バスラピッドトランジット(BRT)は,ライトレールよりも地球温暖化に
つながる,二酸化炭素CO2に代表される温室効果ガス(Greenhouse gas)の
排出が少ないという研究が,米国の非営利組織BTIから発表されました.
BRT : Bus Rapid Transit
BTI : Breakthrough Technologies Institute
米国では,連邦政府こそ京都議定書(Kyoto Protocol)を受入れていません
が,都市レベルでは,多くで独自に温室効果ガス削減に動いていて,その
一環として公共交通網の整備を行おうとしているところもあります.
その際,ライトレールを建設するLRTを構築するのか,専用道路をバスが
高速で走れるBRTを整備するのか,いずれかの選択を迫られるケースも
あり,その時に環境への配慮が重視されると,今後はこの研究によって
BRT優位に傾く可能性が出てくるのかもしれません.
バスラピッドトランジット(BRT)の二酸化炭素排出量がLRTよりも少なく
なるのは,最新の排気ガスが少ないタイプのバス(low emission buses)が
用いられていることが前提です.
LRTは電気運転により,車両そのものは排ガス量がゼロでも,その電力を
作り出す過程で,CO2の排出が多いというのが主な理由です.さらに,
BRTはLRTよりも建設費が安いため,同じ金額を投じた際には,BRTの方が
路線網を広げやすいということもあります.
また,米国では通常の路線バスでは公共交通を利用しなくても,LRTの
ような鉄道なら車から乗り換える気になるようで,鉄道システムの長所を
最大限取り入れたBRTなら,車から公共交通への移行量は,LRTに比べても
遜色ないだろうと見られているのです.
バスラピッドトランジット(BRT)に求められる要素 :
バス専用道または,バスの通行に優先権を与えられた車線を走り,車両
にはステップのない低床車が使われ,プラットホーム並のバス停で段差
なく乗降でき,運賃収受は車内では行わず,ホームで切符を買い求める
方式を採用します.
米国では,車などの輸送機関が排出する温室効果ガスは,全体の三分の一
近くを占めているそうです.しかし,発電業界はこれを上回ります.
英語版Wikipediaに掲載されている資料によれば,2000年には輸送燃料
からが14.0%,発電所からが21.3%,工場などから16.8%となっています.
Greenhouse gas Anthropogenic greenhouse gases
(英語版 Wikipedia へのリンク)
米国の発電は,石炭や天然ガスを燃焼させる火力発電が占める割合が,
下記の2004年の資料では合計で三分の二以上,68%にものぼります.
U.S. Electric Power Industry Net Generation, 2004
(Energy Information Administration へのリンク)
私見ですが,これが米国ではなく,例えば原子力発電の割合が極めて高い
フランスなら,今度はLRTのほうがCO2排出量が低いということになるの
かもしれません.
また,LRTの排出量は,米国のLRT全体で実際に消費されている電力量から
割り出されていますが,消費電力の少ない新型車両だけで運用される場合
には,数値が小さくなってくるとも思われます.BRTのバスが排ガスの
少ないタイプであるだけに,少々公平さを欠きそうです.
今のところ,プレスリリースがあるだけで,報道はないようです.
August 10, 2006 Bus Rapid Transit (BRT) Is Best Transit Option to
Reduce Greenhouse Gas Emissions, According to New Analysis by
Breakthrough Technologies Institute
(Business Wire (press release) へのリンク)
下記から,全文を19ページのPDFファイルでダウンロードできます.
Journal of Public Transportation (Volume 9, No. 3, 2006)
(サウスフロリダ大学 へのリンク)
下から二番目の,The Potential for Bus Rapid Transit to Reduce
Transportation-Related CO2 Emissions のところにあります.
レポートが,モデル都市における乗客1マイルあたりの平均二酸化炭素
排出量を計算していますので,拾い出すと次の通りです.
ライトレール 209.56グラム
ハイブリッド ディーゼルバス(40フィート車=12.2m) 89.91グラム
CNGバス(40フィート車=12.2m) 66.07グラム
CNG : Compressed Natural Gas
ディーゼルバス(60フィート車=18.3m) 198.75グラム
ハイブリッド ディーゼルバス(60フィート車=18.3m) 132.59グラム
現行(1999年モデル)のディーゼルバス(40フィート車=12.2m) 294.2グラム
自家用車 397.89グラム
2006年08月13日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/22302871
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/22302871
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック
