先日,フランスのクレルモン=フェランでトランスロール使用のトラムの
開業日が正式に決まったことをお伝えしたばかりですが,今度は9月か
10月に開業と伝えられていた,パドヴァ(Padova)で動きがありました.
イタリア北部のパドヴァは,中世から栄える人口約21万人の都市です.
先月末の地元紙の報道によれば,La commissione interministeriale
"1042"なる中央政府の監督当局?が,認可を出してようやく9月から運行
できるようになりました.ただし,30日間は旅客扱いが行えず,実質的な
開業は,30日間の毎日終日非営業運転が無事に終わった後,つまり10月
以降になるようです.
また,当初はイタリア国鉄のCentrale駅を通る南北の約10.5キロの路線
でしたが,Centrale(FS)駅から南方のGuizzaまで,約6キロの区間だけの
運行になります.バッテリー走行になる架線レス区間(675m)が,今回の
区間にあるかどうか確認できていませんが,市の中心部はFS駅の南側に
ありますので,おそらく含まれているでしょう.
FS : Ferrovie dello Stato Spa (イタリアの鉄道会社,元国鉄)
パドヴァのトランスロール(Translohr)は,当初Metrobusと呼ばれていま
したが,2004年ごろからMetrotramに改称されました.しかし,この記事
ではMetrobusのままです.トラムとは認めたくないのかも.
少なくとも2004年にはトランスロールの実車が配属されていて,2005年
には開業と伝えられていたのが,この時期まで延びてしまいました.
30 Luglio 2006 Il metrobus comincia in settembre la sua corsa
Arriva da Roma l'autorizzazione: il tram in corsa per trenta
giorni senza passeggeri
(Il Gazzettino Online ニュースへのリンク)
なお,上段の記事の最後の段落にありますが,速度は路線バスの半分の
時速20キロに抑えられます.また,Guizzaの車庫が完成する2007年2月
までは,全部で14本用意されるはずのトランスロールが,4本だけで担う
ことになり,保守や予備を除いた2本だけで通常は運転されるようです.
Metrotramを運行するのは,地元のバス会社APSだと思われますが,未確認
です.今回先行開業する区間には,現在路線バス8番が走っています.
しかし,Metrotram先行開業後も当面は運転される模様です.
LINEA 8 (バス8系統の時刻表と路線概略図)
Mappa sensibile delle linee (バス路線システムマップ)
(APS-Holding 公式サイトへのリンク)
APS : Azienda Padova Servizi
掲示板には画像や情報がたくさんあります.開業が遅れたのは,何らかの
問題があったからと思われ,その情報も含まれているはずですが,原文が
イタリア語なので残念ながら不明な部分も多い状態です.
上段の掲示板3ページ目に,2005年7月の軌道の状態がアップロードされて
いますが,案内軌条をはがしたような跡が見られます.これは何らかの
不具合があって,付け替える前だったのかもしれません.
I NUOVI TRAM DI PADOVA
(Mondo Tram Forum トピックへのリンク)
Aggiornamenti Metrobus Padova
(SkyscraperCity 掲示板トピックへのリンク)
イタリアを含む各都市のデータが,よくまとまっている参考サイト :
MetroTram (Padova) (パドヴァの英語版)
(Ing. Michele Tarozzi氏のサイトへのリンク)
日本語サイトでは,「検証 ゴムタイヤトラム」がお勧めです.
(Le Tramのサイトへのリンク)
ちなみに,パドバ(Padova)と先日モータを落としたTVRが走るフランスの
ナンシー(Nancy)は,ゴムタイヤトラムが縁というわけではないでしょう
けど,姉妹都市になっているそうです.
ボンバルディアのTVRと,ロールのTranslohrは,中央のレールを案内軌条
として,両側を駆動タイヤが走るという,走りと舵取りに関しては,全く
同じ構造をとっています.ただし,よく言われるように両者には決定的な
違いもあり,TVRがバスやトロリーバスからの派生なのに対し,トランス
ロールは路面電車の派生です.細かい案内輪の構造の違いは別としても
一目瞭然なのは,TVRが片運転台でバスのように運転台にはハンドルが
残っているのに対して,トランスロールでは流行のモジュール方式を採用
したことにより両運転台が可能になり,運転台には少なくとも大きな円形
ハンドルはありません.ガイドウェイ(案内軌条)のない場所での運転は,
基本的に行わないからでしょう.
TVRは,ガイドウェイバスの流れを汲みます.ガイドウェイが脇にあるか
中央にあるだけの違いだけで,この案内軌条がレールではなく,特別な
塗装になり,それを光学センサで追跡することにより舵取りを行うガイド
ウェイバスも存在し,すでに実用化されています.しかし,これはもはや
トラムとは呼べないかもしれません.
この分野ではこれまであまり目立たなかったドイツも,最近では新たに
双方向運転可能な光学式ガイドウェイバスを開発していて,9月下旬に
ハノーバーで開催される展示会でお目見えするようです.
トランスロールは,電車の車輪をタイヤに置き換えることで,レールを
2本とも不要にすることはできましたが,それでは車輪の踏面形状を利用
した操舵ができなくなるため,軌道中央に別にレールを敷き,案内輪で
それを追従する操舵方法をとりました.
奇しくもバスと電車の双方からのアプローチが同じ形態をとったことに
なりますが,ゴムタイヤで走り,案内輪で中央のレールにより操舵する
という構造は,実は日本で30年以上も前から実用化され,現在も現役で
公共交通として活躍していたりします.もっとも,そこでは軌道中央の
案内軌条は鉄製ですが,案内輪はゴムタイヤになり,踏切を一切排除した
専用軌道を走ります.集電は第三軌条と架線の2タイプがあります.
誤訳や誤解で内容が間違っている可能性もあります.ご容赦ください.
関連過去ログ :
2005/12/08 【トランスロール】イタリアでもバッテリー搭載
2006/7/27 【クレルモン=フェラン】Translohr 10/14デビュー
2006年08月09日
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