2009年06月28日

【ワシントンDC】車両老朽化の対策に苦悩

2007年8月に起きたミネソタ州のハイウェイ崩落をきっかけに,全米で
道路関連施設の老朽化が指摘され,その補修が後の連邦予算に反映されて
いきましたが,主に東海岸に点在する老朽化した車両や設備を数多く抱え
ている通勤鉄道に対しても,同じようにいくでしょうか.

ワシントンDC北部でWMATAの運行する地下鉄(メトロレール=Metrorail)が
追突事故を起こして以来,国家運輸安全委員会NTSBの現場検証のため,
ラッシュ時だけ単線で運転されていた区間も,現地時間土曜(6/27)から,
徐行運転は残るものの,ほぼ平常通りの運行に戻ったそうです.
WMATA: Washington Metropolitan Area Transit Authority
NTSB: National Transportation Safety Board

それに先立ち,犠牲になった女性運転士の葬儀も行われ,NTSBの調査結果
から,ATOによる自動運転中に非常ブレーキが作動していたことが明らか
になっていたこともあり,被害を最小限に食い止めたとして,参列した
WMATA責任者は彼女をヒーローとして偲んだことも,伝えられています.

この事故の原因究明は,NTSB主導のもとで行われますが,今後数週間から
数か月かかると言われています.
現時点で判明しているのは,追突した112列車がATO運転中であったこと,
非常ブレーキが作動していた形跡があること,先行列車(214)の運転士は
手動運転中で,前方駅に別の列車が停車中のため停止していたと証言して
いること,そしてNTSBの再現によれば,その先行列車の存在がシステムに
検知されなかったことです.これで,軌道回路の問題が浮上しています.

6/25時点のNTSBの発表:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
June 25, 2009 NTSB Issues Update On Investigation Into Collision
Of Two Metrorail Trains In Washington, D.C.

(NTSB 公式サイトへのリンク)
車両番号まで記載された,News Q & A: June 22 Red Line Collision
(WMATA 公式サイトへのリンク)
これによれば,112列車の組成は,1079-1078-1071-1070-1130-1131.

一方メディアのほうはと言えば,追突した列車が1970年代から走り続けて
いる最古参(1000シリーズ)の6両で組成され,実はこの1000シリーズが
三年前に安全上の懸念から当局に退役を提言されていた事実が明るみに
なっており,その時に車両を置換えてさえいれば,事故は防げたかもしれ
ないとして,そのまま使い続けたWMATAの責任を問う姿勢です.

もっとも1000シリーズが問題視されたのは,衝突時の耐衝撃性が後に導入
された車両より劣るということで,追突そのものが防げたわけではなく,
衝突による車両の破壊の程度が軽減されて,犠牲者の数が減っていたかも
しれないというものです.

WMATAでは現在,1000シリーズだけの列車組成を止め,編成中央に封じ
込めることを検討しています.これにより両端が耐衝撃性の高い比較的
新しい車両になり,今回のような衝突でも車両の破損が抑制されるのでは
ないかと期待されています.
June 26, 2009 Metro Board to Consider Scrapping Older Train Cars
(WJLA-TV ABC 7 News ニュースへのリンク)

WMATAが車両の置換えを進められなかったのは財政難からですが,メトロ
レールの車両は全部で1126両あり,うち290両が1000シリーズで,全体の
四分の一近くを占めます.この置換えには最低でも8億1100万ドル掛かる
そうです.それに加えリースバック方式のため,1000シリーズの支払いは
2014年まで続くことになっています.

従来ハイウェイへの対応に比べて軽視され続けた公共交通への投資は,
ここにきて景気対策法により若干の改善が見られ,幾つかの新規事業など
には弾みがつきつつあるようです.
しかし,その施設などの三分の一は最低ラインの状態と,この4月にFTAに
査定された,年間30億旅客キロの輸送実績がある全米7都市の通勤鉄道に
関しては,今後も更に利用者数が増え続けると予想される中においても,
老朽化対策に必要な巨額な資金用に回ってくる連邦予算は,これまでの
ところ全くありません.

旧型車の置換えが困難な現状を伝え,事故原因の解明前にも関わらず,
今回の事故が今後に与えるかもしれない影響を示した報道:
Jun. 26, 2009 The Metro Crash: A Nation's Aging Transit System
(TIME へのリンク)
June 27, 2009 D.C. Metro Crash Highlights Underfunding of Public
Transit Systems
(ABC News ニュースへのリンク)

今後,軌道回路の不具合などが立証され,それも老朽化が引き金だった
ともなれば,風向きが変わってくるでしょうか.

内容が間違っていたりリンク切れがありましたら,ご容赦ください.
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2009年06月02日

GMの工場でライトレール車両建造!?

GM経営破たんの報に接し,古くはNational City Linesの一件に始まり,
溜飲を下げる思いをした人も少なからず世の中にはいるようです.
その代表格としてドキュメンタリー映画の製作だけでなく,左派寄りな
政治活動でも知られるマイケル・ムーア氏のブログが,英語圏メディアで
盛んに紹介されています.

彼の初期の作品に映画Roger & Meがあり,これが出身地のGM工場が閉鎖
されたことをきっかけに,その後の物語を映し出したものだっただけに,
今日のGMを予見していたというタイトルの記事も見られるほどです.

