブルックに
向けてグミュンデンを出発するようです.

フォルヒドルフ到着時の様子を紹介する画像: Die Tram (kommt) ist da!
(das forum über innsbrucks straßenbahn へのリンク)

グミュンデン周辺の鉄道路線図: Strecke der Gmundner Straßenbahn
(Stern & Hafferl Verkehrsgesellschaft 公式サイトへのリンク)

TraunseebahnとStraßenbahn Gmundenの二路線が試運転に応じたのは,
合同でFlexity-Outlookを購入することを検討しているからだそうです.

グミュンデンの軌道線(Straßenbahn Gmunden)の方では,ノルトハウゼン
(ドイツ)向けのコンビーノ(Combino)も,2003年に試運転を行ったことが
あるそうです.

関連ログ: 2008/3/27 【インスブルック】低床車第一号営業運行へ

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2008年08月13日

【リンツ】新線は2009年3月の着工に

リンツ南西の郊外にあるレオンディンク(Leonding)市へ向けた,トラム
新路線の建設に要する認可が全て下り,2009年3月にも着工の運びとなる
ことが,リンツ市のLINZ AGから発表されました.
遅れた理由はわかりませんが,2006年の時点では2007年にも着工している
はずでした.今回の発表によれば,第一期区間の5.3キロは,2011年秋の
開通予定となります.

リンツ中央駅の地下から南西にHarter Plateauへ至る5.3キロの路線を,
10分で結ぶ高速運転は,その間に終点を含めて7つしか停留所を設けない
ことで,もたらされる模様です.通勤などでの自動車利用から路面電車へ
移行してもらうためには,魅力的な速さが求められているようです.
ドイツ語圏ではあまり見かけない,Express-Straßenbahnと記した記事も
ありました.最高時速は70キロとあります.

5.3キロのうち1.3キロは地下走行ですが,2004年に完成しているリンツ
中央駅前トラム停留所の地下化に際しては,1.9キロの地下区間の南側に
今回建設される路線への分岐準備工事を施していました.
この新路線には,現在中央駅発着のトラム3系統が延長の形で乗り入れる
ことになり,100%低床車Flexity Outlook Cシリーズ(Cityrunner)も,
14本追加されます.

その購入費を含めて,2005年時点で総費用は1億5千万ユーロ.
これを,オーバーエーステライヒ(Oberösterreich)州が8割,トラムが
伸びる先のレオンディンク市が2割を負担することになり,並行する道路
(B-139)の混雑緩和が期待されます.
また,いずれは(2015年頃?),同じリンツ=ラント郡(Bezirk Linz-Land)の
トラウン(Traun)市への延長も考えられています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
12. August 2008 Neue Straßenbahnlinie zum Harter Plateau
(LINZ AG 公式サイト PRESSEKONFERENZへのリンク)
公式発表を元に記事も出ています.
13.08.2008 Straßenbahn fährt ab 2011 bis Leonding
12.08.2008 Startschuss für verlängerte Linzer Bim
(OÖNachrichten ニュースへのリンク)
13. August 2008 2009 Baubeginn für Linie 3 zum Harter Plateau
in Leonding
(Neues Volksblatt ニュースへのリンク)

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2008年08月12日

【リスボン近郊】カシリャスへMST試運転開始

リスボンとテージョ(タホ)川(Rio Tejo / El Tajo / Tagus)をはさんだ
南岸のアルマーダ市(Almada)北東部にも,ライトレール規格のメトロこと
Metro Sul do Tejo(MST)が,いよいよやって来ます.

MSTの全計画27,65 kmのうち,第一期計画では11キロが建設され,2007年
5月の開業以来,これまでに約8キロが開業,あとはアルマダ市内北東部に
3キロ弱を残すのみとなっていました.(距離はGoogle Earthによる計測)

現時点で未開通なのは,Cova da Piedadeで開通済みの路線から分岐し,
テージョ(タホ)川を渡るフェリーが発着し,路線バスのターミナルもある
カシーリャス(Cacilhas)に至る,全線道路上を走る区間です.

