首都ブラチスラヴァ(Bratislava)が同国内の西端にあって,ドナウ川も
流れる両市の間は意外に近いものです.鉄道や都市間バスが1時間前後で
結んでいる他,ブラチスラバの空港(BTS / LZIB)を,括弧つきながらも
ウィーンと記している格安運賃が売り物の航空会社もあるほどです.
スロバキア(Slovakia)も,2007年12月からはシェンゲン協定(Schengen
Agreement)により,協定加盟国との間の国境通過の手続きが簡素化され
ました.空港は2008年3月まで待たなければなりませんが,陸上と水上の
国境では,すでに旅券の提示なしでオーストリアとの間を出入できること
になっているはずで,従来にも増して人の往来が多くなることでしょう.
そのウィーンとブラチスラヴァの鉄道輸送に,ウィーン近郊のバーデン
(Baden)への鉄道を早くから走らせていた,Badner BahnことWLBが興味を
示しているという話題が出てきました.市電(Wiener Linien)の軌道を
使って,オペラ座の前まで電車を乗り入れている会社です.
WLB: Wiener Lokalbahnen
WLBは株式会社で,大半の株はウィーン市が所有しています.
WLBでは現在Wolfsthalまで走っているSバーン(S7)と同じルートを使い,
Wolfsthal(S7の終点)から,ブラチスラヴァ近郊Petržalkaまでの7キロを
整備することを考えています.これはÖBBが走らせている両都市間の経路
とは異なります.大戦後にWolfsthal - Petržalkaの軌道は撤去されて,
以降はそのままなのだそうで,その部分だけで,7千万ユーロは掛かると
見積もられています.
ブラチスラヴァ側は,空港へ乗り入れを考えているようですが,注目は
ウィーン側のターミナルです.今のバーデンへの路線のように,オペラ座
前のような中心部から発着させたいと,WLBでは考えているそうです.
この構想を取り上げた記事は,ウィーンとブラチスラバ間をトラムが走る
というように紹介し,ライトレール(原文もLight Rail)プロジェクトと
呼んでいます.
2012年末か2013年の実現を目指しますが,それには新たに60本の車両が
必要とされ,ウィーン市内のトラム路線網に乗り入れるには,交直両用で
なければなりません.1本あたり300万ユーロとみられます.
空港連絡はウィーン側でも検討されていています.S7がウィーン国際空港
(Flughafen Wien-Schwechat / VIE / LOWW)の地下にある駅も通っている
からです.ブラチスラバからのトラムが,ウィーン空港を経由して同市
市内で市電路線網に乗り入れできれば,中心部と直結してトラムトレイン
のようで便利になるでしょう.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
26.12.2007 Badner Bahn wird Bratislava anfahren
(Wirtschafts Blatt ニュースへのリンク)
27.12.2007 Badner Bahn will nach Bratislava
(Kurier ニュースへのリンク)
Reise Österreich Mit Straßenbahn nach Bratislava: Wiener
Lokalbahnen prüfen Verlängerung der S7
(News Networld ニュースへのリンク)
Kurier紙の記事にあるInfografikをクリックすると,ウィーン側の起点が
オペラ座前(=Karlsplatz)になっている地図を見ることができます.
ウィーンの街中でULFとすれ違うWLBの電車:
ただしこの話,必ずしも全てのメディアが取り上げているわけではなく,
鉄道関係の情報や意見が交わされる現地の掲示板では,クリスマスで酒を
飲み過ぎたのではないかというタイトルのスレッドがありました.この
数日間に既に10ページ目まで進んでいます.
Was zu viel Alkohol über Weihnachten anrichten kann: Badner Bahn
nach Bratislava (Eisenbahnforum Österreich へのリンク)
その他,今月はオーストリアのシーメンスが,ウクライナのキエフ(Kiev
/ Кив)向けの路面電車車両を,2011年までの納入で100両受注する
だろうという話がありました.正式契約はまだですが,2008年秋には2本
から5本程度の車両を製作する模様で,詳しいことは不明です.
13. Dezember 2007 Straßenbahn-Großauftrag in Kiew
(APA)の記事 (derStandard.at ニュースへのリンク)
誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

この記事は12/2007と1/2008の2回で、現在も運行している2本のウィーン〜ブラチスラバ(Pressburg)間の鉄道ルートと、現在は途切れている旧Pressburgerbahn・現S7について変遷を紹介しているものです。
1/2008には旧Pressburgerbahnルートの現状の写真が4枚掲載されています。
発売から間もないですから、洋書屋さんで手に入るのではないかと思います。ご参考まで。