2008年01月27日

【パリ】T3は経済的にマイナスとの報告出る

パリ市内を走る路面電車としては69年ぶりの復活になる,市南部を走る
トラムT3が2006年12月に開通して早くも一年余が経ちます.昨年12月の
時点で一日の利用客が平均10万人に達し,路線バス(PC1)の時代と比べて
66%の増加となっているそうです.利用客の半数以上(52%)がパリの近郊
(banlieue)を発着地点としており,7.4%は近郊から近郊へ向かうという,
放射状の路線ではない周回路線ならではの利用もされています.

しかし,このトラムT3(計画名Tramway des Maréchaux)に対して,極めて
否定的な調査結果が発表されました.利用者千人からの聞き取り調査を
元にしたもので,市内3つの研究機関がまとめました.

それによれば,トラム開業をきっかけに自動車利用からトラムに切替えた
人は,トラム利用者のうちの2.6%で,パリ市内の自動車交通量のうち,
千分の一相当の交通量を減らしたに過ぎないとしています.
また,トラムの走る通りだけは自動車が減っても,周辺の道路はかえって
混雑が増しているため,二酸化炭素排出量がむしろ増加しているとか.

トラムが利用者にもたらした経済効果は,時間節約で年間4百万ユーロと
算出されますが,その他の効果,たとえば乗り心地の良さとか,地下鉄の
混雑が減ったというようなことは,測定不能として価値として年間4百万
ユーロに留めたのに対し,自動車利用者にもたらされた経済的不利益は,
トラムが通ることで,その通りだけでなく交差する道路も走り難くなった
ことや,迂回する車で周辺道路が混雑したことから生じる損出が,年間で
3千3百万ユーロになると弾き出しています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
23 Janvier 2008 Tramway des Maréchaux : un bilan 'fortement
négatif' selon un rapport d'universitaires

(Le Perroquet Libéré ニュースへのリンク)
この記事では調査結果の概要と,調査機関の概略が紹介されています.
そのうち一つの公式サイトで,詳細な内容をPDFファイルで見ることが
できます.次のリンク先からたどってください.Pierre Kopp > Tramway
(Pierre Kopp 公式サイトへのリンク)

これに対してパリ市は,すぐさまウェブ上で反論しています.調査結果が
公開された翌日には市の公式サイトに掲載されていました.
24/01/2008 Réponse de la Ville au rapport sur le tramway des
Maréchaux
(Ville de Paris パリ市 公式サイトへのリンク)

たとえば,時間短縮の経済効果を時間あたり10ユーロで調査報告は計算
していますが,RATPは公共交通の時間短縮効果を同16ユーロの価値がある
とみなしていたり,トラム利用者のうち10%は,これまでメトロやバスの
ユーザーではなかった新規顧客と見積もっていることを挙げています.
また,自動車利用からトラムに乗り換えるというような習慣の変化には,
少なくとも二三年掛かるとして,たった一年で移行が少ないと結論を出す
のは時期尚早とも主張していました.

今年3月には,パリ市長選が控えています.

関連過去ログ:
2007/10/12 T3延長の進展と環状線計画の話題
2007/6/14 ダイヤ改正でT3速度アップと増発へ
2007/1/01 T3はなぜ路面電車で建設されたか

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.
posted by NeiTech at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | フランス II このエントリーを含むはてなブックマーク
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