2006年12月30日

【ハーグ】HTMは脱線可能性を事前認識?

16億ユーロが投じられたランドシュタットレール(RandstadRail)を最初に
取り上げた時,これほどまでこのトラムトレインをここに書くことになる
とは,想像していませんでした.
デンハーグ(Den Haag)と,ズーテルメール(Zoetermeer)やロッテルダム
(Rotterdam)を結ぶランドシュタットレールは,ハーグ郊外のNootdorp駅
からロッテルダムのRotterdam Hofplein駅までを除き,依然としてバス
代行が続いています.この路線のために50本導入したレギオシタディス
(RegioCitadis)による運転再開は,2007年春とみられています.
ここまでの経緯は,文末にリストを載せた過去ログもご覧ください.

先日,長期運休の引き金となった11月下旬に発生した脱線の調査報告が,
1/10か1/11に行なえるようになると,HTMと,1月から民営化?されるRETが
発表していました.
HTM : HTM Personenvervoer
(ハーグの公共交通で,前身は,Haagsche Tramweg-Maatschappij)
RET : Rotterdamse Elektrische Tram (ロッテルダムの公共交通)

脱線原因は,その報告が公開されるまで推測の域を出ませんが,前回の
ご紹介のあとも,曲線区間でのカントが問題視されているという報道が
出ていました.カント(verkanting)とは,言うまでもなくカーブでの外側
レールを内側のレールよりも高く敷設することで,これにより遠心力の
影響を抑え,車両の走行安定性と乗り心地を高めるものです.

報道ではカント自体に問題があったわけではなく,カント量なども基準の
範疇であるものの,レギオシタディスのほうがそれに対応できなかった,
これまで全く問題なかったHTMトラム車両とは,動きが異なっていたと
いうようなことが記されています.ここで前回指摘されていた,レールと
接する車輪の輪郭,踏面形状の問題につながってくるのかもしれません.

しかも,レギオシタディスが脱線した,デンハーグ中央駅(Den Haag
Centraal)とTernoot駅の間には,その危険性があることを,HTMは事前に
認識していたというのです.
営業開始は準備不足だったのではないかとの指摘を否定した上で,日本
なら感覚を疑われるような発言を,HTMの責任者が行なったことを記した
記事が一つありました.それは,脱線の可能性はカントのある問題の曲線
上を,低速で通過した時だけ高くなるもので,その場所で徐行する理由は
なく,仮に低速で脱線したとしても,低速なのでけが人は出ず安全という
ようなことです.

発言内容はさておき,曲線の低速走行で脱線と言えば,各車輪に掛かる
重量が不均等になり軸重抜けという事象が生じ,速度が低く軸重抜けの
時間が長引いたため脱線したとされるケースが,日本で発生しています.
両者を結びつけるのは短絡的ですし,台車構造も全く異なるでしょう.
どの車輪が脱線したのかさえ不明ですが,HTMのトラムは連接台車がある
のに対して,レギオシタディスには一般の鉄道車両のように中間車体に
台車が2つあり,合計8つの車輪があります.
さらに,HTMトラムとの最大の違いは,低床化を果たすため,中間車体の
台車にある左右の車輪同士は,門型の車軸(portal axles)でつながり,
それぞれは独立して回転します.この台車の設計そのものは,レギオ=
シタディス用に新しくおこされたものですが,構造自体は今では低床式
路面電車に多くみられるものです.

レギオシタディスが脱線した現場は,はっきりとは特定できませんが,
いずれにしても高架線上になります.もしも,軌道を根本から敷き直す
必要が出てくると,相当な時間が掛かるとみられています.
いずれにしても,1月中旬には状況が見えてくるかもしれません.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
1月中旬に脱線原因が報告される予定と告げる記事 :
28 dec 2006 Resultaten onderzoek RandstadRail in januari bekend
(Telegraaf ニュースへのリンク)

問題の場所は脱線の危険性があり,HTMがそれを知っていたとする記事 :
14 december 2006 (=脱線からおよそ2週間後)
RandstadRail-trein vloog uit speciale ‘achtbaanbocht’
(Volkskrant ニュースへのリンク)
14-12-2006 Rust voor RandstadRail
(Algemeen Dagblad ニュースへのリンク)

路面電車と普通鉄道では,車輪と軌道が異なることを,一部図解入りで
説明しているまとめページ :
Verschil tussen trein- en tramspoor
(Wikipedia オランダ語版へのリンク)
オランダの路面電車では,急曲線で一般的に鉄道ではあってはならない
フランジ走行が行なわれていると記されているようです.
様々な言語で解説されることの多いウィキペディアで,この項目は現在
オランダ語だけです.

レギオシタディスの基本データ : (ALSTOM Germany 公式サイト)
RegioTram for RandstadRail (PDFファイル)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

RandstadRail脱線事故以降の過去ログ リスト :
2006/12/09 脱線原因はトラムトレイン特有か?
2006/12/01 ランドシュタットレールまた脱線
2006/11/12 ロッテルダムとメトロで直結
2006/11/04 中央駅で運行開始間もないLRV脱線

RandstadRail 脱線事故以前の過去ログ リスト :
2006-10-28 10/29よりRandstadRail一部運転
2006/09/03 トラムトレイン10月までお預け
2006/8/26 在来線のライトレール化遅れる
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(2) | 欧州(独仏西語圏外) このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/30541096
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

【RandstadRail】試運転の再開は2月以降に
Excerpt: 11月下旬にほぼ同時期に起きた2件の脱線事故の原因は, それぞれ転轍機の不具合と,過剰なカント量にありました
Weblog: 海外LRTニュース・ひろい読み
Tracked: 2007-01-13 19:01

【ハーグ】満身創痍のランドシュタットレール
Excerpt: デン・ハーグ(Den Haag)のランドシュタットレール(RandstadRail)が, 2/12から運転開始という報を聞きつけられ,どうなっているのかという お問合せをいただきましたので,先月からの...
Weblog: 海外LRTニュース・ひろい読み
Tracked: 2007-02-14 19:00