昨年12月の大学への延長時には,その区間も今年11月末には開通すると
されていましたが,運行会社MTSの発表によれば,8/04には,その区間の
架線にも通電されて,8/11には初の試運転電車が走ったそうです.
MTS: Metro Transportes do Sul

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
2008-08-11 Comboios em teste
2008-07-31 Electrificação da Catenária
(MTS 公式サイトへのリンク)

これを報じる記事もありました.
11 Agosto 2008 Metro faz testes para a nova linha
(Jornal de Notícias ニュースへのリンク)
MTSからの発表は見つかっていませんが,この記事によれば,11/27前後が
予定日のようです.

系統図: Rede,路線図: Localização
分岐付近での工事中の様子(2008年7月): Bento Gonçalves
カシーリャスでの工事中の様子(2008年7月): Cacilhas
(MTS 公式サイトへのリンク)
Localizaçãoは,最初にポルトガルの白地図が表示され,ワンクリックで
リスボン近郊に絞り込まれ,2回目のクリックで路線が表示されます.

工事中のジル・ヴィセンテ広場(Praça Gil Vicente)
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
praça by Isa Costa (flickr)
praça
Taken on June 15, 2007

工事前のジル・ヴィセンテ(Praça Gil Vicente)
Praxes by Isa Costa (flickr)
Praxes
Taken on September 27, 2003

2007年5月,セイシャル市(Seixal)コッロイオス(Corroios)からコヴァ・
ダ・ピエダーデ(Cova da Piedade)まで最初の区間が開業した当時は,
利用者の少なさが目立ちましたが,それも同年12月に大学(Universidade)
まで延長された後は順調に人数が増えているそうで,上記記事によれば,
今は一日8千人の利用があるそうです.

関連ログ:
2007/12/27 【リスボン】メトロ路線延長の話題二件
2007/9/15 【リスボン近郊】利用不振と12/15延伸予定
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2008年08月10日

【ボストン】乗車券システムへの脅威

昨日のロンドンのオイスターカードの話題の中で,オランダの裁判所が
カードに使われているチップの暗号解読の公開を認めたというくだりが
ありましたが,これに関連する話題が出ています.

ボストンで公共交通機関を運営するMBTAが導入している,CharlieCardと
呼ばれる非接触ICカードなどの電子乗車券システムに侵入する手口を,
ラスベガスで開催されているDEFCON,ハッカーたちのコンベンションの
場で発表しようとしていたマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生らが,
MBTAの申し立てで,連邦裁判所のマサチューセッツ合衆国地方裁判所から
禁止命令を受けたというものです.
MBTA: Massachusetts Bay Transportation Authority

これにより,ひとまずコンベンションでの発表は見送られる模様ですが,
事前に配布された資料(CD)に断片的な情報が載っていることや,裁判所に
提出されたものなど,流出を完全に食い止めるのは困難なようです.

また,こうした研究者らを使ってシステムの脆弱性を特定したり,対処
することをせず,裁判所を動員して抑えこもうとしたことが,逆にMBTAの
システムを脅かす研究を扇動しかねないという指摘もあります.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
August 9, 2008 Judge orders halt to Defcon speech on subway card
hacking
(CNET News ニュースへのリンク)
August 9, 2008 Court halts subway hacker talk
(Computerworld ニュースへのリンク)
August 9th, 2008 MIT Students Gagged by Federal Court Judge
(Electronic Frontier Foundation プレスルームへのリンク)
EFF: Electronic Frontier Foundation

学生らを弁護するEFF(電子フロンティア財団)は,連邦地方裁を上訴する
構えをみせているという記事もあります.
August 9, 2008 EFF to appeal court order halting subway hacker talk
(Computerworld ニュースへのリンク)

ボストンのケースでは,非接触ICカードだけではなく,磁気式のものも
改ざん対象に含まれているようですが,非接触ICカードに使われている
通信規格には,代表的な二つがあるそうです.
一つは欧米などで広く採用されているMIFARE(マイフェア),
もう一つがアジアを中心として普及しているFeliCa(フェリカ)です.
日本では,MIFARE(マイフェア)がICテレホンカードやタバコのtaspoに
使われているものの,Suicaに代表されるように,後者が圧倒的です.

