これもゴムタイヤ式トラムと言っていいのかどうか,名前にTramが付いて
いるものの,実態は新交通システムを路面に走らせるような感じです.
ドイツとスイスの会社が開発している,このAutoTramなるものを,ドイツ
Die Welt紙が取り上げました.同紙のウェブサイトでは,自動車(Motor)
欄に記事が掲載されています.画像は同紙記事にもあります.
路面電車と,バス,それに新交通システムの,それぞれの長所を集めると
こういう車両ができるというもので,駆動輪にはゴムタイヤが用いられ,
非接触のガイドシステムで自動的に誘導されることも可能ですし,一般の
道路上を,運転手によるハンドル操作で走ることも可能です.
試作車の2車体に3つある車軸は,それぞれ個別に駆動され,さらに電気
油圧式で別々に操舵できます.タイヤには,ピープルムーバーに義務付け
られている,リンプホーム機能(limp-home function =破損時に最低限の
走行が可能な機能? ドイツ語:Notlaufeigenschaften)が,備わっている
そうです.
動力には燃料電池のほか,ディーゼルエンジンを搭載したり,車両には
動力源を置かないバッテリー方式も視野に入れています.
最高時速は70キロ.軸重は条件により,5トンから10トンだそうです.
車体が同種の車両に比べて特徴的で,路面電車やピープルムーバの流れを
汲み,双方向運転(両運転台)が可能で,試作車両は2車体で車長が18mです
が,これを3車体36mまで伸ばすことができるモジュール方式です.
出入口が低床かどうかはわかりません.
新たに軌道を敷いて電車を走らせるよりかなり安くなりますし,欧州では
珍しくない2連接(3車体)バスよりも,コスト面で優位とみられています.
非接触のガイド装置は,光学式のものになるようです.
公式サイトには,英語版ではcontactless guidance systemとなっている
ものの,ドイツ語版にoptisches Spurführungssystemと記されています.
日本のIMTSのような,磁気装置によるものではないでしょう.
IMTS : Intelligent Multimode Transit System (磁気誘導式バス)
いずれにしても,この手の駆動と操舵を分離した車両では,自動操舵の
場合には専用軌道化しなければならないことが多く,AutoTramも恐らく
例外ではないように思われます.これを自動車などと併用とまでいかなく
ても交差を許す設計にしたのが,TVR(GLT)やトランスロール(Translohr)
などですが,両者ともその部分で一番苦労しています.そうしてみると,
百年以上の歴史がある鉄道,特に併用軌道さえ可能な路面電車は,駆動と
操舵の両方を,レールと車輪の組合せだけでこなしてしまう,優れものと
いうことを改めて実感します.しかし,それにかかるコストが高いから
こそ,この手の研究が続けられているのでしょう.
現在は試作車1本だけですが,ドレスデンやライプチッヒなどが興味を
示しているそうです.その他にも,空港での利用や,大規模イベントでの
会場と駐車場とのシャトル輸送,さらには旧東独地区での廃線となった
鉄道の再生向けとしても検討されているようです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
01.11.2006 Straßenbahn fährt ohne Schienen
(Die Welt ニュースへのリンク)
AutoTram概要(英語版) :
Projekt: AutoTram People-Mover-System auf »Virtual Rails«
(Fraunhofer-Gesellschaft のサイトへのリンク)
誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
2006年11月02日
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