地元に工場のあるスペインを代表する鉄道車両メーカーのCAFを含む企業
連合体(UTE)のTRAZAが,アルストムが参加するIRIDIUMを抑え,35年間の
トラム運営権を獲得する見通しとなりました.
CAF: Construcciones y Auxiliar de Ferrocarriles
UTE: Unión Temporal de Empresas
車両メーカーとしては両者の一騎打ちとなったこの勝負,すでに今月初め
より,路線建設費の提示価格は高いにもかかわらず,CAFの有利が伝え
られていました.理由は技術的な面で勝っているからと言われています.
CAFの受注により,車両はセビリアなどに投入されている電車の改良版,
URBOS III(モデル名)に決まります.もちろん,サラゴサのCAF工場で製造
され,車両長33m(将来43mへ延長可能),車両幅2.65m,最高時速50キロに
抑えられますが表定速度時速19キロに及ぶ,100%低床式です.
その最大の特徴は,何と言ってもACRと呼ばれる急速充電可能な大容量
キャパシタ搭載による,架線レス走行対応でしょう.回生ブレーキによる
消費エネルギーの35%削減も,同時に図られます.
ACR: Acumulador de Carga Rápida
景観保護の観点から架線を張らない区間は,グランビア(Gran Vía)と,
サンチアゴ橋(Puente de Santiago)の間で,これは2013年後半開業予定の
第二期区間にあたります.
CAFの架線レス対応トラムは,まだ営業運行に就いていませんが,第一期
開業までに間に合わせる必要がなく,その点では実用化から数年が経つ
アルストムと比べても,市は引けをとらないと判断した模様です.
着工は当初より遅れていますが,今年8月後半に予定され,第一期区間は
2011年6月末,第二期区間は2013年後半の開業が見込まれています.
総工費は当初の4億ユーロから,3億5570万ユーロになりました.
公式発表と代表的な報道:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
10/06/2009 Adjudicada de forma provisional a TRAZA la participación
como socio privado en la gestión del servicio de tranvía
10/Jun/2009 El Ayuntamiento adjudica provisionalmente el tranvía a
TRAZA y las obras podrían iniciarse en agosto
(Ayuntamiento de Zaragoza 公式サイトへのリンク)
10 Jun. FCC, Acciona y CAF se adjudican el tranvía de Zaragoza
por unos 340 millones de euros (Europa Press ニュースへのリンク)
10/6/2009 La UTE Traza gestionará el tranvía de Zaragoza durante
los próximos 35 años y creará 300 puestos de trabajo
(Aragón Digital ニュースへのリンク)
公式サイトにある路線図など: Proyecto de la línea norte-sur
(Tranvía Zaragoza = Ayuntamiento de Zaragoza 公式サイトへのリンク)
ここにある路線図上で,赤い部分が架線を張らない区間になります.
【サラゴサ】トラム関連ログ:
2009/2/11 トラム路線2009年4月着工へ(2)
2008/7/18 トラム路線2009年4月着工へ
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