2006年03月17日

【ミュンヘン】市電路線を巡る百年論争

先週は,季節外れの雪でトラム(路面電車)の運行が数日にわたり乱れた
り,今週は,トレーラーに載っていた建設用クレーンが落下して,走行
中の市電車両を切り裂くという事故があるなど,このところ不運続きの
ミュンヘンですが,昨日は,路面電車路線の百年越しの論争に終止符を
打つかもしれないバイエルン州行政裁判所?(Verwaltungsgerichtshof)
の審理がありました.

百年越しの論争は,ミュンヘン市電を英国庭園の中に通すかどうかです.
ミュンヘンには英国庭園(Englischer Garten)と呼ばれる,都市内では
世界最大級の面積を誇る公園があります.広さではニューヨークのセント
ラルパークを上回るとのこと.衛星写真で見ても,イザール川沿いに広が
っているのがわかります.下記リンクでは,左下に中央駅があります.
Englischer Garten 衛星写真 (Google Localへのリンク)

原文がドイツ語ですので,例によって誤解や誤りがあるかもしれません.

ミュンヘン市では,1901年から庭園を挟むSchwabing(庭園の北東側)と
Bogenhausen(庭園の南東側)の両地域を結ぶ市電建設を望んでいました.
それは後世になると,市の東側に位置するBogenhausen(13区)と,中央
やや西側に位置するNeuhausen(9区)を,真っ直ぐではなく,北へ弧を描く
ように結ぶ路線(Tram Nordtangente),今は幻の22番系統の一部として
計画されます.その8キロの路線のうち,すでに6キロ分は完成済みで,
他の系統で使用されていますが,英国庭園を含む2キロが未完成でした.

Tram Nordtangente(英語風に読むなら,ノース タンジェント)は,有望な
路線として,1991年には市議会からも満場一致で支持されますが,その
10年後には,オーバーバイエルン(Oberbayern)政府により建設を拒否
されてしまいます.オーバーバイエルンは英国庭園の所有者なのです.
ミュンヘン市はこれに対して告訴していましたが,それが5年後になって
ようやく審理されるということのようです.

ウェブサイト上の新聞報道 :
Tram durch Englischen Garten: Oberstes Gericht entscheidet
(tz heuteのニュースへのリンク)
Zug im Englischen Garten
(Merkur Onlineのニュースへのリンク)
公式発表 :
Verwaltungsgerichtshof verhandelt über die Tram durch den
Englischen Garten
(SWMのニュースリリースへのリンク)
SWM : Stadtwerke München GmbH
ミュンヘン市の公共サービスなどを管轄する下位組織で,市電をはじめ
として,地下鉄Uバーンやバスなど,交通機関を運営するMVG(Münchner
Verkehrsgesellschaft mbH)などを子会社として傘下にもっています.

庭園通過反対派としては,市電が走ることにより電車線(架線)や架線柱が
景観の目障りになるほか,交通安全上の懸念をいだいているようです.
反対派のサイトの中には,合成写真を載せて架線などが景観を台無しに
することを主張しているところもありました.賛成派としては,架線は
樹木が繁れば覆い隠されてしまい,目立たなくなると考えています.
(冬場はどうなるんだという突っ込みはありません)

安全上の問題は,オーバーバイエルンが拒絶した理由ですが,公園内を
横断する公道が既に建設されていて,市バス路線も走っています.
専門家の意見では,路面電車の停止距離は,バスよりも短いとしていて
(逆のような気がしますが),バスがトラムに変わることにより,安全性は
改善されるとしています.

裁定はまだ出ていません.来週文書による通知がなされるようです.
追記 (2006/3/31) :
3/30に裁定が出て,SWM側の主張は却下されました.
2001年に出された,景観保護の観点から英国庭園を守ることは,
市電の新路線より優先度が高いとした,オーバーバイエルンの
決定に抗議することはできないとのことです.
現時点では英国庭園に路面電車を通すことは出来ないままです.

オーバーバイエルンの拒否を覆すためには,ライプチッヒにある
連邦行政裁判所に場を移すしかありません.しかし,それにはまた
時間が掛かります.
Aus für Tram durch den Englischen Garten
(3/30付け tz heuteのニュースへのリンク)
Tram durch den Englischen Garten gestoppt
(3/30付け Süddeutsche Zeitungのニュースへのリンク)

Keine „Genehmigung“ für die Straßenbahn durch den
Englischen Garten

(3/30付け Bayerischer Verwaltungsgerichtshof
プレスリリースへのリンク)



Strassenbahn-Forumによれば,庭園内を架線レス(ohne Oberleitung)で
路面電車を走らせることも一時考えられたようですが,話は進まなかった
そうです.

計画路線の22系統を,予想図?として載せているサイトがありました.
Linienplan Tram München 2025
(Die Homepage von Christian Lennartzへのリンク)
お目当ての画像は,メニューの"Pläne"をクリックすると,右のフレームの
一番下にリンクが出ます.2025年のミュンヘン市電路線図なのでしょう.
その画像では,Tivoli straße(現在の市電17番)と,その左横のGisela
straße(U3, U6への乗換え駅)との間が,英国庭園になります.
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | ドイツ I このエントリーを含むはてなブックマーク
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【ミュンヘン】英国庭園の横断は架線レスで?
Excerpt: 架線なしの軌道で英国庭園を横切る路線を建設し, そこにバッテリートラムを走らせようという案が発表されました
Weblog: 海外LRTニュース・ひろい読み
Tracked: 2006-07-22 19:00

【ミュンヘン】バッテリートラム2009年春に
Excerpt: 昨日最後にミュンヘンのバリオバーン(Variobahn)の話題を出したあと, ビルト(Bild)紙と同じタブロイド新聞のAbendzeitung紙が,違う切り口で バリオバーンの記事を出していました...
Weblog: 海外LRTニュース・ひろい読み
Tracked: 2008-07-05 12:00
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