2009年07月05日

【リンツ】南北トラム地下新線計画が進展

このところ立て続けに低床車の受注が続くボンバルディアから,今度は
リンツ(LINZ LINIEN GmbH)より23本のFLEXITY Outlook(Cityrunners)の
注文を受けたとの発表がありましたが,そのリンツでは,かねてより懸案
だった市内地下線計画が進展していることを示す発表が出ています.

リンツの市内サービスを統括する市営の会社LINZ AGの監事会は,この度
ミュールクライス鉄道(Mühlkreisbahn)をリンツ中央駅に乗り入れさせる
RegioLiner計画と,第二の市内トラム路線計画を,リンツで市電などを
運行するLinz Linienに委任しています.調査費用? として2百万ユーロの
予算も計上されました.

ミュールクライス鉄道をリンツ中央駅まで乗入れさせるためには,市内を
南北に縦貫する第二のトラム路線構築が必要不可欠です.
今も中央駅と,ミュールクライス鉄道の発着する街外れのウアファール駅
(Bahnhof Linz Urfahr)を結ぶトラム路線がありますが,既に一日10万人
以上の利用者があるそうで,いずれ飽和状態になるとみられています.

そこで考えられたのが,現在のトラム路線の東側にルートをとり,ほぼ
全線を地下走行する新線計画です.南北の流動を補うだけでなく,市の
東側には開発の見込まれる地域もあり,その交通手段にもなるわけです.
そして第二段階として,ミュールクライス鉄道を中央駅まで導く役目も
果たすことになります.

今後数か月をかけて,南北地下新線の詳細ルートや駅の位置などの検討が
重ねられることになる模様です.

公式発表にはPDFファイル版の地図へのリンクもあります.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
03.07.2009 Aufsichtsrat beauftragt LINZ AG LINIEN mit Studie
(LINZ AG 公式サイトへのリンク)
発表前夜にも報道がありました.
03. Juli 2009 Linz AG beschließt Budget für U-Bahn
(OÖNachrichten Zeitung ニュースへのリンク)
02. Juli 2009 Startschuss für Linzer U-Bahn fällt
(oe24 ニュースへのリンク)

ミュールクライス鉄道の中央駅乗入れに際しては,今の形態のまま乗入れ
するCity-S-Bahnという構想もありましたが,そちらは沿線人口8800人と
1万7千人分の職場を結ぶだけなのに対し,南北地下新線経由のRegioLiner
なら,沿線人口2万人と2万6千800人分の仕事場を結ぶことになるという
分析があるそうです.

冒頭でお伝えしたボンバルディアの発表:
July 3, 2009 Bombardier to Supply 23 FLEXITY Outlook Trams to Linz
(Bombardier 公式サイトへのリンク)

リンツにはFLEXITY Outlook(通称Cityrunners)が33本在籍しています.
今回の追加でペストリングベルク鉄道用の2本を除く本線向けだけで56本
体制になるようです.納入は2011年からとのことでした.

【リンツ】関連ログ: 2008/8/31 ミュールクライス線トラム化? ほか

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2009年07月04日

【Alstom】パリT3で架線レス電車の実証実験へ

アルストム(Alstom Transport)とパリのRATPが発表したところによれば,
新技術を搭載した100%低床車シタディス(Citadis)の1本が,パリのトラム
路線T3で,今後一年間の営業運転に入ります.

その新技術とは,架線からの給電なしでも走行可能な,STEEMと呼ばれる
路面電車のエネルギー利用の効率化を図るシステムです.
STEEM: Système de Tramway à Efficacité Energétique Maximisée

アルストムは,近代的な地表集電(APS)方式をいち早く実用化し,架線を
張らず路線を建設しても電車を走らせられる技術を既に持っていますし,
バッテリーで走ることが出来るトラムでも先駆者的な存在です.しかし,
他社は後発の強みもあってか,近年急激に普及してきた高効率で軽量な
蓄電システムを採用しており,費用が嵩み気味で気象状況にも左右され
やすい地表集電よりも,効率のよいキャパシタなどによる架線レス化の
分野でも,遅れをとらないようにする構えのようです.

具体的には,シタディスの屋根の上に15キロのキャパシタを48基搭載し,
停留所ではパンタグラフを上げて急速充電を行い,停留所間ではパンタを
下げて走れることを,営業運転を行いながら実証しようとしています.
このキャパシタはブレーキによる発電も吸収するため,30%のエネルギー
節約になるとも言われています.