マイケル・ムーア氏は,今回ブログの中で今後の要望を記しています.
その中には,全米の拠点間に高速鉄道網を張り巡らし,中規模以上の都市
にはライトレールのような大量輸送機関を整備するプログラムをおこす
というものがありました.

その狙いには,自動車を製造するだけでは不要になってしまう工場で,
高速鉄道やライトレールの車両を製造することで,地域経済や雇用を守る
ということも含まれています.

氏のブログと,それを取り上げた記事を一つだけ:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
June 1st, 2009 Goodbye, GM ...by Michael Moore
(MichaelMoore.com へのリンク)
June 1, 2009 For Michael Moore, It’s ‘Roger & Me & Bankruptcy’
(The New York Times / DealBook Blog へのリンク)

具体的な裏づけはありませんし,今は現実的な動きも何もありませんが,
そうなればいいと考える人が少なくなくても,今日なら不思議ではない
かもしれません.

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2009年05月27日

【クリーブランド】二代目レイクショア電鉄の挫折

かつてオハイオ州クリーブランドを走っていたインターアーバンのレイク
ショア電鉄(Lake Shore Electric Railway)の名を引継ぐ非営利団体が,
観光客向けに保存する車両をクリーブランド市内で走らせる事業構想を
いだいていましたが,景気低迷により打撃を受け,このたび断念するに
至ったとの報道がありました.概要はAP通信でも配信されています.

Lake Shore Electric Railway(非営利)が事業を断念したことによって,
クリーブランドのエリー湖岸に面した埠頭に保存されている30両余の保存
車両は,この7月にも競売に掛けられることになります.
これらの車両は,数年前まで十数キロ離れたオルムステッドタウンシップ
(Olmsted Township)にあった博物館(Trolleyville U.S.A.)から来たもの
で,それまでその地で週末を中心に短い距離を走っていたそうです.

Lake Shore Electric Railwayも,クリーブランドのエリー湖畔に軌道を
敷いて,昔の車両を運転しようと考えていたのでした.
残念ながらその構想は実現しませんが,競売で得られた資金を元にして,
RTAの鉄道線上で1両か2両程度の電車を走らせることになるかもしれない
模様です.
RTA: Greater Cleveland Regional Transit Authority

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
May 26, 2009 Lake Shore Electric Railway Inc. may be forced to
auction 30-plus trolley car collection

(The Plain Dealer ニュースへのリンク)

残念ながら公式サイトには繋がらないようなので,投稿画像からですが,
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
Temporary Housing for the Lake Shore Electric Railway
by sofafort (flickr)
Temporary Housing for the Lake Shore Electric Railway
Taken on September 28, 2008

その他のリンク: sofafort's photostream / Tags
Lake Shore Electric Railway by OhioJ (set)

Lake Shore Electric Railwayが車庫を建造したかった場所が,RTAの運行
するウォーターフロントライン(Waterfront Line)の沿線にあります.
他のRTA鉄道線と異なり,1996年開通と比較的新しいこの路線は,都心の
ハブ駅(Tower City)と,エリー湖畔のノースコーストハーバー地区を結ぶ
ものです.

残念ながら平日は,利用者低迷で昨秋のダイヤ改正より朝夕ラッシュ時に
30分間隔の運転だけとなってしまいましたが,休日の日中は20分間隔に
なりますし,イベント開催時などは増便されるようです.

一両か二両を手元に残して,将来RTA線上の何処で運転させることになる
のか,現時点では定かではありませんが,博物館やイベント会場などが
あるノースコーストハーバー(North Coast Harbor)へ行き,その沿線に
車庫と博物館を建造して運転しようとした経緯もあることから,ウォー
ターフロント線が本命なのでしょう.
ダウンタウン方面からエリー湖畔に出る直前に,大きくCSX線をまたぐ
オメガ状のカーブが,印象的な路線です.

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【デトロイト】市が民間計画の早期着工に懸念

GMの行く末こそ昨今のデトロイトでは最大の関心事かもしれませんが,
この街には現在,軌道系の都市交通が二つ計画されています.
一つは3.4マイル(5.47キロ)と短距離の,建設予算も1億2500万ドル程度の
ストリートカーで,もう一つは8マイル(約13キロ)程度と少々長いライト
レール計画です.

同じ通りを走ることになる両者ですが,ストリートカーは民間主導で資金
調達が行われるのに対して,ストリートカーの区間をも含む距離の長い
ライトレール計画は,デトロイト運輸省(DDOT)の管轄のもと,2007年時点
での必要経費は3億7千万ドル以上とされていて,その半分以上を連邦の
補助金を頼りにした,マッチングファンドで賄おうとしているものです.
DDOT: Detroit Department of Transportation

昨年より両者はいずれ統合されると見られていて,M1 Railと名称が改め
られた民間ストリートカー計画の代表者が先週,M1 RailはDDOTのプラン
(Detroit Transit Options for Growth)の第一期区間になるとして,今後
市と協働するとの合意に達したと発表を行っていました.これによって
M1 Railは年内のできるだけ早い可能な時期に着工され,二年以内に開業
できるだろうとの見方が示されていたのです.

しかし,これで万時収まるのかと思いきや,デトロイトの市長はこれに
異を唱え,M1 Railの年内着工は避けたいとの意向を示したことが,昨日
になって報じられています.

