2005年09月07日

【フィラデルフィア】PCCカー復活の経緯

既報の通り,9/04よりPCCカーをバスに代えて復活させたSEPTAですが,実は
SEPTA自身はあまり乗り気ではなかったようです.
Not all on board trolley's return
(philly.comのニュースへのリンク)

SEPTA : Southeastern Pennsylvania Transportation Authority
フィラデルフィアとその周辺の高架鉄道,地下鉄,LRT,バスなどを運行する
準公共の交通局.このうちLRTに相当するのはSubway-Surface Trolley Lines
と呼ばれ,ダウンタウンは地下を,郊外では地表を走り,トロリーとなって
いますが,バスではなくLRV(路面電車)で川崎重工製車両が使われています.


1992年にPCCカーの老朽化を理由に,3つの系統がバス代行となりました.
時の市長はこれを認める代わりに,いずれLRT化して復活させることをSEPTA
に約束させます.この時の計画では新たにLRVを購入し,それを川重車両が
走っている他の路線に投入し,余剰となった川重車を15系統他に投入すると
いうものでした.

しかしSEPTAは1997年になってもPCCカーの売却だけに留まっていました.
それを見た市長は,市議会を通じてSEPTA側に予算を通したければ約束を守る
ことと,半ば脅かしをかけます.しぶしぶSEPTAは15系統の地上設備更新の
ための予算を組込み,それで軌道や架線などが徐々に整備され始めます.
路面電車の優先信号も設置されました.その後は市長交代などで復活計画が
再び頓挫しそうになりましたが,何とか復活路線は継承されていきました.

2000年には予算の都合から計画が変更されて,道路内での専用軌道化などが
この段階で消滅しましたが,PCCカーを復元させるというアイディアも出てき
ました.LRVが予算不足で買えないというところからの発想の転換です.
路面電車の運転手からたたき上げたSEPTAのジェネラルマネージャーの思い
付きだったそうで,この段階でもSEPTAは50両もの無用となったPCCカーを
まだ保有していたのですが,これを活かさない手はありません.
幸い同じペンシルベニア州に改造できる業者(Brookville Equipment )があり
LRV新車購入の約半値となる1両130万ドルで契約成立です.
同社は2002年から改造にとりかかりますが,1年余のうちに18両のPCCカーII
を完成させます.外郭以外はほとんどが新車同然でした.
【フィラデルフィア】9/04からPCCカー復活 に簡単に記載しています.

実はこの18両については,車両数が少なすぎるという意見があります.
運行には15両が必要で,3両が予備です.SEPTAでは予備車両は15%以上必要と
定めた内部規則に従ったまでとしていますが,SEPTAで保守関係の仕事をして
いた人によれば,今回のPCCカーIIのような特殊で小所帯の場合には.15両に
対して予備車は6両最低必要だということです.万一の際はバスで代行される
ことになります.

15系統はフィラデルフィアのダウンタウンより北側を,東西に横断する路線
で,ダウンタウンに北から出入する他の路線とほとんど接続しています.
この路線が1992年にPCCカーからバス代行になった3路線のうち,最初に復活
の対象となったのは,走る道路の幅が広い区間が多かったからのようです.
(wikipediaにわかりやすいSEPTA 路線図があります)

なお沿線でも歓迎の温度差があるようです.車両も線路などの施設も整った
昨年に復活できなかったのは,philly.comの記事によれば車庫への引込み線
沿線の住民が,これまでのように路上駐車できなくなるからと反対していた
からのようです.結局6月に市長が乗り出して解決したようですが,その後の
準備には3ヶ月を要しました.PCCカーIIの点検整備や登録の問題,運転士の
再教育などが必要だったからです.

これに対して15系統の路線が走るジラードアベニュー(Girard Ave.)のうち
Art Museum/Fairmount地区,Northern Liberties地区などでは,路面電車の
復活を契機にジラードアベニュー沿いの再活性化を図ります.位置としては
スクーキル(Schuylkill)川から東端の終点近くまでの間に相当します.

具体的には2001年に通りの商店街組合的な存在と思いますが,ジラードアベ
ニュー連合(Girard Avenue Coalition)が結成され,地域の改善と企業誘致を
進めていきます.住民も関心を持つようになり,路面電車復活は単なる交通
機関の問題だけに留まらず,地域再活性化問題の一つとして扱われるように
なりました.路面電車が開発計画と連動すると,経済効果をもたらす触媒の
ような働きがあることが認識されはじめたのです.
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(1) | TrackBack(3) | 米国北東部 このエントリーを含むはてなブックマーク
この記事へのコメント
トラックバックありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by かーくん at 2005年09月23日 23:55
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