その暗号化技術に脆弱性があるのではということは,FeliCaでも話題に
なっていますが,フィリップスから独立したNXPセミコンダクターズの
MIFARE陣営でも,今年3月オランダの大学研究グループがMIFARE Classic
カードのセキュリティ問題を指摘し,それを10月に公開しようとします.
これを阻止しようとしたNXP側が裁判所に訴えでたものの,7月には却下
されてしまったというのが,冒頭のオランダでの話です.

MIFARE Classicカードは,ロンドンのオイスターカードだけでなく欧米を
中心に,約10億枚が流通しているものとみられます.問題点の公開は,
それらが使われているシステムで,カード情報の複製や書き換えが可能に
なってしまう恐れが大きくなるということです.

ボストンに話を戻しますが,全米第五位の一日140万人が利用している
MBTAでは,非接触ICカード乗車券CharlieCard利用者は全体の68%で,
平日一日平均47万5千ドル分が使われているそうです.

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2008年08月09日

【ロンドン】オイスターカード2010年で終了?!

2003年に一般の使用が開始された,ロンドン市内の公共交通機関で使える
非接触式ICカードのオイスター(Oyster)は,一千万枚以上のカードが発行
され,600万枚以上のカードが常時使用中で,週3800万回もの市内移動に
利用されるほどに成長しましたが,ロンドンがホストを務める次の四年に
一度のスポーツの祭典を目前に控えた2011年には,別のシステムにとって
変わられているかもしれないことが,明らかになりました.
ロンドン市長が,2015年までの契約を,途中解約したのです.

Transport for London(TfL)は,1998年にPFIにより民間企業体TranSysと
Oysterカードを含む,PRESTIGEと呼ばれる契約を交わしていました.
TranSysとは,Electronic Data Systems (EDS),公共交通の券売機や自動
改札機などでお馴染みのCubic Transportation Systems (CTS),それに
Fujitsu Services Limitedや,WS Atkinsから構成されていて,TfLの運賃
収受システムの開発から機器設置に保守運用までを,TfLに成り代わって
担っていました.TfLは,これに年間1億ポンドを支払っています.

契約から十年,途中解約が可能な年数に達しているため,TfLには契約の
解除に伴う違約金は科せられません.しかし,解除までには二年の猶予が
必要と定められているため,2010年まではTranSysのオイスターカードが
このまま使われ続けるとのことです.

Oysterというブランドも,TranSysに帰属することが決まっているため,
2011年以降の新しいシステムは,別の名称を持つことになるようです.

TfLが,Oysterの名前を捨ててまでTranSysとの契約を打ち切ったのは,
もっと費用効率の高い方法を目指すからと説明されています.
今年7月には,二度にわたってシステムの不具合が生じてカードが一時
使用不能となり,地下鉄の改札口を開放したり,システムにより無効化
されたカードの処理などに追われるという事態がありました.
また,オランダの裁判所が,オイスターカードにも使われているチップの
暗号解読の詳細公開を認めたことなども懸念材料かと思われましたが,
TfLは今回の決定とこれらの影響は否定しています.
両者の契約更新交渉は,この一年間続けられていたそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
08 August 2008 Transport for London to terminate £100m a year
Oyster contract
(Transport for London ニュースセンターへのリンク)
2008-08-08 Transport for London invoke break clause in Oyster
contract
(TranSys プレスリリースへのリンク)
以上が両者の公式発表です.TranSysの声明には,契約を交わした1998年
からの十年間で,TfLは劇的に変わったとあります.

ほとんど公式発表で言い尽くされていますが,代表的な記事:
2008/08/08 Oyster £100m deal will end early
(BBC NEWS ニュースへのリンク)
08 Aug 2008 TfL terminates Oyster contract
(ZDNet UK ニュースへのリンク)
このZDNetのニュースは,より判りやすく解説されていました.

Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Oyster cards broken again by Martin Deutsch (flickr)
Oyster cards broken again
Taken on July 25, 2008

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2008年08月08日

【ソルトレイクシティ】自動車登録料も充当

ソルトレークシティ(Salt Lake City)圏の,Frontlines 2015と呼ばれる
鉄道路線網拡張計画には,4路線のライトレールと,1路線のコミューター
レールが含まれています.
その4路線のライトレールの中には,Airport TRAX Lineという,文字通り
既存のライトレールTRAX路線をソルトレイクシティ国際空港を結びつける
約5マイル少々の路線があります.