市長が懸念しているのは,DDOTの計画では連邦補助金が頼りなだけに,
先走ったM1 Railの行動がそれに与える影響です.具体的には環境調査が
完了していないうちにM1 Railが着工することで,その完成後にDDOTの
計画の残りの区間への分が出なくなるなどの問題がある模様です.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
May. 26, 2009 Detroit’s M1 Rail project could jeopardize future
federal funding, city warns

(Crain's Detroit Business ニュースへのリンク)
先週のM1 Railの発表を伝える記事(路線図へのリンクあり):
May 22, 2009 Detroit light rail moves forward
(The Detroit News ニュースへのリンク)

詳細がなかなか見えてこないM1 Railと,DDOTの計画には,同じ通りを
走るにしても,車両タイプの相違に加えて,道路の中央分離帯の中を走る
(DDOT)のか,路肩走行(M1 Rail)かといった違いがあることも,今回の
報道で明らかにされています.

【デトロイト】M1 Rail関連ログ:
2009/3/15 M1-RAIL計画を民間財団も支援
2008/4/23 ライトレール 対 路面電車?

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2009年05月14日

【サウスジャージー】DMUのLRT計画明らかに

ニュージャージー州と言えばニューヨークの隣という印象がありますが,
南部にはデラウェア川を挟んでフィラデルフィアと向き合うカムデンも
ありますし,それより更に南も含まれています.

そのカムデンを起点として,州南部(サウスジャージー)のグロスター郡
(Gloucester County)へ向かうライトレール計画が先日,州知事により
明らかにされていました.

カムデンではフィラデルフィアへ行くPATCOの電車や,州都トレントンへ
向かうライトレールのリバーライン(River LINE)とも接続し,そこから
Conrail所有の貨物線を走り,人口一万の郡都ウッドバリー(Woodbury)
などを経て,同二万弱のグラスボロー(Glassboro)を目指します.

現在NJ Transitが運行しているライトレールのリバーラインと同様に,
非電化の貨物線上を走るため,ディーゼルカーによる運転です.
総延長は約18マイル,20億ドル近い費用が掛かりますが,ウッドバリー
までの8マイルを先に開通させる予定で,そこまでは6億ドルと見積もられ
ています.
説明によれば,この6億ドルのうち5億ドル少々は基金から保証されている
そうで,2011年までには着工され,2015年頃の開通が期待されています.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
May 12, 2009 Light rail line coming to Woodbury
(Gloucester County Times ニュースへのリンク)
May. 13, 2009 Plan for Gloucester County commuter rail link to
Phila. outlined
(The Philadelphia Inquirer ニュースへのリンク)
May 13, 2009 Light rail plans finally on track
(Cherry Hill Courier Post ニュースへのリンク)
Gloucester County Timesの記事には,路線図などもあります.

上の記事にも書かれているように,ハイウェイにBRTを導入したり,NJ
Transitアトランティックシティ線の改善なども計画に含まれています.

BRTなどはこれから調査検討に入るようですが,ライトレールは導入も
走行ルートも決定事項で,来月から行われる公聴会でも,議論の対象と
なるのは駅の位置などに留まるようです.

グロスター郡への計画は色々あったようで,貨物線を利用する安上がりな
方法が今回選ばれた格好ですが,利用者も一番多いと考えられています.
元々はウッドバリーには旅客鉄道が走っていました.それが1960年代後半
には廃止され,以降は街も衰退傾向だったとか.州知事の発表を聞きに
集まった住民らは,半世紀近くぶりに旅客鉄道が戻ってくることを喜ぶ
のと同時に,土地の価格も上がるとして計画を歓迎していたそうです.

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2009年05月08日

【景気対策法】LRTへ補助金交付一部前倒しへ

9つの州で進行中の公共交通計画の促進に,景気対策法(ARRA)から総額で
7億4250万ドルに及ぶ資金を出すと,連邦運輸長官が発表しています.
ARRA: American Recovery and Reinvestment Act of 2009

これは既に連邦機関と公共交通事業者との間で補助金契約(FFGAs)が結ば
れている計画に対して,その補助金金額そのものが増えるわけではない
ものの,本来なら数年にわたって少しずつ交付されるはずだったものが,
今回割当の金額に関しては前倒しして出されるというものです.
FFGAs: Full Funding Grant Agreements

これによって資金調達の費用が節約されるため,地域経済は一息つける
ことができ,景気刺激剤(stimulus)としての面目躍如が期待されます.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
May 07, 2009 Transportation Secretary Ray LaHood Announces $742.5
Million in Federal Recovery Act Funds to Pay for Transit Projects
in Nine States
(U.S. Department of Transportation へのリンク)

上の発表にも記されていますが,対象となった計画のうちライトレール
関連では,次の7つです.

シアトル (工事中のUniversity Link Light Railに) 4400万ドル
ポートランド (今夏開通予定のグリーンラインに) 3200万ドル
ロサンゼルス(今夏開通予定のゴールドライン延長分に) 6670万ドル
フェニックス(昨年末に開業した分? に) 3600万ドル
ソルトレークシティ (工事中のMid Jordan Light Railに) 9090万ドル
デンバー(FasTracksのWest Corridor Light Railに) 4000万ドル
ダラス (Northwest Southeast 各延長分に) 7840万ドル

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2009年04月04日

【D.C.】アナコスティア計画は2012年に?

