2005年09月18日

【シアトル】バストンネル2年間の一時閉鎖

一時閉鎖の話題はニューヨークの地下鉄駅とウィーンの地下鉄一路線を紹介
していてこれで3度目ですが,今回は閉鎖されている期間が2年間と長く,
影響が及ぶ人数もこれまでとは桁違いになります.

シアトルのダウンタウン三番街(3rd Ave.)の真下にはトンネルがあり,毎日
(平日)1千台以上のバスが行き交っています.これらは郊外とシアトルを結ぶ
路線バスで,市内だけを行き来する路線バスはトンネルではなく地上を走っ
ています.トンネルは通勤バス専用なのです.

シアトルのダウンタウンは南北に長く,東西には狭い上に急坂です.ここに
どうやって公共交通機関を通すか,特に郊外から通勤客を運んでくるバスを
どこに走らせるか,これが長年の懸案でした.バスで道路は飽和状態になっ
ていたのです.1980年代には地下にトンネルを掘り,南北のターミナル間を
結ぶ交通機関の導入が検討されましたが,南北ターミナルでの乗換えを避け
たいため,妥協策として今日のバストンネルが考え出されました.

デュアルモードバスを使って郊外では普通にディーゼルエンジンで走り,
トンネル内ではトロリーで集電してモーターで走ります.昨年まではこの
ハイブリッドトロリーバスがトンネル経由の路線に投入されていましたが,
昨年からハイブリットバスに置き換えられました.トロリーバスは地上路線
に移っています.地上もトロリーバスが縦横に走れるようになっています.
(「あの儀式はなくなっていた」でも紹介しました)

トンネルは1987年3月に建設を開始しますが,その際には将来ライトレールに
転用できるようにと,レールも敷設することになったのです.これは当時の
市議会議員で,今はウォーターフロント・ストリートカー(路面電車)に名を
残すGeorge Benson氏の勧めだったそうです.すでにこの時点で米国ではLRT
ブームが到来しており,西海岸だけでも1981年のサンディエゴ以降,ポート
ランド,サクラメントやサンノゼなどが,ちょうど着工の時期に次々とLRTを
開業させていました.シアトルでも将来に備えたわけです.

トンネルは4億4400万ドル掛けて完成され,トンネルを走るバスは1990年9月
より運転を開始します.1996年にはSound TransitによるLRT計画も発表に
なり,トンネル区間が活用されることになっていました.
しかし1998年キング郡の監査報告により,敷設されているレールが絶縁され
ていないことが判明し,そのままでは漏電して迷走電流で水道管などを腐食
させる危険性があるため使えない事態となりました.投資が無駄になって
しまったのです.

レールを敷き直さなければならない関係で,トンネルの閉鎖期間は順調でも
2年に及び,トンネル改修とわずかな延長に2600万ドルが投じられます.
また低床車両(バスとLRV)とプラットフォームの高さをあわせるため,道床を
6インチ(15cm強)を掘り下げることも予定されています.これはトンネル建設
時には低床車両がまだ普及しておらず,配慮されていないからでした.なぜ
ホームのかさ上げではなく,道床のほうを下げるのかはわかりません.

その他にも諸施設を現在の国土安全保障上の基準に摘要できるようグレード
アップしたり,LRT運転時の折返し場所と将来のLRT北進に備えた準備として
新たにトンネルを掘削しています.

予定では2007年9月にはトンネルが再開されて,これまで通りハイブリッド
バスが通るようになり,2009年7月には待望のLRTも開通予定です.LRT開通後
トンネルはバスとLRVの両方が共用しますが,信号保安関係をどうするのか
興味を惹かれます.1.3マイル(2km強)に及ぶ見通しの効かない地下区間での
バスとLRTの共用,それも直径18フィート(5.5m弱)のチューブ型トンネルで,
すれ違いこそないものの,頻繁に両者が続行することを要求されるシステム
においては,北米では初めてのはずで,世界的にも過去ドイツのエッセンで
実施されていたこともありますが,すぐに止めてしまいました.
ペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)では,マウント ワシントン
トランジット トンネル(Mt Washington Transit Tunnelで,1977年から路面
電車(のちにLRT)とバスが,長さ3500フィート(1km強)の2車線の幅をもつ山岳
トンネルを共用している例があり,そこでは道路信号機が使われています.


工事期間中,平日は21路線1100台のトンネル経由のバスが,36000人を乗せて
全て地上を走ることになります.
ラッシュの時間帯,午前6時から9時までと午後は3時から7時までトンネル上
の三番街(3rd Ave.)はバス専用になります.9/26月曜日からの実施ですが,
相当な混乱と混雑が生じるでしょう.2年間です.

なおトンネルは日曜日には元々閉鎖されており,平日より短い時間帯だけ
使われていた土曜日も,一足早く5月から閉鎖しています.

Traffic rerouting to begin next week
(Seattle Timesの 9/09付けニュースへのリンク)
Third Avenue Shuffle
(Seattle Weeklyのニュースへのリンク)


ハイウェイを夜間通行止にしてこの土日に行なわれているLRTのための調査

LRTは湖に浮かぶ橋を渡れるか? で紹介した,浮き橋の挙動をモニターする
ためライトレール車両に見立てたトラック群が,昼間シアトル側で待機して
いるところを,州運輸省のハイウェイ トラフィックカメラで今朝見ることが
できました.橋の真ん中にもカメラがありますので,隊列を組んで走って
いる場面も見たいものですが,走行はどうやら夜間だけのようで,真っ暗で
何も見えません.試験が続けられればシアトルは日本より8時間進んでいます
ので,日本時間9/19の未明から朝にかけても見られるでしょう.
Seattle Traffic Camera (City of Seattleのサイトへのリンク)
I-90 at 18th Avenue South (シアトル側)
I-90 Midspan (橋の真ん中)
posted by NeiTech at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 米国北西部 このエントリーを含むはてなブックマーク
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