ダウンタウンの北にあるユニオン湖(Lake Union)の湖岸にあたる,サウス
レイクユニオン(South Lake Union)地区の再開発計画で,目玉ともなる
路面電車建設計画が,シアトル市議会の承認を得ました.これにより
今後順調に運べば,この夏にも着工されて,早ければ2007年夏には開業
できることになっています.
サウスレイクユニオン地区再開発計画は,シアトルの市長が強力に推し
進めるプロジェクトの一つで,バイオテクノロジーの拠点として雇用促進
と住宅の増加を図ろうとしています.その交通手段としてダウンタウンの
ウェストレイクセンター(Westlake Center)と直結させるための,路線
長1.3マイル(2キロ強)の路面電車(ストリートカー)が建設されます.
建設費の半分は,沿線の土地所有者から集められます.そのあたりは,
昨年10月に「ストリートカー特別税」で紹介していますが,各オーナー
が支払う金額は,路面電車の開通前後で生じる土地の価格差に基づいた
査定により算出されます.
LID : Local Improvement District
LID対象エリアは,路面電車の軌道からおおよそ400mまでの範囲です.
ここからが最新の動きです.
路面電車の建設費は,当初4750万ドルでしたが,今月中旬の段階で300万
ドル増えて5050万ドルになることが明らかになります.この増加分を,
どうやって埋めるかが問題になりました.
2週間ほど前に開かれた市の運輸委員会では,路面電車に懐疑的な市会
議員が,市の一般資金からの流用を避けたいとして,LIDによる負担分を
増やす提案を行います.これは土地オーナーが出す金額が増えることを
意味していました.
しかし,市の側は連邦から予算を獲得できる見込みがあるとして,その
提案には賛成ではありませんでした.昨年はハリケーン カトリーナの
影響もあり,満足に獲得できなかった連邦予算が,今年は可能性がある
と考えていたのです.
この月曜に,市議会本会議で路面電車計画が承認されましたが,同時に
採択の結果,市議の提案は承認されず,現段階では沿線土地オーナーの
大幅負担増は免れました.ただし,今年終わりになってみないとわかり
ませんが,もしも,市が連邦やその他から資金を満額調達できなかった
場合には,増額があるのかもしれません.
市議会が路面電車計画を承認したニュース
Council votes not to raise assessments for streetcar
(Seattle Timesのニュースへのリンク)
City Council approves streetcar
(Seattle Post Intelligencerのニュースへのリンク)
Streetcar Gets the Green Light
(City of Seattle 公式サイトへのリンク)
建設費が上昇して沿線負担額を引き上げる案があることを告げるニュース
Steinbrueck wants streetcar tax
(3/14付けSeattle Post Intelligencerのニュースへのリンク)
Streetcar taxes for South Lake Union landowners may rise
(3/14付けSeattle Timesのニュースへのリンク)
The Streetcar Gets More Expensive
(3/15付けSeattle Weeklyのニュースへのリンク)
路線図,これまでの経緯など,シアトル市の公式サイト
South Lake Union Streetcar (簡単な路線図あり)
In depth Issue & Topics : South Lake Union (特集)
(City of Seattle 公式サイトへのリンク)
サウスレイクユニオン地区には,足を踏み入れたことがありませんが,
撮影時期不明ながらWindows Live Localのバードアイで見る限りでは,
低い建物や駐車場ばかりで,再開発計画があることも頷けるような場所
です.そこに路線バスではなく路面電車(ストリートカー)を通すのは,
buildthestreetcar.orgというサイトのFAQのページ(下記参照)によれば,
バスよりも路面電車のほうが経済効果があることが実証されているから
だそうです.先行投資になるわけですが,成功例として,ポートランドの
路面電車をあげています(MAXではなく市電のほうです).
一方バスは,既に開発された地域の足としては申し分ないとしながらも,
再開発の手助けにはならないとしています.
Why can’t more buses be added to serve the South Lake Union
neighborhood? (buildthestreetcar.org FAQのページへのリンク)
以下は個人的な感想です.
オレゴン州ポートランドのケースは確かに成功していますが,その後に
続いた米国の都市で,成功例を見つけるのは難しいかもしれません.
こちらでも何度か取り上げているフロリダ州タンパは,電車の存続すら
危ぶまれていたほどです.
また,シアトルでは運賃無料ゾーンに隣接しながらも,1.25ドルか1.50
ドルの運賃を徴収して,運営費の一部にあてる予定です.これに対して
ポートランドでは,路線の大半が無料運賃ゾーン内ですので,その辺りの
差が出るかもしれません.
さらに,来年開業に関して,軌道敷設工事がライトレールと比べてスト
リートカーは,車両が軽いことで道路を掘り返す深さが浅く済み,水道管
など地下埋設物移設も不要となることが多く,短期間で可能ということに
なっています.今回は線路長2.6マイル分を工期1年余で行うことになり
ますが,実際ポートランドでは迅速な建設ができましたし,不可能では
ないのでしょう.しかし,今回で場所が確定した車庫が,軌道敷設ほど
短期間に建設できるものでしょうか.
加えて,車両の用意が2007年内に間に合うのかどうか,すでに水面下で
発注しているなら別ですが,気になるところです.
ポートランドでも,延伸部分の線路は出来上がっているものの,車両数
の都合で延長開業は今夏になっています.
シアトルでは,ウォーターフロントを走っていたレトロ調の車両を引っ
張り出してくれば,何とかなるかもしれませんが,計画では近代的車両
ということになっています.
シアトル South Lake Union ストリートカー 関連過去ログ :
2005年10月 ストリートカー特別税
2006年03月29日
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Excerpt: シアトル(Seattle)中心街の北部に位置し,ユニオン湖の南岸にあたる サウス・レイク・ユニオン地区(South Lake Union)の再生をかけ,5050万 ドルを投じるストリートカーが着工され...
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【シアトル】サウスレイクユニオン市電近況
Excerpt: 開業は2007年12月と見られていますが,早くも運営費が見込みより 高くなることが明らかにされました
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