ワシントンD.C. 南東部のメトロレール,アナコスティア(Anacostia)駅
周辺で計画中のストリートカーは,3月の時点で運輸省(D.C. Department
of Transportation)から,まもなく発表があるとの話がありましたが,
ワシントンポスト紙が報じるところによれば,完成は2012年にずれ込むと
当局が語っているそうです.

着工式だけはとうの昔に行われ,1千万ドルを投じストリートカー車両も
3本購入していますが,置き場がDCにはないことから,製造メーカーの
シュコダ(Škoda)の地元チェコで保管されています.

そもそもアナコスティアの計画は,今後二十年間のDCの公共交通網整備を
目指す為のデモンストレーションです.このため建設に支障がない地域と
してアナコスティア地区が選ばれていますが,公共交通として利用される
見込みのないルートであったために,手直しが考えられています.

少しでも利用客のいそうなルートが求められていますが,最新の提案も
他の案件と干渉するようで,すんなり話が進まないこともあり,2009年の
予定が2012年になるという話が漏れ出た模様です.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
April 2, 2009 Anacostia Streetcar Plan Runs Into Delays
(Washington Post ニュースへのリンク)

この遅れにともない,チェコでの車両保管経費として,86万ドルが税金で
賄われることになることを強調した記事も出ました.
Apr. 2, 2009 Nearly $1 Million for Streetcar Storage?
(Washington City Paper ニュースへのリンク)

【米国東部】関連ログ:
2008/7/20 7月中旬Streetcar関連報道から

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2009年03月17日

【アーリントン】路面電車計画に弾み(2)

先週は,ワシントンDC界隈でストリートカーの話題が盛んに出ました.

ワシントンDCのメトロレール,ペンタゴン・シティ(Pentagon City)駅
から,南西に伸びるコロンビア・パイク(Columbia Pike)通り上を,車と
車線を共有しながら走る路面電車計画に,バージニア州アーリントン郡
(Arlington County)が,300万ドルの計画設計費を計上したことを,報道
各社が一斉に報じています.

2008年初めには,州北部の運輸当局(Northern Virginia Transportation
Authority)が,3700万ドル近くを承認していることもあり,これで今後
二年以内に1億2千万ドルが必要とされる建設費の調達,建設,運営維持の
各方法が検討され,実現に大きく一歩を踏み出したことになるようです.

路線は隣接するフェアファックス郡(Fairfax County)Skyline地区までの
約4.7マイル(約7.56キロ)です.このためフェアファックス郡は,費用の
二割を負担することになっています.

今回の3百万ドルは,沿線商業地から交通整備のために徴収される資産税
(real estate tax)を出所としますが,このうち1百万ドル分は,あとから
バージニア州により補償されることになるようです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
March 15, 2009 Streetcars and desire in Arlington
(WTOP Radio Washington, DC ニュースへのリンク)
March 12, 2009 Arlington County expected to OK $3M for Columbia
Pike Streetcar
(Washington Business Journal ニュースへのリンク)
3/15/09 Columbia Pike streetcar plan moves forward
(The Washington DC Examiner ニュースへのリンク)
The Associated Press の記事:
03/16/09 Arlington Streetcar Line to Connect Pentagon City to
Fairfax County
(News Channel 8 ニュースへのリンク)

ワシントンDCのメトロレール(地下鉄)を運営するWMATAも,この計画の
環境計画と基本設計に資金を出します.
WMATA: Washington Metropolitan Area Transit Authority

【アーリントン】関連ログ: 2008/1/16 路面電車計画に弾み

もう一つ,ワシントンD.C. 中心部から南東にポトマック川を渡った先の
メトロレール(Metrorail)グリーンラインのアナコスティア(Anacostia)駅
周辺で計画中の,デモンストレーション的な要素の強い約2マイルほどの
路面電車計画に関して,DC運輸省(D.C. Department of Transportation)
から,まもなく着工の発表があるとの記事が見つかっています.

March 15, 2009 Streetcars on track for return to D.C.
(The Washington Times ニュースへのリンク)
どうやらルートを少し手直しするようです.今後正式な発表があれば,
改めて報じられることになるでしょう.

【米国東部】関連ログ:
2008/7/20 7月中旬Streetcar関連報道から
2008/7/12 7月上旬Streetcar関連報道から

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2009年03月15日

【デトロイト】M1-RAIL計画を民間財団も支援

ミシガン州デトロイトで,川沿いのダウンタウンからWoodward Aveを北上
する官民共同出資のライトレール計画が,必要とされる資金の半分近くを
調達,相前後して関係者は,2010年末にも開業させたい意気込みである
ことが,今月に入って明らかにされています.

昨年末から今年初めにかけて州上院と州知事から計画が承認され,最近は
The Regional Area Initial Link(TRAIL)からM1-RAILへと名前を改めた
ライトレール計画は,すでに紹介の通り全線を路面走行するストリート
カー仕様です.(M=Michigan highway,M1とはミシガン州の州道1号線を
意味し,一般的にはWoodward Aveと呼ばれています)

デトロイト川に近いHart Plazaから,Woodward AveとGrand Boulevardの
交差地点まで,約3.4マイル(=約5.5キロ)のM1-RAIL計画には,1億ドルを
超える資金が必要です.これまでに3520万ドルが民間企業などから集め
られていました.

