2007年01月26日

2007年【運賃無料】3日分の予算承認される

今年も6月からのスモッグシーズンに,大気の状態が連邦政府の定める
基準を超えそうになると,前日に宣言されるスペア・ディ・エア・デー
(Spare the Air Day)のうち,6月以降の最初の3日間は,平日に限って
ですが,ベイエリア域内26交通事業者の運賃を,終日無料とすることが,
ベイエリアの交通関係を司る行政機関,MTCにより承認されました.
交通事業者に運賃を無料化した分を補填する財源として,米国運輸省内の
CMAQからの補助金のうち,750万ドルが使われます.
MTC : Metropolitan Transportation Commission
CMAQ : Congestion Mitigation and Air Quality

2006年は,こちらでも紹介しているように,最初は3日分だったものが,
早々に消化してしまったこともあり,シーズン途中で追加され,最終的に
6日間が運賃無料になりました.補填費用は1320万ドルだったそうです.
昨年は公式には,The 2006 Spare the Air/Free Transit Campaignという
名前が付けられていました.

スペア ジ エア(Spare the Air)とは,ウィキペディアの記載によれば,
地表のオゾンが84ppbを超えそうになるか,大気汚染の指標が100を超え
そうになる日に発令されるもので,その日は自動車の運転を控えるよう,
テレビやラジオを通じて呼びかけがあります.登録者にメールで通知する
システムもあります.これは,連邦の大気汚染基準を遵守しない場合,
交通機関への連邦補助金を削減されることになるそうで,それを回避する
ためのようです.

全てのスペア・ディ・エア・デーが対象ではありませんが,終日運賃を
無料とするキャンペーンは,一人でも多くの人が自動車を自宅に置いて,
その日は公共交通機関で通勤してもらうことにより,汚染物質の排出量を
少しでも減らし,連邦の基準値を超えないようにするのが目的です.
2006年は近年になく6日間も運賃が無料となり,乗車率で15%増,利用者は
135万人増(一日あたり22万5千人増)となり,自動車の行き来が一日53万回
近くまで減り,自動車の移動距離も同350万マイル減少したことが,MTCで
報告されました.

しかし,今年も運賃無料キャンペーンを導入することを伝える記事は,
懐疑的な見方です.
効果の割りに,費用が掛かりすぎるという指摘です.他の手段から比べ
れば,自動車が排出する汚染物質削減量も一日4.5トンと大きいものの,
費用も莫大で,汚染物質を1トン削減するのに,41万ドル強が投じられた
計算になるそうです.
これに対して,古い自動車を買い取ってスクラップにする,Vehicle Buy
Back Programという制度では,1トン削減に7300ドルですし,路線バスに
排ガス制御装置をつける,Urban Bus Retrofit Programでは,同8千ドル
に過ぎません.それでも,どちらも一日1トン以上の効果があります.

2006年には全部でスペア・ディ・エア・デーが11日ありました.このうち
6日は運賃無料日となりますが,残りのうち平日3日分では,乗車率の前年
比3%増が2日,同1%増が1日という結果に留まりました.
増えた人が自動車通勤からの切り替えた人たちだったのか,という問題も
あります.無料をいいことに,普段は何もしていない人が,時間つぶしに
乗ったというケースも多かったようで,普段から公共交通で通勤していた
人たちにとっては,迷惑な話だったということも聞かれました.これは
想定外のことだったようです.

これを防ぐために,BARTでは朝のラッシュ時だけ運賃を無料化する提案を
しています.実は,2004年と2005年がそうでした.これなら,3日間終日
無料にするよりも,少ない費用で済む上に,用事のない人が乗り込んで,
Spare the Air programの評判を落とすようなことが起きずに済むのでは
ないかと,考えられています.
Caltrainも同様に終日の無料は不要と考えていますが,朝だけではなく
夕方のラッシュも対象にと提案しています.
これに対して,VTAなどでは,終日無料が効果ありとしています.
この他,経費を穴埋めするため,民間からのスポンサーを募集する案も
出てきました.
BART : San Francisco Bay Area Rapid Transit District
VTA : Santa Clara Valley Transportation Authority (サンノゼ)

スペア ジ エア(Spare the Air)は,夏の間は昼間ですが,冬の間は夜が
対象になります.冬の夜も大気汚染が進む条件があり,発令された日には
自動車の利用ばかりでなく,木を燃やすストーブや暖炉の使用を控える
ように呼びかけられます.今シーズンは,既に現時点で24日あります.
この夏はどうなるでしょう.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
効果を疑問視する報道 :
Jan. 25, 2007 Free public transit OK'd for three Spare the Air days
(San Jose Mercury News ニュースへのリンク)
01/11/2007 Spare the Air approved for another $7.5 million
(Inside Bay Area ニュースへのリンク)

2006年無料キャンペーンの詳細なデータは,PDFファイル(45ページ)で
見ることができます.(MTC 公式サイトへのリンク)
results of the 2006 Spare the Air/Free Transit Campaign
各事業者ごとの乗車率の推移なども載っていて,細かく分析したい人には
必見かもしれません.

該当日には自動改札も封印
Spare The Air
by lantzilla (flickr)
Spare The Air
(2006年7月)

Spare the Air Day!
by Benjamin Pender (flickr)
Spare the Air Day!
(2006年6月)


誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

ベイエリア Spare the Air Day 関連 過去ログ リスト :
2006/8/01 2006年【運賃無料日】その成果と是非
2006/7/18 【運賃無料】予算追加で今年は6日分に
2006/6/29 【運賃無料】軒並み2桁の利用者増加率に
2006/6/23 【運賃無料】今年最初のSpare the Airで
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 米国ベイエリア このエントリーを含むはてなブックマーク
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2007年【運賃無料】BARTなど13時までに限定
Excerpt: 2007年のスモッグシーズンが始まります.2007年は一部の鉄道と フェリーでは,終日運賃無料ではなく午後1時までに変更されます
Weblog: 海外LRTニュース・ひろい読み
Tracked: 2007-06-02 19:03