パリのトラムT3号線(Pont du GariglianoとPorte d'Ivry間)で実験が行わ
れるSTEEMは,フランス環境エネルギー省(ADEME)が出資する,地上交通に
関した技術革新の実験研究プログラム(PREDIT)の一環だそうです.
ADEME: Agence de l'environnement et de la maîtrise de l'énergie
PREDIT: Programme de Recherche et d'Innovation dans les Transports Terrestres

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
01/07/2009 La RATP et Alstom expérimentent le projet STEEM,
pour un tramway encore plus économe et autonome

(PDFファイル) (RATP 公式サイトへのリンク)
RATP: Régie Autonome des Transports Parisiens

AFPの記事を載せたニュースサイト:
03/07/2009 Ile-de-France. Expérimentation d'un système d'économie
d'énergie sur le tram parisien

(La Gazette des communes ニュースへのリンク)
03 juillet 2009 Expérimentation d'un système d'économie d'énergie
sur le tram parisien
(Romandie News ニュースへのリンク)
ほとんどRATPのコミュニケと同じ内容ですが,専門色の強いサイトには
いち早く情報が載っていました.
02/07/2009 La RATP et Alstom expérimentent un nouveau système de
tramway économe en énergie
(Actu-Environnement ニュースへのリンク)

STEEMが搭載されているのは,今T3に配属されている21本のCitadis 402の
なかの,301号車(n° 301)のようです.

【Alstom】関連ログ: 2009/6/13 新規トラム導入廉価モデル開発へ

これに似たようなことで,リスボン近郊テージョ(タホ)川南岸のメトロ
(MST)でも,シーメンスが次世代の路面電車モデルAvenioに搭載するハイ
ブリットシステムの実験を行っていました.

【Siemens】関連ログ: 2009/5/25 ハイブリッドトラム概要解説記事

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2009年07月03日

【ハンブルク】シュタットバーンは全線架線下?

ハンブルクで復活が計画されているライトレール(Stadtbahn)の,決定
ルートや車両規格などが,このほど明らかにされた模様です.

最初に着工されるのは,ハンブルクの北東部にあたるSteilshoopやブラム
フェルド(Bramfeld)地区と,Uバーン(地下鉄)のU1系統とU3系統の乗換え
駅となっているKellinghusenstraße駅の間の,約7.6キロ区間です.
この間に12の停留所が設けられて,約20分で結ばれることになりますが,
さらに最終的には,Kellinghusenstraße駅から長距離列車も発着している
アルトナ(Altona)駅まで延長される路線計画です.

この1月には懸案となっていた途中ルートも,Kellinghusenstraße駅経由
ということに落ち着いたのでした.
北側ルートのLattenkamp駅経由が見送られた背景には,選ばれた南側の
ルートのほうが若干距離が短いことに加え,利用者数が多いと見込まれる
こと,U1とU3に接続できること,Winterhuder Markt地区やEppendorfer
Landstraßeでの開発が期待出来ることなどにあるようです.

第一期区間で5分間隔の運行を行う場合,予備車を含めて車両は14本が
必要とされていて,その規格は,車両幅2.65mが採用され,全長37mに及ぶ
低床車です.

この度ルートが確定したことで,今後は今夏までに最終素案が確定され,
秋から住民との対話なども予定されています.その後も手続きを経て最終
承認は2011年の秋ごろ,それを受けて着工は2012年春になり,開業予定は
2014年の見通しとなっています.

ハンブルク都市州の都市開発と環境省からの発表とメディアの記事:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
01.07.2009 Erste Stadtbahntrasse führt über Kellinghusenstraße
(Behörde für Stadtentwicklung und Umwelt へのリンク)
1. Juli 2009 Stadtbahn rollt von Altona über Eppendorf nach
Steilshoop
(DIE WELT ニュースへのリンク)

DIE WELTの記事には,ハンブルクのシュタットバーン(Stadtbahn)は,
全線が架線走行になるという文が載っています.
ひと昔前なら,これは当たり前の話でしたが,昨今は架線を張らず電車を
走らせる技術が発達してきて,ドイツでも実用化が目前に迫っています.
それでも,ハンブルクのような気象条件(寒冷地)では,たとえば第三軌条
集電? (Strom führende Schienen)などは脆弱性があるとして,採用が
見送られたとも読めます.

【ハンブルク】ライトレール 関連ログ:
2009/1/09 シュタットバーン初期路線決定
2008/9/21 2014年ライトレール運転か?

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2009年07月02日

【ガルベストン】アイク襲来後のトロリー現状

メキシコ湾沿いのガルベストン市(Galveston)は,2008年9月に襲来した
ハリケーン アイク(Ike)の上陸で,高波による浸水の被害を蒙りました.

1988年から運行を開始していたレトロな趣の路面電車(Galveston Island
Trolley)も例外ではなく,ヴィクトリア朝風の建物で観光客が多く集まる
ストランド地区(The Strand)の軌道や,車庫にいた所有車両の4台全てが
塩分を含む水に漬かってしまいました.今回は,その後の現状を伝える
記事が見つかりましたので,紹介しておきます.

ガルベストン アイランド トロリーの車は,ディーゼル発電機を搭載し,
架線の張られていないガルベストンアイランド内の路線を行き来していた
ものですが,浸水で使い物にならなくなった動力系統や車内設備などの
交換には,一台あたり60万ドルが必要とされています.

