2006年11月20日

【パリ郊外】トラムトレインT4開業

パリ郊外でフランス初と言われるトラムトレインが開業しました.
パリ(Paris)中心部から東に10キロ少々離れた,セーヌ・サン・ドニ県の
ボンディ(Bondy)とオルネ・スー・ボワ(Aulnay-sous-Bois)を結ぶ8キロの
路線で,両端の駅ではそれぞれRER(近郊急行線)と接続しています.
RER : Réseau express régional d'Île-de-France
周辺は,昨年秋の暴動以降,物騒なイメージがつきまとっています.

イルドフランスの交通網の中ではトラムと位置づけられ,T4と呼ばれる
ようですが,元はと言えば19世紀後半に開通した在来線の,コクチェ線
(ligne de chemin de fer des Coquetiers)を転換したトラムトレイン
です.Coquetier(コクチェ/コクチュ)とは,半熟卵などを載せるエッグ
カップという意味だそうです.

トラムトレイン(tram-train)と言っても,ドイツなどに見られるような,
路面電車が在来線に乗入れるわけではなく,その逆でもありません.
下で紹介するTF 1の記事にもありますが,鉄道と路面電車の両方の良い
ところを取り入れた交通機関という意味で,用いられているようです.
同じく下で紹介するSNCFのサイトによれば,トラムトレインは,リヨン,
ナント,ミュルーズ,ストラスブール,サンテティエンヌ,グルノーブル
などに今後導入が予定されているそうです.

在来線からトラムトレインが走るライトレール規格への転換工事には,
2年半を要しました.その関係でCoquetiers線は,2003年末よりバスで
代行されていましたが,それも11/19は朝から解消されます.11/18には
祝賀式典が行われ,11/19は朝から運賃無料で利用できたそうです.

転換工事に2年半も掛かったのは,それなりに理由がありました.
最大の土木工事は,それまで路線の北半分が単線だったため,それを複線
化することでした.沿線で随一の交通量がある国道(RN3号線)との交差
部分では,早くから鉄道が上を走る立体交差になっていましたが,その
場所以北が単線だったため,立体交差の橋をそっくり複線用のものと交換
しました.言葉で書くとこれだけですが,大変な作業だったようです.
その他にも運河を跨ぐ橋を複線用に拡張する必要もありました.
在来線時代には,電気機関車が牽引する客車が走っていましたが,これ
からは最短4分間隔で,低床車両が頻繁に行き来します.そのためには
複線化が外せない条件でした.

もちろん,それまでの駅施設やホームなどを取り壊し,低床車両向けに
することも行われています.さらに地域に密着するため新たに3つの駅を
設けました.
さらに,「踏切」を「交差点」に変換しています.これは間違っている
かもしれませんが,いわゆる鉄道にある踏切(passage à niveau)から,
路面電車が走る交差点(carrefours)に作り変えるということで,横断する
交通をスムーズにする狙いがあるようです.踏切横断のための歩行者用
地下道が従来はありましたが,これも撤去されて歩行者も平面で街中の
交差点のように線路を横断できるようになります.信号がありますが,
遮断機を無くしてしまったようです.これは,トラムトレイン化の目的の
一つに,地域が鉄道によって分断されている状況を改善することが挙げ
られていて,そのための転換と思われます.

これらの工事で2年半を要しましたが,当初からの予定では今年12月末の
開業予定でしたので,若干早く完成したことになります.

車両には,シーメンスのAvantoが採用されました.複電源車両で,この
地域では標準の交流2.5万Vに加えて,直流750Vに対応します.
パリ近郊では南部に直流1500Vの電化区間がありますが,セーヌ・サン
ドニ県では交流電化になっています.今回の転換工事で,この区間が直流
750V化されたのかどうかは,よく判りません.

SNCFでは型式名U 25500となるAvantoは,車長は37m近くに及び,定員は
242名(座席定員80)になります.

T4(ligne de Coquetiers)の今後は,東に位置する,モンフェルメーユ
(Montfermeil)方面や,北方面への新設路線も検討されているようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
まずは,開業を伝える公式機関のサイトへのリンクから.Transilienは,
SNCFが運行するイルドフランスの鉄道ネットワークの名称です.
Inauguration de la ligne du tram-train T4
(Transilien 公式サイトへのリンク)
Inauguration du 1er tram-train Bondy-Aulnay
La SNCF déroule ses innovations Le 1er tram-train de France
(SNCF 公式サイトへのリンク)

祝賀行事にあわせて報道もありました.TF1 では,先月より話題になって
いる,パリ外周部に建設が計画される循環ルートの話を,記事の後半を
割いて取り上げています.
samedi 18 novembre 2006 Le "tram-train" enfin sur les rails
(TF1 ニュースへのリンク)
18.11.06 Inauguration du premier tram-train de France
(Le Nouvel Observateur ニュースへのリンク)
18 novembre 2006 Le tram-train facilitera la vie des Franciliens
(画像集) L'actualité en images
(M6.fr ニュースへのリンク)

豊富な画像でトラムトレインを紹介するブログ (カテゴリへのリンク)
Rubriques Tram-train Bondy-Aulnay
(Le Raincy - site non officiel ブログへのリンク)

昔の様子は,下記ページで駅名をクリックすると画像を見られます.
La Ligne "Provisoirement" fermée Des Coquetiers
(VraiTourisme へのリンク)

T1やT4を含めて,パリ北駅から北東部,セーヌ・サン・ドニ県方面への
RERや,現在計画されている路線の一部の位置関係をまとめました.
色にかかわらず,破線の部分が構想や延長計画などを示しています.

資料を基に独自に構成したもので,正確ではないかもしれません
paris-T4.png

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

パリを周回する環状交通計画 関連 過去ログ :
2006/11/07 【イルドフランス】貨物線をトラムトレイン?
2006/10/10 【パリ】メトロでの外環状線構想
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(1) | TrackBack(0) | フランス I このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
この線の構想はかなり早く打ち出されJR西日本の富山港線、吉備線のLRT化構想に影響を与えた筈なのに、開業はだいぶ遅れをとったことになりますね。
このサイトでも中々出てこなかったのでどうなっているんだろう、一度質問したくなっていたところでした。Avantoの発注はかなり早く決定されましたが。
いきなりT4とは意外でした。T1とは1駅でつながるのに別々にやる意味は?
T3より先に開業ということになりますか。写真が沢山出ていて行かなくても行った気分になれますね。あの中で分岐線Monfermeil方向の建設を訴えるプラカードを持つ人たちの写真がありましたが、あの線は建設構想に盛り込まれていたものですが元々なかったものなので、先送りされたのですね。
T系統はTranslinean?だかに移管されるのでしょうか。T3まではLATPのマークがついていますが。
Posted by 臼井 寛 at 2006年11月25日 10:56
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