総工費3億5千万ドルと見積もられているAirport TRAX Lineの財源は,
他の3路線と同様,ほとんどが売上税の増税などで確保される見込みの
ものの,最後の空港敷地内の1マイルほどの建設資金が工面できずに,
宙に浮いている状態でした.

その不足分3500万ドルは,ソルトレイクシティ市が負担することになり,
当初は空港施設利用料をあてることが期待されるものの,同空港をハブの
一つとして利用するデルタ航空(Delta Air Lines)などが反対し,今年2月
その道が断たれてしまいます.

空港ごとに定められている空港施設利用料は,その名の通り空港の関連
施設への投資のため,航空運賃に上乗せされて航空機利用客から自動的に
徴収されるものです.それを基に建設されたライトレールには,2001年
9月開業のポートランド・レッドラインや,ニューヨークJFK空港の無人
自動運転のAirTrain(2003年12月運転開始)などが有名です.

残念ながらソルトレイクシティは,その仲間に加わることができず,市と
UTAは,別の財源で3500万ドルを調達することにしました.白羽の矢が
立ったのが,自動車登録料だったというわけです.
UTA: Utah Transit Authority

自動車登録料$10のうち,$2をライトレールTRAX空港線の建設費に充当
することが,このほど登録料を管理しているソルトレイク郡の議会により
承認されました.
自動車登録料は,その利用用途が本来は道路関連に限定され,鉄道建設費
には直接充当することが出来ないため,書面上は一旦ソルトレイクシティ
市に収められ,そこからUTAに資金が回るという間接的な形になります.

仮に郡が車両登録料の流用を拒否していたら,市はUTAとの長期契約で
窮地に陥っていたところでした.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
08/06/2008 County signs off on funding for airport TRAX line
(The Salt Lake Tribune ニュースへのリンク)
Aug. 6, 2008 S.L. Council backs funds for TRAX line
(Deseret News ニュースへのリンク)

関連ログ: 2008/5/16 STSにLRV大量発注

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2008年08月06日

【Muni】Fライン好調持続ゆえの悩み

月曜8/04の夕刻,サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフへ向かう
MuniのFライン(F Market & Wharves line)で,路面電車同士の追突事故が
ありました.14名のけが人が報告されていますが,いずれも軽傷とのこと
です.車両の損傷程度は不明なものの,ただでさえ不足している車両が,
これ以上減らないことが望まれています.

というのも,奇しくも直前に,Fラインが成功しすぎて需要を賄いきれて
いないという記事が出ていたのです.問題は,混雑が激しいのに車両不足
から増発で対応できないことです.どんなにぎゅう詰めでも乗れればいい
ほうで,停留所によっては,満員通過もあります.

増備がままならないのは,Muniの慢性的な予算不足の面もありますが,
F系統は走る博物館とも異名をとるように,文化遺産的な価値のある昔の
路面電車車両を集めてきて走らせている路線です.
現在10両から14両を改造中とはいえ,2009年夏までは運用に入れないとの
ことで,しばらくこの状態が続きそうです.

実はこの問題,四年前の2004年8月にも似たような記事が出ていました.
2004年には一日2万人だった利用者数は,2008年の記事では同2万1千人に
増え,5500万ドルをかけ1995年に開業した時点で置き換えられたトロリー
バスの二倍を輸送するに至っています.
また,サンフランシスコ名物のケーブルカーの3路線を全部足しても,
Fラインの利用者数のほうが多いとされました.

それほどまでに人が乗っているのは,マーケット・ストリート(Market
Street)からフィッシャーマンズワーフまでという,サンフランシスコの
主要ポイントをカバーしているという沿線立地の良さもさることながら,
郷愁を感じさせる車両による効果も大きいようです.

