ニューヨークのマンハッタンとクイーンズの間を流れるイーストリバー
には,いくつもの橋がかかり,トンネルが掘られています.その中でも
一番新しい,といっても完成は1970年代ですが,その新参のトンネルは
鉄道専用で複線の上下二段構造です.そのうち上段は1989年から地下鉄
Fラインに使用されていますが,下段は空き家のままでした.いわば幻の
トンネルというわけです.
63rd Street Tunnelと呼ばれるトンネルの下段は,ロングアイランドと
マンハッタンを結ぶ通勤鉄道のLIRR,ロングアイランド鉄道が走ることに
なっていました.しかし,70年代の市長により,予算が削減され計画が
棚上げされていたのです.
LIRR : Long Island Rail Road
現在,LIRRは米国最大の旅客鉄道です.一日27万人近い利用者があり,
24万人がマンハッタン側のターミナル,ペンステーション(Pennsylvania
Station)で乗降しています.
ところが,その半分近い10万人余りは,マンハッタンのイーストサイドに
向かう利用者で,LIRRがトンネルで素通りする場所にペンステーション
から地下鉄などで戻るような通勤を強いられてきました.
また,ペンステーションもLIRR専用ではなく,AmtrakやNJ Transitも発着
していて,その枠が限界に達し増発が不可能な状況です.
これらを改善する手段として,East Side Access計画が考えられていま
した.クイーンズでLIRRの現行路線から分岐し,先ほどの幻のトンネルを
使って,現在メトロノース鉄道(Metro-North Railroad)などが乗入れて
いるグランドセントラルターミナル(Grand Central Terminal)駅の下に
乗入れようとする計画です.60年代からの構想でしたが,前述の通り,
最近まで話が進んでいませんでした.
そのEast Side Accessに,連邦政府がFFGAで26億ドルを拠出することが
最終的に決まったという報道がありました.
FFGA : Full Funding Grant Agreement
総工費は63億ドルとみられていますので,まだ37億ドル足りませんが,
当局やニューヨーク州が公債を発行して,資金を調達することになって
いるそうです.
工事はクイーンズ(Queens)側で既に着手されており,このあとも順調に
運べば,完成予定は2013年とされています.これが完成すれば,LIRRは
増発が可能になりますし,利用者はイーストサイド(East Side)に向かう
なら,グランドセントラルターミナル行を選べるようになるのです.
今回,運輸長官がEast Side Accessに26億ドルの補助金を出す書類に署名
しましたが,連邦政府が大量輸送機関に投じる金額としては,過去最高額
だそうです.また,同時に地下鉄新線計画,Second Avenue Subwayにも
7億ドル弱が出されることが決定しました.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
米国連邦運輸省のブリーフィングルームより :
Monday, December 18, 2006 U.S. Transportation Secretary Signs
Record $2.6 Billion Agreement to Fund New Tunnel Network To Give
Long Island Commuters Direct Access to Grand Central Station
(U.S. Department of Transportation ニュースへのリンク)
代表的な報道(この他にも多数あり) :
December 19, 2006 Long Planned, Transit Projects Get U.S. Help
(New York Times ニュースへのリンク)
East Side Access Planned Improvements (計画図あり)
Image Gallery (East Side Accessのイメージ)
(MTA 公式サイトへのリンク)
MTA : Metropolitan Transportation Authority
誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
2006年12月20日
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