あまり例がないかもと,ろくに調べもせずに前日書いてしまいましたが,
ドイツからフィンランドのヘルシンキ(Helsinki)への例がありました.
あわせて最近の状況が現地有力紙の英語版に掲載されていましたので,
今回はその紹介です.
ヘルシンキの都市交通を担っているHKLでは,1999年から100%低床車を
ヘルシンキ市内の路面電車網に導入しています.
HKL : Helsingin kaupungin liikennelaitos
バリオバーンまたはバリオトラム(Variobahn / Variotram)と呼ばれる
モデルで,当時のADtranzが製造していました.40本の発注でしたが,
これが故障続きでなかなか実力を発揮せずにいたのです.
ヘルシンキという厳寒の地に起因する障害に加えて,同型の台車がドイツ
では問題なく走っているのに,ヘルシンキでは走行不安定になるという
ような台車の問題もありました.低床化のために,モータと車輪を直結
したこともあり,バネ下重量が大きくなりすぎたようです.
製造元のADtranzは,その後Bombardierに吸収され,修理や改修などは,
Bombardierが行なうようになりました.
さらに,追い討ちをかけるように,2004年に発覚したコンビーノ問題が
直接関係するのかどうかは判りませんが,車体強度の問題が持ち上がり,
バリオバーンに襲い掛かります.その修理のためには,車両をドイツの
工場まで運ぶ必要がありました.
そのためHKLは車両不足になり,ドイツのマンハイムやルートヴィヒス
ハーフェンから,車齢30年程度の路面電車を購入したというものです.
ウィキペディアの記載によれば合計8本を購入し,下で紹介する新聞記事
によれば,1本あたり改造費込み50万ユーロ前後だったようです.なお,
この購入費を捻出するために,ヘルシンキには広告電車が走り,その広告
収入でマンハイムの中古車両の購入費の70%を賄ったとのことでした.
そして先週掲載された記事は,車体強度問題の修理のためドイツに送った
車両がヘルシンキに戻ってきたものの,仕様にあった車両寿命40年には
及ばないことが判明し,HKLはボンバルディアとの契約破棄も視野に入れ
ているというものでした.この問題はまだまだ続きそうです.
バリオバーンには,いくつかの種類がありますが,ヘルシンキ向けの車両
は,ドイツのケムニッツや,オーストラリアのシドニーで導入されたハブ
モータを使用するタイプです.
なお,バリオバーン(Variobahn)の販売権は,現在はStadler Rail AGに
引き継がれ,ドイツのボーフム,ミュンヘン,ニュルンベルクなどは,
同社と購入契約を結び,同タイプの車両を近々導入予定です.
一方ヘルシンキにお古を売却したマンハイムとルートヴィヒスハーフェン
には,やはりバリオバーンが導入されていますが,こちらはハブモータを
使わない駆動による部分低床車で,タイプが異なります.
更に余談になりますが,ハブモーターと言えば,昨日紹介のグラーツも,
リンツと同じモデル名のCityrunnerという低床車ながら,ハブモーターを
採用した別タイプが走っています.実にややこしい話です.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
21.3.2007 (Helsingin Sanomat ニュースへのリンク)
Helsinki considers calling off low-carriage tram order from Germany
この記事の下段に,過去の記事へのリンクがあり,それをたどっていく
と,2005年4月付けでマンハイムから購入した時のことを記した記事にも
行き着きます.
電車車種紹介 HKL Tram Traffic Fleet
HKL 201-240が問題の低床車で,マンハイムからの中古はHKL 151-154,
ルートヴィヒスハーフェンからのは,HKL 150.各リンク先に詳細があります.
路線図 HKL Tram Traffic Routes
(HKL 公式サイト英語版へのリンク)
flickrで画像を探してみました
derailment By 1541 (flickr)

(Taken on March 3, 2006)
一瞬ドイツの街に見えますが,ヘルシンキだそうです
trams by 1541 (flickr)

(Taken on April 28, 2006)
derailment By 1541 (flickr)

(Taken on March 3, 2006)
一瞬ドイツの街に見えますが,ヘルシンキだそうです
trams by 1541 (flickr)

(Taken on April 28, 2006)
誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