そこにこの度,The Kresge Foundationという民間団体が,今後数年間に
3460万ドルを提供することが決まり,更にデトロイトのDDAも,毎年90万
ドルを十年間,都合900万ドルの提供を承認しており,今回これだけで
4400万ドルが上乗せされました.
DDA: Downtown Development Authority

クレスゲ財団(Kresge Foundation)の代表者は,M1-RAIL計画がデトロイト
市内の主要な公共施設を結ぶだけでなく,経済発展にも刺激を与えると
評価し,今回のような形での資金提供は,財団にとっては普通ではない
こととしながらも,今は大胆な行動が求められる時だと語っているとか.

州運輸省は,沿線へ資金調達のための課税を認可していますので,これも
2010年度までに800万ドル見込めることにもなるそうです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
March 13, 2009 Woodward light-rail plan past halfway in money drive
March 12, 2009 Woodward light-rail system gets financial boost
(Detroit Free Press ニュースへのリンク)
3/13付けの記事には,地図も掲載されています.
Mar. 12, 2009 Downtown rail loop gets grants from Kresge, Detroit
DDA
(Crain's Detroit Business ニュースへのリンク)

【デトロイト】関連ログ: 2008/12/20 州は道路よりLRT計画を優先

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2009年02月07日

【ペンシルベニア】太陽光発電パネル付電車?

ペンシルベニア州西部のピッツバーグから,更に南西30マイル近くに位置
するワシントン(Washington)で,ソーラーパワーによる路面電車が走る
ことになりそうです.

太陽光発電を発電システムの中に組み込んだ例はトラムの世界にもある
ものの,車体に太陽光発電パネルを装備,発電した電気を走行動力源に
直接してしまうというのは,世界初と紹介されています.

もっとも,その路面電車はワシントンにあるペンシルベニア トロリー
博物館(Pennsylvania Trolley Museum)内を走る,歴史的な価値のある
車両です.
36キロワットの地元企業Solar Power Industries製の光電池装備に必要な
資金 27万ドル余は,ペンシルベニア州の環境省が出します.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
February 4, 2009 Pittsburgh home to the first solar-powered
trolley line in the world
(Pop City ニュースへのリンク)

博物館構内の配線概略: Climb aboard for your ride into the past!
(Pennsylvania Trolley Museum 公式サイトへのリンク)

紹介した記事には,初年2010年に博物館が節約できる電気代見積りは5千
ドルとありますので,運転開始は来年なのかもしれません.また,ピッツ
バーグのライトレールへの導入も検討されるともあります.

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2009年01月18日

【クリーブランド】BRTヘルスライン開業2か月

オハイオ州クリーブランド(Cleveland)で昨秋運行を開始した,米国で今
最も新しいBRT,ヘルスライン(HealthLine)の近況が入ってきました.

2008年12月のHealthLineの利用者数は,2007年12月当時の路線バス6系統
時代と比べて46%の増加がみられ,月間56万3千人以上だったそうです.

RTA全体でも2008年は,運賃値上げやサービス削減という悪条件が重なり
ながらも,夏までのガソリン価格高騰で公共交通利用に流れた人たちが,
その後の価格急落にもかかわらず,自家用車に戻らなかったことが功を
奏したそうで,32年のRTA史上初となる6年連続の増加が確認されました.
RTA: Greater Cleveland Regional Transit Authority

公式発表と,それを伝える記事:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Jan. 13, 2009 RTA ridership up for record sixth straight year
(RTA 公式サイトニュースルームへのリンク)
January 13, 2009 Greater Cleveland Regional Transit Authority sees
2008 ridership rise
(Crain's Cleveland Business ニュースへのリンク)

一方で,ラッシュ時の車内混雑や座席不足,バスが停留所への幅寄せが
不十分なため乗降口との間に隙間があくこと,バス停のベンチの少なさや
隙間風といった,ヘルスラインに対する苦情や不満の声も伝えられます.
January 07, 2009 RTA responds to reader complaints about Euclid
Avenue's new HealthLine

(The Plain Dealer Plain Dealer Architecture Critic へのリンク)

この中では,両側に乗降口のある車両特性を活かし,道路上にいわゆる
島式ホームを設けたバス停では,これまでの左側とは反対の右側に寄せる
必要があるため,左寄せに慣れているバスのドライバーでも,運転席側の
右に上手に幅寄せすることは意外と難しいという話が紹介されています.
そのためバスのステップと停留所の縁石の間に隙間がひらいてしまうの
ですが,停留所は通常の歩道よりかさが高く,路面との段差もあるため,
これが一番多い苦情なのだとか.

島式ホームの例:
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
The new HealthLine bus rapid transit system Along Euclid Avenue
by bankbryan (flickr)
The new HealthLine bus rapid transit system Along Euclid Avenue
Taken on November 28, 2008

さらに,バス停の切符の自動販売機が,いまだに稼動していないことが,
つい先日報じられていました.