他の街でも,ノスタルジアで公共交通の利用を促すことができるのか,
サンフランシスコに答えを求めて,同様の計画を議論する契約をMuniの
上部組織MTAと結ぶ街も出てきているそうです.最近,ヒューストンも
これに加わったと,2008年の記事では触れていました.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
August 5, 2008 S.F. streetcars too popular for their own good
August 13, 2004 Nonstop rush hour on F line
(San Francisco Chronicle ニュースへのリンク)
8/04に発生した追突事故の記事は,2008年の記事にリンクがあります.


関連ログ: 2008/5/14 E系統向け車両リハビリ予算つく

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2008年08月05日

【公共交通】燃料高騰は間接的にも悪影響

燃料価格の高騰は,米国内の公共交通機関の運営に,悪影響を直接及ぼす
だけでなく,間接的にも悪影響を及ぼしているという記事が,週明けの
全米各地のメディアで一斉に紹介されました.
これまでにも同様の趣旨の記事は,各地で散発的に見かけていましたが,
今回のAP通信の記事ほど広く行き渡ったものは,初めてかもしれません.

直接の悪影響は,言うまでもなくディーゼル燃料の価格が跳ね上がって
いることからくる,路線バスなどを中心とした運行経費の増大です.

間接的な悪影響とは,ガソリン代があまりにも以前と比べて高くなり,
自動車の移動を控えるだけでなく,その分を他で節約しようとして購買
意欲が落ち,地方ごとに課している売上税からの税収が減少していること
です.運賃収入だけでは経費を賄えない米国の公共交通機関では,売上税
からの税収は大きな収入源で,その減少は深刻です.

これまでにも見てきたように,ガソリン代高騰で公共交通機関の利用者は
急増しています.運行事業者は,本来なら増便でこれに対応するところ
ですが,運行経費が膨れ上がっている上に収入が減っているため,逆に
減便などのサービス削減を実施したり,各地で運賃値上げを行っている
というのが,現状でした.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
08/04/2008 In US, gas prices mean more riders, fewer buses
Associated Pressの記事 (The Denver Post ニュースへのリンク)
この記事は,経費増大と収入減で,止む無く計画している路線バス網再編
により,通勤の足を奪われようとしているデンバー近郊のある地区の話に
端を発し,米国各地の例を紹介しています.

その記事の中で出てくるAPTAの調査内容は,下記にあります.
May 27, 2008 Impact of Rising Fuel Costs on Transit Services
-- Survey Results
(APTA へのリンク)
APTA: American Public Transportation Association

この資料によれば,ライトレールなど鉄道の運行に欠かせない電気料金
も,やはり高騰しています.この四年間で18.9%の上昇が見られました.
ディーゼル燃料は,同時期に166%上がっています.
これに対して運賃値上げを行った事業者は,路線バス関係で48%,鉄道
関係では69%に及んでいました.

サンディエゴでの公共交通利用者数の推移は,下記記事にバスとトロリー
(ライトレール)ごとのグラフが掲載されています.
July 11, 2008 Pump prices fuel drivers' hunt for transportation
alternatives
(The San Diego Union-Tribune ニュースへのリンク)

売上税からの収入が,どれだけ落ちているのかを示す資料は,なかなか
見つかりませんが,シアトルのあるキング郡で路線バスを中心に運行して
いる運行事業者(King County Metro)が売上税から得る金額は,2008年の
残り期間だけでも900万ドル分減り,2009年には3500万ドル分減少すると
見積もられたという記事が,最近出ていました.

August 1, 2008 Metro drops rate rise request, but that's not good
(Seattle Post Intelligencer ニュースへのリンク)
この記事では,売上税が減っていることで,10月予定の運賃値上げでは
25セントとされている値上げ幅を大幅に増やすか,サービス削減が必要
という状況が伝えられています.

値上げの理由を説明するキング郡の文書によれば,King County Metroの
二大収入源である売上税と運賃から得られる2008年の金額は,売上税から
3億4800万ドル,運賃からは8750万ドルと考えられていた模様です.

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2008年08月03日

【ニューヨーク】地下鉄で無座席車を導入か

ピーク時には全座席が格納され座席が全くない状態になる電車が,この先
半年後を目途にニューヨークの地下鉄でもお目見えします.

東京では6扉車としてお馴染みの折り畳み式の椅子だけの車両は,山手線
では混雑緩和が見えてきたことや,ホームドア設置の関係から,近い将来
固定座席の車両に置き換えられることが,今年6月発表されていました.

