相次いで路線網拡大を発表していました.
一つ目は,スペイン南東部で人口が42万超のムルシア(Murcia)です.
5月に約2キロのトラム(tranvía)試験路線の旅客運行を開始,9月末までの
累積利用者数は,37万人にまであと30人に迫るところまで伸びました.
この試験路線は,将来4つの路線が計画されているうちの,1号線の区間
ゼロ(Tramo 0)にあたります.2年後の2009年9月末までは運賃無料です.
そのムルシアでは9月中旬,市長が路線計画の詳細を発表しました.当時
メディアは連日のように取り上げ,公式サイトも概要を掲載しています.
それらによれば,東西南北の各方面1本ずつの計4路線が計画され,現在の
実験線を取り込む1号線(グリーンライン)は,北へ伸びる路線になり,
順調に運べば1年後の2008年秋には,1号線の新設区間12キロが着工される
ことになります.完成まで工事は2年を要すそうです.
1号線(グリーンライン)は北を上にしたY字型で,北西の路線は2つの大学
(UCAMとUMU)へ向かい,東側の北端は2006年に完成したサッカーの試合
などが行われるスタジアム(Estadio Nueva Condomina)が終点です.
南端はRENFEのムルシア駅に到達し,そこで他の市電3路線やバスと接続
することになるようです.
UCAM: Universidad Católica San Antonio
UMU: Universidad de Murcia
RENFE: Red Nacional de los Ferrocarriles Españoles
他の3線は,南へ向かう2号線(ブルーライン),東へ向かう3号線(イエロー
ライン),西へ向かう4号線(レッドライン)で,2008年初めにも行政上の
手続きが開始される予定とか.
今の実験線がすぐ近くまできているサークル広場(Plaza Circular)と,
RENFEのムルシア駅の2か所は,市電同士の乗換え場所になるだけでなく,
市電開通と同時に再編される路線バス網との結節点になります.
ムルシアは,環境にやさしいモデル都市(modelo de ciudad sostenible)
を目指していて,この路面電車網の構築は,トラム革命(La revolución
del tranvía)と書いている記事があるほどですが,道路の整備や,地下
駐車場,自転車専用道の設置などを含めた総合的な構想の一環です.
区間や方法は明らかにされていませんが,街中では架線を表面的にする
(superficial)という表現があります.景観への影響を軽減して,新たな
境界や障害を作り出さないためとしていますので,以前から話の出ていた
架線レスにするということかもしれません.superficialは表向きという
意味もありますが,地表集電方式のAPSなら通じるものがありますし,
実用化されているボルドーへ,ムルシアから視察団が訪れていました.
APS: Alimentation par le sol
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
計画概要(4線の全体像): El Proyecto
トラム1号線: Línea 1 Paradas del Tramo 0
(Tranvimur 公式サイトへのリンク)
20.09.2007 El tranvía pasará por el hospital Reina Sofía en lugar
de por Gran Vía para ir al Carmen
(20minutos.es ニュースへのリンク)
21 de Septiembre de 2007 Cámara revolucionará el transporte
público para reducir el tráfico urbano
(El Faro Murcia ニュースへのリンク)
ムルシアでは,公共交通を利用している人は15.7%しかいないという調査
結果があります.似たような都市構造のグラナダでは,広域圏でも23%,
都市部だけなら30%が利用していて,ムルシアでは公共交通の地位が低い
ことが伺えます.
ムルシアで公共交通が利用率が低いのは,公共交通を使うと自家用車より
移動に倍の時間が掛かると考えているからとみられていて,その他の調査
結果などは,下記で紹介されています.
27 SEP Los murcianos creen que si usan el transporte público
tardan el doble que si van en su coche
(La Verdad ニュースへのリンク)
これによれば,他に移動の選択肢を持たないキャプティブ・ライダーが,
公共交通利用者の81%以上を占めています.
下はPlaza Circular近くにあるゼロ区間(Tramo 0)の起点で,公式サイト
には停留所1(Parada 1)となっている場所です.ここは単線で用地は確保
されているものの,片側は芝生のみが敷かれ線路は未敷設です.
やしの木の向こうには水道局の駐車場があり,その奥の水道局の建物の
向こう側がPlaza Circularです.
本線は全線複線ですが,両端の停留所は単線です.下は試験線=ゼロ区間
(Tramo 0)の郊外側の終点で,停留所4(Parada 4)とされている場所です.
やはり片側は芝生だけで,奥には車庫が見えています.
ムルシア関連 過去ログリスト:
2007/8/30 【スペイン】2007年8月トラム関連小ネタ集
2007/4/30 トラム営業開始は5/02から
2007/4/22 開業イベントで4/29レース実施
2007/2/25 市電実験線に2本目が3月到着
2007/1/17 市内でシタディス展示中
2006/11/28 架線レスをAPSで導入を検討中
2006/9/15 2年半は運賃無料の市電10月着工
一方,ムルシアから1か月遅れて6月に旅客営業を開始した,カナリア諸島
テネリフェ(Tenerife)では,今の1号線(12.5キロ)の次に,2号線を2008年
初めにも着工し,2009年5月に開業させる予定であることが明らかになり
ました.
2号線は,1号線と一部で軌道を共有する全長3.6キロ強の路線ですが,
重複部分を除く新たに建設される区間は2キロ強になる模様で,6本が追加
される100%低床車購入を含む投資は,5446万ユーロと報じられており,
開業初年度には一日5千人以上の利用があると予測されています.
多くの報道がありましたが,地図の載っている記事を紹介しておきます.
28 de septiembre de 2007 La Línea 2 del Tranvía entrará en
funcionamiento en mayo de 2009
(Canarias 24 horas ニュースへのリンク)
29 de septiembre de 2007 El tranvía La Cuesta-Tíncer entrará en
funcionamiento en mayo de 2009
(Diario de Avisos ニュースへのリンク)
スペイン開業情報:
セビリャ(Sevilla)の市電メトロセントロ(Metro_Centro)は,この数日の
うちに営業を開始しそうです.
誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
テネリフェ関連 過去ログリスト:
2007/7/19 40日間で百万人輸送達成
2007/6/03 ライトレール 6/02開業
2007/4/05 週末終夜運転と開業は6月に?
2007/3/19 車両基地操業開始で開業近づく
2006/12/28 【芝生軌道】テネリフェ島でも採用される
2006/11/23 スペイン国王LRTに初乗車