RTAは,1千万ドルの契約でダラスに本社があるACSから,124台分の自動
券売機を導入しています.同様のシステムは,ニュージャージー州やテキ
サス州ヒューストン,それにカリフォルニア州などでも採用されている
そうですが,0.6%の確率で切符に日時の打刻が出来ないソフト上の問題が
生じています.
ACS: Affiliated Computer Services

この関係でBRTの売り物の一つである,切符をバス停で購入しておけば,
バスが到着次第どの扉からでも乗車できるということが出来ず,切符を
持たない利用者は前扉からの乗車に限定され,運転手から切符を買い求め
なければなりません.
もっとも,大半の利用者は週間や月間パスを持っていて,乗車時の購入は
少ないらしく,これによる遅延はわずかだそうです.
January 17, 2009 RTA HealthLine ticket machines still not working
because of software problems
(The Plain Dealer ニュースへのリンク)

【クリーブランド】関連ログ: 2008/10/26 BRTで沿線に経済効果

クリーブランドでは,券売機問題はある程度予測していたといいますが,
カリフォルニア州サクラメントでは,券売機の問題ではなく,逆のことが
起きていました.一部で販売された新しい切符にコーティングが施され,
自動券売機で正常に利用開始日時を打刻できないという問題です.

問題の切符は1/01からの運賃値上げに対応した10枚パックの片道切符で,
11万枚余りが販売されています.使っているのは一日約4%の利用者だそう
ですが,乗車日時を記録できない関係で,不正乗車防止の観点からライト
レール乗車の際は,その切符を交換する必要が生じているそうです.

サクラメントのRTは,製造元のノースカロライナ州の会社(Electronic
Data Magnetics)に,かかった経費の補償を求める構えです.

内容が間違っていたりリンク切れがありましたら,ご容赦ください.
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2009年01月17日

【ベセスダ】パープルラインはLRTかBRTか?

ワシントンD.C.の北西に隣接し,米国海軍の大規模な医療センターなどで
知られているメリーランド州ベセスダ(Bethesda)は,数多くの連邦機関が
本拠を構えるほか,D.C.郊外でも有数な高級住宅地だそうです.
そのベセスダには,メトロレール(Metrorail=地下鉄)のレッドラインが
走り,D.C.中心部との間の公共交通は確保されています.

このようにワシントンD.C.中心部からは,放射状に伸びるメトロレールが
整備されていますが,かねてより横の連絡線構想も検討されてきました.
下に路線図のあるページのリンクもありますが,メトロレールのレッド
ラインはU字型の線形で,ベセスダと対をなすもう片方の郊外に位置する
シルバースプリング(Silver Spring)や,更に東方のグリーンラインに,
オレンジラインの末端部とベセスダを結ぶ,全長約16マイル(25キロ)の
路線です.ヨーロッパで言えば,ちょうどパリのトラムのような路線を
イメージすることになるのでしょうか.行政区分上はワシントンD.C.を
走らず,全線がD.C.外縁部に沿うメリーランド州内だけの走行です.

その路線は,パープルライン(Purple Line)と名付けられています.
かつてはメトロレールと同様な地下鉄規格での建設が考えられた時代も
ありましたが,需要予測などから非現実的となり,今はLRTかBRTか二者
択一です.2015年開業が目標で,どちらかに決める時期が刻々と迫って
きています.
BRT: bus rapid transit

パープルラインの東半分が走るプリンスジョージ郡(Prince George's
County)は,鉄道支持ということでライトレール案にかたまっています.
一方ベセスダを含む西半分はモントゴメリー郡(Montgomery County)で,
ここでは一部住民がパープルライン自体に反対しているものの,ライト
レール支持をまもなく郡の議会が承認する手はずになっていることが,
つい先日報じられていました.

ところがその翌日,ワシントンD.C.が本拠の環境シンクタンクのWRIが,
メリーランド州のMTAに,BRTのほうがベストの選択とする報告を出した
ことが明らかになりました.
WRI: World Resources Institute
MTA: Maryland Transit Administration

理由は,BRTのほうがLRTより費用対効果が得られリスクが低いことと,
地球温暖化ガスの排出量を抑えられるからです.

その報告書とは,パープルラインのモード比較検討と環境影響表明書の
草案(AA/DEIS)を分析したものです.
AA: Alternatives Analysis
DEIS: Draft Environmental Impact Statement

AA/DEISでは,LRTとBRTでそれぞれ投資額に応じて三段階に分けられ,
合計六種類の比較がなされています.その中で今回のWRIのレポートは,
中規模投資のBRT(MI BRT)が最良としていました.
MI: Medium Investment

環境影響面に関しては,ライトレールは動力源の電気を発電する過程の
排出量が盛り込まれるため,投資額の大小を問わず温暖化ガス排出量を
削減できないとAA/DEISでは評価され,逆に1600台分の自動車に相当する
年間9千メートルトン二酸化炭素排出量を削減できるとされるBRTが優位
となりました.

経費に関しては,MI BRTが建設費5億8千万ドル,運営費年間1700万ドル,
MI LRTは建設費12億ドル,運営費年間2500万ドルとメリーランド州MTAは
見積もっています.

これだけの差がありながら,現実にはバスより鉄道を好む利用者は多く,
投資額を相殺するほどの利用者数の差が見込まれてLRTが選ばれることも
あるのですが,ここでは利用予測数のモード差が小さいとWRIはみたこと
から,WRI自身はライトレールそのものに反対するわけではないものの,
パープルライン計画ではBRTを推す結論に至った模様です.

これはパープルラインが,都心部と郊外を直結する放射状路線の一つでは
なく,郊外郊外となる環状ルートの一角だからかもしれません.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
01/15/2009 Enhanced Buses Best Option for DC-Area “Purple Line,”
WRI Finds
(World Resources Institute へのリンク)
詳細なレポート(PDFファイル)へのリンクもあります.

