2007年08月24日

【シャーロット】トランジット税の是非

ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)では,同市を含むメクレン
バーグ郡(Mecklenburg County)内の住民に課されている,売上税7.25%の
うちの公共交通機関整備のために後に追加された0.5%分のトランジット税
(交通税)の是非を巡って,11月に住民投票が予定されています.1998年に
やはり住民投票で可決され採用されたこの税が,再び住民の選択に委ね
られる経緯は,こちらでも簡単に触れてきました.投票まで2か月余りと
なり,地元ではこの夏この話題が注目を集めている模様です.

シャーロット都市圏(Charlotte metropolitan area)の人口は年々増え
続け,2000年には人口133万だったものが,2006年には同158万に,同じ
ペースで増加が続くと,2014年には200万人を突破する勢いだそうです.
これだけの人の移動を支えるのに,ライトレールやバスは不可欠とする
0.5%分の交通税(transit tax)存続派と,大金を掛けて公共交通を整備
しても,渋滞は減らないと考える交通税廃止派の戦いです.

メディアの中には,交通税(transit tax)の特集ページをインターネット
上に開設するところも出てきました.有権者各自が存廃どちらに投じるか
決める前に,その論点を整理することができます.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
地元の有力紙Charlotte Observerは,交通税の特集ページをサイト上に
設置しました. Special Reports Transit Tax

とかく,色々と問題が持ち上がったライトレール,LYNXブルーラインが
注目されがちですし,交通税廃止を求めて住民投票に持ち込んだ団体も,
その計画廃止を目指していますが,建設費の多くは連邦政府からの補助
金で賄われており,今年2007年には6900万ドルになるとみられる交通税
からの税収の65%は,CATSが運行する路線バスに流れていることから,
交通税の廃止は,現在の路線バス網に大きな影響を与えます.
CATS : Charlotte Area Transit System
Aug. 23, 2007 What neither side is saying about transit
(Charlotte Observer ニュースへのリンク)

そのCATSが運行する路線バスに関して,1998年の交通税の導入が与えた
影響が,わかりやすく紹介されています.
Aug. 19, 2007 How well is Charlotte's bus system working?
(Charlotte Observer ニュースへのリンク)
CATSの路線バスは,シャーロット都市圏の人口増と1998年の交通税導入に
裏づけられた路線拡大で,利用者を破竹の勢いで増やしていきました.
乗車率で66%増,累計800万回の新規利用がもたらされ,これだけの増加は
米国ではあまりないとされています.

路線網拡大は,それまで対象としていた自動車を持てず路線バスしか移動
手段がない客層だけではなく,自動車を所有していても,あえて経済的な
理由や環境への配慮からバス通勤を選択するchoice ridersと呼ばれる
客層の比率を増やしていきます.交通税導入前は10%だったchoice riders
は,今日では40%にまで増えているとみられています.

しかし,彼ら(choice riders)を引き付けるための増便や,郊外への路線
拡大は,経費増加と引き換えでした.運行予算は2510万ドルから8530万
ドルにまで増えていきます.更に1マイルあたりの平均利用者数が減り,
運賃収入で賄える経費の割合も27%から17%前後に落ち込んで,いずれも
全米平均を下回る結果となりました.これらが批判の的になっています.

それでも,交通税廃止による路線バスの縮小は,以前のようなバスしか
移動手段のない人たちを主に乗せて走る規模に戻り,choice ridersが
自動車通勤に戻ることを意味しています.

一方で,もしも交通税が廃止される場合,財産税(property tax)の増税が
穴埋めとして検討されています.
今週も,市議会議員らから構成される交通税支持派のグループが活動を
開始して,前にも似たような話がありましたが,交通税廃止後の予測を
繰り返しています.
たとえば,年収5万7千ドルで課税価格16万ドルの家に住む世帯は,現在
年間$39の交通税を支払っているとされますが,交通税が廃止されると,
年間$58を財産税の増税という形で支払うことになります.この金額は,
ライトレールの運行が減便され,路線バス網が縮小される場合のもので,
ライトレールを計画通りに運行し,路線バス網を現状維持するとなると,
財産税の増加分は$171になるというものです.交通税が存続されれば,
$39で済みます.ただし,$39の中には食料品やガソリン代からの分は,
含まれていません.
交通税支持派のキャンペーン開始を伝える記事 :
Aug. 23, 2007 Residents focus of pro-transit campaign
(Charlotte Observer ニュースへのリンク)

同紙などが行った世論調査では,郡内の住民のうち52%が交通税継続を
支持,45%が撤廃に投じるとの結果が出ました.人種,年齢層,学歴,
支持政党ごとの存廃支持の割合なども記されています.
Aug. 23, 2007 Fight over transit tax close, poll shows
(Charlotte Observer ニュースへのリンク)

審判が下されるのは11/06,ライトレールLynxの開業は11/26の予定です.
それらを全て見届けて,公共交通畑一筋に,交通税導入直後からCATSで
陣頭指揮をとってきたCEOが,12/21に引退するとの報道もありました.

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

シャーロットのトランジット税 関連過去ログ :
2007/3/28 LRT計画反対署名にCATS反撃
2007/4/09 集まったLRT反対署名の疑問
2007/7/30 ライトレール開業11/26に
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(4) | 米国南東部 このエントリーを含むはてなブックマーク
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