ニューヨークでは,東京と同様の折り畳み式椅子だけの車両を,当面は
10両編成の地下鉄一編成に4両組み込んで試験を行う計画があることが,
明らかにされました.その試験編成は,5か月後から7か月後にNew York
City Transit Authorityの手に渡ることになっています.
運用方法は東京と同じで,ラッシュ時には格納されて使えない座席は,
その時間帯を過ぎれば開放されて使用可能になります.

座席なしの状態で,収容人数を18%増やせられると考えられています.
ニューヨークの地下鉄では,信号システムの都合からこれ以上の増発は
困難なのに,利用者の増加が続く昨今は,無理に乗り込もうとする乗客で
遅れが生じることもあり,今回の折り畳み式座席だけの車両組み込みは,
反対の声はあるものの,利用者から歓迎されそうです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
August 2nd 2008 NYC Transit planning to experiment with seatless
subway cars at rush hour
(NY Daily News ニュースへのリンク)
10両のうち4両に座席なしの車両を組み入れる編成が,どの路線に投入
されるのかや,試験期間はどれくらいになるのかは,まだ明らかにされて
いません.ニューヨークの地下鉄は,通常8両から11両編成で運転されて
いますので,その意味ではどの路線にも可能性があります.


先日発表された,Straphangers Campaignの2007年版データによれば,
地下鉄2系統と6系統の着席率が低く,混雑している路線でした.

追記:
座席を撤去した車両をピーク時に投入する計画は,7月中旬にシカゴ
でも発表されていました.座席のない車両は8両編成中に2両で,今秋
からブラウン・ラインへの投入が考えられている模様です.
July 17, 2008 CTA to experiment with seatless rail cars
(Chicago Tribune ニュースへのリンク)

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2008年08月02日

【ストックホルム】新トラムBOMの入札受付

1967年に全廃されたストックホルムの市電は,1991年に一部区間が文化
遺産的な路線としての運転が再開され,ほどなく中央駅への延伸を求める
声も挙がっていたそうですが,当時は関心も薄く話は立ち消えとなって
いました.2000年になって,ストックホルム郊外に部分低床車を使った
ライトレール(Tvärbanan)が開業するに至り,路面電車(7系統)を近代化
して中心部に延長する計画は再び浮上し,間もなく本格化します.

2005年に路面電車ユールゴーデン線(Djurgårdslinjen)の運営を任された
SL(Storstockholms Lokaltrafik)は,市内に広がっていくトラム新路線を
建設し,開業後の運営と保守も行う企業体の入札募集を開始します.

新路線は,現在のトラム7系統(ユールゴーデン線)のNorrmalmstorgから
ストックホルム中央駅(Stockholms Central)までだけではなく,少し前に
伝えられているように,中央駅の西側に広がる新市街のクングスホルメン
(Kungsholmen)まで到達する路線と,もう一つは第二期として現路線の
東側に展開し,これまで地下鉄(Tunnelbanan)路線網がカバーしてない
地域を,地下鉄T13系統のRopsten駅まで走る路線で構成されます.

ストックホルム中央駅に近い,街の中心セルゲル広場(Sergels Torg)を
トラムが通行するに際して,拡張?(補強?)や強化?工事などが行われる
ことになるそうです.
ストックホルム市や,県議会,それにSLは,路線バスより輸送力の高い
トラムが,市内の混雑を緩和するものとして期待を寄せていました.

車両は25本必要とされ,車庫は暫定的に現在のものを使用し,2011年の
後半の開業が目標です.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
2008-08-01 Stockholm öppnar för spårvagn i innerstaden
(Ny Teknik ニュースへのリンク)

この記事によれば,車両メーカーとしてアルストムが関心を寄せている
と伝えると共に,ボンバルディアとシーメンスの名前も挙げています.
なお,受注企業名は,2009年4月末までは公開されないそうです.

関連ログ: 2008/6/04 トラムを中央駅の西にも?