このWRI自身のプレスリリース以外は,一部メディアが取り上げただけに
留まっていますが,週明けにはもう少し出てくるかもしれません.
January 16, 2009 Study: Bus transit better than light rail for Md.
(Washington Business Journal ニュースへのリンク)

モントゴメリー郡が,パープルラインにライトレールを推すことを決める
ことになりそうだと伝える記事:
1/16/09 MontCo planning board votes for light rail on Purple Line
(Washington Examiner ニュースへのリンク)
January 16, 2009 Montgomery Planners Back Rail
(The Washington Post ニュースへのリンク)

ワシントンポスト紙のサイトには,パープルラインの情報が満載です.
LRTとBRTの比較WP版: Jan. 8, 2009 Light Rail vs. Bus Rapid Transit
特集ページ: The Purple Line Proposal
想定される路線図: May 31, 2007 Proposed Purple Line Route
(The Washington Post ニュースへのリンク)

反対派の中には,パープルライン計画の一部が鉄道廃線跡であるCapital
Crescent Trail(Georgetown Branch Trail)に沿っていて,この廃線跡は
周辺住民が散歩したりジョギングやサイクリングに非常に良く使われて
いるため,そのトレイルへの影響を懸念する人たちがいます.

Washington Examinerの記事は,ライトレールとトレイルとの競合は,
スペインのバルセロナやドイツのフライブルクなどに好例があるように,
両者の間に植樹することで共存できるという話も,紹介しています.

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2009年01月12日

【コロンバス】大型景気刺激策で計画復活か

一つのキーワードを頼りに,資金が調達できずに頓挫したり棚上げ状態に
なっていた鉄道計画が,再び注目を集めています.
キーワードとはもちろん,まもなく発足の次期政権が掲げる総額1兆ドル
にもなると言われる景気刺激策(economic stimulus)です.

市内人口が75万をうかがうほどの規模ながら,軌道系都市交通を持たない
オハイオ州コロンバス(Columbus)は,フェニックスにライトレールが開業
したことで,この分野で米国の大都市の中では稀有な存在になりました.

一度は,コロンバス周辺で公共交通事業を展開する公的機関のCOTAが,
ライトレールを候補に含む計画を立案していましたが,2005年に当時の
連邦機関から補助金を得られないことが判明して断念に至っています.
COTA: Central Ohio Transit Authority

その翌年2006年には,コロンバスの市長がダウンタウンだけに限定した
2.8マイル(約5キロ)ほどの路面電車(Streetcar)導入計画を打ち出すもの
の,市議会などの賛同を得られず,最近は進展がありませんでした.

そこに次期政権が,景気刺激策の一環として全米の市長や州知事に対し,
すぐにでも着手したい公共事業計画のリスト提出を求めてきます.
コロンバスの市長は,COTAと協調し,2005年にCOTAが断念した時とほぼ
同じ13マイル(約21キロ)のライトレール計画をリストに盛り込みました.

鉄道計画に限らず,全米各地で同様の事例が数多くあります.米国経済に
投入される連邦資金は8千万ドルとも1兆ドルともされるなかで,地方や
州政府には,その半分が行き渡ると言われています.全米各地が出して
きたリストのうち,どれだけが認められるのか,判断基準は何かなど,
不明な部分は残るのですが,コロンバスは総額3億3450万ドルのリストを
提出しました.ライトレール計画はそのうちの2億ドルを占めています.

仮に2億ドルを手に入れても,不足分は残ります.しかもその調達には
課題も山積です.それでも2億ドルあれば設計を終えることができ,更に
郊外区間で流用するNorfolk Southern/CSX railroadの線路敷き買収か,
車両購入または着工資金にあてられるのではないかと,みられています.
二年以内に着工できるかもしれないそうです.

ここ連日にわたり記事が出ていました.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
January 9, 2009 Will stimulus plan put light rail back on track?
January 10, 2009 Light rail runs on a whole lot of cash,
advocates warn
(The Columbus Dispatch ニュースへのリンク)

車両もルートも検討段階ですが,ルートは市長が掲げていた市電構想を
踏襲し,中心部からオハイオ州立大学まではHigh Streetの路上を走り,
そこで転線するように一旦東に転じ,Norfolk Southern/CSX railroadの
線路用地を郡境まで北上することが考えられています.
(上記1/09付け記事に地図あり)

路面を走る予定のハイ・ストリート(High Street)のダウンタウン北部
ショートノース(Short North)地区には,下記のようなアーチが架かって
います.かつてコロンブスを走っていた路面電車の架線をこれで吊って
いたとか.ただし,今のアーチは2002年に復元されたものだそうです.
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
2005-08-09 1524 High Street Columbus Ohio by geocam20000 (flickr)
2005-08-09 1524 High Street Columbus Ohio
Taken on August 9, 2005

車両に関しては,ライトレールとストリートカーのハイブリッド版が検討
されている模様です.これも詳細は不明ながらライトレール並みの速度で
走り,輸送力も同等ながら,ストリートカー並みに車両を軽量化して軌道
建設費と工事期間を抑えようという試みのようです.

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2008年12月26日

【シンシナティ】市電計画是非を住民投票に?

この夏,ニューヨークタイムズ紙が取り上げたことで,多くの人が知る
ところとなった,オハイオ州シンシナティ市のストリートカー導入計画.
現状は色々と決定が先送りされ,市議会でも市電向け予算削減提案が出る
なかで,最近は目だった進展がないようですが,ここにきて大きな問題が
立ちはだかろうとしています.

