公共交通の運賃を一定期間無料にして,普段は自動車で通勤する人たちを
公共交通に誘導し,その結果,車の交通量を減らして大気汚染を緩和させ
ようという試みが,ベイエリアでは今年合計6日間も設けられました.
スペア・ディ・エア・デー(Spare the Air Day)が前日に宣言されると,
ベイエリアの最大で26の交通事業者がその日の運賃をタダにしたのです.
その時の数値が明らかになってきた先週頃から,各紙が賛否を掲載して
います.しかし,総じて批判的のようです.
まずは,究極とも言える,年間運賃を無料化してしまおうという意見が
あります.ベイエリアでは各社合計で年間5億ドル超の運賃収入があり
ますが,これを何らかの形で補填して,毎日運賃を無料にするのです.
運賃が無料なら,今年の例で各社平均15%も利用者が増えます.
資金源は,ベイエリアを通行する車やトラックが約5万台なので,車両の
登録料を一台年間$100分積み増しするとか,売上税やベイブリッジなど
の通行料金の値上げなどで,理論的には可能なようです.
現在米国には,ダウンタウンや一部路線などで,あるいはごく短期間の
期間(大晦日など)だけ,限定的に運賃を必要としないところがあります.
例えば同じ西海岸ならシアトルやポートランドなどは終日中心部で運賃は
不要ですし,サンフランシスコでも大晦日は運賃が無料になりました.
しかし,その地域全体で年間というと,小規模な事業者には例があって
も,大規模な都市圏ではありません.ニューオリンズという例外はあり
ますが,被災後という事情がありますし,8/06からは有料化されます.
年間運賃無料化には,その財源の問題もさることながら,今回ベイエリア
での経験から,他の問題も浮かび上がっています.
利用者が急増して混雑が激しくなり,運行に遅れが生じたことや,運賃が
無料になったのをいいことに,路上で生活する人たちが空調のきく車内に
涼を求めて乗込んでいたことなどのほか,車両や施設への破壊行為や,
他の乗客を悩ますような迷惑行為が普段より増えていたのです.
そして,運賃無料化が本当に大気汚染緩和に効果があったのか,もっと
効率よくできる方法があるのではないかという疑問も残ります.
まず,新規利用者が増えたかどうかですが,利用者数では今年の6日間は
各社平均15%増という結果でした.しかし,増加分のどれだけが運賃が
必要となった後も永続的に利用するのかは,誰にもわかりません.
6日分が終了した今は,Spare the Air Dayでも運賃は有料ですが,それ
でもBARTの利用者が増えているという報道が先週ありました.しかし,
その後も増加を維持しているかどうかや,他の機関がどうかということ
は,完全に自動改札化されているBART以外は集計に時間を要することも
あり,続報は今のところありません.
ある調査では,狙い通りに運賃無料日に車の利用予定を止め,公共交通に
切替えた人は,わずか9.7%という結果だったと,Mercury Newsは報じて
います.残りは,最初から公共交通を利用していた人か,元々車を運転
する予定どころか.移動する予定すら無かった人というのです.これでは
スモッグを減らすのに効率的ではなさそうです.
スモッグ減少量は,8.04トンと当局より発表されています.
しかし,これに要した費用で割ると,1トンあたり165万ドルになるそう
です.他の手段,例えばスモッグの原因となる汚染物質を出す古い自動車
を買い取って処分したり,スクールバスの旧型ディーゼルエンジンを交換
するだけでも,より少ない経費で永続的にスモッグを減らすことができる
と指摘されていました.
LAタイムス紙は,先ごろ市長が運賃無料週間の設置に動いたことに応じ,
その社説の中で,自動車通勤から公共交通機関へ移行してもらうには,
運賃無料化に資金を費やすのではなく,高速で効率よく市内を網羅する
交通システムを構築し,その経費を負担するため利用は有料にするほうが
いいと結んでいます.
Wednesday, July 26, 2006 Calls raised for free transit all of the
time Ridership surges on Spare the Air days
(San Francisco Chronicle ニュースへのリンク)
Sun, Jul. 30, 2006 'Spare the Air': creative or wasteful?
Sun, Jul. 30, 2006 Free rides
Sun, Jul. 30, 2006 The cost of reducing smog
(Mercury News ニュースへのリンク)
July 31, 2006 No Free Metro Rides
(Los Angeles Times ニュースへのリンク)
Spare the Air Dayで運賃無料 過去ログ リスト :
2006/6/23 今年最初のSpare the Airで運賃無料
2006/6/29 軒並み2桁の利用者増加率に
2006/7/18 予算追加で今年は6日分に
2006/7/25 運賃無料日をLAでも検討中
2006年08月01日
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2007年【運賃無料】3日分の予算承認される
Excerpt: 2007年もスペア・ディ・エア・デーの最初の平日3日間に,運賃を無料と するキャンペーン実施の予算が組まれました
Weblog: 海外LRTニュース・ひろい読み
Tracked: 2007-01-26 19:00
2007年【運賃無料】BARTなど13時までに限定
Excerpt: 2007年のスモッグシーズンが始まります.2007年は一部の鉄道と フェリーでは,終日運賃無料ではなく午後1時までに変更されます
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