2009年06月30日

【フェニックス】開業半周年,延伸は先送り

車社会のフェニックスにライトレールが誕生して半年余,7/01から運賃の
4割程度の値上げが実施されますが,望まれていた週末夜の午前2時までの
運転も実現する運びになっています.

予想を上回る利用者数は,4月までは好調に推移して,4月は月間百万人も
突破しました.さすがに5月は勢いが衰えて93万人弱だったものの,平日
だけで比べれば,1月から5月の間で9.7%の増加です.
5月に落ち込んだのは,大学が夏休みに入ることや,冬期だけ避寒目的で
居住していた人たちが戻っていたことなどに原因があるようです.
特にアリゾナ州立大学の学生は,利用者全体の25%を占めていると言わ
れています.

この半年間で,ライトレールが巻き込まれた事故は27件でしたが,重大な
ものは発生していない模様です.
また4月の時点では,無賃など不正乗車件数も大変少なく,220件で全体の
1%未満に過ぎないそうです.
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
Jun. 29, 2009 6 months after debut, light rail remains busy
(The Arizona Republic ニュースへのリンク)

このように開業した路線は滑り出し快調ですが,今後の展開に関しては
足踏み状態になります.

ライトレール延長計画では,最も早いもので2012年にもフェニックス側を
北に延伸させるNorthwest Extensionの第一期区間(3.2マイル)が開通予定
でしたが,16か月遅れて2014年になると,最近明らかにされていました.

これは連邦政府からの助成に頼らず,地域の売上税からの税収を財源と
しているため,景気低迷で予定が狂っているからです.
この調子では,ライトレールそのものの延長よりも,スカイハーバー国際
空港への連絡ピープルムーバーのほうが,先に(2013年に)開通します.
Jun. 25, 2009 Light-rail extension planned for 19th Ave. delayed
until 2014
(The Arizona Republic ニュースへのリンク)

路線延長計画概要: Transit Corridors and Light Rail Extensions
(Valley Metro 公式サイトへのリンク)

フェニックスの東隣でリゾート地でもあるスコッツデール(Scottsdale)市
では,ライトレール延長を見越して昨年Valley Metroに加盟したばかり
ですが,年間5万ドルの加盟料を惜しむわけでもなく,当面見込みがなさ
そうだとして,Valley Metroからの脱退を今月決めていました.

余談ですが,
アリゾナ州立大学では,これまでValley Metroを自由に乗降できるU-パス
(ASU U-Pass)を,PTSを通じて学生向けに2万7千枚発行していてました.
今回のValley Metro値上げで,U-パスも年間は$80,学期ごとなら$40に
変更されますが,実はこのU-パス,これまで無料だったようです.
来期から有料になると言っても,月間に換算すると9ドル未満にあたり,
通常の月間パス(31-Day Pass $55)との差額はPTSが助成します.
PTS: Parking and Transit Services

flickr から: ASU卒業式の混雑
Creative Commonsの条件に基づき,参考画像を貼り付けておきます
ASU Graduation crowds by Rail Life
ASU Graduation crowds
Taken on May 13, 2009

【フェニックス】ライトレール関連 最近の話題:
2009/5/29 通勤パスがLRTの重荷に?
2009/2/19 平日上回る土曜の利用者数

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2009年06月06日

【セントラルコリドー】Gentrification問題

実現に向けて,これまで幾度となく危機を乗り越えてきた,ミネソタ州
ミネアポリス(Minneapolis)とセントポール(St. Paul)を結ぶ,都市間
ライトレールのセントラルコリドー(Central Corridor)計画に,今度は
ジェントリフィケーション(Gentrification)の問題です.

ジェントリフィケーションとは,日本語版ウィキペディアでも紹介されて
いるように,それまで低所得層などが多く暮らしていた地域に,ある事が
きっかけで裕福層が移り住み,その結果,地価や賃料が跳ね上がって,
従来からの主(=低所得者層)が追い出されてしまうことがある現象です.

都心の再活性化では重要な役目を果たしたジェントリフィケーションも,
その行き過ぎが指摘されてきました.
ライトレールやストリートカーも,その開通で沿線開発が促進されて,
投資金額の数倍の効果が得られる反面,このジェントリフィケーションで
問題が生じる可能性が高く,各地で対応が論じられています.