全米黒人地位向上協会(NAACP)が,協会内の投票でストリートカー計画に
反対する立場を鮮明にし,2009年11月に行われる住民投票で,賛否を問う
項目を盛り込むための署名集め運動を開始しました.
NAACP: National Association for the Advancement of Colored People

シンシナティのNAACPは,他の団体と共同で,これまでにも刑務所への
費用を賄うための増税案を葬ったり,信号無視を記録するカメラを交通
違反取締りに使えなくするなどの運動を,成功させてきたそうです.

路面電車は金の無駄遣いで,市はそれに資金を注ぎ込むより,道路補修や
地域企業を経済的に発展させるために使うべきというのが,主張です.

NAACPの代表者は,路面電車のことをシュッシュッ・ポッポ(choo choo
train)と茶化し,黒人だけでなく白人も,老いも若きも反対していると
言っているそうです.この運動が成功すれば,投票用紙に載る文言は,
旅客鉄道の用地確保や建設のために市が資金を投じる時は,住民投票で
賛成多数を得る必要があると,市の憲章を修正することに賛成か反対か,
になるようです.

経済発展は,路面電車を走らせる目的の一つにもなっているのですが,
市は財源を含む具体的な計画を,まだ示せていません.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
December 24, 2008 Streetcar system under fire
(The Cincinnati Enquirer ニュースへのリンク)
December 23, 2008 Cincinnati streetcar initiative could be headed
for 2009 ballot
(Cincinnati Business Courier ニュースへのリンク)

南北に街を縦貫する路線は,シンシナティ川近くのダウンタウンから北上
してオーバー・ザ・ライン(Over-the-Rhine)までが第一期区間,その先
アップタウンの大学までが第二期区間になっていて,建設には第一期は
1億ドル,第二期まで含めると2億ドル必要と見積もられているようです.

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2008年12月20日

【デトロイト】州は道路よりLRT計画を優先

ミシガン州デトロイトでは,新交通システムのピープルムーバー(People
Mover)が運休するほどの大雪と,日本でも報道されている自動車産業への
連邦政府の緊急融資(emergency loan)の話題で,地元紙のトップページは
埋め尽くされた感がありますが,州都ランシングにあるミシガン州議会で
州法を制定する会期が終了したこともあり,今期(2007-2008)に州議会が
承認した法案,見送った法案などの話題も少しだけ顔を覗かせています.

その中には,非営利会社がデトロイトで走らせようとしている,官民共同
出資のライトレール計画を認め,州運輸省に沿線に資金調達の課税を可能
にし,さらにわずか年間8百ドルですが,州が運営費用を補助するための
法案が,議会の承認を得たという内容も含まれていました.

このミシガン州のライトレール関連法案は,当面はデトロイトを視野に
入れたものになりますが,いずれは州全体のモデルになるだろうとも,
言われています.

デトロイトには,ダウンタウンからWoodward Aveを北上するライトレール
計画が,実は二つあります.
その一つが,今回話題になっているThe Regional Area Initial Linkで,
3.4マイル(約5.5キロ)に12駅を設ける予定です.その建設費は1億3百万
ドルと見積もられ,民間からはデトロイトに本社があるソフトウェア会社
Compuware Corp.の創立者や,MLB球団デトロイト・タイガース(Detroit
Tigers)のオーナーといった顔ぶれが,後援者になっています.

リスボンの電車を走らせながらも2003年に廃止されたトロリーほどでは
ないにしても,距離が比較的短いことや,ほぼ全線が道路中央を走り,
沿線にはビジネス街や劇場,球場,博物館,病院などが建ち並んでいる
ことから,ライトレールと言うよりストリートカー(streetcar)のような
感じです.

劇場名がFox Theatreということもあり,L字形の路線だったトロリーが
かつて発着し,今はPeople Moverが走るGrand Circus Park界隈はFoxtown
とも呼ばれることから,このライトレール計画のことをFoxtown railと
呼ぶこともあるようです.

これに対してもう一つの計画は,州運輸省が主体で3億7150万ドルかかる
とされる,距離のより長い路線(10マイル弱/15キロ弱)です.こちらは,
Detroit Transit Options for Growth Study / Woodward Light Railとも
呼ばれています.

詳細は不明ですが,両計画は同じ軌道を走るのではなく,どうやら2009年
初めにも統合されることになるようです.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
December 19, 2008 Anti-smoking bill dies in Lansing today
(Detroit News ニュースへのリンク)
December 18, 2008 Mich. lawmakers clear way for rail line in Detroit
The Associated Press (Detroit Free Press ニュースへのリンク)

12/19付けDetroit Newsの記事は,今はライトレールとは無縁のタイトル
になっていますが,少し前までは,州議員たちはライトレールを援助して
道路修理を断念したという,下記のものでした.
Lawmakers aid light rail for Detroit, abandon plans for road repairs

ガソリン税などを引き上げて道路や橋,公共交通などへ投じる資金の財源
とする法案は,ライトレール法案とは対照的に今回は見送られ,2009年に
持ち越しになったのでした.

The Regional Area Initial Linkの路線想像図

大きな地図で見る

【デトロイト】関連ログ: 2008/4/23 ライトレール 対 路面電車?

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