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2008年08月01日

【ポートランド】MAXの2駅で改札試験導入へ

先日,これまでは運賃支払いを自己申告制(honor system)として,支払い
証明となる有効な切符を事前に購入してもらうという,利用者の信用に
任せるProof-of-payment(POP)とも呼ばれる 運賃支払の自主管理制度を
導入して,ホームへの出入りに改札口などの恒常的なゲートを設けていな
かったロサンゼルスの地下鉄が,2009年9月から順次全駅に改札を設置
する方針に転換したという話がありました.
関連ログ: 2008/7/16 【ロサンゼルス】改札機第一号2009年9月にも

運賃を正当に支払わない利用者が増えていることが背景にありますが,
これはL.A.に限った話ではなく,ガソリン価格高騰で公共交通の乗客が
増える一方で,燃料価格高騰は路線バスの運行経費を押し上げ,運賃の
値上げを余儀なくされているという環境の下で,無賃乗車は米国各地で
問題になっています.

そうした中で今度はポートランドのTriMetが,ライトレールMAXの駅に
フェンスを設置して,出入口に係員を配置する試験を行う計画を進めて
いることが,明らかにされました.かねてから案は出ていた模様ですが,
ここまで具体的な話は,初めてと思われます.

まだ正式なものではありませんが,今回の報道が紹介しているものは,
本来なら有効な切符類(Proof-of-payment)を持つ乗客だけが入れるホーム
など,fare-paid zonesと呼ばれる区画を,間口1mほどの出入口を除いて
周囲を柵で囲い,切符の販売機をその外側に移設するというものです.
出入口では当局の係員が,一日10時間から12時間待機して,柵の中に入る
人が切符を持っているかどうかの検査を行います.

柵が設置されるのは,ポートランド市内のNortheast 82nd Avenue駅と,
グレシャム市内のGresham Central Transit Center駅(西行きのみ)で,
いずれも今秋からを予定しています.なお,9/01には運賃値上げも予定
されています.

不正乗車に関しては,ポートランドTriMetでも頭を悩ませていますが,
券売機の信頼性(切符を買えない)という問題も絡み,検査員が無賃乗車を
見つけても,警告だけに留めて罰金を科さないケースも多いそうです.
また,有人ゲートとするのは,昨年急増した駅での犯罪への抑止効果も
狙っているようです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 31, 2008 TriMet will check fares at eastside MAX stops
(The Oregonian ニュースへのリンク)

実は,似たような記事が,ブダペストからも報じられています.こちらは
トラム路線の4系統と6系統の全ての停留所に柵?(Kordonokat)を設け,
全ての乗客がトラムの前扉から乗車するようにするそうです.
2008-07-31 Entrance gates proposed for some Budapest trams and buses
(Caboodle ニュースへのリンク)
この記事によれば,ブダペストBKV(Budapesti Közlekedési Zrt)利用者の
うち,30%は切符類を所持しないで利用していると見られています.
トラム4系統と6系統は,コンビーノ・プラス(Combino Plus / Combino
Supra)を最初に導入した路線です.

話はポートランドに戻りますが,スチールブリッジ(Steel Bridge)の通行
止めから,かれこれ二ヶ月近くが経ちますが,8/02からはライトレール
MAXも,8/24まで橋の前後で運転打ち切りとなります.

MAX Service Interruption for Steel Bridge Construction
August 2-24, 2008
(TriMet 公式サイトへのリンク)
July 28, 2008 MAX service interruption on the Steel Bridge for
construction in August
(TriMet ニュースリリースへのリンク)
現在これらのページでは,代替手段が紹介されています.シャトルバスが
運転されますが,時間的には徒歩でも変わらないようです.
ウィラメット川東岸のRose Quarter駅と西岸のOld Town/Chinatown駅の
間は,橋の下段は通れるため,15分で歩けるそうです.自転車なら7分と
なっていました.シャトルバスは,一つ上流のBurnside Bridgeへ迂回
するため,時間がかかるということらしいです.

また,スチールブリッジ区間運休中,レッドライン東側とイエローライン
北側の運転が統合され,空港とExpo Center間がスルー運転になります.

関連過去ログ: 2008/6/01 スチールブリッジ通行止め

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
posted by NeiTech at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 米国北西部 II このエントリーを含むはてなブックマーク
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