車両には一台につき20万ドルの保険が掛かっていますが,残りは連邦緊急
事態管理庁(FEMA)とガルベストン市が,負担を分け合わなければならない
ようです.(一台20万ドルずつ?)
FEMA: Federal Emergency Management Agency

この現状では,いずれは運転を再開することにはなるかもしれませんが,
その時期は全く定かでないということのようです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
July 1, 2009 Trolley repairs waiting on insurance, FEMA funds
(The Galveston County Daily News ニュースへのリンク)

この記事によれば,2007年9月から2008年8月までの輸送実績は22,069人,
運賃収入は$11,213だったそうです.
一方,運行にかかる経費は百万ドルで,ガルベストンアイランド内で路線
バスなども運行しているIsland Transitの予算の四分の一を占めます.

アイク襲来前の時点でも,空気輸送のような有様でしたので,いっそ廃止
してしまえという声も当然上がっていたのですが,導入時に連邦政府から
補助金を受けたため,耐用年数まではそう簡単には廃止できませんし,
ガルベストンの回復を目指す委員会は,今後もトロリーを観光資源として
とらえていく模様です.

【カルベストン】関連ログ: 2008/1/06 トロリー季節運行も視野に

同じくハリケーンによる浸水で多大な被害を蒙ったニューオリンズでも,
その余波は続いています.
独立記念日の三連休が明けた7/06からカナルストリート線(Canal Street
streetcar line)は,当分の間はバスで代行運転されるそうです.これは
カトリーナのもたらした水に漬かった地下埋設のフィーダーケーブルの
交換に伴う措置で,代行期間は八週間に及ぶ予定です.
代行バスは道路中央の軌道上を走らないため,その期間中は歩道から乗降
するようにとの注意も出ていました.

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2009年07月01日

【ベルリン】Flexity Berlin 40m車は40本に

BVGが正式に次期低床車(Flexity Berlin)の99本購入を発表しました.
去る6/29に開かれた監事会(Aufsichtsrat)の決定を受けてのものです.
価格は最大3億0530万ユーロと表現されています.
BVG: Berliner Verkehrsbetriebe

地元メディアによればオプションが33本あり,それを含めて合計132本,
総額3億9760万ユーロにまでなる模様です.

プロトタイプには4つのバリエーションがあります.運転台が片側だけか
両エンドにあるかに加えて,短編成(30.8m)か長編成(40m)です.
長さは輸送力に影響するため,長編成に比べると定員が60名少ない短編成
だけ発注されても困るという声が,より一層の混雑を懸念する利用者団体
から上がっていました.

短編成と長編成では価格差が15万から30万ユーロあるようです.先月も
紹介しているように,BVGは慢性的な予算不足から全てを長編成でという
ような要請には,とても応えられない状況です.

その割合は,先週の時点では半々とみられていたものの,ふたを開けて
みると,メディアが今回報じたところでは,短編成59本,長編成40本の
合計99本になっていて,これがBVGの見解では需要に即している割合との
ことでした.

公式発表と地元メディアの報道:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
30.06.2009 FLEXITY Berlin
(BVG 公式サイトへのリンク)
1.7.2009 300 Millionen für neue Straßenbahnen
(Der Tagesspiegel ニュースへのリンク)
30. Juni 2009 BVG bestellt 99 neue Straßenbahnen
(Berliner Morgenpost ニュースへのリンク)

なお,最初の13本は全て長編製になるようで,投入が予定される系統は,
M2, M4, M5, M6, M8, M10, M13, 50 とされています.いずれも利用者の
多い路線だそうです.

その後も年間21本ずつの投入が予定され,2017年までには237本所属する
旧型車(Tatrafahrzeuge)を全て置換えます.次期低床車(Flexity Berlin)
は,その長短に関わらず1本でタトラ車の2本分に相当しています.

【ベルリン】Flexity Berlin 関連ログ:
2009/6/15 Flexity Berlin 99本発注へ?
2008/9/17 Flexity Berlinは,街中のICE
2008/8/19 Flexity Berlinは10月からM4で?
2008/5/30 9月にFlexity Berlinお披露目へ
2007/4/14 Flexity Berlin 詳細明らかに

余談ですが,ベルリンが本拠のBombardier Transportationの話です.
現時点でボンバルディアのサイトには,今回のBVGからの発表に対応した
情報は特に見つかっていないものの,トロント向け204本の低床車受注が
TTCとの間で最終的な合意に達したとの話が,今は目を引いています.
TTC: Toronto Transit Commission

TTCは,旧型車置換え用の100%低床車の発注先をボンバルディアに決めて
いましたが,カナダ政府が基準に適わないことを理由に,景気対策資金は
回さないと先週になって表明,あてにしていた資金を失ったトロント市は
発注期限を目前に控えていただけに,大騒ぎになりました.
最終的には,購入資金の三分の一を負担するだけだったトロント市が,
オンタリオ州の負担分を除く全体の三分の二を出すことで決着し,TTCは
期限を流したら再々入札を強いられるところでしたが,ボンバルディア
との最終合意に至ることが出来たのでした.

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