2008年08月31日

【リンツ】ミュールクライス線トラム化? ほか

昨日のグミュンデンと同じオーバーエスターライヒ州で,その州都リンツ
からは,今月多くの記事がありましたが,月末にそれを締めくくるのは,
突然発表された地方鉄道のライトレール化構想です.

連邦交通大臣(厳密にはBMVIT,交通と改革と科学技術の省庁の大臣)を
兼ねるオーストリア社会民主党(SPÖ)の党首と,同党所属の州知事代理,
それにリンツの市長を加えた三人が,リンツを起点に北西へ約58キロの
路線を持つ非電化単線の鉄道を電化し,リンツ中央駅の地下から市電を
延長させる形で直通運転させる構想を発表したのです.
BMVIT: Bundesministerium für Verkehr, Innovation und Technologie
SPÖ: Sozialdemokratische Partei Österreichs

ミュールクライス鉄道(Mühlkreisbahn)は,文字通りリンツとミュール
フィアテル(Mühlviertel)地区を結ぶ鉄道で,現在はオーストリア連邦
鉄道(ÖBB)が運行しています.2005年からは,シーメンス製の部分低床式
軽量ディーゼルカー(Desiro)も投入されました.

ところがこの鉄道,リンツ側のターミナルは幹線の発着するリンツ中央駅
ではなく,街外れのリンツ・ウアファール駅(Bahnhof Linz Urfahr)で,
後で登場する粘着式鉄道では欧州最勾配のペストリングベルク鉄道や,
中央駅への足となる市電も発着していますが,中央駅への直結が長年求め
られていたそうです.実際,市街地を地下で走るCity-S-Bahnと呼ばれる
連絡線構想もありました.

ウアファール駅前から中央駅(Hauptbahnhof)地下に至る市電3系統が,
ほぼ直線で結ばれているのに対し,ミュールクライス鉄道のライトレール
延長構想では,リンツ市街の東側に弧を描くような形で地下を走ります.
途中で総合病院などを経由し,最終的には市電が中央駅地下へ進入する
地下線の南側出入口近くで合流し,中央駅へは南から到達する格好となる
ようです.下記にリンクを張った,OÖNachrichten の記事に地図が載って
います.
時間短縮は,乗換え不要で節約できる10分程度ですが,ライト
レール化により運転頻度を高められる利点があります.

新たに必要となる路線のうち,約5キロは地下線となり,それだけでも
2億7千万ユーロが必要とみられ,ミュールクライス鉄道全線の電化などに
必要な費用が2億2200万ユーロ,増発のため必要な18本の新車購入として
5800万ユーロ,合計5億5千万ユーロが必要になるとみられています.

今の鉄道のままで中央駅まで乗入れるCity-S-Bahn構想より,地下線建設
距離が2キロ長くなり,必要な資金は倍以上に膨れ上がります.そのこと
もあり,発表の翌日には他の政党から,構想は砂上の楼閣で,選挙目当て
ではないかというような非難を一斉に浴びることになりました.実現の
ほどは定かではありません.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
29.08.2008 Straßenbahn von Linz bis Aigen-Schlägl
(ORF.at ニュースへのリンク)
29. August 2008 OÖ: Diskussion um geplanten "Regio-Liner" ins
Mühlviertel
APAの記事 (derStandard.at ニュースへのリンク)
29.08.2008 Fünf Kilometer U-Bahn für Linz: Mühlkreisbahn als
neue Straßenbahn
(OÖNachrichten ニュースへのリンク)

一方,ペストリングベルク鉄道(Pöstlingbergbahn)は,軌間1000mmから
市電のゲージにあわせて900mmへという,異例の改軌工事中で,今年3月
から全面運休中です.改軌と市内乗入れにあわせて,在来車両の改造と
低床車が購入され,予定では2009年3月には市電軌道を通って市内への
乗入が実現するはずでした.

しかし,ボンバルディアに発注している3本の新車完成が遅れ,2009年6月
になるという記事が出ています.
この遅れのため,2009年4月に改造車だけで運休前までの区間の運転を
再開し,その後6月には低床車を加えて市電乗入れという,二段階も検討
されているそうです.
22.08.2008 Pöstlingbergbahn hat Verspätung Neue Wagen fahren erst
im Juni ‘09

(OÖNachrichten ニュースへのリンク)
この記事にもあるように,当初低床車を受注していながら,途中で取消の
憂き目にあったFTDは,今年倒産したそうです.
FTD: Fahrzeugtechnik Dessau AG

ペストリングベルク鉄道関連 過去ログ :
2007/3/20 登山鉄道の低床化と市電乗入れへ
2007/6/25 登山鉄道低床化の製造会社変わる

このほか今月のリンツ市電の話題には,こんなものもありました.
EU加盟国の文化交流も兼ね,年間を通じ欧州規模の芸術行事が開催される
欧州文化首都(Kulturhauptstadt)という持ち回り制度があり,2009年は
リトアニアの首都ビリニュスと,リンツが担当です.

そのKulturhauptstadt 2009にあわせ,リンツ市では市電の終夜運転を,
今後の研究も兼ねて実施することになるというものです.
20.08.2008 Straßenbahn soll 2009 rund um die Uhr fahren
(ORF.at ニュースへのリンク)

リンツ前回の話題: 2008/8/13 新線は2009年3月の着工に

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
posted by NeiTech at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | オーストリア このエントリーを含むはてなブックマーク
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【リンツ】南北トラム地下新線計画が進展
Excerpt: このところ立て続けに低床車の受注が続くボンバルディアから,今度は リンツ(LINZ LINIEN GmbH)より23本のFLEXITY Outlook(Cityrunners)の 注文を受けたとの発表..
Weblog: 海外LRTニュース・ひろい読み
Tracked: 2009-07-05 19:00
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