2008年07月24日

【シーメンス】欧州の鉄道工場は三か所に

今月初め,ドイツの総合電機会社シーメンスが,経営刷新と世界的な経済
低迷を理由に,各地で人員削減を行うと発表したことは,お聞き及びと
思います.同社の運輸と物流関連のモビリティ部門(Siemens Mobility
Division)でも,これに連動する動きがありました.

先週末に南ドイツ新聞(Süddeutschen Zeitung)が報じていた通り,ドイツ
国内とオーストリアにある合計10の工場閉鎖は回避されますが,各地で
人員整理を計画中です.また,チェコのプラハにある鉄道車両製造工場
は,売却か閉鎖されることになりました.

今後成長が期待される市場では,そこの地元企業の介入を求める声が高く
なっています.先日お披露目された,北京天津間の高速鉄道などが,いい
例なのかもしれません.これに対応するためには,今の体制では生産力が
余剰になるため,組織の再編成が必要になるとのことです.

将来的には,鉄道車両の生産拠点を三か所に絞ることも発表されました.
アルミニウム製車体の車両は,デュッセルドルフに近いノルトライン・
ヴェストファーレン州クレーフェルト(Krefeld)イェルディンゲン地区の
Krefeld-Uerdingen工場(元はDUEWAGの工場),鋼製車両はウィーン工場で
製造され,三つ目のミュンヘン工場は機関車の製造が主になります.

クレーフェルト・イェルディンゲン(Krefeld-Uerdingen)工場では,現在
行われているコンビーノ(Combino)の改修作業が終了した時点で,220名の
人員整理が提案されています.

北米市場を見据えた米国サクラメント工場は,影響を受けないそうです.

シーメンスの正式発表と,業界紙の記事,工場が売却か閉鎖されるチェコ
での報道(チェコ語)を並べました.一般の記事は星の数ほど出ています.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
2008-Jul-23 Siemens Mobility to continue manufacturing in Germany
– Locations are to be retained

(Siemens Mobility Division プレスリリースへのリンク)
23 Jul 2008 Siemens to concentrate production on three sites
(Railway Gazette へのリンク)
24.7.2008 Siemens opustí svůj závod na pražském Zličíně
(Hospodářské noviny ニュースへのリンク)

現在はプラハのズリチーン(Zličín)にある今回売却もしくは閉鎖対象の
工場は,かつては同市スミーホフ(Smíchov)にあり,元を正せばチェコ
スロバキアの国営企業ČKDが,当時の東側諸国向けに,大量のトラムを
製造していた拠点だったそうで,その流れを汲んでいます.
ČKD: Českomoravská Kolben Daněk

ステンレス・スチール製車体のCombino Plusは,今後製造される場合は
ウィーン工場でということになるのかもしれませんが,期待されていた
カナダのトロント(TTC)への売り込みは,結局消滅してしまいました.
TTC: Toronto Transit Commission

余談になりますが,
TTCでは在来車の置換えと新線用の車両として,204本の低床車を発注する
予定です.アルストムは納期を守れそうにないと早々に競争から離脱,
その他の各社も,100%低床車に限定され部分低床は不可になったことや,
25%はカナダ製とする条件が追加されて離脱していき,残ったのは最大手
ボンバルディアとシーメンスだけでした.シーメンスは,Combino Plusの
モックアップをトロントに運んで懸命に売り込みを図りますが,その後は
先月末までの入札期限に,なぜか手続きを行いませんでした.
このシーメンス離脱は正式な説明はされていませんが,一連の組織再編に
目を向けなければならないという現実があったからとみられています.

さらに余談になりますが,
結局TTCの入札に応じたのは二社だけで,ボンバルディアと世界的には
無名の英国に本拠をおくTRAM Power Ltd.という会社でした.この会社は
英国ブラックプールに試作車を納めた実績があるだけで,しかも,その
試作車(Citytram)は,2007年1月に電気系統の不具合で試運転中に炎上
してしまいます.
誰が見てもボンバルディアのFlexity Outlookが受注と思われましたが,
今月中旬TTCは,両者とも不適格の烙印を押します.結局入札は取消で,
これから三週間後までに,ボンバルディアだけでなく,一度は辞退した
アルストムなどとも,TTCは個別に見積り交渉することになっています.

シーメンスの話から更に逸れていきますが,
ボンバルディアのFlexity OutlookがTTCに不適格とされた理由は,TTC
路線網にある急カーブに対応できないからというものでした.
これはTTC側に有利に事が運ぶようにするための戦術ともとれますが,
TTCとしても,のんびり構えているわけにはいかない事情があります.
地元の条例により,バリアフリーに対応していない車両は,2025年以降は
運行できなくなるのです.それまでに低床化を行うなどの措置を迫られて
いるのでした.
TTCの発注先は,今後決まった時点で大々的に報道されることでしょう.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ II このエントリーを含むはてなブックマーク
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