セントラルコリドーでもその恐れがありますが,計画当事者は沿線の大口
団体(=大学やラジオ局)の苦情には耳を傾け対策を講じてきたものの,
将来沿線になる地域に住み商売を営んでいる低所得者やマイノリティが
居場所を失う恐れがある可能性を軽視してきたと,セントポールなどの
グループが連邦機関FTAに苦情を申し立てていたことが,このたび明らか
にされました.
FTA: Federal Transportation Administration

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
June 5, 2009 Group files civil rights complaint in regard to
light-rail development
(Star Tribune ニュースへのリンク)
06/04/2009 Neighborhood, minority groups file federal complaint
against Central Corridor light-rail line

(Pioneer Press ニュースへのリンク)
June 4, 2009 Opponents file civil rights complaint against Central
Corridor
(Minnesota Public Radio ニュースへのリンク)

計画当事者で広域自治体の行政機関Metropolitan Councilは,30日以内に
FTAに返答する必要があります.
セントラルコリドー計画は,連邦政府からの補助なしでは成り立たず,
10億ドルを超える投資の半分を負担してもらわなければなりませんから,
FTAへの対応を間違うわけにはいきません.

予定では2010年の年明け早々に着工,2014年の開通を目指していますが,
一難去ってまた一難です.

【セントラルコリドー】前回の話題: 2008/6/16 当面の障害乗り切る

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2009年05月30日

【ソルトレイクシティ】LRT接続の路面電車

ユタ州ソルトレークシティの中心部から,やや南にあるシュガーハウス
(Sugar House)地区は,近年この界隈を代表するショッピングエリアと
して知られるようになりました.

ソルトレイクシティと近郊には,UTAがライトレール仕様のTRAXを走らせ
ていますが,残念ながらシュガーハウスの近くには行きませんし,路線網
拡大計画の中にも,予定はありません.
UTA: Utah Transit Authority

しかし,TRAXの駅(Central Pointe)から東方に,ちょうどシュガーハウス
方面に向かって伸びる廃線があり,かつてよりこの軌道敷を使って電車を
走らせられないかという構想がありました.

沿線の開発やシュガーハウス地区への交通の便宜を図るべく,その構想は
のちに市が検討することとなり,レトロ調の路面電車やライトレールなど
軌道系だけでなく,専用レーンを走るバスも含めて選択肢が探られました
が,公聴会などでも圧倒的支持を得た軌道系になり,それもTRAXのような
ライトレールではなく,より小型で軽量な車両が低速でこまめに停車する
ストリートカーが選ばれます.

厳しい経済情勢の中にもかかわらず,先日ソルトレイクシティの市長らは
早ければ三年以内に開通させるとの発表を行っていました.

将来の延長も考えられますが,当面はTRAXの駅からシュガーハウスまでを
結ぶ2マイルほどが,単線で建設されます.
運転間隔は15分の予定で,2007年に行われた調査結果によれば,一日の
利用者数は2300人との予測されていました.

建設費は4千万から5千万ドル.この資金確保の調整に一年が費やされ,
着工から開通まで二年で,順調なら三年後の運転開始という見通しです.

資金調達には連邦政府からの補助金も検討され,ソルトレークシティの
市長は,6月上旬に行われる全米市長会議(United States Conference of
Mayors)の場で,連邦議会に全米中のストリートカー再導入計画への支援
促進を働きかけるつもりでいるそうです.
しかし一方で,連邦政府からの補助金をあてにすると,実現まで余計な
時間がかかるかもしれない懸念もあり,当てにするかどうかはまだ決めて
いないとのことです.

UTAの公式発表と地元各メディアの記事:
(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
05/28/2009 Salt Lake City and South Salt Lake to Announce Progress
on Sugar House Streetcar
(UTA 公式サイトへのリンク)
05/29/2009 Sugar House streetcar? It may be closer to reality
than you think
(The Salt Lake Tribune ニュースへのリンク)
May 29, 2009 Becker says streetcars could roll in Salt Lake City
within 3-5 years

(Deseret News ニュースへのリンク)
May 29, 2009 Federal Funding for Sugar House Streetcar Could
Slow Down Project

(KCPW News ニュースへのリンク)
May 29, 2009 SLC, South Salt Lake Mayors Working on Streetcar Plan
(FOX 13 KSTU-TV ニュースへのリンク)

FOX 13の記事に埋め込まれている映像に登場するレポーターが立っている
位置は,ここ↓だと思われます.

View Larger Map

計画概要 Sugar House Transit Study: Overview
(UTA 公式サイトへのリンク)

メディアの中には,のどかな裏庭みたいなものだった廃線跡地に,数年後
には電車が走ることを沿線住民が心配していることを取り上げ,それを
しずめる根拠として,土地の価値は米国各地の例をみても上がることが
予想されることや,騒音は周辺の車の走行量が減るので相殺されるはず,
という話を紹介しているものもあります.

シュガーハウスへのストリートカーが接続するTRAXのCentral Pointe駅
からは,将来TRAXのWest Valley Lineも分岐する予定です.

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